ホームステージャーとは?ホームステージング会社に依頼できる作業内容について
昨今では、不動産の売却や賃貸を促進するための方法として、ホームステージングと呼ばれる手法が注目されています。ホームステージングとは、簡単に言うと、売却や賃貸を考えている不動産に対して、部屋の中に家具やインテリアを配置してお洒落に見えるように演出するという方法で、内見に来た人に良い印象を与えることで早期売却や高値売却が期待できるとされています。通常、空室状態の不動産は、部屋の中に何も置かれていないため、内見した人は部屋のサイズ感が分かりにくい、入居後の生活がイメージしにくいといった問題が生じ、売買や賃貸がスムーズに進みにくくなるのです。ホームステージングは、物件のターゲットとなる人により良い印象を与えることができる演出を施すため、購入や賃貸の後押しをすることができるとされています。実際に、不動産に係わる取引において、ホームステージングの有無は非常に大きな影響を与えているという調査データも出てきています。
ホームステージングは、1970年代のアメリカで誕生し、最近になって日本に上陸したまだまだ新しい対策です。そのため、ホームステージングを専門に取り扱う会社に相談した場合、どのような内容の作業を依頼できるのか、またホームステージングのプロと呼ばれる人は何らかの資格を持っているのかなど、基本的なことが分からない人も多いです。
そこでこの記事では、日本国内におけるホームステージングに係わる資格「ホームステージャー資格」が何なのか、またホームステージング会社にどのような作業を依頼できるのかをまとめてご紹介します。
ホームステージングの資格となる「ホームステージャー資格」とは?
ホームステージングを実施する目的は、物件の内覧に来た人に、入居後の実際の暮らし方や生活のシーンを想像させ、その物件に決めた時の恩恵を実感させることといえます。そのため、効果のあるホームステージングを実施するためにはさまざまな知識や技術が求められるのです。
ここでは、ホームステージングを実施する人に求められる知識、技術がどういったものか、またホームステージングの知識を持っている人なのかを判断するための資格などはあるのかについて解説します。
効果を出すホームステージングの技術
ホームステージングについては、部屋の中を家具やインテリアなどでおしゃれに演出する方法と簡単に解説されることが多いです。そのため、「家具やインテリアを置くだけなら自分でできるのでは?」と考える人も多いです。実際に、不動産の売却や賃貸を考えた時、DIYでホームステージングを実施してみたことがあるという人もいるかもしれませんね。
ただ、効果的なホームステージングを実施したいと考えた時には、ある程度の知識や経験が必要になります。やみくもに家具を配置したとしても、印象が良くなるわけではありませんし、間違った家具やインテリアを選んでしまうと、逆効果に働いてしまうこともあるのです。効果的なホームステージングを実施するためには、最低限、以下のような知識と経験が必要と言われています。
- ターゲットに適したインテリアスタイルの選択
- 想定するインテリアスタイルにマッチする家具や照明、インテリアの選定とコーディネート
- カラーコーディネートの基礎知識
ホームステージングは、売却もしくは賃貸を予定している物件内に、家具やインテリアをレイアウトすることが主な作業となります。ただ、配置する家具やインテリアについて、何でも置けばよいというものではなく、想定したターゲットに好印象を与えるために、上記のような知識やセンスが求められるのです。
特に、不動産の売却や賃貸においては、ターゲットの設定が非常に重要な要素となります。物件の立地条件や特性などから、ターゲットを絞り込む必要があるのですが、この作業は経験がものを言う部分でもあるので、一般の方にはかなり難しい領域となるのです。もし、最初のターゲットの絞り込みが間違ってしまうと、その後のホームステージング作業もズレたものとなってしまいます。
ホームステージングは、まだまだ新しい対策であるため、マーケティング技術としてはまだ蓄積が少ないという状況です。しかし、ホームステージングを専門的に取り扱っている会社の中には、既にそれなりの量の情報が蓄積され始めているため、業者選びを間違わなければ、適切な対策を施してもらうことが期待できるようになっています。
ホームステージャー資格について
ホームステージングに係わる国家資格は、現在のところありません。ただ、日本国内でもホームステージングが注目されるようになったこともあり、民間資格が作られています。
顧客からの依頼を受けてホームステージングを実施する専門家のことを「ホームステージャー」と呼ぶのですが、日本では、一般社団法人日本ホームステージング協会が「ホームステージャー資格」の認定を行っています。日本ホームステージング協会では、1級と2級の資格を設けていて、団体が指定する一定の講習を受けたのち、認定試験や実技試験に合格することで資格が授与される仕組みになっています。
なお、一般社団法人日本ホームステージング協会が実施している「ホームステージャー資格」のカリキュラムは、以下の通りです。
■ホームステージャー2級
- ホームステージング概論
- 片づけ基礎
- 掃除基本
- 居住中ホームステージング
- 遺品整理基本
- インテリアの基本
- 空室ホームステージング
- 『快適空間判定装置及びプログラム』について
- ホームステージャー2級認定試験
講義は、来場型以外にもオンライン上で講習を受けることができるようになっています。各種講習を受けたのち、Web試験またはペーパー試験が実施され、80点以上で合格となります。
■ホームステージャー1級
- 空室ホームステージング①
- 空室ホームステージング②
- ホームステージングビジネス
- 快適空間比率
- ホームステージング写真の撮り方
- 居住中ホームステージング
- 認定試験+小論文 120分
- 空室ホームステージング実技実習①
- 空室ホームステージング実技実習②
- ベッドルーム設営実習
- 講座総括
1級は、講習と試験が2日に分けて行われます。ホームステージャー資格では、ホームステージングに係わる知識だけでなく、片付け・掃除・遺品整理や写真の撮り方、生活空間の創造に関わる知識など、幅広い内容の講習が行われるのが特徴です。
ホームステージング会社に依頼できる作業内容
それでは次に、ホームステージングの専門業者に依頼することができる作業内容について解説していきます。前項でご紹介したように、ホームステージングに関してはきちんと資格が作られていて、専門業者に作業を依頼すれば、専門知識を持つ人が効果的なホームステージングを実施してくれます。
ただ、ホームステージングは、業界そのものがまだ新しく、どのような作業を依頼できるのかが分からず、最初の一歩を踏み出せていないという人も多いはずです。そこでここでは、ホームステージング会社が請け負うことができる主な作業内容について解説します。なお、昨今ではホームステージング会社ごとにサービス内容が多様化しているため、以下で紹介する内容をすべての会社に依頼できるわけではないので注意しましょう。
内装提案、インテリアコーディネート
ホームステージング会社は、物件がよりよく見える内装に関する提案を行ってくれます。これには、壁の色の選定や床材の選択、照明や家具、インテリアの配置などが含まれています。物件のターゲットを絞り込み、専門のデザイナーやコーディネーターが、物件の魅力を最大限引き出せるようにするため、最適な内装プランの提案を行います。
具体的には、以下のような作業を行ってくれます。
- 物件のターゲット層に合わせた家具、小物、照明などを選定し、搬入・配置する
- 部屋全体を統一感のある魅力的な空間に演出する
- リビング、キッチン、寝室、子供部屋など、各部屋のコーディネートを行う
DIYでホームステージングを行う場合、適切なターゲット層の絞り込みが非常に難しいです。また、家具やインテリアの選定は、搬出・設置にコストも手間もかかるため、準備段階に時間がかかりすぎてしまうという問題も生じます。
家具や小物のレンタル
ホームステージングでは、物件のターゲット層に合わせた家具、小物、照明を使用することが重要です。住みながらの売却では、既存の家具をそのまま利用した状態で内見させることも多いのですが、その場合、生活感が残りすぎてしまうことで物件の魅力が上手く伝わらないのです。
ほとんどのホームステージング会社は、ホームステージングに使用する家具やインテリアについて、レンタルサービスを提供しています。そのため、物件の売却や賃貸のために、一から綺麗な家具やインテリアを購入しなくても、物件が最もよく見えるようになる家具を一時的に提供してもらうことができるのです。そのため、物件を最大限魅力的に見せるための適切な家具が揃い、内見した人により良い印象を与えるという効果が期待出来ます。
なお、ホームステージング会社の中には、レンタル家具の購入も受け付けていて、居住者が家具やインテリアを気に入った場合、そのまま引き継ぐことも可能です。
家具の預かり
ホームステージング会社の中には、既存家具を一時的に預かってくれるサービスを展開している場合も多くなっています。これは、住みながらのホームステージングでは非常にありがたい内容となります。
住みながら家の売却を検討した時には、生活するための家具が必要になります。しかし、長年使用した家具をそのままの状態で内見してもらうと、生活感が出てしまうため、なかなか成約に至らない…なんてことになりやすいです。ホームステージング会社に依頼すれば、物件をより良く見せるための家具をレンタルしてもらえるのですが、その際には、現在設置している家具が邪魔になってしまいます。そこで、家具の搬出に合わせて、ホームステージング上、邪魔になる既存家具を搬出し、一時的に預かってもらえるというサービスを受けることができるのです。
DIYによるホームステージングの場合、不要な家具は処分するか倉庫などを借りて保管しなければいけません。当然、この対応を実行するためには、手間やコストがかかるので、一時預かりのサービスは非常にありがたい存在になります。
写真撮影や広告
ホームステージングでは、作業実施後に物件を魅力的に撮影して、広告に活用することも重要で、この部分の作業もホームステージング会社に依頼することができます。
ホームステージング会社に相談すれば、プロのカメラマンやグラフィックデザイナーがつき、物件の魅力を最大限引き出す写真の撮影と、広告用の素材の作成を行ってもらうことができます。現在では、不動産の売買、賃貸共に、「まずインターネットで物件を探す」という状況になっていますし、オンライン上に魅力的な広告を出すということは非常に重要な要素になります。
バーチャルステージング
ホームステージングの中には、仮想空間上で部屋の演出を行う方法もあります。バーチャルホームステージングと呼ばれる方法なのですが、実際に家具などを用意して配置するのではなく、CG技術を使って魅力的にホームステージングをすることができるため、コストと手間を大幅に削減することができるのです。
主に賃貸で採用される方法で、不動産ポータルサイトの中でライバル物件の情報に埋もれないようにする目的で、ホームステージングを施した状態の写真を作成するという作業になります。
ハウスクリーニング
ホームステージングは、家具やインテリア、観葉植物などを部屋の中に配置し、魅力的な空間を作るという対策が基本です。しかし、いくら新品の家具やインテリアを用意して配置したとしても、建物そのものが汚れているのなら魅力的な空間になり得ないのです。住みながらの売却などの場合、キッチンやお風呂、トイレなどの水回り設備がカビだらけで、家具の配置などの演出だけでは、魅力的な空間を作ることができないケースも多いです。
そのため、多くのホームステージング会社は、オプション作業としてハウスクリーニングサービスも請け負っています。家の中をプロの清掃業者がピカピカにし、そこに家具などで演出することで、新築住宅のようなきれいで魅力的な空間を作り出すことができるのです。
不用品の回収
ホームステージング会社の中には、不要になった大型家具や家電などを回収しリサイクルしてくれる業者も増えています。主に、住みながらの売却で役立つサービスといえるでしょう。
既存の家具や家電について、引っ越し先に持っていかないのであれば、ホームステージングに合わせて回収してもらうと良いでしょう。引っ越し先に持っていくと、引っ越し費用も高くなりますし、引っ越し先で場所をとってしまいます。まだ使用する予定がある家具の場合、一時預かりで対応してもらい、不要なものは回収してもらうと良いのではないでしょうか。
※実際に依頼する方が多い作業内容について
上記のように、ホームステージング会社のサービス内容は多様化を見せ始めています。家具やインテリアで部屋の中を演出するだけでなく、ハウスクリーニングや不用品の回収など、いろいろな作業を依頼することができるようになっているのです。
それでは、ホームステージング会社に相談する方が、実際に依頼する作業内容はどのようなものとなっているのでしょうか?ここでは、一般社団法人日本ホームステージング協会が公表しているホームステージング白書2022から、ホームステージング会社に相談した人が実際に利用したサービスの割合のデータをご紹介します。
- 片づけ、清掃:34.2%
- 写真撮影:23.7%
- ハウスクリーニング:21.1%
- ホームステージング:7.9%
- 荷物の保管:2.6%
- 家具の移設:2.6%
- 片付け用段ボールの提供:2.6%
- 不用品のリサイクル:2.6%
- アドバイスとステージング全般:2.6%
この調査によると、「片付け・清掃・写真撮影・ハウスクリーニング」などのサービスが需要が高くなっています。物件の魅力を引き出すには、まず物件そのものの整備が必要になるということでしょう。そして、その次の段階として、具体的なホームステージングの計画を立てていくという感じになるわけです。
データ参照:ホームステージング白書-2022年
ホームステージング会社を選ぶときのポイント
それでは、ホームステージングサービスの利用を検討した時、相談するホームステージング会社はどこを見て選べば良いのでしょうか?日本でも、ホームステージングの注目度が高くなるにつれ、この業界に参入し始める会社が年々増加しており、サービスが多様化を見せています。
そのため、不動産の売却や賃貸を考え、ホームステージングの実施を検討したとしても、どの会社を選べば良いのかが分からない…という声も多いです。ここでは、ホームステージング会社を選ぶときにチェックしたい基本的なポイントをご紹介します。
希望するサービスを取り扱っているか?
一つ目のポイントは、希望するオプションサービスを取り扱っている会社を選ぶという点です。先ほどからご紹介しているように、ホームステージングは、単に家具やインテリアを配置して、室内をおしゃれに演出するだけではないのです。
築年数が経過した中古住宅の売却であれば、劣化を修繕する必要があったり、水回りの掃除などハウスクリーニングが必要になるケースもあるでしょう。他にも、既存家具の一時預かりや不用品の回収など、お客様によって必要とするサービスは変わります。当然、家具の配置はA社にレンタルはB社、ハウスクリーニングはC社など、別々の会社に依頼するなんて対応をすると、余計な手間とコストがかかってしまいます。
したがって、不動産の売却や賃貸を促進するため、必要だと考えられるホームステージングの内容をまるっと1社で受けられる業者を探し、そこに依頼するのがおすすめです。
豊富な実績を持っているのか?
先程ご紹介したように、ホームステージングは専門知識を必要とする場面も多いため、過去の実績が非常に重要になります。いくら安価な見積もりを提示されたとしても、経験がない人が作業するとなると、魅力的な部屋に見える演出などできないでしょう。
したがって、ホームステージング会社を選ぶときには、過去にどのような物件をどれだけステージングしてきたのか、施工事例などを持って確認してみましょう。ホームステージング会社のHPなどを見れば、過去の実績を掲載していると思うので、自分の趣味に合う会社に問い合わせしてみると良いのではないでしょうか。
また、社内にホームステージングに関係する資格を保有している人がどれぐらいいるのかも業者を選ぶときの参考になります。ホームステージングは、上で紹介したホームステージャー資格のほか、インテリアコーディネーターやカラーコーディネーターなどの資格が役立つとされているので、それらの資格を保有しているスタッフがどれぐらいいるのかも確認してみましょう。
費用について相見積もりをとる
ホームステージングの料金は、当然、ホームステージング会社によって異なります。また、物件によって必要になる作業が変わるため、「ホームステージング1回:〇万円」といった定価のようなものがないのです。
したがって、ホームステージングの実施を検討した時には、複数の会社に相談し、提案と共に見積書を提出してもらい、比較検討するのが良いです。想定していた予算とかけ離れた金額の作業を行う訳にはいかないでしょうし、予算に合わせた提案をしてくれる業者さんを選ぶと良いのではないでしょうか。
まとめ
今回は、不動産取引の業界で年々注目度が高くなっているホームステージングについて、専門業者にホームステージングを相談した時、どのような作業を依頼できるのかについて解説しました。
ホームステージングは、部屋の中を家具やインテリア、観葉植物などを使って魅力的に見える空間にするという対策と解説されることが多いです。この解説自体は間違っていないのですが、昨今のホームステージング業界は、サービス内容が多様化していて、家具の搬入や配置だけでなく、家具の仕入れや既存家具の回収、一時預かりなども依頼することができるのです。また、築年数が経過した住宅の場合、ハウスクリーニングやクロスの張り替えなどを請け負ってくれる会社もあります。
現在、ホームステージングの実施を検討している方は、自分が希望するサービスを取り扱っている業者を探すようにしましょう。作業ごとに別々の会社に依頼しなくてはならない…なんてことになると、無駄な時間やコストがかかってしまうことになります。
KAGKASは、物件の魅力が最大限伝わるような、効果的なホームステージングサービスを提供しております。家具を取り扱うノウハウも豊富なので、オンリーワンのコーディネートをお探しの際は、ぜひお気軽にご相談ください。