2026.06.21

売り出し価格の決め方!高すぎても安すぎてもリスクが生じる

マイホームの売却を決めた時には、最初の段階となる「売り出し価格の決定」で失敗してしまう人がいます。大切なマイホームを売却するわけなので、売主からすると「可能な限り高く売りたい」と考えますが、市場相場とかけ離れた高い価格をつけて売りに出した場合、最終的な成約価格は逆に安くなってしまうケースがあるのです。

売り出し価格の設定については、高すぎても安すぎてもスムーズな売却が難しくなる可能性があるため、「いくらぐらいで売りに出すのが最適なのか?」は慎重に検討しなくてはいけません。高すぎる売り出し価格は「売れ残る」、安すぎる売り出し価格は「売主が損をする」という問題に発展するので、満足のいく成果を目指すためにはちょうど良い塩梅を見極める必要があるのです。

そこでこの記事では、マイホームの売却において、売り出し価格を決める時の注意点について解説していきます。

家の売却における3つの「価格」について

家を売りに出し、スムーズに買い手を見つけるためには「適切な売り出し価格を設定する!」ということが非常に重要です。「とにかく早く売りたい」と相場よりも安い価格を設定した場合、買い手が見つかったとしも売主にとっては損な取引となってしまいます。その逆に、「より利益を確保したい」と考え割高な価格を設定すると、いつまでたっても買い手がつかず、売却活動の手間ばかりがかかってしまうという問題に発展する可能性があるのです。

ちなみに、家の売却において登場する「価格」については、いくつかの種類が存在しています。現在住み替えなどを検討していて、これから自宅を売りに出そうと考えている方は、最低限、以下の3種類の価格の違いは抑えておきましょう。

  • 査定額
    一つ目は「査定額」です。これは、売主から相談された不動産会社が、物件の査定を行い「これぐらいの価格で売れるだろう」と表明する価格のことです。あくまでも「この金額なら売れるのでは?」という見立てのもとで設定する金額なので、査定を行う不動産会社によって詳細な金額は変動します。
  • 売り出し価格
    不動産会社が設定した査定額をもとに、実際に市場に売りに出す時に設定する価格です。簡単に言うと、チラシや不動産ポータルサイトなどに表示される物件価格のことを指します。この価格については、売主が査定額をもとに最終的に決定します。当然、査定額通りの金額に設定しないケースも多いです。
  • 成約価格
    最終的に、買い手側と合意できた金額が成約価格です。売主と買主の合意の下で決められる金額で、この金額が決まることで売買契約が成立します。不動産売却では、多くの場合、売り出し価格よりも多少安くなります。

家の売却活動を進める時には、上記のような「価格」が登場します。一般的には、不動産会社が提示した査定額をもとに、「それよりも少し上の価格」を売り出し価格として設定し、買主との交渉を経て成約価格が決まるという流れになります。買主との交渉では、「いくらかの値引き」が要求されるケースが多いため、あらかじめ査定額に多少の金額を上乗せしておくといった対応がなされるのです。

どちらにせよ、売り出し価格については、売主の意思で決定しなければならないので、スムーズな成約を目指す場合には適切な価格帯を見極めることが大切になります。売り出し価格については、最終的な決定権を売主が持っています。そのため、不動産会社の査定額はあくまでも参考値として扱い、自分の意思で高い価格を設定することも不可能ではありません。ただ、相場とかけ離れた価格を設定した場合には、以下で紹介するリスクが生じてしまいます。

高すぎる「売り出し価格」によるリスク

売主の意向だけを考えると、「できるだけ高値で売りたい」という方が多いはずです。大切なマイホームを売却するわけですし、住み替え時の資金のことなどを考えると、「高く売りたい」という気持ちを持つのは当然です。

しかし、市場相場とかけ離れた割高な売り出し価格の設定は、明確なデメリットが存在します。ここではまず、高すぎる売り出し価格のデメリットについてご紹介します。

リスク① 広告の段階で敬遠される

一つ目のリスクは、物件広告の段階で購入希望者から敬遠される可能性が高くなり、広告の反響率が著しく低下する可能性があるという点です。市場相場とかけ離れた高すぎる売り出し価格を設定した場合、問い合わせや内覧予約などが一切入って来なくなるため、購入希望者との交渉さえできなくなる可能性があります。これは、現在の不動産検索の方法が主な要因です。

現在では、不動産の購入を検討している方のほとんどは、インターネット上の不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME’S、アットホームなど)を使用して物件探しをするようになっています。もちろん、チラシや不動産情報誌などの紙媒体の広告も利用されていますが、情報量の違いなどもあり、効果的な広告手法としてはインターネットを活用した集客となるのです。

そして不動産ポータルサイトでは、顧客が希望する予算を使って物件の絞り込みを実行し、表示された物件の中で良さそうに感じた物件に問い合わせをするという流れが出来上がっています。例えば、本来は3,000万円程度が相場と考えられる物件を売主の希望で3,500万円で売りに出した場合、メインとなるはずのターゲット層である「~3,000万円」で絞り込みをしている顧客に自分の物件情報が見てもらえなくなるのです。その上、顧客の目に物件情報が目に触れる際には、自分が売りに出した物件よりもグレードの高い物件と一覧表示されてしまうことになり、「他の物件と比較すると条件が悪い」などと敬遠される可能性が高くなるのです。

高すぎる売り出し価格の設定は、現在の不動産検索の常識からすると、的確なターゲット層に物件情報を届けられなくなるため、広告の効果が薄れ「買い手が見つからない…」という悪循環に陥る可能性があります。

リスク② 売れ残ることで悪印象を持たれる

高すぎる売り出し価格の設定は、スムーズな売却活動が難しくなり、適切な価格設定をしたときと比較するとどうしても売れ残ってしまいやすくなります。この場合、物件情報の鮮度が落ちてしまうことで、余計に売れにくくなるというリスクが生じてしまうのです。スムーズな売却ができなかった場合、以下のような問題が生じ、余計に売却活動が困難になる可能性があります。

  • ポータルサイト上で「長期掲載物件」の扱いを受け、掲載順位が下がる
  • ターゲットから「売れ残っているということは何か問題があるのでは?」「不人気な物件はやめておこう」など、悪印象を持たれる

物件を売りに出し、長期的に売れ残ってしまうと、上記のような理由で余計に売却活動が困難になります。不動産ポータルサイトの仕組み上、新着物件情報が上位に掲載されるため、売れ残ってしまうと掲載順位がどんどん下がっていってしまうのです。この場合、顧客の目に物件情報が目に触れる機会が少なくなることを意味するため、購入候補に入れず、さらに売れ残る可能性が高くなるでしょう。
また、長期間売れていない物件については、顧客から「この物件は売れ残っているな」と認識されるようになります。物件探しをしている方は、新着物件がないか、何度もポータルサイトを確認しに行くため、長期間売れていない物件は「この物件はまだ売れていないのだ…」と思われるのです。この場合、「誰も買わない=何か問題があるのだろう」と言った悪印象を持たれて余計に買い手がつきにくくなります。一度悪い印象がついてしまうと、値下げなどの対策を行ったとしてもイメージの払しょくが難しく、売却活動が困難になる可能性があります。

リスク③ 最終的に相場よりも安く売らざるを得ないケースがある

高すぎる売り出し価格を設定した場合、上で紹介したような理由で長期間買い手が見つからないという状態に陥りやすいです。この場合、売却するためには「値下げしなくてはならない」と考えるはずです。

しかし、もともと高すぎる価格を設定して、長期間売れ残っていたという物件の場合、値下げの効果を発揮しにくくなるという点が大きな盲点になるのです。例えば、3,500万円(相場は3,000万円)で売りに出していた物件が売れ残った時、100万円の値下げをしたとしましょう。この場合、売主側の印象は「100万円という大きな値下げをした」となるかもしれませんが、購入希望者側から見ると「それでも割高」という印象にしかならないのです。もともと「できるだけ高く売りたい」という考えで、割高な売り出し価格を設定しているわけなので、値下げが必要だとは言えいきなり相場価格まで一気に下げるといった決断はしづらいはずです。そのため、このようなケースでは値下げ幅が小さくおさまりやすいのです。

そして、何度も値下げを実行していれば、今度は「もう少し待てばさらに値下げされるのでは?」と購入希望者側に足元を見られてしまうことになり、最終的に相場よりも安い成約価格に収まってしまう…という最悪な事態に発展する恐れがあるのです。最初から適正価格で売りに出していれば、その価格でスムーズに買い手を見つけられたかもしれないのに、ズルズルと値下げせざるを得ないという状況の陥ると、最終的には市場相場の金額さえも下回る結果に終わるというケースも珍しくないので注意しましょう。

安すぎる「売り出し価格」によるリスク

高すぎる売り出し価格を設定すると、売却活動が困難になるうえ、最終的には市場相場を下回る金額で売却せざるを得ない状況の追いやられてしまうというリスクがあります。こう聞くと、「それなら安い価格をつけて売り出せば良いのか?」と考える方も多いことでしょう。転勤などを理由とした家の売却では、「とにかく早く買い手を見つけたい」という考えから、市場相場よりも安い売り出し価格を設定するというケースも珍しくありません。物件のグレードと比較して、顧客が「安い」と感じられるような価格設定ができれば、「掘り出し物だ!」というイメージを与え、スムーズに買い手を見つけられる可能性もあるのです。

ただ、早く買い手を見つけたいとは言え、市場相場と比較して「安すぎる」価格を設定することにも以下のようなリスクが存在します。

リスク① 金銭的に損をする

一つ目のリスクは、スムーズに買い手が見つけられたとしても、売主にとっては金銭的に損をするリスクがあるという点です。

明確な問題があるわけでもないのに、相場よりも明らかに安い価格設定をした場合、確かにすぐに買い手が見つかる可能性が高くなるでしょう。しかしこの結果は、本来は相場通りの価格で売れていたことを考えると、売主にとっては「得られるはずのお金を失った」ことを意味するのです。不動産の売買は、大きなお金が動く取り引きとなるわけなので、金銭的な損失リスクも当然大きくなります。

リスク② 購入希望者を警戒させ、逆に売れにくくなる

市場相場よりも安すぎる売り出し価格の設定は、買い手側の不信感や警戒感を引き出してしまうことで、逆に売れにくくなってしまうリスクがあるので注意しましょう。

一般的に、自宅の売却を考えた時には、誰でも「できるだけ高く売りたい!」と考えるはずです。つまり、市場相場から考えて、顧客側が「安すぎる」と感じるような価格設定は、「何か問題があるのではないか?」と警戒されてしまう訳です。不動産市場では、いわゆる「事故物件」と呼ばれる不動産は、売買でも賃貸でも価格設定が大幅に下げられます。そのため、安すぎる売り出し価格を設定した場合、何の問題もない物件でも「事故物件なのだな!」と認識され、広告の段階で敬遠される結果になる恐れがあるのです。他にも、「シロアリ被害」や「雨漏り被害」など、致命的な損傷が存在すると疑われる可能性もあるでしょう。

通常では設定されないような「安すぎる」価格は、購入希望者に喜ばれるだけでなく、不信感や警戒感を引き出して「売れない」理由になる可能性もあるので注意しましょう。安い価格を設定して売りに出した場合でも、買い手が見つからなければさらなる値下げが求められる可能性があり、売主の損失がさらに大きくなるリスクもあります。

正しい売り出し価格を設定するためのコツ

ここまでの解説で、家の売却においては、売り出し価格の設定は高すぎても安すぎてもダメだということが分かっていただけたと思います。それでは、スムーズで満足できる価格で家を売るためには、どのようなことに注意しながら価格の設定をしていけば良いのでしょう?

ここでは、正しい売り出し価格を設定するため、おさえておきたいポイントについて解説します。

①売り出し価格を決める際の基準

スムーズな成約に導いてくれる売り出し価格に設定するためには、高すぎず安すぎない、ちょうど良い塩梅の価格を見極める必要があります。売り出し価格を設定する時には、以下のような点を考慮しながら、正しい価格を設定していくと良いです。

■不動産会社の査定額を基準にする

売り出し価格を設定する際、最も参考になる価格が不動産会社による査定額です。不動産売買のプロが、実際の物件を確認しながら査定額を算出しているわけなので、この価格が出発点となります。査定額は、物件の状態以外にも、直近の類似物件の成約価格などをもとに、不動産会社が「この価格なら売れる」と考える金額を算出しています。つまり、この査定額は、市場相場近辺の金額と考えても良いです。

ただ、査定時の基準については、不動産会社ごとに異なるため、1社の価格だけで売り出し価格を決めるのがおすすめではありません。中には、囲い込みを目的に、高めの査定額を提示してくる会社などもあるので、査定は複数社にお願いして、各社の中間値を基準とするのがおすすめです。

■近隣の競合物件の価格

売り出し価格を決定する時には、同じエリア内で現在売りに出ている類似物件の価格も参考にしなければいけません。不動産ポータルサイト上で、これらの物件が顧客の比較対象となります。

同じような条件の物件と比較して、明らかに高い価格を設定すると選ばれにくくなり、同等か少し安い価格を設定すると、購入検討候補に入ることができます。安すぎると、上で紹介したように、「問題がある物件なのか?」と警戒される可能性があるので注意しましょう。

■希望の売却期限

売り出し価格の設定をするときには、「いつまでに売りたい」など、売却活動の期限があるのかどうかも関係します。転勤や相続税の納付期限など、成約に対する明確な期限がある場合、早期に買い手が見つかるような価格設定をするのが望ましいです。この場合は、適正価格をやや下回るぐらいの価格に設定し、広告の反響率を高める方向で動くのが良いです。

その逆に、「時間がかかっても良い」という場合は、多少高めの価格設定でも構わないでしょう。

■手元に残る金額

ローンが残っている、住み替えの資金を作りたいなど、家の売却について「最低でもこれぐらいの金額は残したい」という希望があるはずです。

したがって、売り出し価格を設定する際には、この「手元に残したい金額」から逆算するという方法も有効です。家の売却では、仲介手数料や各種手続きの費用、税金など、それなりの費用が発生します。それらの金額と残したい金額を合わせれば、自ずと「いくらで売らなければならない」という金額が算出できるはずです。

■不動産ポータルサイトの検索の仕組みを意識する

先程紹介した通り、今の時代、家の購入を考えた人が物件探しをするときには、インターネット上の不動産ポータルサイトを利用するようになっています。つまり、物件の売り出し価格を決める際、この不動産ポータルサイトの検索の仕組みを意識することが非常に重要になってくるのです。

というのも、不動産ポータルサイトにおいて、価格を使った絞り込み検索では、「500万円刻み」で価格を設定するという方法が基本となっています。予算が3,000万円の人は「~3,000万円」で絞り込み、3,300の予算の方は「~3,500万円」と設定するわけです。例えば、不動産会社の査定額2900万円と算出された物件について、売主の希望を優先して3,200万円の売り出し価格を設定したとすると、検索フィルターのグレードが一段高くなってしまうことで、本体メインのターゲットとなるはずの「~3,000万円」で絞り込みを実行している人には物件情報が届かなくなるのです。売り出し価格の設定は、このポータルサイトの検索の仕組みも考慮しながら、自分の物件が最も注目を集めそうな価格に設定することも大切です。

買い手側からの値引き交渉も想定しておく

不動産の売買においては、購入するかどうかを決める最終段階において、購入希望者側から値引き交渉が入ることを想定しておくべきです。大きな金額が動く取り引きとなるため、売主と買主、両者が気持ちよく成約に至れるよう、最終段階で一定金額の値引きに応じてあげるのが一般的とされています。

つまり、売り出し価格を設定する際には、最終段階における「買主からの値引き交渉」を最初から想定して価格設定を行っておくという方法が望ましいのです。例えば、以下のような点について検討しておきましょう。

■値下げ交渉を見据えた価格設定をする

家の売却では、購入希望者から値下げ交渉が必ず入ると考えておいた方が良いです。値下げ交渉は、購入希望者側が購入申込書(買付証明書)を提出した段階でスタートするのが一般的です。この書面の中には、顧客側の購入希望価格が記載されているのですが、この部分に売主が設定した「売り出し価格」がそのまま記載されているケースはほとんどありません。買い手側も、不動産の取り引きでは、最終段階で3〜5%程度の値引き交渉があるものと理解しているため、売り出し価格よりも安い金額で購入申し込みを出してきます。

つまり、売り出し価格を設定する際には、「いくらで売りたい」という金額を基準に、最初から値下げ分の金額を上乗せしておくという方法が賢い戦略とされています。ただ、値下げ分を売り出し価格にのせた場合、「割高な物件」という印象を与えそうと感じる場合は、「最低この金額までなら受け入れられる」という最低ラインを決めて、相場通りの価格で売り出すという方法も一つの手です。特に、査定額が2,980万円の物件について、値下げ分を売り出し価格ののせると3,000万円の大台に乗ってしまいます。この場合、不動産ポータルサイト上の検索フィルターでも、「~3,000万円」から外れてしまうことで、売却活動が困難になります。もちろん、このような状況は極端な例なのですが、価格設定を行う時には、顧客の目に触れやすい位置に広告を出すということも考慮しなくてはいけません。

なお、売り出し価格を決定する時には、同時に「最低でもこの金額は守る」という最低ラインも決めておくのが重要です。例えば、3,500万円で売りに出し、最低ラインを3,300万円にするとあらかじめ決めておけば、3,300万円の指値が入れば受け入れ、それより下回る金額なら断るなどと、自動的に判断ができるようになるので、交渉も冷静に進められるはずです。

ホームステージングを採用すれば売り出し価格を高めに設定可能

ここまでは、家の売却を検討した時、売り出し価格の設定で注意しなければならないポイントが分かっていただけたと思います。スムーズな売却を目指すのであれば、やはり不動産会社の査定額をもとに、高すぎず安すぎない適正な売り出し価格を設定することが大切になるのです。

ただ、そうは言っても、大切なマイホームの売却を進めるという際には、「可能な限り高値で買ってくれる人を探したい」と考えるものだと思います。安くすれば売れやすくなるのは分かっていても、売却後の住み替えのことなども考慮すると相場よりも高い売り出し価格を設定したいと考えるはずです。

そしてこういった考えを持っている方におすすめできるのがホームステージングです。ホームステージングは、昨今の不動産市場で注目を集めるようになった販促手法で、売りに出す物件を家具やインテリア、照明などを使って魅力的に演出することで、早期かつ高値での売却が期待できるようになるとされているのです。ここでは、少しでも高く家を売りたいと考えている方に向け、ホームステージングを採用することで高く売れる理由をご紹介します。

ホームステージングで高く売れる理由

ホームステージングは、中古住宅市場が活発なアメリカで誕生した方法です。中古住宅の売却活動において、非常に大きな効果を発揮することが広く認識され、欧米各国では家を売りに出す際には当たり前に採用されるようになっています。例えば、スウェーデンにおいては、不動産の売却率を高めるための標準的な手法としてホームステージングが普及しており、市場に出回る物件の80%以上でプロのステージングが実施されるようになっているとされます。そして、ホームステージングによって、売却価格を約10%向上させる効果が認められていると言われているのです。

ホームステージングは、以下の画像のように売却中の物件を家具やインテリアを配置することで、新築のモデルルームのように演出する手法です。居住中の物件売却でも、生活感を消すことで「他人の家」というイメージを払拭し、購入希望者に住んだ後のイメージを具体的に伝えることで、購買意欲を刺激し、通常の相場よりも早く、高く売れる効果が期待できるとされています。


実際に、ホームステージングを実施することで、以下のような効果が得られ、通常よりも割高な売り出し価格を設定したとしても、スムーズな売却が期待できるとされているのです。

  • 生活感を適度に払拭する
    おしゃれな家具の使用や配置により、内覧者に実際の広さが伝わりやすくなります。また、そこに住んでいる人の生活感が適度に隠れることで、物件の第一印象が劇的にアップし、割高な価格設定に違和感を持たれにくくなるという効果が期待できます。居住中の物件売却では、居住者の生活感により「他人の家」というイメージがどうしても払しょくできず、内覧者の購買意欲を下げてしまうことがあります。
  • 空間イメージの具体化
    ホームステージングは、内覧した際に、「ここにどんな家具を置くか」「このスペースをどのように利用できるのか」など、入居後の生活を具体的にイメージさせることができるようになります。そのため、買い手側は、物件の良し悪しや自分たちのライフスタイルにマッチする物件なのかを判断しやすくなり、購入するかどうかの決断が早くできるようになるのです。
  • 類似物件との差別化
    ホームステージングを実施すれば、物件広告の段階から魅力的な写真を掲載できるようになります。また、内覧時もプロが演出した空間を体験させることができるので、何の対策も実施されていない他の物件と比較すると、明確に差別化することができるようになるのです。その結果、「多少高くてもここに住みたい」という付加価値を生み出すことができ、高値売却に導いてくれます。

ホームステージングは、対象となる物件が最も見栄えするような空間になるような演出が施されます。そのため、購入希望者が見学した時には、物件の価値を高く見積もってもらうことができるようになるのです。実際に、日本ホームステージング協会が毎年実施している実態調査においても、ホームステージング実施によって得られたメリットとして、「価格維持」や「価格の上昇」をあげている人が多いという結果が出ています。

■ホームステージング導入のメリット(売買、賃貸)

  • 内覧時の印象が向上した:37.4%
  • 成約スピードが向上した:36.8%
  • 家賃・販売価格を下げずに募集できた:28.1%
  • 競合物件との差別化ができた:28.1%
  • 家賃・販売価格を上げても成約できた:27.5%
  • 広告、写真映えが良くなった:22.2%

このように、実際にホームステージングを導入した物件が「価格」をメリットにあげています。

参照:ホームステージング白書2024年

まとめ

今回は、マイホームの売却で、最初の一歩となる「売り出し価格の設定」について解説しました。

記事内でご紹介したように、売り出し価格の設定については、高すぎても安すぎても、売却活動を困難にしてしまう要因となるので注意しなければいけません。スムーズな売却を希望するのであれば、一番最初に設定する売り出し価格が適切であることが非常に重要になるので、慎重に価格を設定するようにしましょう。

なお、家の売却を考えている方のほとんどは「できるだけ高く売りたい」と考えているはずです。そして、その希望を実現するための方法としてホームステージングが非常に効果的なので、ぜひ導入を検討してみましょう。