2026.01.15

マンション売却でリフォームしたほうが良いケースとは?リフォームなしで売却するコツも

マンションの売却を考えた時には、事前にリフォームを施して物件内を綺麗にしてから売りに出した方が高く売れるような気がするという方が多いと思います。事前にリフォームを施しておけば、不動産検索サイトに掲載する写真も見栄えがするようになりますし、何より内覧に来てくれた購入希望者の第一印象が良くなると考えられるため、早期の売却や高値売却を目指すためには「リフォームが必要!」と考えるのだと思います。

しかし、実際の不動産市場を見回してみると、多くの物件はリフォームなどを実施せずにそのままの状態で売りに出されて、きちんと買い手が見つかっているように思えます。実は、マンションの売却では、売りに出す前の事前リフォームは実施しないのが一般的とされているのです。これは、売主手動でリフォームを実施してしまうと、購入希望者の好みとズレてしまう可能性があり、リフォームしたことが原因で買い手が付きにくくなる、またリフォームにかけたコストを売却価格に上乗せすることが難しいため、売主にとって損になる可能性が高いというのが理由とされています。

ただ、全てのマンション売却において、絶対にリフォームが必要ないのかというとそうではありません。物件の状態によっては、事前のリフォームが有効に働くケースがないわけではありませんし、どのようなケースならリフォームが必要なのか知っておいた方が良いでしょう。そこでこの記事では、マンション売却でリフォームが必要となるケースや、リフォームなしでスムーズに買い手を見つけるためのポイントなどについて解説します。

マンションの売却でリフォームが不要と言われる理由

冒頭でご紹介した通り、マンションの売却を検討した場合でも、事前のリフォームは実施しないのが一般的です。売主としては、室内を綺麗な状態にしておいた方が、内覧時の印象が良くなると考えられるため、高値売却を希望するなら「リフォームはした方が良いのではないか?」と考えてしまうと思います。

しかし、マンション売却にリフォームが不要とされているのには、きちんと理由があるのです。ここでは、なぜマンション売却でリフォームが不要とされているのかについて解説します。

リフォームの必要性が低いとされている理由

マンション売却において、事前のリフォームが不要とされているのは、以下のような理由があるからです。

  • 買主の候補となる人は多様なニーズを持っているから
  • 購入希望者が希望する内装や設備のリフォームと合致しない可能性があるから
  • 物件購入後に自分でリフォームしたいと考えている人が多いから
  • リフォーム費用を回収することが難しいから
  • リフォームに費用をかけた分、売却益が減る可能性があるから
  • リフォームの実施に時間がかかるため、売却完了が遅れるから

中古住宅の購入を検討している方のほとんどは、「快適に住むためにはリフォームが必要」という考えは持っています。しかし、このリフォームに関しては、必ずしも事前に行ってもらいたいとは考えていないというデータがあるのです。多くの買主は、物件購入後、自分の好みに合わせてリフォームしたいと考えているため、売主主導で事前にリフォームを実施した場合、買主のニーズとズレが生じてしまう可能性が高くなります。売却前に買主のニーズがどこにあるのかを正確に見極めることは非常に困難であり、良かれと思って実施したリフォームが「売れない理由」になってしまうこともあるのです。

また、リフォームを実施したからと言って、物件の相場以上の価格で買い手を見つけることは難しいです。そのため、そのままの状態でも買い手が見つけられるような物件については、リフォームをしない方が売却益は増えると想定できるのです。リフォームにコストをかけたことが要因で、値引き交渉に応じられないという状況になると、購入希望者との交渉が難しくなり、売れ残ってしまう可能性が高くなるでしょう。つまり、売却前のリフォームは、必ずしも売却活動に有効に働くわけではなく、リフォームをしたことが売却を不利にするケースもあるのです。

したがって、マンションの売却を考えた時には、本当にリフォームしなければならないのかを慎重に検討しなければいけません。

マンション売却にリフォームが有効に働くケースもある

前項でご紹介した通り、マンションの売却を検討した時には、基本的には事前のリフォームは不要であると言えます。しかし、全ての物件において、リフォームが不要というわけではなく、中にはリフォームを検討すべきケースというものもあるのです。

そこでここでは、マンション売却をスムーズに進めるためにも、事前にリフォームを実施したほうが良いケースについてもご紹介します。

設備の劣化や破損が顕著な物件

先程からご紹介しているように、マンションの売却においては、基本的にリフォームが不要とされる場合が多いです。しかし、日常生活を支える住宅設備に関しては、事前にリフォームを実施したほうが有利になるケースが多いです。

例えば、給湯器などの設備について、既に耐用年数を過ぎていて見るからに劣化しているというケースや、故障して正常に動作しなくなっているというケースでは、売りに出す前にリフォームを施した方が良いでしょう。キッチンや浴室など、水回りに係わる設備に関しては、購入後の生活利便性に直結する問題となるため、この部分が劣化もしくは破損していると、購入を躊躇する方が多いのです。

実際に、給湯器が故障して動作しないという場合、その物件を購入したとしても、事前に修理しなければ快適な生活が実現できません。そのため、日常的に使用する設備については、慎重に確認する方が多く、この部分に不具合が認められる場合は、購入の決断を鈍らせる可能性が高くなるのです。逆に、売りに出す前に修理もしくは、新品に交換し、きちんと動作する状況にしておけば、買主に安心感を与えることができ、売却の可能性を高められます。

競合物件との差別化が必要なケース

マンションの売却においては、競合物件との差別化を目的に、事前のリフォームを不動産会社からすすめられるケースがあります。マンションのような集合住宅は、同じような間取りや内装の物件が、建物内にたくさん存在します。

そのため、自分がマンションの売却を検討した時、同じマンション内で他の部屋が複数売りに出されているというケースでは、なかなか成約にまで至らないという状況に陥りやすいのです。最悪の場合、同じマンション内にある他の物件と価格競争のような状況に陥ってしまい、希望の価格よりもかなり値下げした状態で買い手を探さなければならなくなるケースも考えられるでしょう。

同じマンション内で、複数の物件が売りに出されているという場合、立地条件や間取り、内装や設備など、物件の条件がほとんど同じになってしまうため、内見数は多いのに売却に至らないといった状況になりやすいのです。そのため、こういったケースでは、他の物件との差別化を実施して、早期の売却や価格維持を目指すと良いです。例えば、キッチンや浴室など、室内でも特に目立つ箇所をリフォームすることで、他の物件との差別化ができ、魅力的な物件と思ってもらうことができるようになるかもしれません。

築年数が古く、もともとの物件の印象が低いケース

3つ目のケースは、築年数の問題などで、そのままの状態で売りに出した場合、物件の印象がどうしても悪くなってしまうというケースです。例えば、以下のような問題がある物件は、内覧時に悪印象を持たれてしまう可能性が高く、そのまま売りに出したとしても買い手が見つかりにくい可能性が高いです。

  • 築年数が古く、内装の劣化が目立つ物件
  • 壁や天井にタバコのヤニ汚れやニオイが付着している物件
  • ペットを飼育していたため、壁の傷や汚れ、ニオイが目立つ物件

上記のような物件は、そのままの状態で売りに出すと、購入希望者に悪印象を与えやすくなるため、購入に繋がりにくいです。室内の劣化が目立つようなら、「内部はもっと劣化が進行しているのでは?」と言った不信感を与えてしまう可能性があるため、購入を控える方が多いのです。

したがって、明確な弱点が存在する物件については、事前に壁紙の張替えや床の補修、汚れやニオイの除去など、軽微なリフォームの実施を検討すべきです。大幅なリフォームに関しては、買主の判断でできる余地を残しておけば、物件の印象が良くなる分、購入してもらえる可能性が高くなります。また、軽微なリフォームであれば、売主側のコスト負担も少なくなりますし、場合によっては売却価格に上乗せできる可能性もあります。

ターゲットを絞ったリフォームは効果的?

先程、マンションの売却において、事前のリフォームが不要とされる理由の一つとして、買主のニーズからズレてしまうと余計に売れにくくなるからと紹介しました。中古マンションの購入を考えている方でも、住居に求める条件は人それぞれなので、全ての人が「良い」と思ってもらえるようなリフォームを実施することは難しいのです。

ただ、物件を売りに出す際、買主のターゲットをあえて絞り込んでしまうと、その方たちが求めている住居の形が予想しやすくなるため、有効なリフォームにすることができる可能性が高くなります。例えば、以下のような感じです。

  • 子育て世帯をターゲットにする
    子供が好む内装の部屋を用意したり、収納スペースを増やすなど、ファミリー層が過ごしやすい環境にリフォームする。
  • シニア世帯をターゲットにする
    シニア層をターゲットにする場合、物件内をバリアフリー化すると良いです。
  • DINKs(ディンクス)をターゲットにする
    DINKsとは、共働きで意図的に子どもを持たない選択をした夫婦のライフスタイルを指します。仕事や趣味に集中できるような防音室を備えておくなど。

上記のように、物件の購入ターゲットをあらかじめ絞り込み、その人たちが内覧した時に好印象を与えられるような物件にリフォームすれば、ライバル物件との差別化にもなり、売却を早めてくれるかもしれません。もちろん、リフォームには多額のコストがかかるケースもあるため、ターゲットの絞り込みとリフォームが本当に有利に働くのかは、仲介を担う不動産会社と相談しながら決めるようにしましょう。

リフォームにかかる費用について

上述の通り、マンションの売却においては、リフォームの実施が効果的である場合があるのも事実です。したがって、事前のリフォームを検討している方は、どの程度の費用がかかるのかを理解し、その費用対効果を慎重に検討する必要があると言えます。

ここでは、マンションの売却で実施されることがあるリフォームについて、大まかな費用をご紹介します。

内装リフォームの費用

クロスの張り替えなど、内装リフォームの実施は、部屋の印象を大きく変えられることがメリットです。壁紙に汚れやキズが残ったままの場合、内覧時にどうしても「古い」という悪印象を与えてしまう可能性があります。内装リフォームにかかる費用については、以下が相場と言えます。

  • クロスの張り替え:1㎡当たり800円~1,500円程度(材料費+工事費込み)
  • 床材の張り替え:6畳当たり9万円〜18万円(フローリング)
  • 畳をフローリングへ:6畳当たり15〜30万円程度(張り替えの場合)、8〜22万円(重ね張りの場合)

内装リフォームは、上記以外にも専門業者による消臭やハウスクリーニングなどの作業が選ばれるケースがあります。

水回りのリフォーム費用

水回りをリフォームしておくと、内覧時の印象が飛躍的に向上します。ただ、この部分のリフォームは、上で紹介した内装リフォームと比較すると、多額の費用がかかるので、その点は注意しましょう。また、新たに導入する設備のグレードなどによって、リフォームにかかる費用が大きく変わるため、その辺りも注意しなければいけません。

水回りのリフォームにかかる費用は、以下を参考にしてください。

  • キッチンリフォーム:50万円〜150万円程度(リフォーム内容やキッチンのグレードによって変わる)
  • トイレのリフォーム:15万~75万円(便器のみの交換なら数万円程度で可能)
  • 浴室リフォーム:ユニットバス全体交換なら50万円~150万円(付属設備を追加する場合は増額)
  • 洗面台の交換:7万円~25万円
  • 給湯器の交換:15万円~50万円(種類や設備のグレードによって変わります)

水回り関連のリフォームは、上記の通り、かなりのコストがかかります。また、工事を実施するのにもそれなりの日数がかかるため、物件を売りに出すのがどうしても遅れてしまうという点も注意が必要です。

基本的には、設備の老朽化が激しい場合やすでに故障して動作しなくなっているというケース以外は、ここまでの費用をかけてまでリフォームするのはあまりおすすめではありません。売却を予定しているマンションをリフォームする場合、かけたコストを売却価格に反映できるかどうかがポイントになります。そのため、水回りの大規模リフォームを実施した場合には、300万円以上のコストがかかることになり、物件価格がそれだけ高くなるので、リフォームのせいでより売れにくくなるという結果を招く恐れもあるのです。

マンション売却では、リフォームが有利に働くケースはあるものの、多くの場合は不要と判断されているということを忘れないでおきましょう。

リフォームなしでスムーズに買い手を見つけるには?

ここまでの解説で、マンションの売却においては、リフォームが絶対条件になるわけではないということが分かっていただけたと思います。基本的には、多額の費用をかけてまでリフォームを実施する必要がないケースの方が多いと言えます。

ただ、劣化や汚れが目立つマンションについては、そのままの状態で売りに出すのではなく、リフォーム以外の方法で印象アップを目指す必要があるケースも多いです。そこでここでは、リフォームなしでマンションをスムーズに売却するための方法について解説します。

インスペクションの実施

「インスペクション」とは、第三者の専門家が、建物の構造上主要な部分に大きな劣化や不具合がないか調べることで、住宅に限定して、ホームインスペクション(住宅診断)と言われることも多いです。

一般的には、戸建て住宅の売却時に実施する物というイメージを持っている方が多いかもしれませんが、マンションでも売却前に実施することで、スムーズな売却を目指すことができるようになります。インスペクションを実施し、物件の状態や構造に問題ないことが証明できれば、買主側は安心してその物件を購入することができます。なお、インスペクションで調査されるのは、以下のような項目となります。

  • 柱・梁
  • 屋上・屋根
  • 外壁・内壁
  • 床・天井
  • バルコニー・共用廊下
  • コンクリート圧縮強度
  • 各給排水管路・設備

例えば壁であればひび割れやコンクリートの劣化の有無、給排水管路であれば排水不良や水漏れの有無などが調査されます。なお、マンションの場合、共用部の調査を勝手に実施しても良いかで迷う方が多いと思います。これについては、事前に管理組合や管理会社から承諾を得る必要があるので、その点は注意してください。

マンションのインスペクションは、4.5~7万円程度が相場となりますが、不動産会社と特定の媒介契約を結ぶことで無料で実施してもらえる場合もあります。どちらにせよ、リフォームを実施するのと比較すると、コストはかなりおさえられます。

※瑕疵が見つかると、スムーズな売却が難しくなることもあるので注意しましょう。

ハウスクリーニングの実施

中古マンションの売却では、リフォームまでは必要ないにしても、室内を清潔で綺麗に見せるための掃除は必要不可欠です。日本の中古住宅市場は、住みながらの売却を選ぶケースが多いとされているのですが、この場合、日常生活に並行して物件の売却活動を進めなければならないため、家の中の整理整頓や掃除が追いつかず、内覧時の印象を悪くしてしまうというケースが多いとされています。

内覧に行った際、室内が荷物だらけで散らかっているという状況の場合、良い印象を持つわけがありませんよね。人は、床面積で部屋の広さを感じていると言われていますし、荷物が整理整頓されていない場合は、部屋が狭く感じられてしまう恐れもあるのです。

したがって、マンションの印象を良く見せるためには、専門業者に依頼してハウスクリーニングを実施するのがおすすめです。プロのハウスクリーニング業者に依頼すれば、水回りの頑固な汚れなども綺麗に掃除してくれますし、荷物の整理整頓なども実施してくれます。そのため、内覧時の印象が大幅に良くなり、スムーズな売却に近づくことができるのです。

ちなみに、ハウスクリーニングにかかる費用は、部屋の広さや空室かどうかによって変わりますが、3~10万円程度です。リフォームと比較すると、圧倒的に費用対効果が良い手法と言えます。

ホームステージングの実施

ホームステージングも、リフォームなしで、売却を予定しているマンションの印象を良くするための方法となります。ホームステージングは、物件内に家具やインテリア、照明や植物を配置することで、部屋を魅力的に見せる空間演出のことです。

物件のターゲット層が好む空間にコーディネートすることで、購入希望者が内覧に来た際に、入居後の生活イメージを具体的にもたせることができるようになるため、購買意欲を高めることができるとされているのです。居住中の物件の場合、使い古した既存家具をお洒落なレンタル家具に置き換えてもらうことで、空間演出をしたり、不要な荷物を回収、処分してもらうことで、空間をスッキリと見せられるようにするといった対策を施してもらうことができます。また、ハウスクリーニングや消臭作業も同時に実施してもらうことができ、内覧者の印象を悪くする要因を取り除いてもらうことができるのです。

専門業者にホームステージングを依頼する場合、対策を施してもらう内容や部屋数によって変わりますが、15~30万円程度が相場となります。リフォームと比較すると、コストを抑えられますし、物件の魅力を最大まで引き出すことができるので、売却価格にのせてもスムーズな売却が期待できます。

売り方やターゲットを工夫する

マンション売却で、リフォームをせずに売りに出すという場合、売り方やターゲット設定を工夫するという方法も有効です。中古物件の購入を検討している方の中には、リフォーム済みの物件を嫌う人も少なくありません。そして、このような方の中には、購入後に自分好みにリノベーションを施したい、DIYを楽しみながら自分で住まいを改造したいといった要望を持つ方もいるのです。

そのため、物件を売りに出す際には、以下のようにターゲットの設定などを工夫すると良いです。

  • 購入後に自分好みにリノベーションしたい人
  • DIYにより、自分で住まいをカスタマイズしたい人
  • とにかく安く買いたいなど、価格を重視する人

上記のような要望を持っている方であれば、多少物件の状態が悪くても、値引きを柔軟に対応することで、買いやすさをアピールすることができ、リフォームを実施するよりもスムーズに買い手を見つけられる可能性があります。売却価格は多少安くなってしまうかもしれませんが、売れるか分からない状態で多額のリフォーム費用をかけるよりは賢い選択になるのではないでしょうか。

リフォームではなくホームステージングを選択するメリット

それでは最後に、マンションの売却に向けて、リフォームではなくホームステージングを取り入れることで得られるメリットについても簡単にご紹介します。

先程紹介したように、ホームステージングは、リフォームと比較すると、圧倒的にコストが抑えられるうえ、物件の魅力を最大限まで伝えられる方法と言われるようになっています。それでは、リフォームではなく、ホームステージングを選ぶことで得られるメリットとはどのようなことが考えられるのでしょうか?

①第一印象の向上

マンションの売却では、購入希望者が物件情報を見た際や内覧した際の第一印象は非常に重要です。

ホームステージングを実施すれば、生活感のある部屋をモデルルームのように演出することができ、明るく清潔で魅力的な空間を作り出すことができるようになります。散らかった状態や汚れた状態の部屋よりも、整った部屋の方が物件自体に好印象を抱きやすくなり、購買意欲は高くなるものです。

ホームステージングは、この第一印象の部分を大幅に改善することができる点が大きなメリットになります。

②物件の可能性を視覚的に提示することができる

空室状態の物件や、家具の配置が適切でない物件の場合、内覧に来た購入希望者は、その空間でどのように生活できるのか、また家具をどう配置すれば良いのか想像しにくくなることがあります。

ホームステージングは、プロのホームステージャーが、家具やインテリア、照明などを適切に配置することで、その部屋での快適な暮らしを具体的にイメージさせることができるようになるのです。物件を内見した時、そこでの家族の生活や家事動線が具体的にイメージできるようになれば、購入の判断がしやすくなるため、早期の成約が期待できるようになります。

③欠点や問題をカバーできる

ホームステージングは、物件に存在する欠点や問題点を目立たなくさせるという効果も期待できます。

ホームステージングを専門とする会社には、プロのホームステージャーが在籍しています。そのため、その物件が最も売れやすくなるよう、戦略的に家具の配置や照明、インテリアを利用することにより、部屋の狭さや古さと言った潜在的な欠点から注意をそらしてくれるのです。さらに、内覧者の視線を部屋が持つ良い面や特徴部分に注目させることができるようになるため、物件に対する印象がより良くなるという効果が期待できます。

物件の印象が良くなれば、早期の売却や高値売却に繋がる可能性が高くなるでしょう。

④競合物件との差別化ができる

ホームステージングは、競合物件との差別化ができるという点から、マンションの売却で非常に有利に働きます。

中古不動産市場には、数多くの物件情報が出ています。特にマンションの売却の場合、同じ建物内で複数の物件が売りに出ているということも珍しくないでしょう。この場合、ホームステージングが実施された物件は、他の物件と比較すると、写真写りが良くなるうえ、内見時の印象も鮮明に残りやすくなります。

そのため、問合せの段階から競合物件との差別化ができ、購入希望者の母数を増やすことができるため、早期売却の可能性が高くなるといえるのです。

⑤早期売却や高値売却の可能性が高まる

ホームステージングの実施は、早期の売却や高値での売却が実現できるという点が最大のメリットです。この点については、日本ホームステージング協会が毎年実施している、実態調査により、その効果が判明しています。

2024年度に実施されたホームステージングについて「ホームステージング実施前との比較・成約までの期間」という回答においては、以下のような結果が出ています。

  • 大幅に短縮した(1カ月以上):18.6%
  • 少し短縮した(1週間~1カ月未満):51.3%
  • ほとんど変わらない:21.2%
  • 逆に長くなった:1.8%
  • 不明:7.1%

このように、ホームステージングの実施により「成約までの期間が短くなった」という回答が約7割に達しているのです。またこれ以外にも、ホームステージングの本場であるアメリカで実施された調査では、以下のような効果があったと指摘されています。

  • ステージングされた住宅の85%は、掲載価格より5~23%高い価格で売却されました。
  • 売主側の不動産業者の22%は、ステージングされた住宅はステージングされていない住宅に比べて売却価格が1~5%上昇したと報告しています。
  • ステージングされた住宅は、ステージングされていない住宅に比べて、市場に出ている時間が73%短くなります。
  • 住宅購入者の81%は、ステージングされた住宅によって住宅の売却が容易になったと述べています。
  • 住宅不動産業者の50%によると、市場に出ている住宅にステージングを施すと、平均して売却価格が1~10%上昇します。

このように、欧米でも、ホームステージングは早期売却や高値売却に有効だと指摘されています。

参照:ホームステージング白書2024年
参照:アメリカでの調査

まとめ

今回は、マンション売却におけるリフォームの必要性と、リフォームせずにスムーズな売却を実現するための工夫について解説しました。

記事内でご紹介した通り、マンションの売却を検討した場合でも、基本的にはリフォームなどはせずにそのままの状態で売りに出すという方法が一般的とされています。これは、多くの買主は、購入した物件は、自分の好みに合わせてリフォームしたいと考えているからです。事前に売主主導でリフォームしてしまうと、買主の希望から離れてしまう可能性があり、その場合は、コストをかけて売れない状態を作っているのと同じことになってしまいます。したがって、マンション売却においては基本的にリフォームは不要と考えておきましょう。

ただ、物件の状態が著しく悪いというケースなどについては、リフォームしたほうが売れやすくなると考えられますし、全てのケースでリフォームが不要な訳ではないので、その点は注意してください。なお、リフォームせずにマンションの売却を進めたいという場合でも、物件内を清潔で綺麗な状態にしておくというのは最低条件です。不動産の売買では、内覧時の第一印象が非常に重要とされていて、内覧者が物件内に足を踏み入れた際に「汚い…」「散らかっている…」といった印象を持たれてしまうと、購入を控えられてしまう可能性が高くなります。したがって、リフォームしない場合は、物件の印象を高めるため、ホームステージングの採用を検討するのがおすすめです。