ホームステージングの活用が特に効果的と言われる物件タイプ
近年、不動産の売買や賃貸を促進する方法としてホームステージングへの注目度が高くなっています。
ホームステージングは、物件の魅力を最大限まで引き出すことができ、不動産の売却や賃貸を考えた時には、早期の成約や高値での成約を期待することができるようになるとされています。もともとも、中古住宅市場が活発なアメリカで誕生し、欧米諸国において中古住宅の販促手法として広く活用されるようになったのがホームステージングと呼ばれる方法です。そして、2000年代に入った頃より日本国内でも取り入れられるようになっています。
ただ、日本国内におけるホームステージングは、「徐々に活用される場面が拡大してきた」と言った扱いで、ホームステージングと聞いても、具体的にどのような方法なのか分からないという方も少なくないようです。また、物件の売却や賃貸を予定している方の中には、「どのような物件であれば、ホームステージングの実施が効果的なのか?」といった点に疑問を感じる方も少なくないと言われています。
そこでこの記事では、不動産の取り引きにおいて、ホームステージングを活用することで得られる主なメリットや、ホームステージングが特にその効果を発揮すると言われている物件タイプについて解説していきたいと思います。

ホームステージングのメリットと実施者の実際の声
ホームステージングとは、分かりやすく言うと「物件の魅力を最大限に引き出すための戦略的な演出技法」です。例えば、賃貸物件の入居者募集では、ほとんどのケースで空室状態の物件に案内して、物件の良し悪しを判断してもらう形となります。しかし、不動産に関する知識をほとんど持っていない人であれば、空室物件を内覧しても部屋が綺麗かどうか…程度の判断しかできず、自分のライフスタイルに適した物件なのかどうかを詳細まで確認することは難しいものなのです。実際に、空室状態で見た時には、十分な広さがあると感じて契約したのに、入居して家具などを配置してみると「狭く感じる…」と言った経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか?
ホームステージングは、空室状態で物件案内を実施するのではなく、物件の内装や家具配置をあらかじめ最適化しておくことで、内覧に来た購入希望者(入居希望者)に対して、居心地の良さや入居後の生活を具体的にイメージさせることを目的としています。そのため、ホームステージングを実施した物件は、不動産流通において、成約率を大幅に向上させることができる重要な要素とみなされるようになっているのです。専門業者が実施するホームステージングは、物件の特性を見極めたうえで、ターゲット層のニーズに合わせた空間コーディネートを実施し、物件の価値を最大化することで、高値での成約や早期の成約を実現します。
実際に、不動産業界では、物件の競争力向上のための強力なツールとみなされるようになっていて、他物件との差別化を図ることで物件の売却スピードを加速させる効果や物件の価値を高め、より高額での取引を可能にする対策として、その存在感が年々増していると言われています。
ホームステージングは、不動産業界において売主、買主、不動産エージェントの全てにメリットをもたらす重要な戦略となっています。そこでここでは、ホームステージングを実施することで期待できる主なメリットについてご紹介します。また、実際にホームステージングを取り入れた方が、この対策についてどう感じているのかについてもご紹介します。
ホームステージングのメリット
それでは、ホームステージングが不動産流通において、どのようなメリットをもたらすのか解説していきます。
ホームステージングは、売却や賃貸を予定している不動産に対して、内装や家具配置を最適化することで、内覧に来た人の物件に対する第一印象を大幅に向上させ、買主の潜在的な興味を惹きつけることができます。また、ホームステージングが施された物件は、プロが選定した家具や装飾が適切に配置されているため、空間の使い方をより具体的にイメージさせることができるようになるとされています。したがって、物件の価値を視覚的に高めることができるようになるので、販売価格の上昇といった売主にとって非常にありがたい効果が期待できるようになるわけです。
ここでは、ホームステージングの実施によって得られるとされている、代表的なメリットをご紹介します。
■メリット1 物件の魅力向上や内覧者の印象を良くする
一つ目のメリットは、「物件の魅力を最大限引き出すことができる」という点です。
ホームステージングは、物件のターゲット層に合わせて、家具やインテリア、照明などを適切に配置し、内覧者が物件に訪れた時の第一印象を大幅に向上させる対策と紹介されることが多いです。ホームステージングは、物件内の空間を最適化することで、空間の有効活用を演出することができ、購入希望者に対して物件の潜在的な可能性を示すことができるようになるのです。
また、ホームステージングでは、単に家具などを配置するだけでなく、徹底的な清掃や整理整頓を実施することで、清潔感のある空間を創出し、内覧者に好印象を与えることができるようになるのです。中古住宅の売却では、住みながらの売却を選ぶ方が多いのですが、その場合、家の中の清掃や整理整頓が行き届かず、内覧者が「狭く感じる…」などの悪印象を与えてしまうことがあります。
ホームステージングの実施は、そこでの生活を具体的にイメージできるような空間の創出や、居心地の良い清潔感のある空間を作り出すことで、購入希望者の想像力を刺激し、入居後の生活をイメージしてもらうことができるようになるのです。その結果として、物件の魅力が大幅に向上して、販売促進に繋がるという効果が期待出来ます。
■メリット2 売却価格の上昇が期待できる
ホームステージングの大きなメリットとしては、物件の売却価格が上昇することが期待できる点もあげられます。
物件の売却価格の上昇については、複数の要因が関係します。例えば、経済状況や不動産市場の動向、物件が存在するエリアの発展、さらには物件そのものの価値向上などが主な要素となります。マイホームの売却を検討した時には、誰もが「できるだけ高く売りたい」と考えるものですが、そのためには適切なタイミングで売りに出すということも重要です。例えば、地域の再開発計画があるのか、またインフラ整備の予定があるのかなどが、物件の売却価格に大きな影響を与える場合があります。この他にも、物件を売りに出す前にリノベーションを実施することで、物件の魅力を高め、買主の潜在的な関心を引くといった方法も有効とされています。ただ、これらの方法に関しては、売主側で操作することができない、売却のために多額のコストをかけなければならないという点が問題になります。景気や不動産市場の動向は、個人が操作することはできませんし、大規模なリノベーションの実施は、コストをかけてもその分を売却価格に全て上乗せすることが難しい場合も多いため、実質的には売主が損をするというケースも考えられるのです。
一方、ホームステージングの場合は、物件が本来持っている魅力を「最大限まで引き出す」という方法になります。もちろん、専門業者にホームステージングを依頼する場合、コストはかかりますが、それでもリノベーションと比較すると圧倒的に費用をおさえることが可能なため、売却価格にその費用をのせることも可能です。つまり、ホームステージングの場合、物件の魅力や価値を引き出すことで、高値で売るという方法なので、その他の方法と比較すると、売主自身が操作できるうえに費用対効果も非常に高いというメリットが得られるのです。実際に、ホームステージングの実施により、当初の予想を上回る価格で売却できたという事例は多いです。
■メリット3 売却期間の短縮
ホームステージングのメリットとしては、売却期間を短縮できるという点も指摘されています。
ホームステージングは、物件内の空間を最適化させることで、内覧者が物件を見た時の印象を大幅に向上させることができます。そのため、内覧実施後、購入するかどうかの判断を早める効果が期待できるとされているのです。魅力的に演出された空間は、購入希望者の心をつかみ、意思決定プロセスを加速させる効果が期待できます。分かりやすく言うと、「他の人に取られたくない!」と思わせることで、早期の決断を促すことができるようになると期待できるのです。
この他にも、ホームステージングの実施は、内覧者の増加により、成約までの期間短縮が期待できるようになるという効果があります。ホームステージング実施後の空間を撮影し、それを広告画像として利用すれば、インターネット上の不動産検索サイト内でライバル物件と差別化できるようになり、物件への問い合わせや内覧依頼が増加することが期待出来ます。買主側の購入プロセスを考えた時には、最終判断の場として内覧があるわけなので、内覧者の増加は、販売プロセス全体の効率化につながり、物件の成約期間の短縮に効果をもたらすと考えられるのです。
ホームステージングを実施した人の意見
ホームステージングは、不動産の売却や賃貸を考えている人にとっては、非常にありがたいメリットがあるとされています。それでは、実際にホームステージングを実施した人は、この対策について、どのような印象を持っているのでしょうか?ここでは、日本ホームステージング協会が毎年実施している、ホームステージングの実態調査のデータをもとにご紹介します。
■貸主・売主の満足度(単一回答)
引用:ホームステージング白書2024年
上のグラフは、最新版のホームステージング白書で紹介されているデータで、ホームステージングを実施した貸主や売主に対し、「ホームステージングを実施したことで得られた結果に満足しているのか?」という質問に対する回答となります。
これからも分かるように、ホームステージングは、売買・賃貸ともに、その満足度が非常に高いという結果が出ています。「大幅に満足度が上がった」と「少し満足度が上がった」を足せば、8割以上の実施者がホームステージングの効果に満足しているという結果になっているという状況なので、確かな効果が認められるといえるのではないでしょうか。
ちなみに、ホームステージングを実施したことで得られたメリットについては、以下の通りとなっています。
- 内覧時の印象が向上した:37.4%
- 成約スピードが向上した:36.8%
- 家賃・販売価格を下げずに募集できた:28.1%
- 競合物件との差別化ができた:28.1%
- 家賃・販売価格を上げても成約できた:27.5%
- 広告、写真映えが良くなった:22.2%
- その他:0.6%
上記の通り、実際にホームステージングを実施した方の意見からも、早期かつ高値での成約が期待できるという点がこの対策のメリットになっていると言えます。
ホームステージングの実施が特に効果的と考えられる物件のタイプ
それでは次に、ホームステージングがより効果的に活用できると考えられる物件のタイプについてもご紹介していきます。
なお、ホームステージングは、さまざまなタイプの物件で上で紹介したような効果を発揮することができるので、不動産の売却や賃貸を検討した時には、基本的に「実施しても意味がない」という物件はないと考えても良いです。しかし、さまざまある物件タイプの中でも、ホームステージングが特にその効果を発揮するとされる物件タイプもあるのです。
そこでここでは、ホームステージングが特に効果的と言える物件のタイプについてご紹介します。
「売却が難しい」とされる物件
一つ目の条件については、そのままの状態で売りに出しても「売却が難しい」と判断される物件です。不動産の売却については、物件ごとの特徴によって「売りやすい物件」と「売りにくい物件」に分けることができるとされています。一般的には、築年数が比較的浅い、駅から近い・商業施設が近くにあるなどの立地条件が良い物件は、相場価格で売りに出せば比較的簡単に買い手を見つけられるとされています。
ただ、以下のような特徴を持つ物件については、物件そのものの魅力が低いなどを理由に、なかなか買い手を見つけられない…という状況に陥りやすいとされているのです。
- 築年数が経過した古い物件(戸建ての場合は築20年以上)
- 駅から遠いなど、立地条件が悪い物件
- 不人気な土地の形状(旗竿地、狭小地、傾斜地など)
- 法的規制がある物件(再建築不可、厳しい用途地域など)
- 心理的・物理的瑕疵がある(事故物件、雨漏り、傾き)
- 特殊な間取りの物件(二世帯住宅、店舗兼自宅など)
上記のような特徴を持つ物件は、どうしても需要が低く、売りに出したとしても買い手を見つけにくいとされています。なお、これ以外にも、価格設定が適正でない、適切なメンテナンスが実施されていないなど、買主側の問題で買い手が見つかりにくくなるケースもあるのですが、この問題については売り出し価格を見直せば良いなど、対処は簡単です。
しかし、物件そのものの特性によって買い手が付きづらいという状況になっている場合、何らかの対策を施さなければ状況を改善することが難しいです。そして、こういった物件の売却に役立つとされているのがホームステージングなのです。実際に、最新版のホームステージング白書2024年度版では、ホームステージングの実施基準として「売却しにくい物件に実施する」という回答が約43%と第一位になっています。
不動産業界では、売却が難しくなる物件の販促手法としてホームステージングが非常に効果的とみなされるようになっているのです。これは、何らかのデメリットがある物件に対し、ホームステージングを実施すれば、物件が持つ魅力を最大化することができるようになるため、買い手を見つけられると考えられているからです。
空室状態の物件
二つ目は、誰も住んでいない状態の空室物件です。このタイプの物件は、そもそもホームステージングが実施しやすいという点からも、対策の効果を実感しやすくなると言えます。
中古住宅の売却に関しては、住みながらの売却を選択する人が6割以上とされているため、ホームステージングを施さなくても、内覧時にそこでの生活をイメージさせることができるケースが多いです。室内の汚れなどが気になるようであれば、ハウスクリーニングを実施しておけば、清潔感のある空間を演出できるため、ホームステージングに頼らなくても早期売却が実現できる可能性があります。
しかし、完全に空室状態にした物件の場合、ガランとした空間を内覧してもらうことになるので、部屋のサイズ感やそこでの生活がどうしてもイメージしづらくなることで、長期間買い手が見つからないという状況に陥りやすくなるのです。ホームステージングは、物件内を適切に演出することで、内覧者の物件に対する印象を向上させ、早期の成約や高値での成約を実現する方法と紹介しました。つまり、空室状態の物件に存在する印象を悪くする要因は、ホームステージングを実施することで、全て解消することができるようになるのです。
実際に、新築住宅の販売を考えてみると、空室状態のまま販売活動を進めるのではなく。モデルハウスやモデルルームを用意して、購入後の生活を具体的にイメージできるような手法が採用されているはずです。これからも分かるように、物件内を最適化し、購入希望者や入居希望者の印象を高めるという方法は、不動産の取り引きを促進するための方法として非常に有効と判断できるのです。
そのため、売却や賃貸を検討している物件の中でも、内部に家具などが配置されていない空室状態の物件は、ホームステージングが非常に効果的と言えるのです。
高額物件な物件
先程紹介した、ホームステージング白書2024年度版のホームステージングの実施基準に関する回答について、第二位の割合を占めていたのが「高額物件に実施する(38.9%)」というものです。
高額物件は、そのままの状態で売りに出しても、問題なく買い手が見つけられることもあります。しかし、その他の物件と比較すると、「高額である」ということがどうしてもネックとなり、購入するという決断をなかなかできないというケースも珍しくないのです。
高額物件に対するホームステージングは、物件特有の洗練された雰囲気を演出し、物件が持つ価値を最大限まで引き出すことができるようになります。そのため、物件が持つ高級感と実際の価格のバランスがきちんととれるようになることで、高額な価格帯でも買い手側に「その価値がある!」と思ってもらえることができるようになるのです。そのため、成約に至ることがなかなか難しいとされる高額物件でも、ホームステージングの実施で早期の成約が期待できるようになるのです。
富裕層の顧客は、高い審美眼と期待を持って物件を見学するとされているため、細部まで配慮された空間づくりが不可欠とされています。ホームステージングであれば、富裕層顧客の心理的なニーズに応えられる空間を作ってもらうことができるため、さまざまある物件タイプの中でもホームステージングの実施が推奨されているのです。
まとめ
今回は、不動産業界からの注目度が年々高くなっているホームステージングについて、どのようなタイプの物件がホームステージングの実施に適しているのかについて解説しました。
記事内では、空室物件や売却しづらい物件、高額物件がホームステージングに適していると紹介していますが、これらの物件は「特に効果を発揮しやすい」というだけで、基本的にはどのような物件でもホームステージングは効果的に働くと考えても構いません。
最近では、不動産の売却だけでなく、賃貸業界でも当たり前のように取り入れられるようになっているので、早期の成約や高値での成約を希望している方は採用を検討してみましょう。