ホームステージングは賃貸の空室対策にも有効!賃貸物件にホームステージングを実施するメリット
ホームステージングは、不動産の売却や賃貸を促進するための対策として年々その注目度が高くなっています。ホームステージングとは、不動産の部屋の中を家具やインテリアなどの小物、観葉植物などを使って装飾することで、内見に来た人の印象をアップさせるという手法となります。もともと、中古住宅市場が活発なアメリカで登場した不動産売却の工夫となるのですが、放置空き家対策として国が中古住宅の流通促進を後押しするようになった昨今、日本国内でも中古住宅をできるだけ高く売りたい、早く売りたいという顧客の要望に応える形で、ホームステージングの利用が拡大しています。
ホームステージングは、欧米で「家を売却するための手法」として生まれたという特性上、日本でも中古住宅の売買を促進するための対策として認識している方が多いです。しかし実は、賃貸物件での入居者募集の対策としても、このホームステージングがかなり有効に働くと言われるようになっているのです。昨今では、賃貸経営が相続税対策として有効な手段の一つと言われていて、土地を賃貸物件として活用し始める人が増えています。しかし、賃貸住宅を建てても、空室ばかりになると何の意味もありません。
そこでこの記事では、賃貸物件の空室対策としてホームステージングの実施がどのようなメリットをもたらすのかについて解説します。
賃貸物件の空室対策について
賃貸経営を行う上で、空室対策は非常に重要なポイントになります。所有物件に空室が発生すると、家賃収入が途絶え、経営の安定性に大きな悪影響を与えてしまうことになります。賃貸経営者にとって、家賃収入とは収益の源泉であるわけなので、空室期間は可能な限り短期間におさえておきたいはずです。
それでは、全国各地に数多く存在する賃貸物件では、どのような空室対策が取り組まれているのでしょうか?一口に空室対策といっても、物件そのものの魅力を高める工夫、宣伝に力を入れて効果的に物件の魅力を伝える工夫、家賃を下げるなど賃貸条件の見直しなど、さまざまな手法が存在します。そこでここでは、賃貸物件の入居者募集に効果的とされている主な空室対策の手法をいくつかご紹介します。なお、ここでは「退去を予防する」という方向の空室対策ではなく、空室が発生した時に有効な対策をメインにご紹介します。
物件の魅力が伝わるようにする空室対策
賃貸物件の空室対策では、広告宣伝の手法を見直すなど、物件情報が多くの人の目に触れるようにするという対策が最も手軽です。物件に新たな設備を導入する、家賃を下げるといった方法は、コスト負担が発生するため、なかなか気軽に手を出せる手法ではないとされています。効率的に物件の魅力を伝えるタイプの空室対策には、具体的に以下のような手法があります。
- 内見をしやすくする
オンライン内見やセルフ内見を導入して、内見をしやすくするという方法は、物件の魅力を多くの方に知ってもらう方法として、空室対策に有効です。内見のハードルが下がれば、入居希望者の検討フェーズを押し上げることが可能になります。最近では、スマホやパソコンを使って気軽に内見できるよう、物件内の画像を数多くそろえたり、動画を撮影して隅々まで確認できるようにするといった対策が取られています。コロナ禍においては、オンライン内見が入居者確保に大きく貢献したと言われています。 - インターネット上の物件情報を充実させる
現在では、物件探しを行う時には、まずインターネットで検索して良さそうな物件をピックアップするという方法が主流になっています。つまり、インターネット上に物件情報を掲載したうえで、さらに入居希望者の目に留まるように情報を充実させることが非常に重要になっているのです。いくら物件の魅力を高めても、それが物件探しをしている人に届かなけば何の意味もありませんよね。したがって、物件の魅力が視覚的に伝わるような、充実した物件情報を作り、多くの場所に掲載するという方法も空室対策として有効です。
賃貸物件の空室対策では、まず物件情報を多くの人に届けられるようにするという対策がなされます。ただ、大手の賃貸情報サイトなどに物件情報を掲載したとしても、物件の魅力が伝わらないような写真しか掲載できていなければ、空室対策の効果はほとんど得られないでしょう。
実は、ホームステージングでは、空室の写真をもとにCG技術で室内を演出するバーチャルホームステージングと呼ばれるサービスも登場しています。手間をかけずにローコストで空間を演出できる上、それを見た人がそこに住んだ時のことをイメージしやすくなるため、物件の魅力をより分かってもらうことができるのです。
物件の魅力を的確に伝えるための空室対策では、多くの人の目につく場所に物件情報を出すことに加え、仮想空間上でホームステージングを実施し物件をより魅力的に見せるという工夫が注目されるようになっています。
物件そのものの魅力を向上させる空室対策
賃貸物件の空室対策では、物件そのものの魅力を高める、時代に合わせた機能を持つ物件にするなどの対策も有効です。もともとなかった機能や設備を導入することで物件の価値を向上させ、入居希望者を増やすといった方向の対策になります。このタイプの空室対策は、物件の価値向上が期待できるため、家賃をあげたとしても新たな入居者を獲得できるなど、うまくいったときのメリットが非常に大きいです。例えば、以下のような対策が考えられます。
- 宅配ボックス・無料Wi-Fiなど多くの人に求められる設備を導入する
賃貸物件に求められる機能は、時代によって変わります。例えば、スマホが普及した現在では、インターネット環境は誰もが求める機能となっています。そのため、物件に無料Wi-Fiを設置するなど、入居者の生活利便性を高める設備の導入は非常に有効な空室対策となります。この他、EC市場が拡大している現在、宅配ボックスも物件に求められる設備の一つになっています。入居者の利便性を高める空室対策は、競合物件との差別化ができるようになるため、非常に有効な方法とみなされています。 - セキュリティ対策の強化
セキュリティ関連の設備が不十分な物件の場合、これらを充実させることも有効な空室対策となっています。防犯カメラやオートロックシステム、ダブルロックなど、入居者のニーズや地域特性に合わせて適切なセキュリティ対策の導入が必要です。特に、一人暮らしの女性の入居を促進したいという思惑がある場合、セキュリティ対策の優先順位がより高くなります。 - リノベーションを施す
賃貸物件は、退去者が出た時、物件を元の状態に戻す原状回復工事が行われます。クロスや水回り設備のリフォームは退去者が出た時には必ず行うはずです。ただ、空室対策として見た時には、物件の魅力を高めるために、リノベーション工事を施すことが有効とされています。リノベーションは、単に元の状態に戻すのではなく、今までなかった機能を追加し物件の価値を高める工事のことを指しています。例えば、防音工事を施し、物件の防音性を高める、オール電化設備を導入するといった感じに、物件そのものの機能性を高めるという空室対策になります。築年数が経過し、物件の魅力が低下している場合、特に効果的な方法といえます。
賃貸物件の空室対策では、上記のように物件の価値を高めるための対策を施すという手法が効果的です。ただ、これらの対策は、それなりの費用がかかってしまうため、費用対効果のこともよく検討しなければいけません。
また、物件の価値を高めたとしても、それが入居希望者に伝わらなければ空室対策としては意味を成しません。そのため、「何がどう良くなったのか?」をきちんと伝えられる広告を出したうえ、入居希望者が内覧に来た際、その魅力がきちんと伝わるような工夫を施すことも大切です。賃貸物件の機能性については、そこに住んでみなければなかなか実感できないため、家具などが何も置かれていない物件を内見しても、そこでの生活をイメージできず、魅力が伝わらずに終わってしまう…なんてことも多いです。そのため、最近の賃貸業界では、内見時の対策として部屋にホームステージングを施し、そこでの具体的な生活をイメージさせ、機能性の高さをアピールするという工夫も同時に採用されるようになっています。
入居条件の見直しに関する空室対策
最後は、入居条件を見直すという空室対策です。例えば、以下のような対策が考えられます。
- 家賃を下げる
築年数が経過して物件の魅力が低下している、周囲のライバル物件と比較すると家賃が割高に見えるなんて場合、家賃を値下げするという対策で空室を埋めるケースがあります。しかし、家賃の値下げは、空室対策の最終手段と考えてください。家賃を下げると、収益は長期的かつ継続的に悪くなるので、賃貸経営に深刻なダメージを与える結果になります。さらに、家賃を下げて募集をかけた場合、既存入居者がその広告を見て値下げを要求してくる可能性もあります。家賃の値下げは、新規入居者の獲得は期待できるものの、思わぬ問題に発展しかねない為、家賃を維持したまま空室を埋める方法がないか、しっかりと検討したほうが良いです。例えば、内見希望はそれなりの頻度で入っているという場合、ホームステージングを施すことで家賃を維持したまま入居者をつけることができるかもしれません。 - 「ペット可」にするなど、入居条件を緩和する
入居条件は物件によって異なります。例えば、「ペット不可」「楽器不可」「外国人不可」などの条件を設けている物件は、条件を緩和することが有効な空室対策になる場合があります。単純に入居者の幅が広がるため、入居率の向上が見込めるからです。ただ、入居条件の緩和は、既存入居者とのトラブルが考えられるため、慎重に検討すべきです。例えば、既存入居者の中には動物アレルギーを持っていて「ペット不可」という条件だから入居しているという方がいるかもしれません。その場合、ペット可にして空室が埋まったとしても、既存入居者が退去してすぐに空室が生じる…なんて可能性が考えられるのです。また、入居条件の緩和は、今までなかったような物件内でのトラブルの増加が予想されるため、その辺りの対策も事前に検討しておかなければいけません。
入居条件の見直しについては、上記以外にもフリーレントを導入する、更新料を見直すといった対策が考えられます。どちらにせよ、今の物件の魅力では周辺のライバル物件に劣ってしまうため、条件を変更するという対策になります。
ただ、注意が必要なのは、空室が生じている理由が「物件に魅力がない」ではなく「物件の魅力が伝わっていない」というケースも珍しくない点です。一般的な賃貸物件の内見では、室内に何の家具も配置せず、がらんとした状況で見てもらいます。そのため、入居希望者はそこでの生活が具体的にイメージできず「悪くないけど決め手がない…」となってしまう場合があるのです。逆に言うと、入居希望者を募る際に、ホームステージングを実施し、内見時にそこでの生活をイメージできるようにしておけば、入居条件の見直しなどせずとも、空室を埋められる可能性もあるのです。
入居条件の見直しは、既存入居者にも大きな影響を与える問題となるので、「周辺のライバル物件と比較しても悪くないはずなのに…」と悩んでいる方の場合、条件を見直す前にホームステージングなどできちんと魅力を伝えるという対策を先に行ってみるのも良いのではないでしょうか?
賃貸の空室対策としてホームステージングを実施するメリット
ここまでの解説で、賃貸物件の空室対策にはさまざまな手法があるということが分かっていただけたと思います。ホームステージングについては、上で紹介した空室対策と併用することも出来ますし、単独で空室を埋めるための対策として取り入れる場合もあります。
それでは、賃貸物件の空室対策を考えた時、ホームステージングの実施にはどのようなメリットが考えられるのかもご紹介します。ホームステージングは、賃貸の空室対策として以下のような効果をもたらせてくれます。
メリット1 入居希望者の目に触れやすくなる
先程紹介したように、昨今では、ほとんどの方がインターネット上の大手不動産ポータルサイトを利用して物件探しを行っています。不動産ポータルサイトを利用すれば、地域や希望する家賃、導入されている設備などで物件をソートすることができ、希望の物件を探しやすくなるのです。ただ、ネット上の賃貸物件情報は、ほとんどの場合、室内に何も置かれていない状態の写真が掲載されているため、どれも似たような物件に見えて差別化ができない、また入居後の生活をイメージしづらいといった声も多いです。
そこで、ネット上に掲載する物件写真について、きちんと家具やインテリアなどでおしゃれに演出できるホームステージングを活用しておけば、他の何も置かれていない無機質な部屋よりも目立つことができるようになります。そのため、一覧で表示されたときには、より多くのユーザーの目に留まりやすくなるため、物件の詳細まできちんと確認してもらえる確率が高くなるのです。当然、より多くのユーザーの目につけば、内見希望者などの増加が見込め、成約の確率も高くなるでしょう。
メリット2 部屋のサイズ感や入居後の生活をイメージしやすくなる
家具が何も置かれていない物件を内見したことがある人は多いと思います。そして、実際に入居して、家具を置いてみると「想像以上に狭かった…」なんて後悔をした経験がある人もいるのではないでしょうか?
実は、部屋の中に家具が置かれていない物件は、部屋のサイズ感がいまいち分からないため、入居後のイメージが膨らまない…という声も多いのです。ホームステージングは、部屋が最もよく見えるように、家具やインテリア、観葉植物などで飾る方法と紹介しました。つまり、ホームステージングが施された物件は、内見時に家具などもしっかりと設置されているため、部屋のサイズ感はもちろん、入居後の暮らしを具体的にイメージできるようになるという効果が期待できるのです。
物件の内見に行っているということは、魅力的に感じているという証拠でもあります。そのため、内見時に入居後の暮らしを具体的に想像させ、入居したい気持ちを高める事ができれば、成約率を向上させるかもしれないというメリットも期待できるのです。
メリット3 物件の欠点が目立ちにくくなる
ホームステージングは、物件内部に意識が集まるようになることから、賃貸物件の一部の欠点を目立ちにくくさせるというメリットも期待できます。
たとえば、窓からの景観があまり良くない物件について、そのまま物件の写真を載せた場合、欠点部分に目が行ってしまう可能性が高くなります。しかし、ホームステージングを実施していた場合、内装に意識がむいてしまうため、窓からの景観という欠陥が目立ちにくくなるのです。
この他、3点ユニットバスなど、一般的に不人気な設備であっても、小物などを飾ってホテルライクに演出することができれば、欠点ではなく「おしゃれなお風呂」という魅力的な設備に感じさせることができるのです。
賃貸物件でのホームステージングの注意点
もともと、欧米で「家を売却するための手法」として誕生したホームステージングですが、賃貸物件の空室対策でも非常に有効な方法であることが分かっていただけたと思います。ホームステージングは、広告の段階からライバル物件との差別化ができるようになるだけでなく、内見時により良い印象を与えることができる、入居後の生活を具体的に想像させることができることから、成約率のアップも期待できるのです。
ただ、実際に賃貸の空室対策としてホームステージングを検討した時には、以下の点は注意しましょう。
費用がかかってしまう
ホームステージングを行う場合、それなりの費用がかかってしまう点が注意点です。日本でも、ホームステージングの認知度が高くなった昨今では、ホームステージングサービスを取り扱う会社が増えており、部屋の中を飾る家具やインテリアを自分で用意しなくてもレンタルで装飾することができるようになっています。しかし、専門業者に依頼してホームステージングを実施する場合、その内容や部屋数によって変わるものの、10〜40万円程度の費用がかかるとされています。
部屋全体をリノベーションすることを考えると圧倒的にコストを抑えられますが、費用対効果のことをきちんと考慮してホームステージングを実施しないと、空室が埋まってもかけたコストを取り戻すのに時間がかかってしまう…なんてことになります。
ホームステージングは、空室が早く埋まる可能性が高くなるものの、かけるコストが見合っているのかはしっかりと検討しましょう。
対策や片付けに手間がかかる
ホームステージングは、専門業者に依頼すれば、設置する家具の選定や搬入、設置作業などをすべて行ってもらうことができます。ただ、専門業者に依頼する場合でも、打ち合わせにはそれなりの時間と手間がかかります。また、DIYでホームステージングを実施する際は、配置する家具や小物を選ぶ、購入する、搬入・設置作業など、全てをご自身で行わなければならないので、手間も時間もかなり掛かってしまいます。さらに、成約後は、設置した家具やインテリアの撤収が必要になりますし、保管しておく場所なども用意する必要があるでしょう。
ホームステージングに使用する家具や小物は、空室が発生するたびに利用することができるのですが、満室状態の時は使うことがないため、保管場所も用意しなければいけません。したがって、大型家具などを使用したホームステージングを希望する場合、成約後のことも考えると、家具やインテリア一式をレンタルしてもらえる専門業者に依頼するのが、最も手間が省けると思います。
まとめ
今回は、賃貸物件の空室対策として、ホームステージングはどのような効果が期待できるのかについて解説しました。ホームステージングは、もともと中古住宅市場が活発なアメリカで生まれたということから、不動産の売却を促進するために効果的な手法とみなされていました。しかし実は、賃貸物件の入居者を募集する際にも非常に有効な対策になるのです。
記事内でご紹介したように、賃貸物件へのホームステージングは、他のライバル物件との差別化に非常に効果的です。特に、物件情報が一覧で掲載される不動産ポータルサイトをほとんどの方が利用するようになった昨今、ホームステージングされた物件画像の掲載ができるという点は非常に大きなメリットになるはずです。
もちろん、賃貸の空室対策となるため、費用や手間がどうしてもかかってしまう対策になるので、費用対効果のこともよく考え、実施するかどうかを検討しなければいけません。KAGKASは、不動産の売却はもちろん、賃貸物件の魅力を最大限引き出すホームステージングのご提案も行っています。空室をできるだけ早く埋めることができる対策に悩んでいる方がいれば、お気軽にご相談ください。