マンションを売却するならクロスの張り替えは必要?
マンションの売却を考えた時には、売りに出す前にクロス(壁紙)の張り替えをしたほうが良いのかどうかで悩んでしまう人が多いです。賃貸住宅の場合、退去者が出て、新たな入居者を確保するためには、原状回復を目的としたクロスの張り替えなどのリフォームが実施されるのが一般的です。そのため、マンションの売却を目的にしている場合でも、あらかじめクロスの張り替えをして、内覧時の印象が良くなるように対策を施しておいた方が良いのではないかと考える人が多いのだと思います。
なお、マンションを売却するにあたってのクロスの張り替えについては、必ず行わなければならないというものではありません。それどころか、不動産の売却に際しては、クロスの張り替えなどのリフォームは基本的に必要がないと判断されるケースの方が多いと言えます。
ただ、物件の状況によっては、売りに出す前にクロスの張り替えを実行したほうが良いと考えられるケースもあるので、スムーズな売却を目指す場合には、その必要性については慎重に検討しなければいけません。そこでこの記事では、マンションの売却を考えた時、クロスの張り替えの取り扱いについて解説していきたいと思います。

マンション売却時の基本的なクロスの取り扱いについて
それではまず、マンションの売却を検討している方に向け、マンション売却時のクロスの張り替えについて、基本的な取り扱いをご紹介していきます。
結論からご紹介しますが、マンションを売却する際でも、事前のクロスの張り替えは基本的には不要と考えてかまいません。実は、マンションを売りに出す際でも、多くのケースで、売却前のクロスの張り替えは必要とされていないのです。
それでは、マンションの売却時にクロスの張り替えが不要とされている理由は何なのでしょうか?ここでは、代表的な理由についてご紹介します。
①購入者側にとって、中古物件の汚れは想定の範囲内だから
一つ目の理由は、購入者側の心理です。中古マンションの購入を検討している方の場合、内装や外装について、ある程度の汚れやキズがあることは想定しています。中古物件の売買では、内覧時に、物件の状態を確認したうえで、価格に見合っているのか考え、購入するかどうかを検討するのです。
そのため、クロスに多少の汚れやキズなどがある場合でも、それに見合っただけの価格帯で売り出されている物件であれば、購入を検討する対象に十分入ると思ってもらえるのです。つまり、クロスの多少の汚れなどについては、これを理由に「売却できない」という状況に陥る可能性は低いと考えてもかまいません。
売りに出す物件について、築年数や売り出し価格に見合う程度の汚れであれば、中古物件を探している人にとっても、特に気になる問題にはならないと考えて良いでしょう。
②クロスを張り替えても、売却価格が上がるわけではない
マンションを売りに出す際、あらかじめ費用をかけてまでクロスの張り替えをしようと考える売主様の多くは、クロスを張り替えて真新しく見える空間を作り出せば、物件の売却価格が上がるのではないかと期待します。
しかし、実際には、マンションの売却活動を進めてみると、事前にクロスの張り替えを実行しても、それにかかった費用を売却価格に上乗せできないというケースも珍しくないのです。クロスの張り替えについては、それを実行したとしても、物件に付加価値がつくわけではなく、単に劣化した部分をもとに戻すことしかできません。そのため、クロスの張り替えを実行した物件でも、大幅に売却価格を高くすることはできず、相場通りの価格でしか売れない可能性の方が高いと言えるのです。
この場合、クロスの張り替えにかけたコスト分が、売主側にとっては経済的損失になってしまう可能性があります。先程紹介したように、中古物件の購入を考えている方は、ある程度の汚れやキズがあることを想定しているため、クロスの張り替えなどを実行しなくても相場通りの価格で売却できる可能性があるのです。つまり、クロスの張り替えの有無にかかわらず、同じような価格でしか売れないとなるのであれば、そこに費用をかける意味がないと言えるのです。
クロスの張り替えは、それなりのコストがかかってしまうため、本当に必要なのかどうかは慎重に判断するようにしましょう。
③購入後に自分で張り替えたいと考えている買主が多い
3つ目の理由は、中古物件の売却を考えた時、売主手動のリフォームに関しては、売却活動を進めていく上で、逆効果になってしまう可能性があるという理由です。
というのも、以前別の記事でご紹介しているのですが、中古物件の購入を検討している方は、購入後にリフォームが必要になるということを想定しています。ただ、このリフォームについては、「どのような感じにするのか?」について、自分で決めたいと考えている方の方が多いとされているのです。そのため、売りに出す前に、売主手動でクロスの張り替えリフォームを実行してしまうと「色が趣味に合わない」「機能性の高いクロスにしたかった」など、リフォーム工事そのものが選ばれない理由になってしまうのです。
こういった理由から、中古マンションの売却については、クロスの張り替えは基本的に不要とされているわけです。
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④クロスだけ新しくなると、その他の部分の劣化が目立ってしまう
クロスの張り替えを実行すれば、確かに壁面は綺麗に見えるようになるため、内覧時の印象を良くすることができるかもしれません。
しかし実際には、クロスの張り替えを実行することで、物件内の汚れやキズが余計に目立ってしまう可能性があるのです。なぜなら、中古物件は、壁だけが汚れているわけではないからです。クロスの張り替えを検討するという場合、それなりの年数をそこに住んでいたことが想定できるのですが、その場合、壁同様に、床や天井、その他の設備なども劣化が進行しているはずです。そのため、このような状況の中で、クロスだけ新品に張り替えするという対処を取れば、その他の部分の劣化が余計に目立ってしまうようになり、購入希望者から不自然に見えてしまうようになる可能性があるのです。
したがって、クロスの張り替えをした後、室内の調和を取るためには、床やその他の設備の新調が必要になり、結果的に多額のコストがかかってしまう…という状況になってしまう可能性があるのです。先程紹介したように、中古物件の購入を検討している方の多くは、購入後に自分の希望通りにリフォームを実施したいと考えています。そのため、売主手動でフルリフォームをかけるといった状態になると、多額のコストをかけたうえで売れにくくなる…という最悪の状況になりかねないのです。
クロスのみの張り替えは、部屋の印象が不自然になりがちという問題があるため、それならいっそのこと、張り替えせずに売りに出した方が良いという意見になっているのです。
マンションの売却においては、上記のように、クロスの張り替えまでは必要ないケースの方が多いと考えておきましょう。中古住宅の購入を考えている方は、ある程度の汚れやキズは想定しているため、新品状態にする必要性はあまりないのです。
ただ、日常生活で付着する汚れなどをそのまま放置して売りに出すという行為はNGなので、可能な限りは汚れを落とすための掃除を実行しましょう。軽微な汚れなら、市販の洗浄剤を使って自分で掃除すれば良いでしょう。ただ、油汚れやカビ汚れなど、しつこい汚れの場合は、ハウスクリーニング業者に依頼するなど、プロの手で綺麗に掃除してもらうと良いです。どちらにせよ、クロスの張り替えまでは不要で、掃除で対応できるケースが多いと考えておきましょう。
クロスを張り替えしたほうがいいケースもある
上述したように、マンションの売却時には、クロスの張り替えは基本的に不要と考えておいて問題ありません。しかし、全てのケースでクロスの張り替えが不要なのかというと、そうではないので注意しましょう。
ここでは、マンションを売却するにあたって、事前にクロスの張り替えを実行したうえで売りに出した方が良いケースについても簡単にご紹介します。
①築年数の割にクロスがひどく汚れている
マンションの売却で、クロスの張り替えを検討したほうが良いケースは、築年数に見合わないほど、ひどくクロスが汚れているという場合です。例えば、築10年以内など、比較的築年数が浅い物件なのに、クロスが極端に汚れているという場合、物件の扱い方について疑問を持たれてしまう可能性があるでしょう。
また、築浅物件は、本来、綺麗で設備などの状態も良いことから、比較的高値での売却が期待できる物件です。しかし、築年数に見合わないほどクロスが汚れているという状態になると、物件が必要以上に古く見えてしまい、「築浅物件である」という優位性が生かせなくなる可能性が高いのです。
したがって、築浅物件に関しては、それに見合った綺麗さを取り戻しておくことで、高値での売却が期待できるようになるため、クロスの張り替えにかけたコストを上乗せして売却することが期待出来るため、売主側の負担は少なくなると予想できます。その上、物件の扱い方に不信を持たれる心配も無くすことができるので、張り替えのメリットが大きいと言えます。
②水回りのクロスがひどく汚れている
水回りは、その他の場所と比較すると、クロスが汚れやすくなります。キッチンの場合、調理中に油や調味料が跳ねる、洗面所などは湿気でカビが繁殖するなどが考えられます。そして、このような水回りのひどい汚れは、清潔感が失われてしまう要因になります。
清潔感が失われてしまうと、内覧に訪れた購入希望者は、物件に対する印象が悪くなり、条件が類似したライバル物件を選択する可能性が高くなります。特に、同じマンションの中で、複数の物件が売りに出ているという場合、間取りなどの条件が同じになることから、クロスがひどく汚れていて清潔感が失われている物件は、敬遠されてしまう可能性が高くなるのです。
不動産の売買では、物件の客観的な条件が重要になるとはいえ、物件を見た時の購入希望者の印象も成約を大きく左右するポイントになります。内覧時に良い印象を持たれた物件は、早期かつ高値での売却に繋がる可能性があるのですが、その逆に悪い印象を持たれてしまうと、購入の検討候補から外れてしまうこともあるのです。
中古住宅の内覧時には、水回りの確認を慎重に行う方が多いため、この部分がひどく汚れているという場合、購入の意思を失わせるなど致命的な問題になり得ると考えなければいけません。そのため、ハウスクリーニング業者など、プロの手による清掃でも清潔感を取り戻せない…というケースでは、クロスの張り替えを実施して、清潔感を復活させた方が良いです。
③大きな剥がれや穴、ひどい汚れが付着している
水回り以外の場所についても、内覧者に悪印象を与えてしまうような状態になっていると判断できる場合は、事前にクロスの張り替えを実行したほうが良いです。例えば、以下のような状態は、そのまま売却活動を進めるのは難しいかもしれません。
- 子供の落書きが大きく残っていて消せない
- 家の中で怪我をしたときの血痕がクロスに残っていて消えない
- クロスが大きく剥がれている
- クロスに大きな穴が開いている
- ペットの爪とぎなどで、クロスの一部がボロボロになっている
上記のような状態になっている場合は、クロスの張り替えを検討しましょう。極端に目立つ汚れは、そのまま残した状態だと、物件の印象を損なってしまいます。そのため、購入を控えられたり、値下げ交渉の材料にされるなど、売却活動がスムーズに進まなくなるのです。
また、クロスの剝れや大きな穴、ペットの爪とぎ跡などについては、物件が荒廃しているという印象を与えてしまうため、購入を躊躇する方が多いです。クロスの剥がれなどは、誰が見ても気付く問題なのに、それを放置したまま生活していたとなると、普段の物件の管理も不十分なのではないか…と疑われてしまう要因にもなります。したがって、こういった問題のある物件は、事前にクロスの張り替えを実行し、悪印象を与える要因を無くしましょう。
④ペットやたばこのにおいが染み付いている
家族の中にタバコを吸う人がいる、室内で犬や猫など、ペットを飼育しているという物件の場合、クロスに嫌なニオイが染み付いている可能性があるため、事前に張り替えたうえで売りに出した方が良いです。
物件内のクロスについては、汚れやキズよりも、ニオイを嫌がる人が非常に多いです。特に、タバコのニオイに関しては、昨今強く嫌う人がいるため、そのニオイが染み付いたクロスをそのままにしておくと、購入を見送られてしまう可能性が高くなります。
したがって、クロスに何らかの臭いが染み付いているというケースでは、物件内のクロスを全面的に張り替えることを検討しましょう。なお、室内のニオイについては、そこに住んでいる人では気付けないケースも多いため、売りに出すことを考え始めたら、第三者に嫌なニオイを感じないか、確認してもらうと良いです。
上記のようなケースについては、事前にクロスの張り替えを実施したほうが、物件の売却がスムーズに進む可能性が高いと思います。
なお、物件内の印象をとにかく新しく良いものにすることで、早期の売却を目指したいなどと考えるなら、どのようなケースであってもクロスの張り替えは実行しても良いと思います。クロスの張り替えは、物件内の印象を大きく変えることができるため、売主側に経済的損失が多少あっても良いというなら、早期売却を目指すための有効な手段になると考えられます。
売却前にクロスの張り替えを行うメリットと費用について
それでは、マンションの売却において、事前にクロスの張り替えを実施することで得られるメリットやクロスの張り替えにかかる費用についてもご紹介しておきます。
クロスの張り替えを行うメリット
マンションを売りに出す前にクロスの張り替えを実行すれば、以下のようなメリットが得られます。
- 部屋が綺麗に新しく見えるため、早期売却が期待できる
クロスの張り替えを実施すれば、室内の汚れやキズの問題を解消することができます。また、くすみなども無くなるため、部屋が綺麗で新しく見えるようになります。中古物件の購入を検討している方にとっては、綺麗で新しく見える物件は、非常に好ましい条件となり、購入意欲を高めることができます。そのため、クロスの張り替えを実施しなかった場合と比較すると、早期の売却が期待できるようになるのです。例えば、同じ条件、価格の物件が2つあったとして、片方がクロスの汚れが目立つ、もう一方はクロスが張り替えられていて綺麗に見えるという条件の場合、多くの方は後者の物件を選ぶはずです。 - 物件広告においてもアピールポイントになる
クロスの張り替えを実施すれば、物件広告の段階で「クロス張り替え済み!」などと、物件のアピールポイントとして利用することができるようになります。今の時代、中古物件の購入を考えた時には、まずインターネット上の不動産検索サイトで好みの物件を探すという行動に出ます。不動産検索サイトでは、条件や価格帯が似た条件の物件が一覧で表示されるため、その中から選んでもらうためには、他の物件にないメリットを打ち出す必要があるのです。そして、「クロス張り替え済み」という条件は、物件内が綺麗になっていることを示しているため、顧客の興味を引くことができ、ライバル物件よりも目立てる可能性が高くなるのです。
マンションの売却において、あらかじめクロスの張り替えを実行するという方法は、物件の印象を良くすることで早期の売却を目指せるという点が大きな魅力になります。ただ、先ほども紹介した通り、クロスの張り替えにかけるコストを売却価格に上乗せすることは難しいので、売主さん側の負担が大きくなる可能性があるという点は注意しましょう。
マンションのクロスの張り替え費用については、以下の通り、それなりの金額になってしまいます。
クロスの張り替え費用について
クロスの張り替え費用については、新たに採用する壁紙の種類によって金額は上下するものの、一般的な費用相場としては1㎡あたり800円~2,500円程度が相場とされています。したがって、特定の部屋だけ実施する、物件全体のクロスを張り替えるなど、リフォームの規模によっても費用が変わります。
以下に参考として、いくつかのパターンにおけるクロスの張り替え費用をご紹介しておきます。
- 6畳の部屋のみ:4万円~8万円(壁・天井含む場合)
- 8畳の部屋のみ:5万円~10万円(壁・天井含む場合)
- 2LDK全体:35〜45万円程度
- 3LDK全体:40〜50万円程度
上記はあくまでも参考程度と考えてください。クロスの張り替え費用は、採用する壁紙の種類や部屋の広さなどによって費用は大きく変わります。
マンションの売却はホームステージングによる印象アップがおすすめ
ここまでの解説で、マンションの売却におけるクロスの張り替えの有効性についてある程度分かっていただけたと思います。
クロスの張り替えについては、基本的には不要と考えておいてかまわないのですが、汚れやキズがひどく、築年数に対して古く見えてしまうというケースでは実施したほうが良いと言えます。なお、マンションの売却に際して、クロスの張り替えを検討する方の多くは、物件内の壁を「綺麗に見せる」「新しく見えるようにする」ことで、内覧時の印象を良くしたいという考えがあるためだと思います。先程紹介したように、中古住宅の売却に関しては、購入希望者が物件を確認した時の印象が、購入するかどうかを大きく左右することになるため、少しでも内覧時の印象を良くしたいと考え、クロスの張り替えを実行するわけです。
ただ、内覧時に購入希望者の印象を高めたいと考えるのであれば、クロスの張り替えだけを実施するのでは不十分です。家の中の汚れやキズについては、壁だけでなく、床や天井、そして普段使用している家具・家電などにも付着しているわけなので、クロスだけを真新しくした場合、その他の部分の問題がより際立ってしまい、逆に印象を悪くしてしまう可能性もあるのです。
したがって、物件の早期売却や高値売却を目指すための印象アップについては、「クロスだけ」など、部分的に注目するのではなく、部屋全体を総合的にコーディネートしてあげる必要があると考えなければいけないのです。そして、そのための方法として昨今注目されている方法がホームステージングです。
ここでは、マンションの売却を有利に進める方法として注目を集めているホームステージングについて、なぜ物件の印象をアップできるのかを簡単にご紹介します。
ホームステージングは「売れる物件」にするための総合プロデュースをしてくれる
ホームステージングは、もともと中古住宅市場が活発なアメリカで誕生した方法で、欧米では、マイホームを売りに出す際にはホームステージングを実施することが当たり前と捉えられている国も多いとされています。欧米各国におけるホームステージングは、売りに出す物件に対して、家具や家電、インテリアや照明などを配置することで、購入希望者が良い印象を受けるような空間を作り出し、早期の売却や高値での売却を実現する方法とみなされています。ちなみに、欧米では、中古住宅は「家具ごと」売却する国が多いため、家具を含めて物件を魅力的に見せる「ホームステージング」という手法が広く普及したのだと思います。
このホームステージングと呼ばれる手法については、2000年代に入ってから日本でも取り入れられるようになっています。そして、欧米各国とは異なる日本特有の社会情勢に適応させるため、ホームステージング自体が日本独自の形に変化しているのです。欧米では、「家具ごと」物件を売却するために有効な手法として取り入れられているようですが、日本では、我が国特有の住宅事情に見合うよう、片づけや掃除、インテリア・小物の活用、遺品整理、これらに関連する廃棄、保管、物流の知識なども含め、より快適な暮らし、住み心地の良い住まいを実現するための専門知識や技術が日本独自の「ホームステージング」として体系化されているのです。
日本は、ホームステージングが誕生したアメリカが直面していないような高齢化、人口減少、空き家の増加などの原因による住環境の悪化から起こるさまざまな問題が表面化しています。そのため、不動産の売買では、日本特有の問題に対応するために、片付けや整理収納なども要求されるのです。また、コロナ禍の2020年頃からは、不動産業界でも非接触型のサービスが求められるようになり、ホームステージングもそれに対応できるように変化しています。
実際に、日本国内におけるホームステージングは、以下のように作業領域が非常に広いという特徴があります。
- ①整理収納(片づけ、快適収納比率)
- ②断捨離(不要家財の区分・分別)
- ③遺品整理(遺品や相続に関する知識とサポート)
- ④掃除(汚れの分析と対処方、洗剤・用具の基礎知識、消臭・除菌)
- ⑤生前整理(顧客心理、コミュニケーション)
- ⑥廃棄と保管およびリサイクル(ホームステージングに関する法的な知識)
- ⑦インテリア(空間プランニング、テーブルコーディネート、アロマの知識、快適空間比率)
- ⑧インテリア写真の撮影及び画像(2D、3D、VR)
- ⑨エクステリア(ガーデニング)
このように、日本におけるホームステージングは、物件内を綺麗に清掃、整理整頓したうえで、内覧者の印象を最大化できるよう、家具やインテリア、照明などを使ってコーディネートするという方法なのです。そのため、クロスの張り替えなど、部分的な対処では取り戻すことができない清潔感が物件全体に広がるのです。
実際に、専門業者が実施するホームステージングは、下の画像のように、物件そのものが持つ魅力を最大がすることができます。



ホームステージングを実施すれば、物件全体の印象を大幅に向上させることができるため「売れる物件」にすることができるのです。
まとめ
今回は、マンションの売却を検討した際、事前に物件内のクロスの張り替えを実行する必要性があるのかについて解説しました。
記事内でご紹介したように、マンション売却においては、事前のクロスの張り替えは特に必要がないと考えておいてかまいません。これは、中古住宅の購入を検討している方は、物件内の汚れやキズをある程度想定しており、売り出し価格と物件の状態が見合っているのであれば、クロスの張り替えなどを行っていなくても気にせずに購入するという決断をするからです。また、中古住宅を購入する方でリフォームを想定している方は、売主手動でリフォームを実施するのではなく、購入後に自分たちの理想に合わせてリフォームしたいと考えています。そのため、購入希望者の意図に合わないリフォームになってしまうと、お金をかけて実行したリフォームが逆効果に働くという最悪の結果を招く恐れもあるのです。
なお、クロスの張り替えはどのようなケースも必要がないというわけではありません。例えば、築年数の割にひどくクロスが汚れている、傷ついているというケースや、タバコやペットのニオイが染み付いているといったケースの場合、そのままの状態で売りに出すと、内覧時の印象が悪くなってしまう可能性が高いので、このようなケースではクロスの張り替えを検討する必要があるでしょう。購入希望者が内覧した時に受ける印象は、購入するかどうかに大きな影響を与えるため、悪印象を与えるほど状態が悪いと感じる場合には、そのままの状態で売りに出すのはおすすめできないのです。
マンションの売却を考えているという方は、できるだけ早く、さらに高く買ってくれる人を見つけたいと考えているはずです。そしてそのための方法として、昨今の不動産業界ではホームステージングが注目されているので、クロスの張り替えなど部分的な対処を実施するのではなく、上で紹介したように物件全体をコーディネートしてもらい高値売却を目指すのがおすすめです。