2026.01.21

賃貸物件のホームステージング!成功させるポイントとありがちな失敗

今回は、賃貸物件におけるホームステージングを成功させるためのポイントについて解説します。ホームステージングは、中古住宅市場が活発なアメリカで誕生した販促手法で、家を売りに出す際にホームステージングを実施することで高値かつ早期の売却を目指すための方法として欧米で利用が拡大していったとされます。簡単に言うと、空室状態で家を売りに出すのではなく、物件内を家具やインテリア、照明などでコーディネートすることで、内覧時の第一印象を高め、購入希望者の購買意欲を高めるという対策となります。欧米などでは中古住宅は、物件内に存在する家具ごと売却するという手法が当たり前であったため、ホームステージングとの相性が良かったとされています。

このホームステージングは、2000年代ごろより日本国内でも盛んに採用され始め、コロナ禍の2020年頃からは賃貸物件市場でも一気に利用が拡大してきたとされます。コロナ禍は、対面での物件案内が難しくなったこともあり、顧客単体で物件見学を実施した際も、好印象を与えられる手法として、ホームステージングが注目されたのだと思います。

そして、コロナ問題が落ち着いた現在でも、不動産業界では、売買、賃貸共に、ホームステージングの利用率が年々高くなっているとされています。そこでこの記事では、賃貸物件に対してホームステージングを採用することで、どのような効果が認められているのか、またホームステージングを成功させるためにおさえておきたいポイントなどについて解説します。

賃貸物件にホームステージングを実施した場合の効果とは?

それではまず、昨今の不動産業界で、非常に効果的な販促手法になると注目され始めたホームステージングについて、この対策を売買ではなく賃貸物件に実施した場合に得られる効果について解説していきます。ホームステージングによる効果については、日本ホームステージング協会が、毎年実態調査を行っているのですが、その調査データを確認してみると確かな効果が認められるようになっていると分かります。

ここでは、賃貸物件オーナー様がホームステージングに期待する効果と、実際にホームステージングを実施した際、どのような変化が表れているのかについて解説します。

ホームステージングに期待される効果とは?

賃貸物件に実施するホームステージングは、空室期間の短縮が主な目的となります。一般的に、賃貸物件の入居者募集に関しては、空室状態のまま実施されるのですが、ホームステージングは、以下のような対策を物件に施すことで、入居希望者が内見に来た際に、物件の第一印象を高め、早期の成約を目指すのです。

  • 家具やインテリアを配置して入居後の生活をイメージさせる
  • 照明なども用いて空間全体を演出する
  • カラーコーディネートなどにより統一感のある空間を演出する

多くの方は、過去に賃貸物件の内見に足を運んだ経験があると思うのですが、空室状態の物件に足を踏み入れた際には、「綺麗かどうか?」程度しか判断できなかったのではないでしょうか?空室状態の物件を確認しても、部屋のサイズ感などはつかみにくいですし、契約後に家具を運び入れてみると「想像よりも狭かった…」といった失敗を経験した人も多いのではないでしょうか?

ホームステージングは、物件のターゲットとなる層の人が最も気に入る空間になるよう、家具やインテリアを使って室内をコーディネートします。内見時には、家具などがきちんと配置された状態なので、部屋の広さも正確につかむことができるようになりますし、入居後の生活を具体的にイメージすることができることから、契約するかどうかの判断がつけやすくなるのです。また、ホームステージング後の状態を撮影し、不動産検索サイトに広告画像として掲載すれば、空室状態の画像が載っているライバル物件と差別化することができ、問合せ数も増加するという効果が期待出来ます。賃貸物件の空室期間を短縮するには、内見者数を増加させることも大切なので、ホームステージングは広告の段階から好影響を与えてくれると期待できるのです。

実際に、賃貸物件に対するホームステージングは、見込み客に対して以下のような効果を期待するオーナー様が多いです。

  • 不動産検索サイトにおいて物件情報の閲覧者数を増やす
  • 問合せや内見希望者の数を増やす
  • 内見時の第一印象を高める

つまり、賃貸物件におけるホームステージングは、内見者数の増加という集客効果を高めるうえ、さらに内見時の印象を最大化することで空室期間の短期化が可能になると期待され、年々採用率が高まっているわけです。

ホームステージングの実際の効果について

それでは、賃貸物件の空室期間の短縮を目的に、実際にホームステージングを実施した場合、どのような変化があったのかについてもご紹介します。ここでは、日本ホームステージング協会が毎年実施しているホームステージングの実態調査のデータをもとに、賃貸物件においてホームステージングを実施することでどのような変化があらわれたのかが分かるデータをご紹介します。

まず、賃貸物件に対するホームステージングの実施について、不動産賃貸の業務を行う会社に対し、実施の効果を聞いたところ「効果があった」との回答が9割を超えていたというデータがあります。これは、2023年度に実施されたホームステージングに対する実態調査のデータなのですが、ホームステージングの効果については「非常に効果があった55.4%」、「少し効果があった37.5%」となっていました。ちなみに、ホームステージング白書2024年では、貸主と売主に対してホームステージングを実施したことの満足度について質問がなされていて、この質問に対しても「満足度が上がった」という回答が、84.2%と、確かな効果が認められているという結果が出ています。

それでは、賃貸物件に対するホームステージングの実施について、その他の細かな部分の効果についても見ていきましょう。

■ホームステージング実施前との比較・成約までの期間
これは、ホームステージングの実施前後で、成約までの期間がどう変化したのかに関する質問です。

  • 大幅に短縮した(1カ月以上):17.3%
  • 少し短縮した(1週間~1カ月以内):55.8%

このように、ホームステージングの実施により、約73%の方が成約までの期間が短くなったと答えています。

■ホームステージングの導入による賃料の変化
ホームステージングは、賃料にも好影響を与えるというデータが出ています。

  • 5%以上値上げできた:10.6%
  • 1~4%値上げできた:50.0%

このように、なんと6割の物件で、賃料を上げることができたという結果が出ています。ホームステージングは、物件の第一印象を高めることができるため、値下げ交渉などを受けにくくなることから、賃料を維持しやすくなるのだと思います。

■不動産検索サイト上の閲覧者数
ホームステージング白書2023年版では、賃貸物件に対するホームステージングの効果について、細かな調査が行われています。多くの方は、賃貸物件をネット上の不動産検索サイトで探す時代になっていますし、物件広告の閲覧数の増加は空室期間の短縮に大きな影響を与えると考えて良いです。この部分については、以下のような結果が出ています。

  • 大幅に増えた:36.4%
  • 少し増えた:47.3%

このように、閲覧者数が増えたという回答が、約8割となっています。

■問い合わせ数
ホームステージングの実施は、物件に対する問合せ数にも好影響を与えています。

  • 大幅に増えた:32.1%
  • 少し増えた:44.6%

■内見者数
賃貸物件の成約に関しては、最終判断の場として「内見」があります。物件の内見まで足を運んでもらわなければ、成約に至る可能性は限りなく低いと言えます。ホームステージングは、物件広告の段階でライバル物件との差別化ができるようになるため、内見者数も以下のように大幅に増加したというデータが出ているのです。

  • 大幅に増えた:30.4%
  • 少し増えた:42.9%

ここまでのデータで分かるように、賃貸物件に対するホームステージングは、空室期間の短縮に非常に大きな効果をもたらせていると言えます。そのため、賃貸物件を取り扱う不動産会社などは、2023年と比較して、ホームステージングの実施件数について質問したところ、前年よりも増えたという回答が45%を超えているなど、賃貸業界でホームステージングがその存在感を増してきていることが良く分かるデータが出ています。

データ参照①:ホームステージング白書2024年
データ参照②:ホームステージング白書2023年

賃貸物件のホームステージングを成功させるためのコツ

賃貸物件へのホームステージングは、空室期間の短縮に確かな効果が期待できるということが分かっていただけたと思います。ただ、実際にホームステージングを実施する際には、単に家具などを室内を配置すれば良いというほど簡単な対策ではないので注意が必要です。

賃貸物件へのホームステージングは、迅速かつ適正な家賃での契約が獲得しやすくなるという効果が期待できるのですが、効果的なステージングにするためには、いくつか注意しなければならないポイントが存在します。そこでここでは、賃貸物件でのホームステージングを成功させるためのコツをいくつかご紹介します。

①入居者像をきちんと設定する(ターゲット設定)

賃貸物件でも売買物件でも同じですが、効果的なホームステージングを実施するためには、ターゲット設定が非常に重要です。ホームステージングの実施を検討した際は、まず入居者像(ペルソナ)を明確に設定することが重要だと考えてください。

入居者像とは、「理想的な入居者のプロフィール」のことを指していて、どのような人に入居してほしいのかについて、以下の要素を考慮しながら設定していくと良いでしょう。

  • 年齢層
  • 職業
  • ライフスタイル
  • 趣味
  • 家族構成 など

賃貸物件に求める条件は、ターゲット層によって異なるので、どのような人に入居してほしいのかを明確にしなければいけません。逆に、物件のターゲットが明確化すれば、どのような部屋にコーディネートすれば、その人たちに好印象が与えられるのかがはっきりするため、ホームステージングを実施しやすくなります。

②物件の長所をできるだけ生かす

ホームステージングを実施する際には、物件の短所を隠すための対策を施すよりも、物件の長所に着目し、そこを伸ばせるような演出を考えるのが良いとされています。どのような物件にも長所は必ずあるはずなので、対象となる物件の長所がどこなのかを慎重に考えてみましょう。

一般的に、築年数が経過した築古の賃貸物件の場合、物件そのものの印象があまり良くないため、家賃を下げることで入居者を付けようとする方が多いです。しかし、築古の物件でも、室内を昭和レトロの印象を与えるような演出にすることで、内見者の印象を良くすることは可能なのです。賃貸物件のコーディネートは、対象となる賃貸物件がもともと持つ風合いを生かすことで、家賃を下げることなく早期の成約を目指すことができるかもしれません。

この他にも、バルコニーからの景観が長所という物件の場合、内見時に窓部分に視線が集まるような工夫を施しておくことで、自然と景色の美しさを体感させることができ、物件の印象を大幅に良くすることができるかもしれません。ホームステージングは、物件の短所を目立たなくさせることも出来ますが、長所をより強調させることができる点が大きな魅力です。

③内見者の第一印象を良くする

賃貸物件のホームステージングでは、内見者が物件に足を踏み入れた時の第一印象が非常に重要です。内見者が玄関に入った時、「この物件は雰囲気が良くない」と感じてしまうと、室内をどれだけ綺麗にコーディネートしていたとしても、マイナスの印象を覆すことが非常に困難なのです。したがって、賃貸物件のホームステージングを実施する際には、玄関部分の対策もしっかりと行っておかなければならないと考えてください。

内見者の第一印象を高めるための対策としては、以下のような手段が考えられます。

  • 玄関マットや清潔なスリッパを用意する
  • ニオイの演出を実施する(万人受けするアロマを焚くなど)
  • ウエルカムボードを配置する
  • 玄関ドアを綺麗に掃除する など

ホームステージングは、部屋の中を家具やインテリアで装飾することを言うと考えている方が多いのですがそうではないのです。ホームステージングの目的は、物件の印象を高め、早期かつ高値での成約を目指すことなので、それに寄与する作業は全てのホームステージングの一環と言えるのです。

入居希望者が内見に足を運んだ際、最初に目に入るのは玄関部分となるわけなので、この部分で好印象が与えられるかどうかが非常に重要です。そのため、玄関部分は隅々まで掃除をして清潔感を持たせておく必要があるのです。また、玄関部分はどうしても暗く感じやすいので、明るい照明を常につけておくなど、足を踏み入れた時に悪印象を持たれないような対策を施しておきましょう。存在感のあるインテリアなどを設置しておけば、玄関周辺にありがちなウィークポイント(壁のシミや床の傷など)から視線を逸らすこともできるようになります。

④空間ごとのステージングのポイント

ホームステージングは、部屋ごとに求められる対策が異なります。これは、賃貸物件でも売買物件でも同じで、空間ごとに適切な対策を実施してあげる必要があるのです。ここでは、賃貸物件にホームステージングを実施する際、部屋ごとに注意したいポイントをご紹介します。

  • キッチン、バスルームなどの水回り
    キッチンやバスルーム、洗面台などの水回りに関しては、機能性と清潔感が非常に重要なポイントになります。家具やインテリアの配置については、実用的でありながら魅力的な空間を演出できるように心がけましょう。また、水回りは、カビ汚れや水垢など、蓄積汚れが目立つ場所でもあるため、専門業者に依頼してでも、ピカピカで清潔感のある空間を作ることが大切です。この他、バスルームに関しては、リラックスできる空間であることを演出することも大切なので、おしゃれなバスグッズやタオルなどを配置するほか、アロマデューフューザーやポプリなどの香りの演出によってリラックスできる空間にすると良いです。
  • 玄関
    物件の第一印象を決めるポイントになるため、明るく清潔な空間づくりを心がけましょう。玄関部分は、履物の嫌な臭いなどが残ってしまうケースもあるため、足を踏み入れた時に爽やかな印象を与えるためにも、ニオイの演出が効果的です。なお、玄関部分の印象UPは、玄関ドアそのものを綺麗に掃除しておく、可能ならインターホンを新しいものに交換するといった対策も効果的です。
  • リビング
    居住者が最も長い時間を過ごすことになると想定できるのがリビングです。そのため、リビングは、居心地の良さを演出することが大切です。家具などを配置するだけでなく、適度にグリーン(植物)を配置することで、リラックスできる印象が強まります。なお、グリーンの演出については、生きた観葉植物を配置すると、管理が大変です。水やりや害虫の発生など、面倒な手間が増える可能性があるので、フェイクグリーンを採用するのがおすすめです。ホームステージングは物を置きすぎないことが基本ですが、空間の広いリビングは、インテリアの数が少ないと、逆に寂しい印象を与えてしまう可能性があるので、その点は注意しましょう。
  • 寝室
    寝室のホームステージングは、「高級感」「リラックス」「家族の温もり」など、ターゲット層に合わせたコンセプトを決めて対策を施すことが大切です。また、ベッド脇などにミニデスクやチェストを配置することで、空間の効率的な活用を提案するという方法も有効です。単に寝具を配置するだけでなく、実際に生活したときのイメージを醸成できるような工夫を施しましょう。

ホームステージングは、空間ごとに求められる対策が異なります。専門業者に対策を依頼すれば、物件のターゲットに合わせて的確な対策を実施してくれますが、DIYでホームステージングを実施する場合は、上記のような事に注意しましょう。

賃貸物件のホームステージングにありがちな失敗

それでは、賃貸物件に実施するホームステージングで、ありがちな失敗例もご紹介しておきます。先程紹介した賃貸物件におけるホームステージングの効果を見ても、2~3割程度の方はホームステージングの効果が実感できていないという結果が出ています。ホームステージングを実施したのに、聞いていたような効果が得られなかったというケースでは、以下のような失敗をしている可能性があるので、実施した対策を見直してみると良いです。

  • ターゲットと演出が合致していない
    ホームステージングの失敗で最も多いのは、物件のターゲット層に合わない演出を施したというものです。当然、ターゲットが好む演出が施されていなかった場合、共感を得ることはできません。例えば、ファミリー層がターゲットの物件なのに、スタイリッシュで個性的な演出をしてしまうと、「住みにくそうだな」という印象を与えるなど、ミスマッチが生まれてしまいます。ホームステージングを成功させるには、ターゲット層を明確にして、その人たちが好むインテリアやライフスタイルをリサーチしたうえ、それを反映させることが大切と考えてください。
  • 統一感のない空間になってしまう
    DIYによるホームステージングにありがちな失敗では、配置する家具やインテリアに統一感がないというものがあります。「ホームステージング=家具を配置する方法」という単純な認識をしてしまうと、安価な家具やインテリアをテキトーに集め、室内に配置するといった対策になります。この場合、家具やインテリアに統一感がなく、ちぐはぐな印象を与えてしまうようになるため、内見者は違和感を覚えてしまうのです。ホームステージングを実施する際には、カラーや素材感などを揃えることで、室内を統一感のある空間にするということも大切です。
  • 部屋の広さを無視した対策を実施する
    物件の広さを考えずにホームステージングを実施するという失敗も少なくありません。例えば、インパクトのある部屋にしたいと、大きな家具を配置する方がいるのですが、もともと手狭な部屋に大きな家具を配置すると、余計にスペースが狭く感じられてしまうことになり、物件の印象は良くなりません。ホームステージングを実施する際には、基本的に空間を広く感じさせることができるレイアウトを心がけることが大切です。物を置きすぎると、部屋が狭く感じられる可能性が出てくるので、適切なサイズの家具やインテリアを、適切な数、場所に配置するようにしましょう。

ホームステージングは、専門業者に依頼しなくても、自分で家具やインテリアを購入し、部屋をコーディネートすることも可能です。実際に、日本国内でホームステージングが広まり始めた当初は、物件オーナー様や仲介を担う不動産会社の担当者様が実施するケースが多かったように思います。しかし昨今では、ホームステージングの効果が認められ、多くの物件が空室対策として実施するようになっています。そのため、ホームステージングの効果を見込むためには、単に対策を施しているだけでは不十分で、コーディネートの質が求められるようになっており、専門業者に依頼して対策を施す物件が増えています。

今まで一度もホームステージングを実施したことがなく、どのような部屋にすれば良いのかが分からない…という方は、自分で対策を施すのではなく、専門業者に対策を依頼するのがおすすめです。

まとめ

今回は、賃貸物件におけるホームステージングの効果や、実際にホームステージングによる空室対策を成功させるためのポイントについて解説しました。

ホームステージングは、中古住宅の販売を促進するためにアメリカで誕生したのですが、賃貸物件の魅力を引き出し、その価値を入居希望者に感じてもらうという面でも非常に効果的な手法となっています。実際に、日本国内では、賃貸物件市場でホームステージングが採用される機会が年々増えていて、記事内でご紹介した通り、確かな効果が発揮できているという結果が出ているのです。

賃貸物件へのホームステージングの実施は、物件の空室期間の短縮だけでなく、適切な賃料の維持や入居率の向上などにも貢献してくれると考えられます。したがって、賃貸物件の競争率が激しいエリアや、空室率が高いエリアにおいては、ライバル物件と差別化を図る手段として非常におすすめできます。