ホームステージングとは？その効果や具体的な実施方法をご紹介！
昨今、不動産の売買や賃貸を促進するための手法として「ホームステージング」と呼ばれる方法が注目を集めています。ホームステージングは、売却を予定している住宅やマンション、賃貸予定の物件をより魅力的に見せるための対策で、不動産の内装を家具やインテリアでコーディネートし、物件の魅力を最大化させる手法のことを指しています。
このホームステージングは、もともと1970年代のアメリカで始まったとされ、欧米各国では家を売却する際に当たり前に取り入れられる手法となっています。そして、アメリカで始まったホームステージングが近年、日本でも注目を集めるようになっていて、不動産の売買や賃貸を促進する目的で導入を検討する人が増えています。実際に、不動産の売買や賃貸を主事業としている多くの企業が参入するサービスとなっています。
それでは、ホームステージングが昨今の日本で急激に注目を集めるようになったのはなぜなのでしょうか？この記事では、ホームステージングとは、具体的にどのような対策を物件に施すのか、またホームステージングを実施することで得られる効果など、このサービスの基礎知識について解説します。
ホームステージングとは？注目される理由やその効果について
それではまず、ホームステージングとは、不動産に対してどのような対策を施すことを意味しているのか、またホームステージングを行うことでどのような効果が期待できるのかについて解説します。
冒頭でご紹介したように、ホームステージングは、売却や賃貸を予定している不動産を「より魅力的に見せる」ための対策を言います。具体的には、不動産の内装を、家具や照明、小物や植物などで装飾することで、その物件の魅力を最大限まで引き出し、内覧した人により良い印象を与えるという手法となります。物件の中を家具やインテリアで装飾することで、そこでの素敵な生活を具体的にイメージさせることができるようになり、高値売却や早期売却をサポートすることができるサービスとされています。
もともとアメリカで始まったサービスで、欧米では既に当たり前の対策とみなされているのですが、日本ではまだ認知度はそこまで高くありません。しかし、中古物件市場が活発化している昨今、急激にその注目度が高くなっています。
なお、ホームステージングのサービス内容は、企業によって多様化を見せ始め、空室の家をより良く見せるコーディネートをするだけでなく、住みながらの売却活動を検討している方に向け、一時的に荷物を預かってくれるサービスを展開する企業が登場するなど、さまざまなプランが展開されるようになっています。
ホームステージングが注目される理由
昨今、日本でもホームステージングが注目を集めるようになったのは、以下の二つの要因が大きいとされています。
- ・中古住宅市場が活性化している
- ・インターネットの普及と技術の進化
まず中古住宅市場の活性化についてですが、戸建て市場に関しては、全国的に放置空き家の増加が社会問題化していて、空き家の管理が厳格化されたというのが一つの要因といえるでしょう。相続などで親が住んでいた住宅を持て余す人が増えていて、適切な管理がなされない空き家が増加し、周辺環境に悪影響をもたらすようになっているのです。そこで政府は、空き家対策として相続登記の義務化や空き家の管理義務化などを決め、現在では空き家を所有しているだけでさまざまなコストがかかってしまうようになっています。そのため、自分で住まない物件は、速やかに賃貸に出す、もしくは売却するという人が増えているのです。また、マンションなどの集合住宅についても、昨今では、中古マンションの成約件数が、新築マンションの販売件数を大きく上回る結果になっているように、中古住宅市場の活性化がみられているのです。
ただ、中古住宅は、各所に経年劣化が表面化しているため、新築物件と比較すると、どうしても魅力が伝わりにくく、高値での売却や早期売却が難しくなってしまいます。そこで、無理な値引き交渉を防ぐ、早期の売却を目指すといった目的で、物件の魅力を最大化できるホームステージングが注目されているのです。
インターネットの普及については、現在では、実際に物件を内覧しなくても、オンライン上でさまざまな物件を閲覧できるようになっています。ネット環境さえあれば、遠方に住む人に物件をアピールすることができるようになっています。特に、オンライン上であれば、物件に家具を置かなくても、仮想空間上で内装を自由にコーディネートすることができるという手軽さから、ホームステージングが注目を集めるようになっているのです。
データ参照：首都圏不動産流通市場の動向（2022年度）
ホームステージングの効果とは？
ホームステージングは、インテリアなどを使って物件を魅力的に演出することで、不動産の売買や賃貸を促進することができるとされています。物件の魅力を最大限引き出すことができれば、不動産の購入者や借り手に「こんな魅力的に家に住んでみたい！」と思わせることができるようになります。
実際に、ホームステージングは、不動産の売買や賃貸において、以下のような効果が見られたというデータがあるのです。
- ・早期での制約
一つ目の効果は、不動産の売買や賃貸において、買い手や借り手を早期に見つけられるという効果があるとされています。ホームステージング白書2023年に掲載されている情報によると、不動産の売買においてホームステージングを実施した場合、成約までの期間が短くなったと答えた人が約7割に達しています。賃貸市場においては、約82%の人がホームステージングにより制約の期間が短くなったと答えています。 - ・値下げの抑止
ホームステージングは、物件の魅力を最大化させることができるため、内覧した人に良い印象を与えます。そのため、ホームステージングの有無は、物件の価格面でも良い効果が期待できると考えられます。実際に、ホームステージング白書2017年では、ホームステージングを実施した物件は、平均で約0.5％高く売却されたという調査結果もあります。
上記以外にも、問合せ数や内覧数、内覧時間が増えたというデータもあるため、不動産の売買、賃貸を考えている人にとっては、非常に効果的な手法といえるでしょう。
参照：ホームステージング白書
ホームステージングの実施方法について
ここまでの解説で、ホームステージングがどのような対策で、実施することでどんな効果が期待できるのか分かっていただけたと思います。分かりやすく言うと、インテリアなどで装飾することで、物件をより良く見せ、買い手や借り手に「ここに住んでみたい！」と思わせるという手法です。
ただ、実際にホームステージングを実施する場合には、いくつかの方法があり、選択する方法によって期待できる効果などが異なるのです。そこでここでは、ホームステージングを実施する主な方法と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
DIYでホームステージングを実施する
一つ目のホームステージングの方法は、DIYで実施するというものです。DIYは「Do It Yourself」の略語で、自分自身で行うことを指しています。専門業者などに頼らないので、業者探しや打ち合わせの手間などを省けるため、手軽にできる方法として人気になっています。
ホームステージングは、物件が魅力的に見えるように家具やインテリアなどを使って装飾するという対策と説明しましたね。家具の配置や魅力的に見える装飾については、誰でも簡単にできるとは言えませんが、専門家でなければ絶対にできないというものではありません。昨今では、自宅のリフォームなどもDIYで行う人が増えていますし、ホームステージングのために必要な道具を所有しているという方であれば、DIYで実施することも不可能ではないでしょう。
DIYによるホームステージングは、対策にかかる費用を抑えられるという点がメリットです。築年数がさほど経過しておらず、軽微な手直しや一部のインテリアのみ変えるだけで済むというケースならDIYによるホームステージングが活用できると思います。
しかし、大型家具を移動するなど、物件のレイアウトを大幅に変更したい、電気配線や水回り設備の変更が必要など、規模が比較的大きな対策となると、DIYによるホームステージングはあまりおすすめではありません。大規模なホームステージングをDIYで行うと、準備に長い時間がかかってしまい成約までの期間は余計に長くなってしまう可能性があります。また、施工に失敗してしまうと、物件の価値を下げてしまう結果になるため、ホームステージングが逆効果に働いてしまう可能性があるのです。
DIYによるホームステージングは、インテリアなどの知識が豊富で比較的軽微な変更で収まる場合にはおすすめできますが、少しでも不安に感じる部分があれば専門業者への依頼が必要と考えましょう。どちらにせよ、インテリアやコーディネートの知識が一切ないなど、全くの初心者の人には難しい方法です。
ホームステージング専門の業者に依頼する
二つ目の方法は、ホームステージングサービスを取扱っている専門業者に依頼するという方法です。インテリアの選定や搬入、設置までを一貫して専門業者に依頼するという方法なので、手間をかけずに物件の魅力を最大化してもらうことができます。
ホームステージングは、「どの層をターゲットにするのか？」によって物件に施すべき最適なコーディネートが変わります。専門業者に依頼すれば、プロの目線でターゲット層を絞り込み、それに合わせた物件のコーディネートをしてもらうことができるため、より高値で早期に成約までこぎつけることができるようになるでしょう。
ホームステージングに必要なインテリアについては、レンタルで設置してもらうことも出来ますし、既存の荷物が邪魔になる場合は、一時的に預かってもらうといったサービスを受けることができる業者もあります。「物件の魅力を最大化する！」というホームステージングの実施という点だけを考えると、やはりプロに依頼するのが最も安心できると言えます。
ただ、専門業者にホームステージングを依頼するという方法は、DIYなどと比較すると、費用が高額になるという点がデメリットです。
バーチャルホームステージングを利用する
3つ目の方法は、バーチャルホームステージングを利用するという方法です。
バーチャルホームステージングは、「バーチャル・リアリティ（VR）技術」を活用したサービスで、仮想空間上で売り出し中の物件をコーディネートし、買い手や借り手に見てもらうという方法になります。
DIYや専門業者に依頼してホームステージングするという方法と比較すると、本物の家具やインテリアを用意する必要がないため、ホームステージングにかかるコストを削減することができます。もちろん、インテリアの搬入や設置も不要なので、手間なども削減できます。
さらに、物件のコーディネートに関しては、あくまでも仮想空間上に用意するだけなので、複数のデザインを取り入れたバーチャルホームステージングを用意することも可能です。インテリアデザインの好みは人それぞれなので、複数のデザインが用意できるバーチャルホームステージングは、さまざまな層の人に同時にアピールできるようになるというメリットがあります。
注意点としては、画像の加工数が増えていくごとに費用が加算されていくため、複数のバーチャルホームステージングを用意する場合、他の方法と変わらないレベルのコストがかかってしまう可能性もあると言えるので注意しましょう。さらに、CGのクオリティに関して、業者によってかなりの格差があるため、業者選びを間違った場合は、物件の魅力が伝わるものが出来上がらない可能性があります。
ホームステージングの注意点について
それでは最後に、不動産の売買や賃貸の促進のため、ホームステージングの実施を検討している方に向け、おさえておきたい注意点をいくつかご紹介します。
ホームステージングは必ず効果があるわけではない
一つ目の注意点は、ホームステージングを実施したからといって、必ずしも期待通りの効果が得られるとは限らないという点です。上でも紹介したホームステージング白書によると、不動産売買・不動産賃貸共に、ホームステージングの効果を感じたと答えた人は9割強に上っています。これを見ると、不動産の売買や賃貸においては非常に有効な手段と看做せますが、1割弱の人は「効果を感じなかった」としているわけです。
どのような方法でホームステージングを実施するにしても、ある程度のコストがかかってしまうのは間違いないので、ホームステージングを実施しても効果が得られない可能性があるということは考慮に入れておく必要があるでしょう。
ホームステージングの必要性については、物件によって異なるため、実施を迷っているという方は専門業者に相談してみると良いでしょう。
居住中のホームステージングは手間がかかる
不動産の売買では、居住中に物件の売却を目指すケースも珍しくありません。ただ、このケースでは、内覧時に生活感が出過ぎてしまうため、買い手を見つけるのに苦労する…という場合が非常に多いです。
そのため、ホームステージングを実施することにより、内覧時の印象を良くしたいと考える方が多いです。しかし、居住中の物件にホームステージングを実施する場合、普段の生活で使用している家具の取り扱いに注意が必要です。既存の家具をそのまま使用することも出来ますが、その場合は生活感を消し去ることが難しいため、ホームステージングの効果が薄れてしまう可能性があります。装飾のために、家具を入れ替える場合、既存の家具の移動や処分が必要になり、そこに手間やコストがかかってしまうのです。
物件の成約後、ホームステージングに使用した家具を買い取ることも可能なので、古くなった家具を買い替えるつもりでホームステージング用の家具を選んでもらうことも考えましょう。また、引っ越し後に既存の家具をそのまま使用したい場合、一時的に預かってもらうことができるか確認したほうが良いでしょう。
まとめ
今回は、1970年代のアメリカで生まれ、日本でも注目を集めるようになったホームステージングの基礎知識について解説しました。
記事内でご紹介したように、ホームステージングとは、不動産がより魅力的に見えるようにインテリアなどを使ってコーディネートする対策のことを指しています。ホームステージングを実施することで、物件が持つ魅力をより的確に伝えることができるようになり、価値の向上や早期売却が期待できるのです。
ホームステージングは、不動産の売却や賃貸をスムーズに前に進めるため、非常に有効な方法となります。中には、本来の相場よりも高く売却できたという話もあり、ホームステージングの本場であるアメリカなどでは、ホームステージングを行った家の売却は、行わない物件に比べて6%以上高く売れるという調査データもあるようです。（アメリカ、コールドウェル銀行調査データより）もちろん、ホームステージングを実施したからと、必ずしも効果があるとは限らず、かけたコストを必ず回収できるという保証は有りません。
自宅の売却などを検討している方で、ホームステージングが必要なのかどうかで迷っているという方がいれば、不動産の仲介会社やホームステージングサービスを取り扱う会社に相談してみると良いでしょう。
なお、KAGKASは、不動産のバリューアップを目的としてマンションや戸建て・モデルハウス向けにインテリア・家具のレンタルを行うホームステージング事業を手掛けています。物件の早期制約や高値での売却を目指しているというお客様は、お気軽に弊社までお問い合わせください。