2025.12.24

家を掃除しても査定価格は変わらない?家の売却と掃除の関係性

家の売却を考えた時には、複数の不動産会社に査定を行ってもらい、仲介を依頼する業者を決定するのが一般的です。

そして、不動産会社による査定については、「できるだけ査定額を高くしてもらいたい!」と考える人が多く、事前に家の中を綺麗に掃除しておいた方が良いだろうかという疑問を感じる人も多いようです。家の査定を行ってもらう時には、当然、室内が散らかっている状態よりも、きちんと掃除されていて綺麗に整理整頓がなされている状態の方が査定額が高くなるはずと考える方が多いはずです。

しかし実は、不動産会社がつける査定額については、「家が掃除されているかどうか?」はほとんど関係ありません。家の査定を行う不動産会社は、まさに不動産のプロであるわけなので、室内が多少散らかっていたとしても、物件の状態をしっかりと見極めることができます。また、綺麗に整理整頓がなされていたとしても、家の状態が良くないと判断するのであれば、しっかりと減点を行うものなのです。

そこでこの記事では、家の売却に係わる不動産会社による査定について、「事前の掃除」があまり意味をなさない理由や、査定額に影響を与えるポイントなどについて解説します。なお、家の掃除については、最終的には必ず行わなければならないものではあるので、「いつ掃除を行うべきか?」についても解説します。

家の掃除は査定額に影響を与えない?

不動産会社の査定を受ける際には、やはり家の中が綺麗に掃除されている状態の方が印象は良くなるはずですし、査定額も高くつけてもらいやすくなると考える方が多いはずです。しかし、結論から言うと、家の中を綺麗に掃除したり、整理整頓をしたうえで査定を受けたとしても、その行為が査定額に影響を与えるような事はほとんどないと言えます。

なぜなら、家の査定を行う不動産会社は、訪問査定の際に「家が綺麗に掃除されているのか?」を見ているわけではなく、「現在の家の状態はどうか?」を確認しているからなのです。室内がいくら綺麗に掃除されていたとしても、物件そのものが劣化していると判断される場合には、当然、査定額が下げられてしまうことになります。その逆に、掃除が行き届いていない状況でも、建物の状態が良いと判断できる場合には、きちんと高い査定額をつけてくれるものなのです。

不動産会社の担当者は、「家が綺麗かどうか?」を見ているのではなく、物件の価値を以下のようなポイントから査定していくものなのです。

  • 家の築年数
  • 立地から見る利便性
  • 一戸建ての場合、方角や日当たりの良し悪し
  • マンションの場合、角部屋や何階に位置するか

上記のように、不動産の査定額については、物件そのものの状態や条件を確認したうえで、金額が算出されているのです。多くの家を毎日のように確認している不動産会社は、掃除を怠っている物件であっても、掃除された状態の物件を自分の頭の中でイメージすることで査定を行うことが可能です。したがって、物件の査定額に関しては、掃除の有無にかかわらず「掃除されている状況」で行われているため、最終的な金額に大きな影響は与えないのです。

ただ、下で紹介するような、明確な問題が生じている場合は、話は別です。

ひどい汚れやニオイは査定額に悪影響を与える

人が普通に生活している際に生じるような汚れや破損などについては、「経年劣化」として査定額に大きな影響を与えることはありません。しかし、ひどい汚れを放置している、明かに破損しているという状態は別問題で、このようなケースでは不動産会社が提示する査定額が下がってしまう可能性があるでしょう。

例えば、以下のような状態は、査定額に悪い意味で影響を与える可能性が高いと言えます。

  • お風呂やキッチンなどの水回りについて、長年にわたって適切な掃除が行われていないと考えられるほどのカビ汚れが付着している
  • タバコのヤニ汚れやニオイが付着している
  • ペットのニオイが充満している
  • 備え付けの棚など建具が破損している
  • 設備に明らかな欠陥がある

上記のような問題は、販売活動を進めるうえで買い手側から敬遠される要因となるため、どうしても査定額が下がってしまう可能性が残ります。

日頃から、定期的な掃除や点検、メンテナンスを心がけておけば、買い手側に敬遠されるようなひどい汚れや破損にはつながらないはずです。したがって、家の価値を保ち続けるためにも、家の査定に関係なく、普段から家を綺麗にたもつようにしましょう。そうすることで、いざ家の売却が必要になった際、高い査定額を維持することができるようになるはずです。

印象が悪くなるのは間違いない

上記の通り、不動産会社に家の査定を行ってもらう場合には、室内が綺麗に掃除されているのかどうかは、査定額に大きな影響を与えることはないでしょう。もちろん、お風呂の中が黒カビだらけになっている…、内装クロスがヤニ汚れで茶色く変色しているなど、ひどい汚損が放置されている場合、査定額が下がってしまうことはあるのですが、掃除することで査定額が高くなるということはないと言えます。

ただ、注意しておきたいのは、家の査定を行うのも「人間」であるということです。分かりやすく言うと、「足の踏み場もないぐらい散らかっている」「悪臭が漂っている」と言った物件の場合、足を踏み入れた担当者が悪い印象を持ってしまうことになる可能性が高く、本来の状態よりも低い査定をつけられてしまう可能性があるのです。

こういったことから、家の査定を行ってもらう時には、客観的な視点で家の状態を判断してもらえるようにするためにも、「散らかっている…」などの悪印象を与えないよう、最低限の整理整頓と掃除は行っておくのがおすすめです。

家の査定で評価されるポイントとは?

それでは、家の査定額を決めるポイントはどこなのでしょうか?上述したように、不動産会社の訪問査定を受ける際には、掃除の有無は査定額に大きな影響を与えることはありません。これは、不動産のプロが査定を実行する際には、掃除が不十分な状態でも、きちんと掃除が行われていて荷物なども持ち出された空室状態の物件をイメージすることができるからです。ひどい汚れなどについては、買い手側が成約後にリフォームなどが必要になると考えられることから、査定額が低く設定されるなど、悪影響が出てしまうことはあります。しかし、掃除を行ったからと言って、査定額が高くなるようなことは基本的にないのです。

それでは、不動産会社が物件の査定を行う時には、どのようなポイントを確認して、査定額を決めているのでしょうか?ここでは、代表的な評価ポイントをご紹介します。

①建物そのもの

家の査定額を決める重要なポイントとしては、やはり建物のそのもの状態があります。築年数や間取り、家の劣化状況などは、査定額に大きな影響を与えます。建物に関する評価ポイントは以下のような感じです。

  • 築年数
    家の査定時にまずみられるポイントが「築年数」です。建物は、住宅の種類によって法定耐用年数という指標が定められているのですが、日本に多い木造住宅の場合は22年となっています。そして、一般的には、木造戸建てについては、築年数が20年を超えると、建物の価値がほぼゼロ近くまで下落するとされているのです。国土交通省が発表している資料でも、築20年超の木造住宅はセロ査定を受けると言及されています。家のメンテナンスをきちんと実施し、内装や外装に目立った傷などがない家であっても、目に見えない構造部分は築年数の経過とともに劣化が進行してしまうため、自動的に査定額が低くなると考えてください。
  • 家の内装
    建物の評価ポイントとしては内装の状態も大きく影響します。ひどい汚れや破損がないか、異臭はしないか、生活がしやすい間取りなのかといったポイントが確認されます。なお、家の内装の評価については、特に「雨漏り、シロアリ被害の有無」「水回り設備の状況」「最新設備の有無や状態」が査定額に大きな影響を及ぼします。
  • 家の外装
    外装の劣化状況なども査定額に影響します。例えば、屋根や外壁の塗装の状態や、破損状況などがチェックされ、査定額が上下します。築年数が古い家の場合、木部が腐食している箇所などが出てくるので、査定額に大きな影響を与える場合があります。この他、水平器を使って、建物に傾きが生じていないかなども確認されます。

家の査定額は、上記のように、建物そのものの劣化状態によって上下します。掃除を徹底して、いくら部屋の中を綺麗にしたとしても、築年数が経過していれば、自動的に査定額が下がってしまうものなのです。

②立地(周辺環境)

家の査定額は、立地条件の影響も大きく受けます。家の周辺にある施設によって生活利便性が大きく変わるためです。なお、長く住んでいる家の場合、周辺施設や街並みが購入した時と大きく変わっている可能性があるため、購入時の価格が上下する可能性も高いです。立地条件については、主に以下のようなポイントが確認されます。

  • 駅までの距離
    基本的には、駅までの距離が近いほど土地の評価が高くなります。駅までの距離については、徒歩かバスが使えるかなど、細かな条件によって変わるのですが、一般的には「徒歩10分」を基準値としてこれを上回るか、下回るかで評価が上下します。なお、最寄り駅の規模も土地の価格に影響を与え、複数の路線が乗り入れる、快速なども停まる主要駅などの条件は評価が高くなります。
  • 生活利便施設までの距離
    生活利便施設は、スーパーやコンビニなどの買い物施設や飲食店やクリーニングショップなどのサービス関連施設、役所などの公共施設のことです。生活利便施設との距離についても、近ければ近いほど生活がしやすくなるため、評価が高くなります。なお、生活利便施設とは逆の「嫌悪施設(お墓や工場)」もあるのですが、これらの施設については近くにあると評価が下がります。
  • 通勤や通学の利便性(中心街へのアクセス)
    この点については、会社や学校が密集しやすい中心街に近いエリアほど査定額が高くなります。「駅が近い」に通ずるポイントではあるのですが、アクセス方法は電車だけでなく、バスや自家用車も考えられます。そのため、電車移動を抜きにしても、中心街までのアクセスが良いという立地は、評価が高くなります。

立地条件は、周辺の開発状況によって大きく変動します。

③土地

土地は、立地とは異なり、土地の形や大きさ、道路との関係などについてです。例えば、以下のようなポイントがチェックされます。

  • 日照・通風・眺望
    快適な生活空間を実現したいと思った時には、日照や通風、眺望などが非常に重要で、家の査定額にも影響を与えます。例えば、「南向き」という条件は、他の方角よりも評価が高くなるという話は皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか?このほか、周辺に背の高い建物がなく、十分な通風が確保されるといった条件も評価ポイントになります。
  • 土地の面積や形状
    家の査定では、土地の大きさや形状も大きな影響を与えます。広くて使いやすい形状の土地ほど高額な査定が期待出来ます。その逆に、狭い土地の場合、建築基準法の関係で、再建築の際にさまざまな制限を受けてしまう可能性があるため、評価が下がりやすいです。この他、正方形や長方形などの整形地の方が高い評価を受け、旗竿地などの不整形地は使いづらい形状とみなされるので、評価が下がります。

上記のほか、接面道路との関係も査定額に影響を与えます。建築基準法では、家を建てられる土地の条件として「建築基準法で定められた道路(幅4m以上)に敷地の接点が2m以上なければならない」と定めています。4m未満の道路でも、例外的に建物を建てられる場合もあるのですが、土地の使い方に制約が生じてしまうため、先ほどの条件を満たしているかどうかは非常に重要なポイントになります。

上記の3つのポイント以外にも、査定額は「市況」の影響を大きく受けます。不動産の価格は景気によって上下するため、好景気の時に売るのか、不景気の時に売るのかによって、査定額は大きな格差が生じます。ただ、市況は売主が左右することができる問題ではないので、ここについてはそこまで気にしなくても良いと思います。

家の売却で掃除が不要な訳ではない!

ここまでの解説で、家の売却を検討して、不動産会社に査定をお願いする際、事前に家の中を綺麗に掃除したとしても、査定額に大きな影響を与えることはないことが分かっていただけたと思います。

不動産会社が訪問査定で確認するのは、建物そのものの状態や立地条件、土地の大きさや形状であり、査定時における「部屋の綺麗さ」などは関係がないのです。室内をいくら綺麗に掃除していたとしても、築年数が経過した古い家で劣化が目立っている場合、査定額は下がってしまうことになりますし、その逆に、散らかった状態のまま査定を行ってもらったとしても、築浅物件であれば高額査定を受けることができるのです。

ただ、「家の売却時には掃除が一切不要なのか?」というとそうではありません。上で紹介しているのは、あくまでも「掃除が家の査定額に影響を与えない」というだけで、実際の家の売却を考えた時には、一般の購入希望者に内覧をしてもらわなければならないのです。不動産会社の担当者は、散らかった状態でも「空室状態の物件内」をイメージすることが容易にできますが、一般の購入希望者はそのようなことはできません。そのため、掃除が適切にされていない散らかった状態で内覧を受けつけた場合、内覧者の印象を悪くして購入を避けられてしまう可能性が高くなるのです。

したがって、家の売却における『掃除』というのは、内覧対策のことを考えた時には必須だと言えるのです。ここでは、内覧対策として「掃除」の重要性について解説します。

内覧前は家の徹底的な掃除が大切

家を売却するにあたっての「掃除」は、査定額を上げるための対策にはなり得ないのですが、内覧時に良い印象を与えるための対策としては非常に重要な要素となります。したがって、家の掃除については、訪問査定までに行うのではなく「内覧」までに行うようにすると大きなメリットが得られるでしょう。

家の売却における内覧とは、購入希望者が興味を持った家に実際に足を運び、細部まで確認するというステップになります。物件広告などに掲載される写真では確認することができない細かな部分を自分の目でチェックすることができるようになるため、購入するかどうかを決断するための非常に重要な工程となるのです。売主側にとっては、内覧に訪れた購入希望者に好印象を与えるための絶好のチャンスとなるわけなので、可能な限り良い印象を与えられるようにするためにも、家の中を徹底的に掃除する必要があります。

内覧対策として、家の掃除が重要とされるのは、以下のような理由があるからです。

  • 汚い家は建物の状態を不安視される
    内覧時に、家の中が散らかっている、水回りがカビだらけで汚れているなど、掃除が行われていないと思えるような状態の場合、「日常的な掃除を怠るような家は、適切なメンテナンスが実施されていないでは?」と言った疑いの目で見られてしまいます。この場合、目に見えない構造部分の劣化が想像以上に進行しているのでは…など、物件そのものの状態を疑われてしまうことになり、購入を躊躇する方が多くなるのです。その逆に、清潔感のある綺麗な状態で内覧してもらうことができれば、「大切に住んでいたのだな!」という好印象を与えることができるようになり、交渉もスムーズに進む可能性が高くなります。
  • 本来よりも部屋が狭く見える
    家の中の整理整頓が行われておらず、物が散らかっているという状態は、本来の部屋の広さよりも狭く感じてしまうようになります。つまり、内覧前にきちんと掃除を行っていない場合、内覧者は部屋を狭く感じてしまうので、購入を躊躇ってしまう可能性があるのです。人が部屋の広さを感じる時には、床の面積で感じているとされます。そのため、きちんと掃除をして、不要な荷物を片付けておくという行為は、床を見せることで部屋が広く見えるようになるのです。内覧時に、開放感のある広い部屋と思わせることができれば、物件に対する印象も良くすることができるでしょう。
  • 隅々まで確認してもらえない
    内覧者は、自分たち家族が住むかもしれない家となるため、隅々まで家の状態を確認したいはずです。しかし、掃除や片付けが適切に行われていない物件の場合、見せられない部屋が出てきてしまう可能性があります。当然、内覧者側は、内覧時に確認できない部分があれば、「購入して良いものか?」が判断できないため、購入を見送る可能性が高くなるのです。内覧前に、不要な荷物を処分し、家の中を綺麗に掃除しておけば、隠さなければならない部屋がなくなり、気兼ねなく確認してもらうことができるようになるでしょう。そのため、内覧時の印象を高めることができ、成約できる可能性も高くなるわけです。

上記のように、内覧前に徹底的に掃除するという行為は、家の売却において非常に重要な要素となります。掃除を怠っていた場合には、内覧者に悪印象を与えてしまうことになるため、どうしても成約までの道のりが遠くなってしまうのです。

なお、家の売却準備として掃除を行う際には、「ニオイ」の除去も大切です。ペットを飼育している、家族にタバコを吸う人がいるというご家庭の場合、家の中に嫌なニオイが染み付いてしまっていて、綺麗に掃除したとしても悪臭で印象を悪くする可能性があります。ニオイの問題は、そこに住んでいる人は「慣れている」ことから悪臭があることに気付けていないケースも多いです。したがって、家を売りに出す際には、きちんと掃除をした後、第三者にニオイが残っていないかを確認してもらうという対策を実施するのがおすすめです。

内覧前の掃除はホームステージング業者がおすすめ

ここまでの解説で、家の売却における掃除については、不動産会社による訪問査定にはほとんど影響を与えないものの、売却活動における重要なステップである『内覧』の実施のことを考えると必須の作業となることが分かっていただけたと思います。

家の売却を成功させるためには、いずれ家の中を徹底的に綺麗にするための掃除が必要になるため、内覧時の印象を良くするという目的で、査定前に掃除しておくというのも悪くない選択ではあるでしょう。なお、家の売却を前提とした掃除については、日常的に行っている掃除機などを使った簡易的なものを指しているのではない点に注意しなければいけません。内覧準備のための掃除は、キッチンの油汚れやお風呂のカビ汚れなどについても、新品に見えるレベルにまで綺麗に掃除する必要があるのです。また、部屋を広く見せるためには、家の中に存在する不要な荷物の処分も必要になります。荷物が多いと、どうしても部屋が狭く見えてしまいますし、見せられない部屋が生じてしまうことで、内覧時の印象を悪くしてしまう可能性が残ってしまうのです。

そして、内覧準備のための掃除に関しては、ホームステージング業者に作業を依頼するという方法が推奨されるようになっています。そこでここでは、家の売却における掃除について、自分で実施するのではなく、ホームステージング業者に依頼することが推奨される理由についてもご紹介します。

プロによる作業で魅力的な空間が作り出せる

家を売却するため、内覧前に実施する掃除の場合、細かな部分まで徹底した作業が必要になります。特に、キッチンやお風呂などの水回りは、内覧者側も徹底的に確認を行うので、水垢やカビ汚れなどは当然として、排水口や配管内部まで掃除しておく必要があるのです。さらに、ペットを飼っていたお宅やタバコを吸う家族がいる家の場合、家中の消臭作業などが必要になるのですが、市販されている消臭スプレーなどでは蓄積した悪臭を除去することは難しいです。

したがって、自分ではどうすることも出来ないような頑固な汚れに関しては、お掃除のプロであるハウスクリーニング業者に作業を依頼するという方法が採用されるケース多いです。さらに、家の売却では、不要な荷物を処分するのにも専門業者の手を借りる必要があったり、家を修繕するためにリフォーム業者を手配しなくてはならない場合もあるのです。

家の売却活動を進めながら、上記のような専門業者とのやり取りを並行して行っていくことはなかなか難しいです。業者探しや見積り依頼、値段交渉などに時間と手間がかかってしまうことで、全てが中途半端になってしまう…と言ったケースも考えられるのです。しかし、ホームステージング業者に内覧の準備を相談すれば、これらの作業については、窓口を一本化することが可能になるのです。

ホームステージングは、内覧時の印象を良くするため、室内に家具やインテリア、照明などを配置して、内覧者に好印象を与えられるようにコーディネートする対策と解説される場合が多いです。しかし実は、ホームステージングは、家具などを配置する以前に、家の中を綺麗に掃除するハウスクリーニングや不用品の分別・回収、破損個所の修繕など、家の売却に必要な作業をまとめて依頼することができるのです。実際に、一般社団法人日本ホームステージング協会が策定している、ホームステージングのガイドラインでは、以下の作業がホームステージングの領域とされているのです。

  • ①整理収納(片づけ、快適収納比率)
  • ②断捨離(不要家財の区分・分別)
  • ③遺品整理(遺品や相続に関する知識とサポート)
  • ④掃除(汚れの分析と対処方、洗剤・用具の基礎知識、消臭・除菌)
  • ⑤生前整理(顧客心理、コミュニケーション)
  • ⑥廃棄と保管およびリサイクル(ホームステージングに関する法的な知識)
  • ⑦インテリア(空間プランニング、テーブルコーディネート、アロマの知識、快適空間比率)
  • ⑧インテリア写真の撮影及び画像(2D、3D、VR)
  • ⑨エクステリア(ガーデニング)

このように、ホームステージングは、家の中の掃除や整理整頓、断捨離などに関しても、作業領域に含まれています。そのため、ホームステージング業者に家を売却するための対策を依頼すれば、ハウスクリーニングや不用品回収、リサイクルなど、内覧時の印象を良くするために必要になる作業をまとめて依頼することができるのです。

さらに、ホームステージング業者であれば、綺麗に掃除した物件に対して、内覧者の印象が最も良くなるような空間にコーディネートしてもらうことができます。ホームステージングを施した状態を写真に収めれば、それを物件広告として採用することができるようになり、広告の段階でライバル物件と差別化を図ることも出来るようになり、よりスムーズに家の売却が進む可能性もあるでしょう。

参照:ホームステージングガイドライン

まとめ

今回は、家の売却について、不動産会社に査定を行ってもらう前に、家の中の徹底的な掃除が必要なのかについて解説しました。

一般的には、不動産会社の査定を受ける前に、家中を綺麗に掃除しておけば、査定額が上がるのではないかと考えられています。しかし、記事内でご紹介したように、家の査定額と掃除の有無はほとんど関係なく、掃除を実施したからと、査定額が上がるようなことはほぼ確実にないと考えた方が良いのです。これは、不動産会社による査定は、あくまでも建物のそのものの価値を判断するためのものなので、査定時に家の中が綺麗かどうかなど関係がないからです。また、不動産のプロである不動産会社は、散らかった状態の物件を見ても、空室状態を自分の頭の中でイメージすることができるため、掃除の有無に関係なく、正しい査定を行うことができるのです。

ただ、家を売却するうえで「掃除の必要がない」と言っているわけではないので、その点は注意してください。購入希望者が、実際に家を確認しに来る『内覧』に際しては、できるだけ好印象を与えるためにも、家中を綺麗に掃除して迎えなければならないです。つまり、家の掃除に関しては、査定前ではなく、内覧までに徹底して行うと良いと考えてください。

ちなみに、家の売却に係わる掃除については、ホームステージング業者に相談するのが最もオススメです。ホームステージング業者であれば、物件を最も高く売るために必要な対策を提案してくれ、そのために必要になる作業をひとまとめに引き受けてもらえます。そのため、あれこれといろいろな業者を探す手間も省けますし、窓口を一本化することで、対策にかかる費用も抑えることが期待できるのです。ホームステージングについては、仲介を依頼する不動産会社に相談すれば、適切な業者を紹介してくれると思います。