2026.04.18

家の売却で値引き交渉をされた!こんな時の妥協点の見つけ方

家を売却しようと考え、スムーズに買主を見つけようと考えた時には、「値引き交渉を受けた時にどんな対応をするのか?」について、事前に考えておくことが大切です。

大切なマイホームの売却をするわけなので、売主側の意見としては「値引きなんてとんでもない!」と否定的な気持ちになってしまうことでしょう。また、今の時代、日常生活において買い物をするときに値引きの相談をするという機会が大幅に減っているということもあり、そもそも家の売買において「買主から値引き交渉をされるような状況は本当にあるのだろうか?」といった疑問を持っている方も多いかもしれません。

これについては、大きなお金が動く取り引きとなる家の売買では、値引き交渉をされる可能性がかなり高いと思っておいた方が良いです。希望価格で売却できることに越したことはないのですが、現実はそう甘くはないのです。家の売却を考えている売主側は「できるだけ高く売りたい」と考えていますが、中古住宅の購入を考えている人は「家を安く買いたい」という希望を持っているため、売却価格の面においては最初からミスマッチのある交渉となるのです。家の購入に際限なく予算がかけられるという人なら、新築の注文住宅を購入するという選択をする可能性が高いですし、わざわざ中古住宅を選んでいるということは「安さ」にメリットを感じている方が多いと考えられるのです。

それでは、購入希望者との交渉をスムーズに進めるためには、どのような姿勢で値引き交渉に挑めば良いのでしょうか?あまりに強気な姿勢でいると、買い手側の購買意欲が下がってしまい、他の物件の購入に動いてしまう可能性が高くなりますし、交渉の際のさじ加減はなかなか難しいものです。そこでこの記事では、家の売却において、値引き交渉を受けた時、妥協点の見つけ方について解説します。また、記事内では、値引き交渉を受けることなく、高値での売却を目指すために採用されているホームステージングについても簡単にご紹介します。

家を売りに出すなら「値引き交渉」は最初から想定しておくべき

冒頭でご紹介した通り、中古住宅の売買においては、購入希望者から値引き交渉を受けるのが「当然」のことと想定しておいた方が良いです。家の価格は、その他の物の価格とは比較にならないほど高額なので、新築の建売住宅の売買においても、値引き交渉が当たり前に行われているのです。

それでは、家を売りに出した時、値引き交渉はどのようにスタートするものなのでしょうか?これについては、購入希望者が内覧を実施し、その家を購入しようと思った場合、仲介の不動産会社を通じて「買付証明書」が届けられる時点で開始されると思っておきましょう。内覧の対応をしているとき、いきなり「200万円下げてくれるなら買います!」など、雑な交渉をかけてくるような人もいるようですが、基本的には購入希望者から「この金額なら買います」という情報が書面にて届けられるといった感じです。

買付証明書は、買主側が「購入の意思」を示すために作成する書類で、購入申込書という名称で提示されることもあります。そして、この書類の中には、購入希望者の個人情報や物件の詳細などが記載され、その情報以外にも希望購入価格が記入されることになります。この希望購入価格が、買主側が「この金額なら購入しても良い」と考えている金額となるのですが、ほとんどのケースで売り出し価格(希望売却額)を下回る金額が記載されることになるのです。

つまり、買付証明書が届けられた時点が、値引き交渉のスタート地点になると考えても良いです。売主側は、ここから顧客の値引き依頼に対してどのような回答をするのかを考える必要があります。値引きについて全く想定していなかった場合には、「こんな交渉にはのれない!」と突っぱねたい気持ちになりますが、上でも紹介しているように、家の売買では値引き交渉が当たり前に行われるため、あまりに強気な態度は家の売却を難しくしてしまうのです。

したがって、家を売りに出す際には、以下のような事をあらかじめ検討しておくことが大切です。

売り出し価格に「端数」を上乗せしておく

現在の中古住宅市場では、戸建てでもマンションなどの集合住宅でも、売買交渉の際に値引きをして最終的に契約するという流れが一般的とされています。つまり、不動産ポータルサイトに掲載する、売り出し価格(希望売却額)がそのままで契約できるということは、まずないと考えておいた方が良いのです。

そのため、家を売りに出す側が行う対策としては、理想とする売却価格に端数を上乗せした状態の売り出し価格を設定し、物件広告を出すという方法が頻繁に用いられるようになっています。例えば、3000万円など、きりの良い数字を付けるのではなく、80万円や90万円などといった端数が生じるようにして家を売りに出すという形になります。

皆さんも、普段の買い物の中で端数のないきりの良い数字よりも「1980円」や「2980円」と言った端数のある価格を見かける機会の方が多いと思います。実は、商取引においてはよく利用される方法なのですが、これには以下の2つの効果が期待できるとされているのです。

  • 買い手側に安いという印象を与える
    一つ目は、購入者側に「安い」という印象を与えられるというメリットです。例えば、3000万円と2980万円では、実際には20万円の差額しかないのに、後者の価格は「大台の数字に乗っていない」ということから、購入者の心理としてはずいぶんと安く感じられるとされているのです。
  • 「値引きの余地」を作れる
    希望価格に端数をのせておけば、値引き交渉を受けた際、その端数を値引きするという行為が容易になります。売主側にとっては、「値引きした」という状況が作れるため、購入希望者に寄り添っているという印象を与えられる可能性が出てきます。先程から紹介しているように、家の売買においては、値引きは当然のように行われるものなので、あらかじめ値引き可能な余地を残しておくことで、無理な交渉を防ぎやすくなるという効果が期待できるのです。ちなみに、「端数を値引きの余地としてのせておく」という手法については、さまざまな場面に広く使用されているため「端数を切るのは当然」と考えている買主も多いです。その場合、値引きによる効果が思ったよりも発揮できない可能性があります。

売却希望額に端数をのせておくという手法は、上記のような効果が期待でき、売買交渉をスムーズに進められるようになる可能性があります。値引きの余地を作らず交渉をする際には、「購入希望者の要望を受け入れる=売主の収益が減る」という意味になるため、値引きに強い抵抗感を感じて交渉がうまく進みにくくなる可能性があるのです。したがって、家の売却においては、「値引き交渉は必ず受ける物」と想定し、最初から端数をのせておくという手法を採用する場合が多いです。

なお、不動産の売買においては、きりの良い数字ではなく端数をのせるという行為は、購入希望者の行動を予測したうえでも有効です。現在では、ほとんどの方が不動産ポータルサイトを使って物件探しをするようになっています。そしてその際には、希望する物件価格で情報を絞り込むのですが、多くのサイトは「2000~3000万円」「3000万円~」など、きりの良い数字が絞り込みの条件に使われています。つまり、大台の数字に設定すると、購入希望者の候補から外れてしまう可能性が出てくるのです。その逆に、端数にしておけば、本来は予算オーバーだとしても購入候補の中に入ることができ、売却のチャンスが残るという訳です。

値引き交渉のタイプをおさえておく

家の売買において、値引き交渉を持ちかけてくる購入希望者にもいくつかのタイプがあります。値引き交渉を受ける必要があるかを検討する場合にも、相手側がなぜ値引きを依頼してきているのかを知っておく必要があるでしょう。

ここでは、値引き交渉をしてくる人の主なタイプをご紹介します。

  • 値引き交渉は当たり前と考えている人
    一つ目は、家の売買においては「値引きしてもらうのが当たり前」と考えているタイプです。家だけでなく、自動車なども同じなのですが、一定以上の価格帯の買い物を進める場合、「値引き交渉は受けてもらえる」という意識を持っている方は多いです。このような方の場合、売り出し価格のままで購入すると、自分が損をしているような感覚を持っているため、値引きをしてもらえない物件の購入は強い抵抗感を持っています。こういったタイプの方も売却対象とするには、売り出し価格を決める際に値引きの余地を残しておかないと、売主側が損をする可能性が高いです。
  • 予算の関係で値引きが必要な人
    もう一つは、家を購入するための予算上限が決まっているという方です。このタイプの方は、捻出できる金額の上限があるため、それ以上の物件になると諦めざるを得なくなります。住宅ローンと自己資金を合わせても2500万円が限界という方に対し、「2800万円以下にはできない!」と交渉をしても意味がありません。このような強気な態度で値引きを渋ると、「買えないなら交渉しても意味がないな」と早々に諦めて他の物件に購入候補が移ってしまうことでしょう。家の売却においては、相手側の事情などもきちんと考慮して慎重に交渉を進めなければならないと考えてください。

上記のように、購入希望者が値引きの要望を出してくるというケースでも、その理由はさまざまです。前者の理由であれば「値引きしてもらえた」という事実があればスムーズに交渉が進む可能性がありますが、後者の理由の場合、相手側の希望額まで下げなければ交渉がまとまることはありません。もちろん、相手側の希望額が、売主にとって納得できるような金額でなければ、交渉する意味もあまりないと言えます。

したがって、家の売却における値引き交渉については、相手側がどのような理由で値引きを希望しているのか、不動産会社の担当者に正確に情報を入手してもらい、その情報を踏まえて交渉することが大切と考えてください。

値引き交渉を受けた時の対応について

ここまでの解説で、家を売却する過程のことを考えると、購入希望者から値引き交渉を受ける可能性が高いということを想定しておかなければならないと分かっていただけたと思います。

それでは、購入希望者から買付証明書が届けられた際、そこに記載された希望金額が売り出し価格よりも安い金額が提示されていた時にはどのような対処をすれば良いのでしょうか?中には、とても妥協できるとは思えないような値引きを要求されるケースもあるので、値引きを受けた際の対応については、あらかじめ検討しておく必要があります。

ここでは、値引き交渉を受けた時の対応について、売主側の主な行動をご紹介します。

①売却活動中の状況に合わせて対応を決める

値引き交渉をされた時、購入希望者側が提示してきた希望金額で「妥協するかどうか?」を判断するための一つのポイントになるのが、その時点での販売活動の状況です。

例えば、家を売りに出し、多くの問い合わせや内覧希望が不動産会社に入っていたり、内覧の日程調整をしなければ対応が難しいと思えるほどの反響がある場合、強気の交渉に打って出ても構わないでしょう。物件に興味を持ってくれている方がたくさんいるという状況なら、無理な値引きを急いでしなくても、良い条件で売却することが可能になるかもしれません。

一方、家を売りに出してから、数カ月経過しているのに、物件に対する問い合わせや内覧予約が思うように入って来ないという状況であれば、買主側の値引き交渉に積極的にのる必要があるでしょう。一般的に、不動産会社との仲介契約期間となる3ヶ月以上経過しても売却できないような物件は、契約更新の段階で売り出し価格を大幅に下げることを提案される可能性があります。この場合、買付証明書に記載された希望金額よりも下げた状態で売りに出す必要が出てくる可能性が十分に想定できるので、購入の意思を示してくれた方がいるのであれば、金額はある程度妥協したほうが良いと判断できるのです。

もちろん、3000万円で売りに出している物件に対し、2000万円で買付証明書が届けられたなど、常識外の値引きの要求は突っぱねる必要がありますが、妥協できるレベルの値下げ交渉なら、テーブルにのってお互いが納得できる金額を目指す方が良いです。

②本筋から外れた交渉はのる必要がない

中古住宅の売買における値引き交渉では、買主側の事情ばかりを優先した理由で値引き交渉をかけてくる人がいます。例えば、以下のような理由です。

  • クロスを補修するから、その施工にかかる費用を値引きしてほしい
  • 収納棚を増やしたいから、工事費分を値引きしてほしい
  • 設備を交換したい

値引き交渉を受けた時には、交渉に入る前に相手側がどのような理由で値引きを求めているのかを確認する必要があります。そして、上記のような相手方の事情による値引き交渉と分かった場合は、その交渉に応じる必要は全くありません。

なぜなら、物件の売り出し価格については、目に見える不備を含めたうえで、不動産の専門家と一緒に決定しています。つまり、クロスの補修などを含めたうえで、正しい市場価格で売りに出しているわけなので、相手方の事情だけを考慮した交渉は次元が違う話になってしまうのです。また、「補修にかかる費用を前提に値引きを受ける」という対応を一度見せると、その他の部分の劣化を指摘されて、さらなる値引きを迫られる可能性も出てきてしまいます。

したがって、このような相手方の事情による値引きに関しては、その理由に対して値引きをするという対応は取らない方が良いと考えましょう。

③相手側には購入の意思があることを忘れない

物件を内覧した人が、売り出し価格よりも低い金額だとは言え、買付証明書を届けてきたということは、「購入したいという意思」があるということを意味します。

家の売却を考えている方であれば、「できるだけ高く売りたい」という希望と同じく「早く買い手を見つけたい」という要望を持っているはずです。したがって、この際には、「相手側は購入の意思がある」ということを前提として、丁寧に交渉を進める必要があるのです。

例えば、売り出し価格を3380万円に設定している物件に対し、3000万円の買付証明書が届けられた場合を考えてみましょう。この場合、売主の希望価格は3300万円で、値引きを想定して80万円を上乗せしているという状況です。つまり、3000万円という売却額は、380万円もの値引きとなるわけで、売主のとっては非常に大きな金額となってしまいます。この場合の交渉では、380万円という値引き額の真ん中をとり、3190万円で妥協するという方法が考えられます。しかし、このケースでは、売主にとっては110万円という大きな金額の値引きとなってしまうので、抵抗感を持つという方も多いです。その場合、強気の交渉に出るのであれば、あらかじめ「値引きの余地」として上乗せした80万円にプラスして70万円の値引きを提示するという方法が考えられるでしょう。この場合、購入希望者にとっても、合計すると150万円という値引きを勝ち取れるわけなので、大きな収穫と感じてもらえる可能性があるでしょう。

売主側にとっても、買付証明書に記載した金額で、売主がそのまま納得してくれるとは考えていません。買付証明書に記載する金額は、「ダメでもともと」という考えに基づいて金額提示を行っているケースが多いため、売主側が最大限まで歩み寄ったという状況を作れば、相手側も納得してその金額で妥協してくれる可能性が高くなるのです。

④交渉に時間をかける価値がある人が見極める

家の売却における値引き交渉については、「どの金額で妥協するのか?」以前に、「金額交渉をする価値のある人か?」を見極める必要があります。

というのも、購入希望者と金額交渉をして妥協点を見つけたとしても、最終的に住宅ローンの本審査に通過できなかったのであれば、売却活動が振り出しに戻されてしまうのです。この場合、価格交渉にそれなりに時間をかけ、住宅ローンの審査にも時間がかかるため、一般的に1~2カ月程度の期間を要します。そしてその結果として、「ローン審査が通らないから買ってもらえなかった…」となると、無駄な交渉に時間をかけるだけに終わってしまうのです。

家の価値は、築年数が大きく影響するため、中古住宅は売却に時間がかかればかかるほど、売却可能な価格が下がっていってしまいます。また、買い手が決まらずに長期間物件広告が掲載され続けているという状況になると、家の状態に問題がないにもかかわらず「売れない問題が何かある危険な物件なのではないか?」と言った余計な不信感を持たれてしまう可能性があるのです。

したがって、売却交渉に無駄な時間をかけなくて済むようにするためにも、交渉のテーブルに着く前に購入希望者の住宅ローン審査状況などを把握することが大切と考えてください。仮審査を通過しているのであれば、本審査が通過する可能性が高くなりますし、購入希望者の勤務先や在籍年数、年収などの情報が分かれば、審査が通過するかどうかの正確な予想ができるようになります。この段階で、「交渉の価値がない」と判断する場合は、値引き交渉にはのる必要がないでしょう。

値下げを防ぎ希望額で売りたいならホームステージングがおすすめ

それでは最後に、家の売却を考えた時、できるだけ高値での売却を目指したいと考えている方におすすめできる対策をご紹介します。昨今、不動産市場では、売買・賃貸共にホームステージングの実施による早期かつ高値での成約を目指すという対策が人気になっています。

ホームステージングは、不動産物件をより魅力的に見せる空間演出のことで、具体的には、売却や賃貸を予定している物件に対し、室内に家具やインテリア、照明などを配置していくことで新築住宅のモデルルームのように魅力的な空間を作り出す対策になります。ホームステージングを実施した物件は、内覧した時の第一印象が良くなるうえ、家具などが配置されていることで、入居後の生活をはっきりとイメージできるようになると言われています。そのため、他の物件よりも内覧者の印象に残りやすくなり、早期の成約や高値売却が期待できるようになるのです。

それでは、このホームステージングが値下げ交渉などのことを考えても家の売却に有効と言われるのはなぜなのでしょうか?実は、不動産のプロである不動産会社がホームステージングの実施を検討する要因として、以下のようなポイントをあげているのです。

■ホームステージング実施のタイミング
引用:ホームステージング白書2024年

このように、不動産売却のプロが、家の売却において値下げする前の最終手段としてホームステージングを実施し、売却を目指しているという調査データがあるのです。これから分かる事は、ホームステージングを実施することで、今までその価格で売れなかった物件が、値段を変えなくても売れる可能性が出てくると、不動産のプロが判断しているということです。

つまり、ホームステージングを実施したうえで売却活動を実施すれば、本来の物件価格よりも高い評価をしてもらえる可能性が高くなるため、内覧者側も無理な値下げ交渉を行おうとは考えなくなることが期待できるのです。また、ホームステージングは、内覧時の印象を高めてくれるだけでなく、広告の反響率も高めてくれます。そのため、「買いたい」と希望する方が多くなることが想定できるため、売主側にとっては強気に売却活動ができるようになり、その結果として希望額での成約に繋がると期待できるのです。

上のグラフにもあるように、昨今では、家を売りに出す段階でホームステージングを実施するという物件が3割を超えてきています。中古住宅の売却は、複数の物件を並行して購入候補に入れて比較検討するという方法が一般的なので、ホームステージングを実施せずにそのまま売却活動を実施する物件は、内覧者の印象に残りにくくなる時代が近づいているかもしれませんね。

まとめ

今回は、中古住宅の売却において、必ず通ることになる購入希望者からの値下げの要求にどのような対応をすべきなのかについて解説しました。

記事内でご紹介しているように、家の売買においては、不動産ポータルサイトなどに掲載する、売り出し価格がそのまま通るといった事はほぼ確実にないと考えておいた方が良いです。中古住宅の購入を考えている方は、「新築よりもコストを抑えられる」ということをメリットに感じているわけなので、できるだけ安く買えるように値引き交渉をかけることは当たり前と認識している方が多いです。

したがって、これから家を売りに出す方が、自分が希望する売却価格に近い金額で成約させたいと思うなら、記事内でご紹介した工夫を実施してみると良いでしょう。また、値下げを防止するための方法としては、多少のコストをかけてでも、売りに出す前にホームステージングを実施するという方法がおすすめです。