2025.12.03

家の早期売却を目指すなら荷物の片付けが重要!処分にかかる費用や片付けの方法を紹介

今回は、家の売却をスムーズに進めたいと考えている方に向け、事前に考えておかないと後々困った問題に発展するかもしれない家財の片付けについて解説していきます。

家を売却する際には、家の中にある物について、その取扱いを事前に決めておく必要があります。なぜなら、家具や家電、日用品などの家財・荷物については、基本的にその全てを綺麗に片付けてある状態で購入者に引き渡ししなければならないからです。もちろん、購入者側が残しておいてほしいと希望する物に関しては、そのままの状態で引き渡しすることができるのですが、基本的には引渡し前に売主側が荷物を運び出し、空室状態にしてから購入者に明け渡すのが一般的です。

そして、この際に問題となるのが、売主側にとっても不要と感じる物品の処分についてです。一部の家具・家電については住み替え先に持っていくことになると思いますが、長年使用した家財の中には引っ越しを機に買い替えを検討しているというものもあるはずです。そのため、家の売却時に必要なくなった家具や家電の処分方法や処分のタイミングに悩んでしまう人が少なくないのです。

そこでこの記事では、家の売却が決まり、いざ引き渡しの際に困らなくても良いよう、不要となった家財の処分方法や処分のタイミング、費用などについて解説します。

家の売却時に荷物を片付けるタイミングとは?

家の売却を考えた時には、いずれ必ず家の中にある荷物を片付けなければならない時が来ます。家の購入者は、あくまでも「住まい」を購入しているわけで、生活に使用する家具や家電は、自分たちのライフスタイルや好みに合わせて用意したいと考えています。そのため、前入居者が使用していた荷物が残されたままの状態で引き渡しされると、不用品として処分するための手間や費用が余計にかかってしまうことになるのです。

したがって、家の売却を考えた時には、同時に家の中にある荷物を片付けるタイミングや方法について検討しなければならないと考えてください。ここではまず、家の売却時に荷物の処分や片付けを実施する一般的なタイミングについて解説します。

仲介を依頼する不動産会社と契約した後

家の売却方法については、不動産会社に購入者を探してもらう『仲介』と呼ばれる方法と、不動産会社に物件を直接買い取ってもらう『不動産買取』という2つの方法があります。不動産買取の場合、売却価格が市場相場よりも下がるものの、建物の修繕や清掃、不要な荷物の処分なども買取業者に行ってもらうことができます。しかし、高値での売却を検討している際には、仲介と呼ばれる方法を選択する必要があるのですが、こちらの販売方法の場合は、売主が荷物の処分や片付けを実施しなければいけません。

家を売却する時の流れは、いくつかの不動産会社に査定を依頼し、信頼できると思った不動産会社と契約を結びます。仲介を依頼された不動産会社は、購入希望者を募る目的で、売却予定の家をweb広告やチラシに掲載し、宣伝を行います。その後、購入を検討してくれる方が現れたら、内覧を実施してもらい、両者が価格に納得できれば売買契約を結ぶという流れになるのです。

ここまでの解説である程度予想できた方も多いと思いますが、家の中の片付けや掃除、不用品の処分に関しては、物件の印象を高めるために広告に掲載する写真を撮影する、購入希望者がいつ内覧に来ても良いように準備をするという目的で、事前に済ませておく必要があるのです。

例えば、購入希望者が内覧に訪れた時、家の中に不要な家具や家電が設置されたままであると、実際の広さが確認することができなくなり、部屋が狭く見えてしまう可能性があります。また、掃除を怠り、日用品などの荷物が家の中に散らかっていると、「掃除が行き届いていないということは、家のメンテナンスも怠っているのではないか…」など、家の状態に関して不信感を与えてしまうリスクまで生じるのです。

したがって、広告を見た人や内覧に来た人に良い印象を与えるためにも、家の売却を依頼する不動産会社と契約した時点で、家の中の掃除や整理整頓と言った片付けを始めるのが良いとされています。ちなみに、詳しくは後述しますが、近年の家の売却では、ホームステージングによる販売促進が注目されています。そして、このホームステージングは、購入希望者の印象が最も良くなるような環境を作るための対策全般を実施してもらうことができ、家の中の片付けや不用品の処分、荷物の一時預かりなども実施してもらうことができるのです。したがって、不動産会社と契約する際には、「ホームステージングを実施してもらえるのか?」も確認してみると良いです。

引き渡しの前

二つ目のタイミングに関しては、家の購入者が決定した後で「引渡しまでに実施する」となります。

中古住宅の売却については、住み替え先を先に決めるという「買い先行」よりも、物件の売却が決まってから住み替え先を決める「売り先行」と呼ばれる方法が選択されるケースが多いです。この場合、家の売却は「住みながら」の状態で進めることになるため、購入者が決定した後に、日常生活に使用していた家財の移動や処分が必要になるのです。

家の引き渡し時期に関しては、購入者と話し合いのうえで決めることになるため、家財の処分に係る時間なども考慮して時期を決定すると良いでしょう。そして、話し合いで決めた引き渡し日までに、家の中にある荷物を移動もしくは処分し、物件内の物を全て片付けて何もない状態にしなければいけません。冒頭でご紹介したように、家の売却を考えた時には、いずれ家の中を空っぽにしなければならない時が必ず来るので、引き渡しの直前に慌てなくて済むよう、家財の移動や処分についても計画的に進めておくのがおすすめです。

なお、家を売却するためにホームステージングを実施していた場合、引き渡し直前の荷物の片付け作業も楽になる可能性があります。ホームステージング業者の中には、物件をコーディネートするため、もともと使っていた家財を全て持ち出し、レンタル家具に置き換えるといった対策を実施する会社も多いです。この場合、不要な家財はホームステージングの際に処分してもらうことができますし、住み替え先に持っていきたい家財は一時的に預かってもらい、引っ越し時に送ってもらうといった対処が可能になります。つまり、家の売却が決定した後は、ホームステージングに使用した家具などを撤去すれば済むだけになるので、売主さんの手間は大幅に少なくなるのです。もちろん、ホームステージングの実施にはコストがかかるため、どこまでのサービスを依頼するのかは、慎重に検討する必要があります。

荷物の処分方法と費用について

上述しているように、家の売却を決めた時には、いずれ必ず荷物の片付けや不用品として処分しなければならない時がやってきます。一部の荷物については、購入者側が置いておいてほしいと要望することがあるかもしれませんが、全ての荷物を置いたままでOKという判断は、仲介で家を売る場合は絶対にないと言い切れるでしょう。

ただ、家の売却時に処分しなければならない荷物の中には、処分に困ってしまうような大きな物もあります。また、処分しなくても売ることでお金に変えられるかもしれない物もあるため、どのような方法で処分すべきかは慎重に検討すべきなのです。

そこでここでは、家の売却時に必要になる家財の片付け・処分について、どのような方法があるのか、また処分にどの程度の費用がかかるのかについて簡単にご紹介します。

①不用品として処分する方法

まずは、住み替え先に持っていく予定がない、また買取に出しても拒否される可能性が高い荷物の処分についてです。この場合は、不用品として処分しなければならないのですが、処分するにしても以下のようにいくつかの方法が存在します。

  • 自治体のゴミ収集サービスを利用する
    一つ目の方法は、自治体の粗大ごみ回収に出すという方法です。一般ごみではなく、粗大ゴミの回収は手数料がかかってしまいますが、比較的安価に大きな荷物の処分が可能です。ただ、自治体の粗大ごみ回収は、事前予約が必要になるうえ、指定された収集場所までは自分で運ばなければいけません。そのため、大型の家具や家電になると、処分にかなりの人手と手間がかかります。また、回収可能な物品に関しては、自治体ごとにルールが設けられているため、事前に確認しておかないと回収してもらえない可能性があるので、その点も注意しましょう。
  • 不用品回収業者に相談する
    大型の家具や家電を確実に処分するには、不用品回収業者を利用するという方法があります。不用品の量によって、運搬車両や作業員を業者側が用意してくれるため、荷物を運ぶ手間もなく一気に荷物の処分が完了します。ただ、処分にかかるコストは高くなるのでその点は注意しましょう。不用品の処分費用は、業者によって変わるため、利用前に複数の業者に見積りしてもらうことで、料金相場を把握しておきましょう。また、ゴミとして回収してもらう訳ですし、一般廃棄物収集運搬の許可を得ている業者に依頼しなければいけません。許可を得ていない業者の場合、回収した物品を不法投棄される恐れなどがあります。

家の売却時に処分方法に困る大型の家具や家電は、上記のような方法で処分すると良いです。一昔前までであれば、引っ越し業者が不用品の回収も行ってくれていたのですが、最近では不用品回収を断る引っ越し業者の方が多くなっているようです。これは、ゴミ回収に係わる許認可は、自治体ごとに取得しなければならないため、不用品回収をサービスとして実施するにはコストがかかりすぎると判断されるようになったからと言われています。

ちなみに、ホームステージング業者に不用品の処分を実施してもらう場合、協力業者の不用品回収会社を紹介してくれるといったパターンが多いです。

処分するのではなく「売る」

家の売却に係わる荷物の処分については、廃棄する以外にも「売る」という方法で片付けていくことも可能です。現在では、どのような製品でも中古市場が確立されているため、よほど状態が悪いといった物品以外は売却できる可能性があるのです。なお、不要になった荷物を売却する方法にも、以下のようにいくつかの方法があります。

  • リサイクルショップなどに買い取ってもらう
    最もわかりやすい方法は、リサイクルショップなどの買取業者に相談するという方法です。最近では、出張買取なども実施してくれるようになっているため、家の売却を決めた後、買取査定を相談してみると良いです。買取業者が提示した金額に納得できれば、そのまま買取してもらうだけで、不用品をお金に変えることができます。大型の荷物でも、搬出・運搬は、買取業者側が担ってくれるため、手間なく不要な荷物の片付け・処分が完了します。なお、荷物の買取に関しては、不用品の種類に合わせてそれぞれの専門業者に相談するのがおすすめです。特に、骨とう品やアクセサリー、ブランド家具などに関しては、専門業者に依頼しなければ買取価格が大幅に下がってしまいます。
  • 自分で売る
    オークションサイトやフリマアプリを活用すれば、自分で荷物を売却することも可能です。最近では、個人間取引が当たり前に受け入れられるようになっているため、状態が良くまだ需要がありそうな家具や家電は、高値で売却できる可能性があります。ただ、自分で売るという方法は、「確実に売れるとは限らない」ので、売れなかった時のことも想定しておかなければいけません。引き渡しまでに、物件内を空っぽにしないといけないので、のんびりと買い手を探すわけにはいきません。また、商品の掲載や配送の手配など、売却のためにそれなりの手間がかかるので、その点も注意しましょう。

不用品の中には、まだ価値があるものも多いので、そういった物品に関しては「売る」ことによる処分も検討しましょう。ただ、リサイクルショップなどは「転売」を目的に荷物の買取を実施しているため、全ての荷物を確実に買い取ってもらえるわけではありません。状態や需要によっては、買取拒否となり、他の処分方法を検討しなければならない場合もあるので、その点は注意が必要です。

なお、「処分費がかからなければそれで良い」という方の場合、ご近所の方に「無料で引き取ってもらう」という方法も検討すると良いでしょう。自分でご近所さんに声をかける以外にも、「ジモティ」など、不用品を引き取ってもらえる方を募る方法があります。どのような品物でも、「無料ならほしい」と考える人は一定数いるので、処分費をかけたくないと考える人は、こういったサービスを活用して引き取り手を探すのも良いかもしれません。

住み替え先に持っていく荷物は「保管」

家の中にある荷物の中には、住み替え先に持って行って使いたいと考えるモノも多いです。しかし、家の売却をスムーズに進めたいと考えるなら、普段使用しない荷物はできる限り無くして、スッキリと整理整頓がなされた状態にするのが望ましいのです。住みながら家を売却する場合、日常生活に必要になる家具・家電のみを残して、不要と考えるモノは内覧者の目に入らない場所に片付けておくのが推奨されています。これは、家の中に荷物が多いと、どうしても部屋が狭く見えてしまうからです。

とはいえ、家の収納力は限られていますし、収納スペースの中を確認してもらうことを考えると、「片付けておくスペースが足りない…」と困ってしまう方も多いのです。この場合は、以下のような方法で、荷物を一時的に保管してもらうのが良いでしょう。

  • トランクルームを借りる
    トランクルームは、荷物を保管するためのスペースをレンタルできるサービスです。精密家電なども安全に保管できるような、空調設備が整った屋内型の施設もありますし、安価に借りられるコンテナのような施設もあります。したがって、保管品の種類やサイズによって適切なスペースを借りると良いです。なお、荷物の移動は自分たちで行う必要があるので、その部分に人手や手間がかかる点は注意しましょう。
  • 引っ越し会社に預かってもらう
    引越し会社の中には、一時的に荷物を預かってくれるサービスを展開している業者もあります。したがって、住み替え先への引っ越し業者を先に決め、内覧時に不要と考えられる荷物だけを先に持ち出してもらい、保管しておいてもらうという対応も可能です。これであれば、1社の引っ越し会社で、引き取り・保管・配送が済みますし、売却に手間取って住み替えタイミングがずれた場合でも、安全に荷物を保管してもらうことができます。ただ、荷物の一時預かりに関してのルールは、引っ越し会社ごとに異なるので、求めている内容のサービスになっているのかは慎重に確認しなければいけません。
  • ホームステージング会社に預かってもらう
    ホームステージングの実施を依頼する場合、内覧時の印象を良くするため、既存家具を状態の良いレンタル家具に入れ替えるといった対応がなされます。そしてこの際には、搬出した荷物の内、住み替え先に持っていきたい荷物を一時的に預かってもらうことができる業者もあるのです。これであれば、家の売却をスムーズに進めるための対策と不用品の処分、荷物の一時預かりをまとめて依頼することができます。ホームステージング会社の中には、荷物の預かりや不用品の回収に対応していない業者もあるので、その辺りは問い合わせの段階で確認しておきましょう。

内覧時には片付けておきたいけど、住み替え先では使いたい荷物も多いはずです。そのような荷物は、上記のような方法で一時的に保管しておきましょう。ちなみに、どの方法を選んだとしても、保管のための費用は掛かります。

荷物の片付けや処分にかかる費用について

家の売却に際する荷物の片付け、処分にかかる費用については、どのような方法を採用するのかによって変わります。ただ、一般的には自分で片付け・処分を実施する場合で1~3万円程度、専門業者に依頼するケースで10~50万円程度と言われています。もちろん、荷物の処分にかかる費用は、家の間取りや荷物の量によって大きく変動するので、詳しくは見積りをとってみないと分かりません。ここでは、不要な荷物の処分に関して、大まかな費用をご紹介します。

  • 自分で処分する場合
    自治体の粗大ごみ回収サービスを利用して荷物を処分する方法です。手間や時間がかかる方法ですが、荷物の処分にかかる費用はおさえられます。費用は、荷物の量によって変わりますが、1点当たり千円前後で処分できるのが一般的なので、1~3万円程度が相場と言われています。なお、オークションサイトやフリマアプリなどを利用すれば、処分費用をさらにおさえることが可能です。
  • 不用品回収業者に依頼する
    専門業者である不用品回収業者に依頼する方法は、間取りや不用品の量、作業場所の条件などによって費用が変わります。一般的に、3LDKや4LDKなど、戸建て住宅での不用品回収は20~50万円程度かかるとされています。ただ、不用品回収業者の中には、「積み放題プラン」や「買取りサービス」を実施している業者があり、そういった特殊なプランを採用すれば費用をおさえることが可能になります。例えば、不用品の一部については、買取り対応にしてもらうことで、処分費の一部が相殺されるといった仕組みも用意されています。

上記の通り、荷物の処分にはそれなりの費用がかかってしまいます。もちろん、荷物の量によって費用感は大幅に変わるので、事前に複数の業者から見積もりをとり、比較検討することが大切です。

家具を処分せずに家を売る方法は有る?

ここまでは、家の売却において弊害となってしまう可能性がある不用品の処分方法について解説してきました。家の売却時には、不要となった家具や荷物の片付けや処分に悩まされるケースが少なくないのです。

ただ、状況によっては、売主側が不要と考える荷物を残したままの状態で家の売却を進められるケースもあります。購入希望者との話し合いが必要になるものの、以下のような売却手法を採用すれば、不用品の処分にかかる費用を削減できる可能性があるので、検討してみても良いかもしれません。

家財付き物件として売却する

一つ目の方法は、売り出す物件について、家具や家電など、家財付き物件として売りに出すという方法です。この場合、建物だけでなく、物件内にある荷物をまとめて売却することができるようになるため、物件内の整理整頓は必要になるものの、不用品の処分にかかる手間や費用が省けるのです。

分かりやすく言うと、家具・家電付き賃貸の売り物件版と考えていただければ良いかと思います。日本の不動産売買では、家具などは付けずに物件単体で販売するのが一般的なのですが、欧米などでは、中古住宅を購入する際は、家電や家具がセットで付いてくることが一般的とされています。したがって、これに習って、今まで使用していた家具や家電について、まだ状態の良いものに関しては残したままの状態で売りに出すことで、購入希望者が現れた場合は家具を残したまま買主に引き渡すことができるようになるのです。ちなみに、この場合は不動産広告に「家財道具付き」と記載して売りに出す必要があります。

注意点としては、日本の住宅市場においては「家財道具付き」物件が一般的ではない点です。多くの購入希望者は、家具や家電と言った家財については、自分たちの好みに合わせて買い揃えたいと考えているため、家具などの荷物を残したままの状態だと、なかなか買い手が現れないことに悩まされる可能性があります。

一部の荷物を付帯設備として残す

給湯器など、もともと住宅に設置されていて、取り外しが難しい設備などに関しては、「付帯設備」などと呼ばれていて、残しておくのが一般的です。

しかし、照明やエアコンなど、取り外しが可能な設備の中にも、買主側が「残しておいてほしい」と考えるような設備もあるのです。したがって、内覧の際に、買主との話し合いを行い、買主側が希望する設備に関しては「付帯設備」として残しておくという対応が可能になります。この場合、処分しなければならない荷物が少なくなるため、処分の手間や費用を抑えることができるようになります。

なお、付帯設備として残すものに関しては、不動産会社に「付帯設備表」を作成してもらいましょう。また、エアコンなどに関しては、保証の範囲などについても明確に取り決めておかないと、後々買主とのトラブルに発展する可能性があるので、保証の範囲を明確にして付帯設備表の中に記載しておきましょう。

ホームステージングであれば、整理整頓や不用品の処分もまとめて完了する

ここまでの解説で分かるように、家の売却ではそれまで使用していた家具や家電、日用品などの荷物の取り扱いに困るケースが意外に少なくないのです。特に、日本の中古住宅市場では、住みながら家の売却活動を進めていくケースが6割を超えているというデータがありますし、家の中に荷物が溢れかえってしまうことで内覧時の印象が悪くなり、希望する価格で家が売れない…と悩んでしまうケースが多くなっているのです。

実は、このようなお悩みを抱えている方に非常におすすめできる販促手法が、ホームステージングです。ホームステージングは、空室状態の物件内に、デザイン性の高い家具や家電、照明などを設置することで、新築のモデルルームのような空間を作り出し、内覧者に「ここに住んでみたい!」と思わせる方法と解説されることが多いです。そのため、「荷物の片付けや処分に関しては、売主が事前に実行しなくてはいけないのでは?」と考える方が多いのですが、そうではないのです。

実は、ホームステージングというのは、不動産の売却や賃貸において、「早期の成約」や「高値での成約」を後押しすることが目的の対策で、単に家具や家電で空間を装飾することがサービス内容となっているわけではないのです。家の売却を考えた時には、物件内が綺麗に清掃されている、物が整理整頓されているということも重要なポイントになるため、これらの内容についてもきちんと対策を実施してもらうことができるのです。実際に、日本ホームステージング協会が公表している「ホームステージングガイドライン」では、「どのような対策がホームステージングの領域に含まれるのか?」について以下のように規定しているのです。

  • ①整理収納(片付け、快適収納比率)
  • ②断捨離(不要家財の区分・分別)
  • ③遺品整理(遺品や相続に関する知識とサポート)
  • ④掃除(汚れの分析と対処方、洗剤・用具の基礎知識、消臭・除菌)
  • ⑤生前整理(顧客心理、コミュニケーション)
  • ⑥廃棄と保管およびリサイクル(ホームステージングに関する法的な知識)
  • ⑦インテリア(空間プランニング、テーブルコーディネート、アロマの知識、快適空間比率)
  • ⑧インテリア写真の撮影及び画像(2D、3D、VR)
  • ⑨エクステリア(ガーデニング)

上記の通り、日本国内におけるホームステージングは、家具などの設置による空間コーディネートだけでなく、物件内の片付けや掃除、不要家財の区分、処分などの断捨離なども含まれているのです。実際に、2024年に実施されたホームステージングでは、家具やインテリアで空間を装飾する空室ホームステージング以外にも、物件内を綺麗にするためのハウスクリーニングや不用品の回収などが多く実施されているのです。

引用:ホームステージング白書2024年

上のグラフの通り、家具などを設置する空室ホームステージング以外にも、物件内を綺麗にする清掃や整理整頓、不用品の回収などが実施されているケースが少なくないのです。それぞれの作業を別々の業者に依頼する場合、手間やコストがどうしてもかかってしまうことになります。ホームステージング会社であれば、すべてをまとめて依頼することができるようになるため、打ち合わせの手間なども少なくなり、さらにコストもおさえることができるのです。

注意点としては、ホームステージング会社でも、対応可能なサービスについてはそれぞれ異なるという点です。中には、不用品の回収や荷物の一時預かりなどに対応してもらえないケースもあるので、問合せ時にどこまでの内容に対応可能かは確認しておく必要があります。

関連:ホームステージングの領域について!日本特有の問題を解決するために進化している

まとめ

今回は、家の売却をスムーズに進めるための重要なポイントとなる「荷物の片付け」について解説しました。記事内でご紹介した通り、家の売却を決めた時には、いずれ必ず荷物の片付けや不要家財の処分をしなければならない時がやってくると考えておく必要があります。家の購入者は、あくまでも土地と建物を購入しているわけで、物件内にある不用品に関しては、家の売買とは全く関係がないのです。

物件内にある荷物の片付けについては、「引渡しまでに実施すれば良い!」と考えている方も多いです。しかし、物件広告に掲載する写真の撮影や内覧対応のことを考えると、本来であれば売却活動を始める前に、物件内の整理整頓と不用品の処分は済ませておくことが望ましいです。人は、床面が見えている場所の多さにより部屋の広さを判断しているとも言われているため、内覧時に片付けや整理整頓が終わっていない場合、部屋が狭いと感じられてしまい、購入を見送られてしまう可能性があるのです。したがって、家の売却をスムーズに進めたいと考えるのであれば、「成約後にすれば良い」と考えるのではなく、売却活動の最初の行動として行うべきと考えるようにしましょう。

なお、荷物の片付けや不用品の処分、住み替え先に持っている家財の保管などについては、かなりの手間とコストがかかってしまいます。したがって、売却活動に集中するためにも、ホームステージング業者にその辺りの作業も実施してもらうようにするのがおすすめです。ホームステージングは、家の売却に係わるさまざまな作業をまとめて依頼することができるため、売却活動時の手間を大幅に削減することが期待出来ます。