2026.02.22

ホームステージングにおける家具の重要性について解説

売却や賃貸を検討し、これから集客を始める物件に対して、webサイトに広告として掲載する写真はどのような物を採用しようと考えているでしょうか?多くのオーナーや不動産会社の担当者の方は、空室になった状態の写真と間取り図の画像をセットにして掲載すれば良いと考えているはずです。昨今の不動産市場では、中古住宅の購入や賃貸物件を探している方のほとんどが、まずはインターネット上の不動産検索サイトにアクセスし、希望に見合う条件の物件を探すという状況になっています。しかし、顧客の多くがアクセスする不動産検索サイト上では、不動産の売買でも賃貸でも、空室状態のガランとした空間の写真が掲載されていることがほとんどで、どれも似たような物件に見えてしまう…という声があるのです。

実は、こういったインターネット上の広告として掲載する写真については、家具などをきちんと配置し、そこでの生活がイメージできるような状態で撮影した物を掲載したほうが、問い合わせに繋がりやすくなるということが分かっています。集客を考えている物件に、家具などを配置する販促手法は、ホームステージングと呼ばれるのですが、不動産市場では、年々その存在感が増していっていると言われています。実際に、この記事を読んでいただいている方の中にも、ホームステージングによる集客効果の高さを耳にして、その詳細を調べているところだという方も多いはずです。

そこでこの記事では、不動産の売却や賃貸を促進するとされているホームステージングについて、意外に見落とされがちな配置する家具の重要性について解説します。ホームステージングは、「物件内に家具などを配置する販促手法」と紹介されますが、むやみに家具を配置するだけで大きな効果をもたらせてくれるわけではありません。家具の配置や種類によって物件の印象が大きく左右されるため、最初の家具選びが非常に重要になるのです。この記事では、ホームステージングにおける家具選びのポイントなどについて解説します。

ホームステージングとは?広告にどんな効果をもたらす?

それではまず、「そもそもホームステージングとはどのような販促手法なのか?」また「広告の段階でどのような効果が発揮されているのか?」について解説していきます。ホームステージングは、空室状態のまま集客をするのではなく、家具などを配置することで物件の印象を良くする方法と解説されることが多いです。

ここでは、ホームステージングの基本と実施することで得られる広告段階での効果をご紹介します。

ホームステージングとは?

ホームステージングは、売却や賃貸を予定している物件内に、家具やインテリア、照明や植物などを配置することで、新築のモデルルーム・モデルハウスのような魅力的な空間を作り出し、集客力を向上させるという手法となります。各物件のターゲット層にマッチしたホームステージングを実施することで、物件の魅力を最大限まで引き出すことができ、早期かつ高値での成約を期待することができるとされています。

具体的には、以下のように、空室状態のまま集客をするのではなく、物件内に家具などを配置することで、そこでの暮らしを具体的にイメージさせるという手法となります。

ホームステージングを実施すれば、内覧者は入居後のそこでの生活が具体的にイメージしやすくなります。逆に、空室状態のまま集客活動を進める場合、条件が近いライバル物件との差別化が難しくなり、顧客からすると「どの物件を見ても似たようなものだし、費用が抑えられる物件を選ぼう!」という選択になるかもしれません。ホームステージングは、広告画像や実際に内覧した際に、顧客に「ここで暮らしてみたい!」と思わせることで、成約率を高めることができるという手法なのです。

なお、ホームステージングには、実際の物件に家具などを配置する「リアルホームステージング」と、空室状態の物件画像にCGなどで制作した家具などを合成する「バーチャルホームステージング」など、いくつかの手法が開発されています。ただ、どの手法を採用するにしても、物件の本来の魅力を最大限まで引き出し、早期かつ高値での成約を目指すという目的は同じです。

ホームステージングの広告における効果について

それでは、ホームステージングの広告における効果についても解説します。ホームステージングは、もともとアメリカで誕生した手法で、どちらかというと内覧に足を運んでくれた顧客の印象を高め、早期かつ高値での成約を目指すことが目的とされていました。空室状態の物件を内見したとしても、部屋のサイズ感などがつかみにくいですし、どれも同じような魅力度に感じてしまい、最終的には価格の安さで選んだという経験をしたことがある人は多いはずです。しかし、ホームステージングが実施された物件を内覧した時には、家具などがきちんと配置されているため、入居後の生活動線や家事動線が具体的にイメージできるようになり、希望にマッチしたコーディネートが施されていた場合には、「ここに住んでみたい!」と思わせることができるのです。家具などがあることで、部屋のサイズ感なども判断しやすく、物件の良し悪しが判断しやすくなるのです。

ただ、このホームステージングは、インターネットでの集客が当たり前になってきた不動産市場においては、「広告の段階で非常に高い効果を発揮する」ということが分かってきました。実際に、ホームステージングを実施した効果として、以下のようなデータが出ているのです。

■不動産売買での広告効果
引用:ホームステージング白書2023年

■賃貸物件市場での広告効果
引用:ホームステージング白書2023年

上のグラフは、日本ホームステージング協会が毎年実施している、ホームステージングの実態調査「ホームステージング白書」内に掲載されていたものです。これは、2023年度版のものなのですが、ホームステージングを実施したことによる広告段階での効果が非常にわかりやすいのでご紹介します。

この調査によると、不動産の売買、賃貸共に、ホームステージングを実施したことで、インターネット広告の閲覧数や問合せ数が大幅に増加していることが分かります。閲覧数については、売買、賃貸共に約8割の方が「増えた」と回答していますし、問合せ数も同じく大幅な増加傾向がみられます。

物件広告は、やはり詳細ページまで見てもらわなければ意味がありませんし、この段階でホームステージングが広告に好影響を与えているということがよくわかるはずです。さらに、実際に内覧まで足を運んでくれた人の数についても、売買、賃貸共に大幅に増加しているという結果が出ています。不動産取引の流れのことを考えると、最終判断の場として「内覧(内見)」があるわけなので、不動産業界でなぜホームステージングへの注目度がこれほどまで高くなっているのかが、このデータから良く分かると思います。

ホームステージングは、内覧時の印象を高めるだけでなく、広告の段階から非常に高い集客力を発揮することが分かってきたため、多くの不動産会社が取り入れ始めているのです。

ホームステージングにおける家具の重要性について

前項でご紹介した通り、ホームステージングは、不動産の取り引きにおいて非常に大きな効果を発揮することが分かっています。

ただ、ホームステージングを実施する際には、対象となる物件の特性や雰囲気を踏まえたうえで、適切な家具を選択する、また配置場所を決めるということが非常に重要になるのです。ホームステージングが注目され始めたころには、仲介を担う不動産会社や賃貸物件オーナー様自身が家具を用意し、対策を施すというケースも多かったです。しかしこの場合、物件の特性や雰囲気を無視して、社内で保有している家具を使いまわして、単に家具を配置するという対策になってしまうことが多いのです。この場合、ホームステージングを施したとしても、代り映えしない部屋に仕上がったり、物件の特性や雰囲気とのミスマッチが生じて、ホームステージングの効果が薄れてしまうといった問題が生じる可能性があるのです。

例えば、純和風の戸建て住宅のホームステージングとして、アメリカンスタイルの家具を選び、インテリアとしてヴィンテージ風やインダストリアル風なものを配置しても、物件の良さを引き出すことができません。ホームステージングを実施する際には、物件ごとのターゲットとなる方をきちんと設定し、その人たちが見た時に「ここに住んでみたい!」と思わせるような家具を選択しなければいけないのです。また、家具選びの際には、大きさや高さなどにも気を配る必要があります。空間の広さなどに見合わない大きな棚やテーブル、部屋全体の見通しが悪くなるような背の高いチェアや観葉植物を配置すると、生活イメージが湧きにくくなります。また、部屋のサイズ感に合わない家具を配置すると、圧迫感や影の影響から、本来よりも部屋が狭く見えてしまう、暗く感じるなど、悪印象を与えてしまうことがあるのです。

ホームステージングは、物件ごとのターゲット層にそこでの生活を想像してもらうことで早期かつ高値での成約を目指す対策なので、対策を施す物件に合わせた家具選びが何よりも重要になると考えなければならないのです。最近では、ファスト家具などと呼ばれる安価に購入できる家具も多くなっていますが、そういった家具をハイクラスな空間に配置した場合、その物件を内覧している富裕層の顧客からは「安っぽいし自分には合わない」など、むしろホームステージングを実施したことが逆効果に働いてしまうこともあるのです。

ホームステージングを成功させるためには、物件ごとの特性をきちんとつかみ、顧客が求めている空間への理解を踏まえたうえでの家具選びが必要になるので、「所有している家具をテキトーに配置する」という対策では効果が見込めないと考えた方が良いです。

ホームステージングを実施する上での家具選びについては、以下のような点を意識する必要があると考えてください。

①物件に特性に合わせて適切な家具を選ぶ

ホームステージングの成功を考えた時には、物件の特性に合わせて「適切な家具を選ぶ」ということが非常に重要です。適切な家具を選ぶことができれば、部屋の魅力を最大限まで引き出すことができるようになるはずです。

不動産の売却でも賃貸でも同様ですが、ホームステージングに使用する家具を選ぶときには、「家の雰囲気に合っているのか?」ということを考慮し、さらにその家具を物件の魅力を引き出せるように配置するということが大切です。一口に住宅と言っても、家の雰囲気は物件ごとに異なりますし、先ほど紹介したように、物件の雰囲気とミスマッチが起きないように適切な家具を選ぶことが非常に重要になります。

また、インターネット上に物件写真を掲載するなど、写真などによる集客力を期待する場合、家具の色合いやサイズなども空間の雰囲気を大きく左右します。したがって、部屋の魅力を最大まで引き出すためにも、明るさやバランスなどを考慮して配置を決めていく必要があると考えてください。

②費用対効果にことも考慮する

ホームステージングによる集客や成約率の向上を目指す場合、費用対効果のことも考慮して家具選びを進めなければいけません。ホームステージングによる広告効果が期待できるとは言え、無限に予算を使う訳にはいかないはずなので、コストは抑えつつ物件の魅力を高めることができる価値のある家具を選ぶことが大切なのです。

なお、ホームステージングに使用する家具の入手方法には、「購入する」以外にも「レンタル家具を使用する」と言う選択があります。ホームステージング用の家具を購入する場合は、将来的に他の物件でも使用できるよう、さまざまな雰囲気の物件にマッチしやすいシンプルな家具を選んでおくのが良いでしょう。さまざまなシーンで使えるような汎用性の高い家具を選べば、家具の購入点数をおさえることができます。ただ、あまりに安価なファスト家具を選ぶと、耐久性の面で問題が生じる可能性がありますし、物件そのものが安っぽいイメージになることがあるので注意しましょう。
最近では、ホームステージングを専門に請け負ってくれる会社に依頼し、物件の特性に最もマッチする家具をレンタルするという方法もあるので、どのような方法が費用対効果的に最も良いのかは慎重に検討しましょう。

家具選定のコツとホームステージングにおける家具の役割

上述したように、ホームステージングを成功に導くためには、物件の特性や雰囲気、空間の広さなどを考慮して家具を選び、適切に配置していくことが大切です。

それでは、より具体的にホームステージングに使用する家具の選定を行う場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?ここでは、物件の魅力を最大化させるため、具体的な家具選定のポイントをご紹介します。

家具選定のポイント

ホームステージングに使用する家具を選ぶときには、家具のスタイリングについてきちんとルールを決めたうえで進めていくと失敗を防ぐことができます。ここでは、家具選びに失敗しないためにおさえておきたいコツをご紹介します。

  • 無理のない範囲で「シンプル」を心がける
    「部屋を魅力的に見せたい」「より生活イメージが湧く空間にしたい」と思った時には、多くの家具や物を配置したほうが良いと考える人が多いです。しかし、ホームステージングは、誰にとっても完ぺきと思われるような空間を作り上げることが目的なのではなく、内覧や物件広告を見た際に、購入希望者がそこでの生活をイメージしやすく、空間が本来持つ魅力を伝えることにあるのです。そのため、家具などを配置していくときには、できる限りシンプルに、基本構成要素のみで配置することが大切になると考えてください。そうすることで、細部へのインテリア配置の想像を膨らますことができるようになり、「実際に見て見たい」などと物件への注目を集めやすくなるのです。
  • バランスを考慮する
    ホームステージングを実施する際には、家具やインテリアの大きさや色、素材などの点から、それぞれのアイテム同士、また家具と空間に対してのバランスが大切です。このバランスが崩れてしまうと、居心地が悪くなるだけでなく、写真などで見た時には雑多な印象を与えるなど、むしろホームステージングが逆効果に働いてしまう場合があるのです。自分でホームステージングを実施する場合、家具や素材に関する知識が不足してしまうことも多いですが、空間としてのバランスを保つということを意識すれば、大きな失敗を防ぐことができるでしょう。

なお、ホームステージングは、家具のみを配置するのではなく、インテリア小物やファブリック、植物なども導入することで魅力的な空間を作り出します。家具とインテリア、植物などを使うことで、部屋の魅力に相乗効果をもたらすことができるのです。ただ、配置するインテリアに関しても、家具選びと同様に、部屋全体の調和や統一感を考慮することを忘れないようにしましょう。配置する家具とインテリアが調和していない場合、空間に違和感が出てしまうことになり、相乗効果を引き出すことができなくなります。

ホームステージングとして配置されている細かな小物なども、意味なく配置されるのではなく、空間全体のイメージを決定づけるために配置されているということを意識しましょう。

ホームステージングにおける家具の役割

それでは、ホームステージングにおける家具の役割についてもご紹介します。物件に最適な家具を配置することができれば、空間の魅力を最大化させることができるだけでなく、そこに住んだ時の機能性などを見ただけでイメージすることができるようになります。

ホームステージングにおける家具選びは、購入希望者の気持ちを大きく左右する重要なポイントになるのです。以下で、ホームステージングにおける家具の主な役割をご紹介するので、家具選びの際にはしっかりと意識しておきましょう。

  • 空間の機能性を印象付ける
    家具が配置されていれば、内覧者は意識することもなく、空間の機能や使われ方をイメージすることができるようになります。配置する家具によって、その空間で人がどのように過ごしているか印象付けることができるのです。例えば、リビングのコーディネートとして、足のない座椅子タイプのソファを選び、そこにこたつタイプのローテーブルを配置すれば、カジュアルに過ごせる空間を印象付けられるでしょう。一方、高級感のあるレザー素材のソファが向かい合い、そこにガラス天井のローテーブルなどが配置されていると、落ち着いて対話するための環境を意識させることができます。このように、家具は、空間の利用法を印象付け、そこでの生活をイメージさせるという役割を持っているのです。
  • 購買意欲を高める
    ホームステージングによる空間演出は、物件ごとに異なるターゲット層に的確にアピールするための手法として活用されます。先程紹介した通り、ホームステージングの実施目的は、購入希望者に物件をより魅力的に感じてもらい、早期かつ高値での成約に導くことにあるのです。理論だったホームステージングを実施することで、購入希望者の気持ちを掴むことができ、購買意欲を高めて早期の成約に導くことができると期待されているのです。つまり、ホームステージングにおける家具は、買い手の気持ちを掴むということも重要な役割となります。
  • 空間の広さの明確化(錯視効果の防止)
    ホームステージングにおける家具は、購入希望者の正しい空間認知を助けるということも大切な役割です。物件内に家具などが何も置かれていない状態の場合、人は正確な距離感を掴みにくいです。実際に、空室状態では広く感じられたのに、実際に入居して家具を配置すると「想像より狭かった…」と後悔したという経験がある人は多いのではないでしょうか?家具が配置されいれば、比較対象となるものができるため、空間の広さや高さなどについて、正しく認知できるようになるのです。賃貸物件においては、早期の退去を防止することができるため、とても重要な役割と言えるでしょう。
  • 生活動線の提示
    ホームステージングにおける家具は、単なる空間演出として配置されるのではなく、内覧した人にそこでの生活動線や家事動線を具体的にイメージさせるという点も役割の一つです。ソファや収納家具が配置されている場合、そこで生活を始めた時の家族の動きが具体的にイメージできるようになります。また、家事のしやすさなどについても、家具が配置されている場合とそうでない場合なら、前者の方がイメージしやすくなるはずです。物件を内覧した時、そこでの家族の生活動線がイメージでき、「暮らしやすそうだ」と感じさせることができれば、契約を後押しすることが期待できるはずです。

上記のほか、物件の特性や雰囲気に合った適切な家具が配置されていることで、第一印象の劇的な向上や物件価値の最大化などといった効果を期待することができます。どちらにせよ、ホームステージングにおける家具は、より好条件での契約へ導くという重要な役割を担っていると言っても良いでしょう。

まとめ

今回は、昨今の不動産市場でその存在感を増しているホームステージングについて、ホームステージングで使用される家具の重要性や役割について解説しました。

記事内でご紹介した通り、ホームステージングは、内覧時に購入希望者の印象を向上させることができるだけでなく、その前段階となる広告掲載の段階でライバル物件との差別化ができるようになり、問合せ数や内覧者数の増加が期待できるという効果から、年々採用する不動産会社様が多くなっているのです。

ただ、ホームステージングは、単に家具を用意して物件内に配置すれば良いというほど簡単な対策ではなく、きちんと物件の特性に合わせて適切な家具を用意しなければ、本来の効果が見込めなくなってしまうのです。記事内では、ホームステージングに失敗しないための家具選びのポイントなどについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。なお、ホームステージングと呼ばれる手法の採用率が高くなっている昨今では、対策の質が求められるようになっているため、効果的な対策を実施したいと考えるなら、専門業者に相談するのがおすすめです。