家の売却で値下げを実行すべきタイミングとは?値下げする前に試してみたい対策
今回は、家の売却について、売却価格の値下げを検討すべきタイミングについて解説していきたいと思います。
家の売却を検討している方であれば、誰もが「できるだけ高く売りたい!」と考えるはずです。特に昨今では、都市部における不動産価格の上昇が大手メディアなどでも盛んに報道されていることもあり「今家を売りに出せば、高値で売却できるのではないだろうか?」と考える方が多くなっていると思います。しかし、家の売却は皆さんが考えているほど簡単な物ではなく、少子高齢化による人口減少が指摘されている日本においては、希望価格で売却できるのか…と言った以前の問題で、「そもそも買い手が見つかるのか?」という部分で躓いてしまう人も少なくないのです。
そもそも、中古住宅の購入を検討している方の多くは、「新築よりも安く家が手に入る!」という点をメリットに感じています。つまり、購入希望者側は、売主とは真逆で「できるだけ安くマイホームを手に入れたい」という要望を持っているわけなので、家を売りに出したとしても、そう簡単に買い手が見つかるとは限らないのです。そして、家を売りに出したのに、買い手がなかなか見つからないという状況になると「値下げしないと売れないのではないか…」というお悩みを抱えてしまうことになるのですが、値下げを実行するにしてもどのようなタイミングが適切なのかでさらに迷ってしまう方が多いのです。
そこでこの記事では、家を売りに出した後、なかなか買い手が見つからないとなった時、売却価格の値下げを検討するべきタイミングについて解説していきます。また、記事の後半では、値下げを実行する前に検討すべき対策についてもご紹介するので、これから家の売却を考えているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

家の売却で値下げを検討する主なタイミングについて
家の売却を検討した際、売り出し価格に関しては、不動産会社の査定額をもとに売主が決定するものです。つまり、基本的には、売主側が「この価格で売りたい」という希望の金額を設定することは間違っていません。
しかし、どのようなモノにも「市場価格」や「相場価格」というものがあり、それを逸脱した金額を設定してしまうと、売れるモノも売れなくなってしまうのです。特に、不動産の売買に関しては、その他の物品と比較しても、金額が非常に大きくなってしまいます。状態の良い築浅物件の場合、新築住宅とさほど変わらないような金額、つまり数千万円単位のお金が動く取り引きになるため、購入希望者側は家の価格についてかなりシビアに検討すると考えなければいけないのです。
そのため、希望価格で家を売りだした後、内覧の予約さえも入って来ない…という状況になれば、売却価格の値下げを検討せざるを得ないでしょう。この場合、購入希望者側に「相場よりも高すぎる…」と感じられて敬遠されている可能性があるため、値下げを実行して買い手側に「お得感」や「安さ」と言った魅力を感じてもらう必要があるのです。しかし、家が売れないからとやみくもに値下げを実行してしまうと「なんでいきなり安くなったの?」と不信感を与えてしまい、物件の価値そのものを低く見せてしまう可能性が生じます。
したがって、最初に設定した売り出し価格の値下げに関しては、適切なタイミングを慎重に見極める必要があるのです。一般的には、以下のようなタイミングで値下げを実行すると効果的と言われているので、それぞれのタイミングについて分かりやすく紹介します。
①購入希望者から値下げ交渉があった時
家の売却において、値下げするタイミングとして最もわかりやすく、また効果的と言えるのが購入希望者側から価格交渉を求められた時です。
家の売却活動においては、売買契約を結ぶにあたって、購入希望者側から価格交渉を求められるのが一般的です。そして、この際には、無理のない範囲で値下げに応じるというスタンスが、スムーズな成約につながりやすくなります。というのも、購入希望者が価格交渉を求めてくるということは、物件そのものについて「買っても良い」と考える程度には気に入っているということを示しています。要は、「希望する価格帯であれば買いたい」という意思表示でもあるわけなので、買い手側が納得する金額まで値下げすることができれば、そのまま成約にまで突き進むことができるのです。
ただし、売主側にも「最低でもこれぐらいで売りたい」という希望額があるはずなので、急いで売らなければならない理由がない限りは、無理な値下げまではしない方が良いです。家の売却時には、ある程度の値下げを要求されることが想定されるため、家を売りに出す際には「この金額までなら値下げに応じる」という金額を定めておき、その範囲ならば交渉にのると良いでしょう。
ちなみに、購入希望者との価格交渉は、基本的に仲介を依頼された不動産会社が間に入って行います。したがって、売り出し価格を決める際に、交渉に応じられる値下げ幅に関しても事前に取り決めておくと良いです。価格交渉に余計な時間がかかってしまうと、他の物件に足を運び、そちらで制約されてしまう可能性もないとは言えません。
売買契約を結ぶにあたっての価格交渉は、成約に限りなく近づく行為と言えるため、お互いに納得のできる価格になるような交渉であれば、絶好の値下げタイミングと言えます。もちろん、希望売却額を大幅に下回る金額や、特に理由もないのに大幅な値下げを要求されるといったケースに関しては、無理に交渉に応じる必要はありません。
②家を売りに出しても長期間買い手が見つからない時
これも分かりやすい値下げのタイミングと言えるでしょう。自分が希望する価格をつけて家を売りに出したにもかかわらず、長期間買い手が見つからないという事態になった場合、値下げを検討したほうが良いでしょう。この場合、売り出し価格が高すぎると買い手側に判断されている可能性が高く、簡単に言うとあなたの家の金額設定が市場ニーズに合っていないと判断できるのです。
ちなみに、「長期間売れない時」の具体的な期間については、戸建てかマンションかなど、物件の種類や立地などによって多少変わります。これは、不動産を売りに出してから売却までにかかる平均期間が違うからです。ただ、一般的には、物件を売りに出して、3~6ヶ月以内で売れない場合は、その時点での金額設定が市場ニーズに合っていないと判断され、不動産会社から値下げの提案がなされることが多いと思います。
これは、中古住宅の平均的な売却期間が3〜6か月程度とされているためで、この期間中に買い手が見つからない物件に関しては、そのままの値段で販売活動を続けても買い手が見つからない可能性が高いと考えられるためです。
③不動産需要が高まる時
不動産需要が高まる時期であれば、「値下げするのではなく、高値で売った方が良いのでは」と考える方が多いと思います。しかし、早期の売却を目指すのであれば、この時期の値下げは非常に効果的と言えるのです。
不動産市場にも繁忙期と閑散期というものがあるのですが、一般的に1~3月や9月頃に需要が増えると言われています。これは、1~3月は、4月からの新生活に向けて引っ越しを検討する方が増える、9月は転勤が増える時期となるため、この時期に住み替えを考えて不動産を買いたい人が増えるとされているからです。
したがって、不動産の売却については、この時期を狙って売りに出す方が多くなり、競合物件が増加するとされています。この場合、類似物件と同じような売り出し価格を設定していると、競合物件が多くなるためなかなか買い手が見つからないという状況になってしまいがちです。しかし、他の物件よりも少し価格を下げておけば、「他よりも安くてお得だ!」という印象を与えることができ、スムーズな売却に繋がる可能性があるのです。
もちろん、ライバル物件よりも目立たせるためとはいえ、無理な値下げまでは必要ありません。最初に決めた「この金額までなら値下げできる」という金額でライバル物件を出し抜けるかを不動産会社と相談しながら、価格設定を見直してみると良いでしょう。必要以上の値下げをしてしまうと、他の物件もそれに追随してしまい、値下げ合戦のような状況に陥ってしまう恐れがあるので、値下げ幅は慎重に検討しなければいけません。
④買い手側の反応が著しく悪い時
家を売りに出しても「なかなか買い手が見つからない」という状況に関しても、売り出し物件ごとに状況は違うはずです。例えば、結果として「家が売れない」という同じような状況でも、躓いている部分は以下のように物件ごとに異なるのです。
- ①物件への問い合わせや内覧予約さえ入らない
- ②内覧までは来てもらえるけど成約に至らない
- ③価格交渉に応じないため売れない
上記のように、家が売れないという最終的な結果は同じでも、それぞれの物件の状況は全く異なるのです。家の購入を検討している方は、まずインターネットの不動産検索サイト内で物件情報を確認し、希望する条件の物件を見つけてから内覧に足を運ぶという行動をとります。つまり、上で紹介した事例の内、②番と③番に関しては、物件広告に掲載されている売り出し価格と物件そのもののバランスは合っていると判断されていると想定できます。
しかし、①番に関しては、物件広告の段階で敬遠されていることを意味しているため、広告に掲載している写真が悪い、物件に対して売り出し価格が高すぎると判断されているという可能性が考えられるのです。物件の状態と売り出し価格のバランスが、市場価格に合っていると判断されているのであれば、問合せや内覧希望が一切入って来ないという状況は少し考えにくいです。そのため、家を売りに出して、1カ月以上たっても問い合わせや内覧希望が入らないという場合、売り出し価格が市場相場に合っているのか確認しなければならないと考えましょう。そして、類似物件と比較して、売り出し価格が高いと判断される場合は、値下げを検討すべきです。
⑤何らかの理由で早期の売却を希望している時
家の売却理由が「転勤」などの場合、「〇月〇日までに売りたい」「住み替え先のことを考えると早く売りたい」など、早期の成約を希望するケースもあるでしょう。そして、このように「早く家を売りたい」という希望がある方は、市場相場での売却を考えるのではなく、値下げを検討すべきと言えるでしょう。当然、立地や導入設備、築年数などの条件が類似したライバル物件よりも安い価格で売り出せば、不動産検索サイト内で目立つことができるため、内覧希望が増えると想定され、早期に売却できる可能性が高くなります。
したがって、「多少売却益が少なくなったとしても、とにかく早く売りたい!」という希望がある方の場合は、値下げと言う選択はおすすめできます。ただ、市場相場と比較して、「異常なほどに安い」と感じるような価格付けはあまりおすすめではありません。「安ければ安いほど良いのでは?」と感じるかもしれませんが、不動産の価格については安すぎると「見えない不具合があるのではないか?」「事故物件なのかな?」など、逆に不信感を与えてしまい、敬遠される可能性が出てくるのです。そのため、早期の売却を目指すなら、市場価格よりも少し安く売りに出し、内覧時にさらに値下げしてお得感を出すことで早期に成約させるなど、販売活動面での工夫を施すのが良いです。
不動産の価格にも、市場相場というものがあるので、それとかけ離れた価格付けは、高すぎても安すぎても買い手側に敬遠される可能性がある点は注意が必要です。
売却価格の値下げによる影響について
ここまでの解説で、家の売却における値下げに適したタイミングがある程度分かっていただけたと思います。ただ、売却価格の値下げに関しては、きちんと戦略的に実施しなければならないという点に注意しましょう。
先程も紹介していますが、「早く売りたい」という気持ちを先行させ、市場価格を無視するレベルの値下げを行ってしまうと、買い手側に不信感を与えてしまう結果となり、逆に売れにくい状況を招いてしまう可能性もあるのです。家の売却価格については、所有者である売主に決定権があるとはいえ、自分勝手に価格を決めるのではなく、不動産のプロである不動産会社のアドバイスのもと、適切な対処をすべきです。
家の売却における「売却価格の値下げ」は、興味を持ってくれる人を増やすなど大きなメリットとなるケースもあるのですが、当然、デメリットとなる部分もあるのです。そこでここでは、売却価格の値下げを実施することで得られるメリットと、その逆の注意すべきデメリットについてご紹介します。
値下げによるメリットについて
まずは、値下げによって得られるメリットについて解説します。値下げのメリットは、大まかに言うと「家が売りやすくなる」ということです。これは、以下のような効果が期待できるからです。
- 相場よりも安い価格付けは、購入ハードルが下がる
- 対象となる購入者層が増えるため、ターゲットの母数が増加する
- 物件広告の段階で、ライバル物件と差別化ができる
- 家の維持コストが削減できる
売却価格の値下げには、上記のようなメリットがあると言えます。
上でもご紹介したように、家の購入者側の希望は「できるだけ安くマイホームを手に入れる」ということです。そのため、同じような条件の物件が2つあれば「安い方を買いたい」と考える人が多いはずです。この買主側の心理のことを考えると「値下げ」という行為は、「市場相場よりも安いから買いたい」など、購入希望者側のハードルを下げることができ、早期の成約が期待できるようになるというメリットがあるのです。
さらに、売却価格の値下げは、ターゲットとなる購入希望者を増やすことで、「家が売りやすくなる」という結果に導いてくれる可能性もあります。上でも紹介したように、家の購入を考えた時には、最初に不動産検索サイトで物件情報を探すという行動に出る方がほとんどです。この際には、希望する地域や間取り、価格などで物件情報を絞り込み、その中で興味を持った物件に対して問い合わせをするという流れになるのです。つまり、売却価格の値下げを行うと、今までは価格の問題でアプローチできなかった層に物件情報を届けることができるようになるのです。例えば4,100万円で売りに出した物件の場合、「3,000万円代の物件」で絞り込みを実施している方には、自分の物件情報を見せることができないシステムになっています。これが、200万円値下げすれば3,000万円代となるため、今まではアプローチ出来なかった層の方の購入候補に入ることができるようになるわけです。購入対象者の母数が増えれば、それだけ成約に至る可能性が高くなると考えられるため、家が売れやすくなるという結果が期待出来ます。
この他、値下げすることにより早期に買い手を見つけることができれば、家の維持にかかるコストや固定資産税などの税金と言った、不動産を所有することで発生するお金の負担がなくなります。また、内覧対応など、売却活動時の手間や「家が売れないのではないか?」といった不安によるストレスから解放される点も大きなメリットと言えるかもしれませんね。
注意すべき値下げのデメリット
売却価格の値下げは、上記のようなメリットがある一方、いくつか注意すべきデメリットも存在するので、その辺りもご紹介します。値下げのデメリットは、以下のような点です。
- 売却益が少なくなる
- 足元を見られてさらなる値下げを要求される
- 様子見や不信感などにより、家が売れにくくなる
売却価格の値下げに関するデメリットとして、最もわかりやすいのは「売却益が少なくなる」という点です。もちろん、売れないことと比較すればマシに感じますが、状況によっては「値下げ」が大きな落とし穴に繋がる可能性があるので注意しましょう。例えば、売却益により住宅ローンの完済を考えている場合、値下げすることによって「自己資金を用意しないと完済できない…」というような状況に陥ってしまう可能性があります。住宅ローンがまだ残っている物件の売却では、「家を売る」ということだけに着目するのではなく、ローン残債を完済することも考慮しながら値下げ幅を考えなければ、後々困った状況に陥る可能性があります。
また、家の売却活動の途中に値下げを実行すると、購入希望者側に「もう少し待てばさらに値下げが行われるのでは?」と思われ、様子見をされてしまう可能性があります。他にも、「値下げをするということは早く売りたいのだな!」などと、足元を見た交渉でさらなる値下げを要求されてしまうなど、値下げをしたという事実が売却活動の邪魔をする可能性があるのです。
一般的には、「値下げ」は購入希望者に好まれる行為と考えられがちですが、他の物品よりも価格が高い不動産の売却では、逆効果に働く可能性があるという点は注意が必要です。したがって、家の売却に困った際も、「本当に値下げが必要なのか?」「他に家を売りやすくする方法はないのか?」を慎重に検討しなければならないと考えてください。
値下げする前にホームステージングの実施を検討しよう
ここまでは、家を売りに出した際、なかなか買い手が見つからない時に提案される「値下げ」について解説してきました。売り出し価格が市場相場よりも高いといったケースでは、不動産検索サイト上で敬遠されてしまうことになり、なかなか買い手が見つからないという状況に陥ってしまうことがあります。そのため、仲介を依頼している不動産会社などから「早く売るなら値下げしてはどうですか?」などと提案されるケースも少なくありません。
しかし、家が売れない理由というのは、単純に価格が高いからという理由だけではありません。本来は、あなたが希望している価格で売却することは難しくないのに、事前準備を怠ったことで買い手を見つけられていないというケースもあるのです。そこでここでは、「家が売れない…」という状況に陥った時、値下げを実行する前に検討したい対策について解説します。
家が売れない理由は「価格」だけではない
家を売りに出し後、長期間売れ残ってしまう…という状況に陥った場合、「売り出し価格が適切でなかったのか…」と考え、値下げを検討する方が多いです。しかし、多くの場合、不動産の売り出し価格は、仲介を依頼している不動産会社のアドバイスを受けて決めているはずなので、売り出し価格が原因となって「売れない」という状況を作っているわけではないと考えられるのです。もちろん、査定額が3,000万円と言われたのに、自分の希望で4,000万円の値をつけたというケースは別ですが、家が売れないのは、以下のような事が要因となっているケースも多いのです。
- 内覧準備や内覧対応が不十分で、物件の印象が悪くなっている
- 物件広告に掲載している情報量が少ない
- 魅力的な物件写真を掲載していない
家の購入は、不動産検索サイトなどで気になる物件を探し、実際の物件を確認するために内覧を実行したうえで、購入するかどうかを決めるという流れになるのが一般的です。つまり、家の早期売却を成功させるには「顧客の興味を引く物件情報を掲載する」そして「内覧時により良い印象を与える」ということが非常に重要なポイントになるのです。例えば、日常生活の忙しさに追われ、物件内の掃除や整理整頓を怠った状態で内覧を受け付けた場合、内覧者に良い印象を与えることはできませんよね。さらに、家を売るための大切な工程となる内覧時に家の中が散らかっているということは、普段も家のメンテナンスを怠っているのではないかと考えられ「見えない部分の劣化が進んでいるのでは?」などといった不信感を与えてしまう可能性まであるのです。こうなると、相場よりも安い価格をつけていたとしても、購入検討者から敬遠されてしまう可能性があり、「値下げするかどうか?」など関係なく家が売れないという状況になってしまうのです。
つまり、家の売却をスムーズに進めたいと考えているのであれば、物件広告や内覧時に良い印象を与えられるだけの内覧準備が必要になるということです。そして、そのための対策として注目されているのがホームステージングで、昨今の不動産業界では、家の売却や賃貸において、早期の成約や高値での成約を後押しするための方法として大注目されるようになっているのです。ホームステージングは、以下の画像のように、空室状態や散らかった状態で内覧を受け付けるのではなく、新築のモデルルームのような空間にコーディネートしたうえで内覧してもらい、内覧者に「ここに住んでみたい!」と思わせるという対策になります。


上画像のように、売りに出す物件に対して、家具やインテリア、照明や植物で室内をコーディネートする方法がホームステージングです。この対策を実施することで、内覧時に家事や生活の動線まで具体的にイメージすることができるようになり、購入するかどうかの判断がしやすくなるのです。また、ホームステージングは、単に家具などを配置するだけでなく、物件内を綺麗に清掃するハウスクリーニングや不要な荷物を処分する整理整頓など、内覧を受け付けるために必要な作業全般を請け負ってもらうことができます。したがって、内覧者が家中を細かく確認する場合でも、その印象を高めることができるよう、お風呂やトイレなどの水回りやクローゼットなども整えてもらうことができるのです。

家が売れない理由の一つとして、「物件の状態を考えると価格が高い」など、物件そのものと価格のバランスの悪さが原因になるケースがあります。しかし、ホームステージングを実施すれば、物件そのものの印象が高くなるため、値下げをしなくても「妥当な金額だ!」と思ってもらうことができ、希望価格での売却が実現しやすくなるのです。
ホームステージングの実施タイミングについて
ホームステージングは、昨今の不動産業界で、売買や賃貸を促進するために非常に効果的な手法とみなされるようになっています。それでは、家の売却においては、どのような場面でホームステージングの実施が検討されているのでしょうか?ここでは、日本ホームステージング協会が毎年行っている実態調査から、家の売買におけるホームステージングの実施基準や実施タイミングのデータをご紹介します。
■ホームステージングの実施基準
引用:ホームステージング白書2024年
ホームステージングが必要と判断されている物件については、「売却が難しいと考えられる物件」や「高額物件」という意見が多いという結果が出ています。不動産会社の中には、仲介を依頼された物件について、全ての物件に対してホームステージングを実施するという回答をしている企業も増えていますが、主に売却が難しい物件の販売促進を目的として実施されていることが分かります。
注目したいポイントとしては、「高額物件に実施する」という回答が第二位に位置している点です。これは、ホームステージングを実施すると、物件そのものの印象が良くなるため、高値でも違和感がなくなり、買い手を見つけやすくなるということを意味しています。つまり、ホームステージングの実施は、物件の価値を高く見せることができるという点から、値下げをしなくても買い手を見つけられるようになると期待できるわけです。
実際に、ホームステージングの実施タイミングとしては、以下のデータのように、「価格を下げる前の最後の手段として」実施しているという回答が第一位になっています。
■ホームステージングの実施タイミング
引用:ホームステージング白書2024年
上のグラフから分かるように、ホームステージングは早期売却や高値での売却を目指して売りに出す前に実施するケースも多いです。さらに、売りに出してもなかなか良い反応が得られないというケースや買い手が見つからずに値下げの必要性を感じたというケースでは、最終手段としてホームステージングが実施されているのです。
これからも分かるように、不動産のプロである不動産会社は、家の売買においてはホームステージングが非常に有効であるという認識をしていると言えます。
まとめ
今回は、家の売却において、売却価格の値下げを検討すべきタイミングや値下げを実行することで得られるメリットなどについて解説しました。記事内でご紹介したように、値下げのタイミングとしては、「売買契約に繋がる値引き交渉をされた時」「売りに出しても長期間売れ残った時」「できるだけ早く売りたいと考えている時」などが適していると言え、戦略的に値下げを実行すれば、スムーズな売却に役立つと期待できます。
ただ、「値下げすれば売れるはず!」と考え、やみくもに値下げするという行為は、逆効果に働いてしまう恐れもあるので、その点は注意しましょう。家の売却に悩んで、値下げを検討した時には、ひとまず以下のような部分について慎重に確認してみましょう。
- 売れない理由が本当に「価格」にあるのか?
- 周辺の相場価格とズレていないか?
上記の部分について確認して、売れない理由が「価格」にあると判断できるのであれば値下げの実行を検討すべきですが、「そうでもないのか?」と考えられる場合、ホームステージングなど「物件そのものの価値を高める」という方向の対策を検討してみるべきです。ホームステージングの実施は、未実施の物件と比較して、売却期間の短縮や売却価格がアップするという調査データも出揃ってきているので、値下げを実施する前に試してみるのがおすすめです。