事故物件とは?事故物件を売却する方法も紹介
今回は、事故物件の売却について解説します。事故物件の売却については、非常に難しくなるというイメージを持っている方が多いと思います。実際に、事故物件を所有しているという方で、その物件の売却を考えた時には、「買い手が付かないのではないか…」「希望価格で売却するのは諦めた方が良いのかな?」「売却できても、その後にトラブルが起こらないか心配…」など、さまざまな不安が頭をよぎってしまうはずです。
ただ、不動産の売却については、事故物件だからと言って「絶対に売れない!」というわけではないので安心してください。また、一口に「事故物件」と言っても、そう呼ばれる理由はいくつかの種類が存在しています。一般的な事故物件のイメージは、「物件内で自殺などの事件があった」と考えられがちですが、実はそれ以外にも事故物件と評価されるものもあるのです。
そこでこの記事では、そもそも事故物件とはどのような物件のことを指しているのか、また、事故物件の売却をスムーズに進めるためにはどうすれば良いのかについて解説していきます。

事故物件とは?
それではまず、不動産業界で「事故物件」として取り扱われる物件の特徴についてご紹介していきます。冒頭でご紹介したように、事故物件は、物件内で孤独死や自殺、殺人事件など、悲惨な事実が存在する物件のことを指していると考えている方が多いと思います。
確かに、こういった物件は事故物件として取り扱われるようになるのですが、これ以外にも事故物件に該当するケースがあるのです。実は、事故物件と呼ばれるようになる物件には、主に3パターンの種類があるのです。
そこでここでは、事故物件のパターン別に、どのような問題が起きた時に事故物件になるのか、その概要を解説していきます。なお、どのようなパターンの事故物件であっても、「事故物件である」ということを隠して売却することはNGとされています。これを隠して家を売却し、買主側が後からその事実を知った時には、「事故物件であると知っていたなら買わなかった!」などと主張され、契約解除を求められたり、損害賠償を請求されるなど、売却後の大きなトラブルに発展する可能性があるのです。
そのため、家の売却を検討している方は、どのような場合に事故物件と扱われるようになるのかをきちんと理解し、それに当てはまる物件の売却時には、きちんと事実を伝えたうえで売却を進めなければならないということを忘れないようにしましょう。ここでは、事故物件のパターンとその特徴をご紹介します。
パターン① 心理的瑕疵が存在する
事故物件とみなされる一つ目のパターンは、物件に心理的瑕疵があるケースです。なお、一般の方の多くがイメージする事故物件が、この心理的瑕疵が存在する物件だと思います。
心理的瑕疵がある物件とは、物件そのものについて、耐久性や耐震性、雨漏り被害など、特別な欠陥などは存在していないものの、買主側の心理に対して、不快感や嫌悪感を与える可能性がある事情を抱えている物件のことを指します。例えば、過去にその物件内で自殺や他殺、不審死などが発生したことがあるなどといったケースが、最もわかりやすいと思います。ちなみに、「孤独死」に関しては、物件内で人が亡くなっていたとは言え、直ちに告知義務が発生する事故物件にはなりません。自然死(老衰や病死など)や日常の不慮の死(転倒や誤飲など)については、早期に発見されて部屋の汚損や強い臭気などが発生しなかった場合、誰にでもあり得る事象であることから、心理的な瑕疵にはならないとされています。ただ、発見が遅れてしまい、特殊清掃などが必要になったケースは、自然死の場合でも告知義務が生じます。
この他にも、物件のすぐ近くに反社会的勢力、団体の事務所などが存在する、物件の目の前にいわゆるゴミ屋敷と呼ばれる家があるなどというケースについても、心理的瑕疵になり、告知義務に関するガイドラインでは、売却前に告知しなければならないとしています。
パターン② 物理的瑕疵が存在する
二つ目は物理的瑕疵があるケースです。物理的瑕疵とは、物件そのものに何らかの欠陥が存在することを指しています。具体的には、以下のような購入後に何らかの対処が必要になる問題のことです。
- 建物の一部がシロアリ被害に遭っている
- 雨漏り被害が生じている
- 土地の下に汚染物などが埋蔵されている
- 地盤沈下が起きている など
上記のように、建物そのものに何らかの欠陥が存在し、それを放置すると建物の耐久性や耐震性に悪影響が出て、安全に暮らせなくなる可能性がある場合が、物理的瑕疵がある物件とみなされ、事故物件となります。
物理的瑕疵がある物件については、上で紹介した心理的瑕疵と比較すると、瑕疵の内容がはっきりしています。不動産の売却時に、これらの問題を伝えた場合、購入を控えられてしまう、減額交渉の理由にされてしまう可能性が高くなるため、売主側からすると、買主に告知するかどうかを迷ってしまうことも少なくありません。
しかし、告知義務に関するガイドラインでは、売主側が物理的瑕疵のことを認識している限り、売却時に必ず買主へ告知しなければならないと定めています。物理的瑕疵を隠した状態で売却をし、後から買主側が問題に気付いたというケースでは、契約の解除や修繕費用の請求、損害賠償の請求など、大きなトラブルに発展する可能性があります。
パターン③ 法的瑕疵が存在する
3つ目は、少し分かりにくいですが、法的瑕疵があると判断されるケースです。法的瑕疵とは、建築基準法など、法律によって定められている基準や条件を満たせていない状態にあることを指し、この状態の物件が「法的瑕疵がある物件」とされ、事故物件として取り扱われるのです。法的瑕疵については少し分かりにくいのですが、例えば、以下のようなケースが考えられます。
- 建築基準法で定められているルールを満たしておらず、再建築が不可能になっている
- 用途地域の定めで建物を建ててはいけないとされている区域内に建てられている物件(都市計画法に違反)
家を建てる際には建築基準法にしたがって建てなければならないのですが、何らかの理由で法に定められたルールを満たせなくなるケースがあるのです。最もわかりやすいケースでは、家を建てた時点では法に従っていたものの、法改正によって現行法の基準を満たせなくなったなどという状況が考えられます。この他にも、本来は建築確認申請が必要な状況なのに、それをせずに増改築を進めたなどというケースも考えられるでしょう。
法的瑕疵については、「法律に違反している状態」であるということから、心理的瑕疵や物理的瑕疵と比較しても、最も瑕疵の内容が明確で重大な問題と言えます。そのため、売却時に、この状況について告知を怠ってしまうと、後から売主が追及される責任が大きくなる可能性が高いです。
住宅に係わる法律に関しては、一般の方にとっては分かりづらい部分もありますが、仲介を依頼する不動産会社などが見れば、問題の有無は一目瞭然です。そのため、法的瑕疵があるかどうかをきちんと確認してもらいましょう。
事故物件の売却方法について
事故物件とみなされるケースがわかっところで、実際に事故物件を所有しているという方は、その物件の売却をするためにはどのような方法を採用すれば良いのかについて解説していきます。
一般的には、「事故物件は売れない」という認識があると思うのですが、売りに出してみると意外に早く買い手が見つけられたというケースも少なくありません。もちろん、通常の不動産とは異なる方法を採用することで、早期の売却を目指すという方法もあるため、どのような売却方法があるのかを知っておき、自分が所有している物件の売却方法としてどれが適しているのかを判断できるようにしておきましょう。
ここでは、事故物件を売却する主な方法について解説します。
そのままの状態で一般市場に出す
一つ目の売却方法としては、シンプルにそのままの状態で一般市場に売りに出すという方法です。
事故物件については、一般的な物件と同じような方法で売却活動を進めることができないと考えている方が多いかもしれませんが、そうではないのです。事故物件の売却については、先ほどから紹介しているように、物件に存在する瑕疵を買主に隠した状態で売却するという行為がNGとされているだけなのです。つまり、売りに出す物件に対して、きちんと「事故物件である」ということを告知したうえで売却するのであれば、一般の物件と同じような売却方法を採用しても構わないのです。
事故物件は、何らかの瑕疵が存在することを告知したうえ、買主側がその事実を理解した状態で購入するというのであれば、何の問題もない取引になります。したがって、事故物件であっても、瑕疵の内容をきちんと告知したうえで、そのまま一般市場に出してみるというのも、一つの方法と言えます。
ただ、事故物件を一般市場に出す場合には、売り出し価格については相場よりも安く設定しなければ買い手が付きにくいという事実は把握しておく必要があります。事故物件は、そうでない物件と比較した場合、明確なデメリットが存在することは確かです。そのため、物件を探している人の目を引くには、物件の状態などではなく「価格の安さ」という点でメリットを打ち出す必要があるのです。また、物理的瑕疵などがある物件に関しては、購入後のリフォームに費用がかかるため、その分を引いておかないと買主にとっては割高になってしまい、敬遠される可能性が高くなるのです。
ちなみに、事故物件については、仲介を引き受けてくれる不動産会社が限られてしまう可能性があるので、その点は注意が必要です。
心理的瑕疵のある物件は時間を空けて売りに出す
事故物件の中でも、物件内で自殺や不審死などがあったという心理的瑕疵がある物件の売却は、事件の発生または発覚から相当の期間が経過してから売りに出すという方法が有効とされています。
正直な話、「人が死亡したことがある土地」と考えると、全ての場所で、過去に何らかの死亡事実があったのではないかと言えます。しかし、家を購入する際には、過去にその土地で人が死亡したことがあるのかを極端に気にするような人はいないはずです。ほとんどの方は、「遠い昔のこと」となると特に気にする必要はないと考えるようになるのです。
事故物件についても、物件内で死亡が発生したというケースで、その直後に物件を購入したいと考える人は少ないと言えますが、心理的瑕疵の発生から数年の時間が経過すれば、そこまで気にならないという方が多くなっていくと予想できるのです。そのため、事故物件の売却においては、ある程度の期間を空け、時間の経過によって人が心理的瑕疵を感じにくくなったタイミングで売りに出すという方法が推奨されるのです。物件を所有する間は、固定資産税などの維持コストがかかる、家の状態を維持するために適切な管理を実行しなければならないなど、手間やコストがかかるという点は注意しましょう。
ちなみに、心理的瑕疵の告知義務期間については、賃貸の場合なら原則3年(発生または発覚から)とされているものの、売買の場合、原則無期限となっているので、時間を空けたとしても告知はしなければいけません。
リフォームやリノベーションを実施したうえで売りに出す
3つ目の方法は、リフォームやリノベーションなど、物件の印象を良くするための対策を施したうえで売りに出すという方法です。事故物件の場合、そのまま売りに出すよりも、リフォームもしくはリノベーションを行ってから売りに出すケースの方が多いと言えます。
リフォームやリノベーションを施し、真新しさをアピールできるようになれば、購入希望者側は物件の瑕疵を感じにくくなると言われています。特に、人が死亡した部屋について、間取りを丸ごと変更してしまうことで、事故が起こった痕跡を全て無くしてしまえば、買主側の不快感はかなり低減することができるようになるでしょう。
また、物理的瑕疵が存在した物件については、リフォームを実施することで、問題を解消してあげることができ、瑕疵のない物件として売りに出すことも可能になるでしょう。もちろん、シロアリ被害や雨漏り被害については、修繕を行ったとしても、瑕疵があった事実と実行した対処を告知する必要があるのですが、きちんと対応がなされているのであれば、心理的な抵抗感はほとんどなくなると考えられます。
事故物件は、何らかの問題が存在することによって、物件そのものの印象が悪くなるため、買い手が付きにくい、高値で売れにくいという状況に陥りやすいです。そのため、リフォームやリノベーションを施すことで、物件そのものの価値を高めてあげることができれば、買主側の不安を物件の魅力が上回り、購入してもらえる可能性が高くなるのです。
ただ、リフォームやリノベーションの実施には多額のコストがかかります。リフォームなどを行ったとしても、確実に売却できるとは限らないので、思うように買い手が付かないという場合は、売主側の負担ばかりが大きくなるという点に注意しましょう。また、リフォームにかけたコストを売却価格に上乗せできないケースも多いため、売れても赤字になってしまうリスクが残ります。
建物を解体して更地として売りに出す
事故物件の売却方法としては、建物を解体して、土地として売りに出すという方法が非常に有効です。
まず、建物が老朽化してシロアリ被害や雨漏りが発生しているなど、物理的瑕疵が指摘される物件については、建物を解体してしまえば、その瑕疵はなくなるため、買い手を見つけやすくなります。地盤に問題がある場合でも、建物がなくなれば、地盤改良が容易にできるようになるため、瑕疵の問題を考えなくて済むようになるのです。
また、物件内で死亡の事実があった心理的瑕疵についても、多くの場合、建物に対して不快感を持つため、事件のあった建物を解体して、土地として売却するというケースでは、心理的不快感を感じなくなる方が多いのです。そのため、更地にしてから売りに出せば、事故物件であってもすぐに買い手が見つかるというケースも珍しくないのです。ちなみに、心理的瑕疵のある事故物件について、建物を解体して土地として売りに出しても、買主への告知義務はなくならないので注意しましょう。
なお、再建築不可物件など、法的瑕疵がある物件については、建物を解体してしまうと、「新しい家が建てられなくなる」「固定資産税が大幅に上がる」という大きなデメリットがあるため、安易な更地化は避けた方が良いです。
不動産買取業者に相談する
事故物件を所有している方が、手間をかけずにとにかく早く手放したいと考えるなら、不動産買取業者に相談すべきです。
不動産買取は、不動産会社に買主となる人を探してもらうのではなく、直接物件を買い取ってもらうという方法です。そのため、物件に何らかの瑕疵があったとしても、その問題に対処する必要もなく、そのままの状態で売却することができるのです。
不動産買取業者は、購入した物件について、リフォームやリノベーション、建て替えと言った対策を実施することで、再販や賃貸として活用することを想定しています。そのため、物件は、購入後に自社が手直しすることを想定しているため、その時点での物件の状態は特に気にしないのです。不動産買取業者の中には、心理的瑕疵や物理的瑕疵が存在するような事故物件を専門に取り扱っている業者もあるため、「売る」ということだけを考えると、最も手っ取り早い方法と言えます。
ただ、不動産買取業者の買取額は、仲介で売却した時と比較すると、大幅に安い価格で取引されるのが一般的です。購入後のリフォームなどを想定しているため、その部分のコストがあらかじめ差し引かれた状態で金額提示がなされることになり、状態の良い物件でも相場よりも20~30%程度は安くなると言われています。事故物件の場合、これよりもさらに下がる可能性があるので、高値での売却は期待できないという点は注意しましょう。
事故物件の売却価格について!高値で売却する工夫も紹介
ここまでの解説で、事故物件を売却しようと考えた時には、通常の物件と比較すると売却額が下がってしまうということは誰でも予想できるはずです。
それでは、事故物件の売却額は、実際にどれぐらい下がってしまうのでしょうか?また、可能な限り高く売るためには、どのような工夫を施せば良いのでしょうか?
ここでは、事故物件の売却を検討している人が気になる、売却額についてまとめてみます。
事故物件は通常の物件と比べて30~50%減額される
事故物件の減額率については、法律などで明確に決められているわけではありません。ただ、同じような条件の通常物件と比較すると、30~50%程度の減額率になるとされています。
まず、心理的瑕疵がある物件については、その物件に存在する瑕疵が買主の心理にどの程度の影響を与えるのかによって変わります。例えば、物件内で死亡事故があった場合でも、それが自然死で比較的早く発見され、綺麗に掃除されている状態の場合、心理的な瑕疵があるとまでは言えないため、ほとんど減額されないというケースもあるのです。その一方、全国的なニュースになるような重大な殺人事件の現場となったという場合や、遺体が発見されるまでにかなりの時間を要し、事件の痕跡が消しきれていないというケースは、買主側が感じる心理的ストレスが大きくなるため、減額幅が大きくなると言えます。どちらにせよ、事故物件の売却額については、買主の瑕疵に対する捉え方に大きく影響されると考えておきましょう。
一方、物理的瑕疵については、「修繕にいくらぐらいかかるのか?」で、ある程度は減額幅が予想できます。例えば、雨漏り被害などがある物件について、それの修繕に200万円かかると予想される場合、この金額をもとに買主側に減額交渉を持ちかけられるといった感じになります。つまり、物理的瑕疵については、物件の状態によって減額幅が変わることになります。
なお、事故物件の減額率については、物件自体の条件次第で変わる場合もあります。例えば、築浅物件で立地条件が非常に良いという物件の場合、事故物件であってもそこまで価格を下げずに買い手を見つけられる可能性があります。これは、「事故物件である」という事実より、それを上回るような条件の良さが注目されるためで、そのような場合は減額率を比較的小さく抑えることができます。
ただ、売却額をどの程度下げるのかは、売主が自分で判断するのではなく、不動産会社のアドバイスのもと決めていくのが一般的です。いくらに設定すれば売れるのか分からない…という場合は、仲介を依頼する不動産会社に相談してみましょう。
事故物件を高値で売るためのコツ
上記の通り、事故物件は通常の物件と比較すると、どうしても売却額が低く抑えられてしまいます。ただ、事故物件であっても売却額の減額率は明確に定められているわけではありませんし、売却方法を工夫することで、減額率の幅を小さくして、高値で売ることも不可能ではないのです。
そこでここでは、事故物件でも可能な限り高値で売却するためのコツについてご紹介します。
- 特殊清掃が必要な場合は、徹底的に行う
特殊清掃は、一般のハウスクリーニングとは異なり、特別な薬品や洗浄剤を用いて、汚染を除去し、さらに強力な消臭剤によって遺体から発生する独特な臭気を完全に消し去る作業を指しています。人の死亡などによる瑕疵がある物件の売却では、この特殊清掃を徹底的に行うことが必要不可欠なのです。物件内に、人が死亡したという痕跡が残った状態の場合、買主側は強い不快感を持つため、減額以前に買うのを控えてしまうでしょう。したがって、特殊清掃を徹底的に行うことで、死亡の痕跡をほとんど感じさせないようにするということが売却額を維持するために重要と考えてください。もちろん、痕跡が完全に消せても、告知義務はなくなりません。 - 大幅にリフォームを実施する
事故物件の売却では、間取りの変更など、全面的なリフォームを施すことで、内装を一新させるという方法が効果的とされています。上でも紹介している通り、売却額の減額は、買主側の心理が大きく影響します。そのため、瑕疵が感じないレベルに物件を一変させることができれば、心理的な抵抗感が少なくなることで、減額幅を小さくできると期待できるのです。死亡事故が起きた物件と全く別の物件に見えるようにすれば、買主側も抵抗感を感じにくくなり、あまり減額しなくても売れる可能性が高くなります。ただ、大幅なリフォームは、多額のコストがかかってしまうので、減額時よりも売却益が少なくなってしまうようなことが無いように注意しなければいけません。 - 物件そのものの需要を高める
上でもご紹介していますが、事故物件という事実以上に、物件そのものの魅力が高ければ、減額幅を小さくすることができます。例えば、最新のシステムキッチンを導入する、浴室乾燥機を設置するなど、買主に求められている最新設備を導入すれば、物件の魅力度が向上して、事故物件であっても購入したいと考える人が現れる可能性が高くなります。また、物件そのものの魅力を広告などで上手にアピールすることも効果的です。例えば、駅から近い、車移動がしやすい、近くに大きなショッピングモールがあるなど、買主側の目線で見て魅力的な物件と感じるような情報をうまく打ち出せば、そこまで減額しなくても購入希望者が現れるかもしれません。
上記のように、事故物件を高く売却するためには、瑕疵の痕跡を綺麗に消してあげる、瑕疵の存在以上の魅力で買主を惹きつけるという対策が有効です。
事故物件の売却はホームステージングも有効
ホームステージングは、賃貸や売却を考えている物件に家具やインテリアを配置し、魅力的に演出することで、購入希望者に良い印象を与え、早期の売買・賃貸成立を目指す方法と紹介されています。実際に、物件を売却または賃貸に出す際、内覧希望者の印象を良くして競争力を高めたい場合、その対策としてホームステージングが取り入れられるケースが多いです。つまり、ホームステージングは、事故物件などではなく、通常の物件を「より競争力の高い売れる物件」にするための対策とみなされています。
しかし、昨今の不動産業界では、以下のように、売れる物件をより売りやすくするという用途以外でもホームステージングが取り入れられるようになっているのです。
■ホームステージングを実施する基準
引用:ホームステージング白書2024年
上のグラフは、日本ホームステージング協会が毎年実施している、ホームステージングの実態調査の中のデータです。これからも分かるように、最新版である2024年度の調査では、ホームステージングを実施するかどうかの判断基準として「そのままでは売却が難しい」と考える物件に対して行うという回答が最も多かったのです。
もちろん、「売却が難しい物件」については、さまざまな要因が考えられますが、その中でも事故物件は、最も売却が難しくなる要因と言えるでしょう。先ほど紹介したように、事故物件の売却を考えた時には、買主の心理的ストレスを軽減することや、事故物件であるという事実以上の魅力を感じさせることが重要なので、実はホームステージングの実施は非常に有効な方法と言えるのです。
ホームステージングは、魅力的な空間演出により、買主側が感じているマイナスイメージを払しょくできる可能性があります。また、モデルルームのような空間にすることで、内覧した際には、そこでの生活を具体的にイメージすることができるようになり、「ここなら住んでみたい」と思わせることで早期の成約も期待することができるでしょう。
そのため、事故物件の早期売却や高値での売却を考えた時には、ホームステージングの実施が非常に有効になると言えるのです。リフォームやリノベーションによる印象の改善と比較しても、対策にかかる費用を大幅に抑えることができるようになるため、多少の減額交渉を受けたとしても、売却益を確保することができるようになるはずです。
まとめ
今回は、事故物件の種類や売却方法について解説しました。
事故物件については、過去に自殺や他殺など、凄惨な事件が発生したことがある物件のことを指していると考えている人が多いと思います。過去に凄惨な事件が発生した物件は、そこに住む際には心理的な抵抗感を感じてしまう方が多いため、売り物件の場合は売却価格が大幅に下がる、賃貸の場合は賃料が安く設定されることになるのです。
ただ、記事内でご紹介しているように、事故物件には、心理的瑕疵以外にもいくつかのパターンが存在していて、どのタイプでも売却時には事前に告知しなければならないとされています。つまり、事故物件の売却では、売主自らが物件に存在する問題点を公表しなければならないため、買い手が付きにくくなるわけです。
ただ、事故物件だからと言って、絶対に売れないというわけではなく、さらに、早期かつ高値での売却も不可能ではありません。もちろん、買い手側が敬遠する問題点解消する、もしくはそれ以上の魅力を提示する必要があるため、事故物件の売却が難しいのは確かですが、きちんと対策を施すことでスピーディーに買い手を見つけられることもあるのであきらめないようにしましょう。