2026.07.15

定期借家契約とは?普通借家契約との違いと早期に借り手を見つける工夫

転勤などを理由に一時的に自宅を賃貸に出そうと考えた時には、一般的な契約となる普通借家契約ではなく、定期借家契約を結んだ方が良いと言われています。

ただ、普段賃貸経営を生業にしているわけではないという方からすると、「定期借家契約って何?」「一般的な契約と何が違うの?」と言った点に疑問を感じる可能性が高いです。そもそも、賃貸物件の契約形式として、異なる方法が存在することを知らない人も多いと思いますし、なぜ転勤などを理由とした一時的な賃貸の場合、定期借家契約を選ぶべきとされているのかが理解できず、アドバイスを無視して普通借家契約を条件に賃貸に出すという方も少なくないのです。これは、定期借家契約の場合、賃貸物件市場に出したとしても、顧客から選ばれにくくなる可能性があるからです。

この記事では、一般の方があまり理解していない部分となる、賃貸物件の契約方式について、定期借家契約がどのようなもので、普通借家契約と何が違うのかについて解説します。なお、転勤などを理由に自宅を賃貸に出す際には、素早く借り手を見つける必要があるため、そのための対策についても解説します。

定期借家契約とは?

それではまず、定期借家契約がどのような形式の契約なのかについて解説します。定期借家制度については、比較的新しい制度で、平成11年12月9日に成立した「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」が同月15日に公布され、2000年(平成12年)3月1日から本格施行された制度となります。国土交通省の資料によると、以下のように定義されています。

定期借家制度では、契約で定めた期間が満了することにより、更新されることなく、確定的に賃貸借契約が終了する
引用:国土交通省資料より

つまり、定期借家契約は、通常の賃貸契約とは異なり、更新の概念がない賃貸借契約となります。更新が無いので、最初に決めた契約期間が終了すると、賃貸契約を確実に終わらせることができるのです。例えば、3年間などと、期間が決まった転勤などがあった際、転勤終了時期に合わせて契約期間を決めておけば、将来的に賃借人とのトラブルなく出て行ってもらうことが可能になるという訳です。

ここでは、定期借家契約の特徴について、もう少し詳しくその内容をご紹介していきます。

定期借家契約と普通借家契約、それぞれの特徴

賃貸物件を借りる際の賃貸借契約には、定期借家契約と普通借家契約の2種類が存在します。一般の方がイメージする賃貸借契約は、普通借家契約で、こちらは戦前から存在する契約形態となります。

一方、定期借家契約については、先ほど紹介した通り、2000年3月に施行され始めたなど、比較的新しい契約制度と言えるのです。それぞれの契約について、簡単に紹介すると、以下のような感じになります。

  • 定期借家契約について
    定期借家契約は、「契約で定めた期間が終了する」と、契約は更新されることなく確定的に賃貸借契約が終了するという制度です。つまり、所有者は、貸し出した物件を確実に返してもらうことができるという制度になっているのです。
  • 普通借家契約について
    古くから存在する普通借家契約は、更新という制度が存在しています。借主側が「更新したい」と意思表明をした場合、基本的に更新が可能とされていて、貸主側から更新を拒否するには、正当な理由と立ち退き料が必要になるとされています。つまり、貸主側の意向で、契約解除をして物件を返してもらうという行為については、かなり敷居が高くなっているのです。

上記の通り、定期借家契約と普通借家契約では、その中身に大きな違いが存在します。それぞれの賃貸借契約の比較については後述しますが、普通借家契約を結んで物件を貸し出した場合、基本的には「借主の意思」が優先されることになるのです。

例えば、普通借家契約を解約するための正当事由については、かなりハードルが高いです。老朽化した建物を建て替えたい、再開発による取り壊しが決まった、貸主が自分で建物を使用する事情があるなど、一見すると正当事由に当てはまりそうですが、これらを理由とした更新拒絶の場合でも、合理的な理由がなければ認められません。また、ほとんどの場合、立ち退きしてもらうために、「立ち退き料」と呼ばれる金銭の支払いが発生するなど、貸主側にとっては不利に感じるような条件が整っているのです。これは、日本では、借主の居住権が法律で強く守られているためです。ちなみに、賃料の長期滞納や契約違反(ペット不可なのにペットを飼育するなど)など、借主側に重大な過失がある場合は、退去の申し立てが認められやすいとされています。しかし、その場合でも、即座に退去してもらうことは難しく、居座られてしまう可能性も少なくないのが実情です。

その一方、定期借家契約の場合、契約期間を最初に決め、更新という概念が設けられていないため、貸主側から見ると確定的に物件を返してもらえるという契約になるのです。普通借家契約に存在した、「貸主側からの契約解除が困難」という問題を解消するために作られた制度と考えて良いでしょう。

定期借家契約は事前の手続きに注意

上述したように、定期借家契約は、更新の概念が無く確定的に出ていかなければならない契約になっているなど、貸主に有利で借主側が不利となる契約です。普通借家契約と同様のイメージでこの契約を結んでしまうと、後々借主側が困ってしまう状況に陥る可能性もあるのです。

そのため、定期借家契約では、借主側をある程度保護するという観点から、賃貸契約を締結する際に、一定の手続きを経なければならないと法律で定められています。

大きなポイントになるのは、定期借家契約を締結するにあたっては、借主に対して今から結ぶ賃貸借契約は「更新が無く、期間の満了とともに終了する」ということを、書面として交付したうえ、きちんと説明しなくてはならないと決められているのです。定期借家契約は、過去に締結したことがないという人の方が多いですし、「普通の賃貸借契約のように更新ができる!」と考えていると、借主が将来困ってしまうためです。また、不動産会社が仲介する場合についても、契約締結前の重要事項説明において、「本契約は定期借家契約である」ということをきちんと説明しなくてはならないとされています。

普通借家契約は口頭でも成立するという決まりになっているのですが、定期借家契約の場合、必ず書面で契約を交わさなければならないという点もポイントになるでしょう。これらの手続きを踏まずに定期借家契約を結んでいた場合、その契約は無効とされ、普通借家契約として扱われることになります。つまり、借主側が更新の意思を示せば、契約が更新されることになるのです。

「更新」はないけれど「再契約」はできる

ここまでの解説を見ると、定期借家契約は、更新の概念が無く、契約期間が満了すれば賃貸借契約が確定的に終了するなど、借主から見ると長く住むことができない不利な契約に見えてしまうはずです。

定期借家契約を結ぶ場合、契約期間が終了すると、原則的に借主は出ていく必要があり、そこに住むことができなくなるのです。ただ、定期借家契約については、「更新が無い」というだけで、「再契約」が認められればそのまま住み続けることが可能なのです。
実は、定期借家契約が満了する前に、貸主と借主の合意のもと、新たな条件で再契約をすることは可能なのです。あくまでも、一つの契約が終了し、新しい契約を結ぶという形になるので、更新とは異なりますが、借主が住み続けたいと思って貸主に交渉し、その条件に貸主が同意すれば、再契約することも可能となるのです。

貸主側から考えると、普通借家契約の更新拒絶と異なり、立退料の支払いなどなく、穏便に出て行ってもらうことができる点が定期借家契約のメリットになるでしょう。普通借家契約の場合、更新拒否をする場合、正当事由や立ち退き料の支払いが必要になります。立ち退き料を支払いたくない…と考えるなら、借主側の「更新したい」という申し出は受けざるを得ないのです。

定期借家契約と普通借家契約の主な違いを紹介

それでは、一般的な賃貸借契約の形態となる普通借家契約と2000年以降に登場した定期借家契約について、主な違いがどこにあるのかについてもまとめてみます。この点については、国土交通省の資料が分かりやすいので、以下に引用してみます。

引用:国土交通省資料より

上図だけでは分かりにくい部分があると思うので、主な違いについて分かりやすく解説します。

契約方法が異なる

一つ目の違いは、契約を締結する際の方法が大きく異なるという点です。

普通借家契約の場合、「書面による契約でも、口頭による契約でも可」とされています。もちろん、一般的には契約書を作成して契約条件を明確にしたうえで締結するものですが、実は「口頭による契約」でもOKとされているのです。
一方、定期借家契約はというと、「公正証書等の書面による契約に限る」と定められています。さらに、更新が無いこと、期間の満了で契約が終了する旨を、契約書とは別に書面として交付し、説明しなくてはならないとも定められています。

定期借家契約は、賃借人側に不利な部分があるため、後のトラブルを防止する目的で、契約方法についてルールが設けられているのです。ちなみに、書面については公正証書「」とされているように、公正証書でなければならないというわけではありません。

契約の更新に関する違い

この部分は上で解説した通りです。定期借家契約の場合、更新の概念が無く、期間が満了した時点で契約が終了します。

一方、普通借家契約の場合、更新の概念があり、貸主側からの更新拒絶のハードルがかなり高く設定されています。普通借家契約は、借主側の居住権を強く保護する目的で「正当事由がない限り更新される」としています。

なお、定期借家契約でも、貸主と借主、両者の合意のもと「再契約」を結べば、借主が住み続けることができます。

契約期間に関する違い

定期借家契約と普通借家契約では、契約期間の部分にも違いがあります。

上表の通り、定期借家契約は「1年未満の契約も有効」とされています。あくまでも、貸主と借主が合意できる条件で契約を交わす仕組みなので、契約期間についても両者が合意できるのであれば1年未満に設定することが可能なのです。

一方、普通借家契約の場合、1年未満の契約期間の設定などは認められていません。仮に、1年未満で契約を交わしたとしても、「期間の定めのない賃貸借」とみなされてしまうのです。「期間の定めのない賃貸借」とは、文字通り契約期間の定めが存在しないことを指しています。この場合、当事者の一方から解約を申し入れた場合、一定期間経過後に契約が終了するという扱いになります。ただ、貸主側からの解約の申し出については、「期間の定めのない賃貸借」だとしても、正当事由と立ち退き料が必要となります。

賃料の増額に関する取扱い

定期借家契約と普通借家契約は、賃料の増額に関する取り扱いについても違いがあります。上表の通り、定期借家契約では「借賃の増減は特約の定めに従う」とされていますが、普通借家契約の場合「特約にかかわらず、当事者は、借賃の額の増減を請求できる」となっています。

賃貸借契約には、不増特約と不減特約(賃料減額請求排除特約)があります。前者は、一定期間は賃料を増額しない特約のことで、後者はその逆に一定期間は減額することができないという特約となります。

定期借家契約は、基本的に貸主に有利な契約であり、不増特約と不減特約は、両方とも有効となります。しかし、借主側に有利な契約となる普通借家契約の場合、借主側に不利なる不減特約は、たとえ契約書に記載されていたとしても借地借家法第32条により借主の減額請求権が優先されるため、無効となるのです。

賃貸借契約書の中には、「家賃は減額しない」と記載されているケースもあるかと思いますが、契約の形態によってこの特約の扱いが変わるわけです。普通借家契約では無効で、定期借家契約の場合は有効となります。

中途解約に関する取扱い

中途解約については、普通借家契約でも定期借家契約でも、それに関する特約を契約書で定めていた場合、その定めに従うことになります。つまり、契約書に借主からの中途解約について定めておけば、それに従った対応となるのです。

ただ、定期借家契約の場合に限り、「床面積200㎡未満の居住用の建物については、借家人が、転勤、療養、親族の介護等のやむを得ない事情により、建物を生活の本拠として使用することが困難となった場合には、借家人の方から中途解約の申入れをすることが可能(申入れの日後1か月の経過により賃貸借契約が終了)。」というルールが定められています。

ちなみに、貸主側からの中途解約については、基本的にできないと考えておきましょう。何らかの理由で解約したい場合、借主側の合意が必ず必要となるので、立ち退き料などの支払いが発生するはずです。

定期借家契約を結ぶメリットとデメリット

定期借家契約と普通借家契約の違いが理解できたと思うのですが、それでは、賃貸借契約を結ぶ際、定期借家契約を利用するメリットとはどこにあるのでしょうか?

ここでは、定期借家契約について、貸主側から見た時のメリットについて解説します。

期間を決めて貸し出せる点が最大のメリット

貸主にとっては、最初に決めた契約期間が満了すると、確定的に賃貸借契約を終了させられるという点が最大のメリットになります。普通借家契約の場合、自分たちが住みたいと考え、賃貸借契約を終了させたいと思っても、借主側が更新の意思を示すと、そのまま契約が続いてしまいます。貸主側からの解約は、正当事由があり、さらに立ち退き料の支払いが求められるのが一般的ですが、定期借家契約はこれらの問題を抱えることなく、確実に物件を返してもらうことができるのです。

そのため、以下のようなケースで定期借家契約が利用されています。

  • 転勤時の留守宅を一時的に賃貸物件として活用する
  • 近い将来建て替えを検討している物件で、それまで空室を埋める
  • 大規模修繕を控えている物件がそれに合わせて空室を埋める

定期借家契約は、一定期間だけと決めて貸し出すことができ、その間は賃貸収入を得ることができます。そして、何らかの理由で自分の手元に戻ってもらう必要がある時期になると、確実に返ってくるという点から、貸主にとっては効率的な賃貸物件の運用ができるという魅力的な契約と言えます。

定期借家契約にもデメリットがある

定期借家契約は、借主側から見ると「不利な契約形態」に見えてしまうことから、賃貸市場では不人気になりがちです。

そのため、同レベル帯のライバル物件と比較すると、定期借家契約の物件の方が賃料を安く設定せざるを得なくなるとされているのです。立地や間取り、搭載設備などが同等レベルの物件があれば、借主にとっては長く住むことも可能な普通借家契約の物件を選びたくなるはずです。定期借家契約の物件は、契約の段階で「出ていく時期」が決定しているわけなので、引っ越し費用が余計にかかる…と言ったネガティブな印象を持たれてしまい、敬遠される可能性があるのです。

その結果、普通借家契約のライバル物件との競争力を維持するためには、「家賃が安い」など、その他の部分で魅力的に感じさせる必要があるのです。当然、賃料が安くなるのであれば、その物件から得られる収入が少なくなってしまいます。

この他、定期借家契約の物件は、家賃を割安に設定したとしても借り手を見つけるのに苦戦する可能性が高くなる点もデメリットと言えるでしょう。借主にとっては、退去しなければいけない時期が決まっている、再契約できる保証がないという点から、長く住むことができないという致命的なデメリットがある物件と扱われます。そのため、それを超えるようなメリットがない物件であれば、わざわざ定期借家の物件を選ばないという認識になる可能性が高いのです。定期借家契約は、事前に「定期借家契約である」ことを説明しなくてはいけないので、隠して借りさせることもできないことから、なかなか借り手を見つけられないという状況に陥りやすい点もデメリットです。

転勤などを理由に一時的に空き家になるなら定期借家としての運用がおすすめ

ここまでの解説で、定期借家契約と普通借家契約の違いや利用するメリットが分かっていただけたと思います。定期借家契約は、転勤などを理由に、一時的に自宅が空き家になるというケースで、後の賃貸トラブルのことを気にせずに貸し出すことができる方法として非常に有効です。

転勤を理由として自宅を貸し出した場合、将来的に転勤が終了して自分たち家族が自宅に戻りたいとなった時、借主にスムーズに出て行ってもらわなければいけません。しかし、普通借家契約として貸し出した場合、転勤期間が終わって自宅に戻りたいと思っても、借主側が「出ていきたくない!」と主張すると、そのまま貸し続けなければならないのです。日本の法律では、借主側の居住権が強く保護されているため、物件の所有者だとしても「もう貸さない!」と一方的に契約を解除するといった対処をすることはできないのです。

これが、定期借家契約の場合であれば、あらかじめ転勤期間を賃貸借契約の期間として定めて貸し出すことができます。この契約の場合、契約期間が満了すれば、更新されることなく契約が終了するため、借主側の意向に関係なく自分の家を取り戻すことができるのです。

それでは、転勤などを理由に自宅が空き家になる時、そのままの状態で放置するのではなく、賃貸として運用した方が良いとされる理由はどこにあるのでしょうか?

一時的に空き家になる物件を貸し出した方が良い理由

転勤などを理由に、一時的に空き家になる物件については、期間を定めて賃貸物件として運用するのがおすすめです。なぜなら、空き家状態のまま維持する時のデメリットを、賃貸に出すことで解消することができるためです。空き家状態で所有を続けるというケースでは、以下のような問題が立ちはだかります。

  • 税金の支払いが発生する
    不動産は所有しているだけで固定資産税や都市計画税などの税金が課せられます。固定資産税などは、「住んでいる人」に課せられるのではなく、所有者に対して課税されるものなので、空き家として保有しているだけの物件は、まさに無駄な税金を支払い続けるという状況になります。
  • 維持管理の手間がかかる
    家は、人が住んでいる状況とそうでない空き家状態なら、後者の方が劣化が早く進むとされています。これは、人が住まなくなった空き家は、窓やドアが開放されないため、換気不足に陥るためです。室内には、ホコリなどが溜まり、湿気の高さと重なって、カビや害虫の繁殖を招く恐れがあるのです。そのため、転勤などで一時的に空き家にする場合、定期的に足を運んで、換気や掃除などを実施しなくてはいけません。遠方への転勤であれば、交通費もバカになりませんし、家を維持し続けるためには、ライフラインを生かしておく必要があるので、その部分にもコストがかかります。
  • 破損に気付くのが遅れる
    日本は、台風や地震などの自然災害が非常に多いです。そして、これらの自然災害は、さまざまな住宅被害を引き起こすのですが、誰も住んでいない空き家の場合、何らかの被害が生じてもそれに気づくのが遅れてしまい、被害が拡大する恐れがあるのです。すぐに気づいて対処していれば安価な修繕費で済んでいたものが、被害が拡大して対処することになり、建て替えなどの大規模修繕が必要になることも考えられます。
  • 近隣トラブルの可能性がある
    空き家として保有を続ける場合、管理を怠ることで、近隣トラブルが発生することがあります。例えば、庭の管理を怠り、そこに小動物や害虫が住み着き、騒音や悪臭被害などを引き起こし、クレームになるということが考えられるでしょう。この他、タバコのポイ捨てなどにより、火災が発生し、近隣住宅に延焼するといった問題も考えられます。人が住んでいない空き家は、近隣住宅にさまざまな悪影響を与える可能性があり、転勤が終了して自宅に帰った後、関係性が拗れてしまう…と言った問題に発展する可能性もあるのです。

上記のように、賃貸物件として運用するのではなく、単に空き家として保有を続ける場合、さまざまなデメリットが存在するのです。コストの問題や建物の劣化を早めるといった点は、物件所有者からすると致命的な問題と言えます。

これが、賃貸物件として貸し出していれば、物件の維持管理については借主が日々の生活の中で実施してくれるため、まともな人に貸したのであれば、自宅を良好な状態で維持し続けることができるのです。また、固定資産税などの税金や火災保険、電気や水道代などの費用についても、家賃から捻出することができるようになるため、コスト負担の問題も解消することができるわけです。

「数カ月だけの転勤」など、空き家となる期間が極端に短い場合、賃貸として貸し出す必要はありませんが、数年以上に渡って転勤が続くと想定できる場合、期間を決めて賃貸に出すのが良いでしょう。

転勤を理由とした賃貸運用は、早期に借り手を見つける必要がある

転勤を理由に空き家となる自宅を賃貸に出す場合、早期に借り手を見つける必要があります。借主が決まらない間は、建物を良好な状態に維持するため、定期的に管理のために足を運ぶ必要がありますし、貸しに出せる期間がどんどん短くなっていくことで余計に借り手がつきにくくなると想定できるからです。

ただ、先ほど紹介した通り、定期借家契約を前提とした物件に関しては、普通借家契約を前提とした物件と比較すると、賃貸市場では不人気になりやすいです。借り手側から見ると、「長く住めない」「引っ越し回数が増えるため余計なコストがかかる」と言ったデメリットが目に見えているので、家賃を安く設定するなど借り手側にとってメリットになる対策を打ちだす必要があるのです。

このような、一般的には不人気となる定期借家契約を前提とした賃貸物件について、早期に借り手を見つけるための対策としておすすめできる方法がホームステージングです。ホームステージングは、以下の画像のように、売却や賃貸を予定している物件に対し、室内に家具やインテリア、照明などを配置することで新築のモデルルームのような空間を作り出す演出手法とされています。


ホームステージングを実施することで、内覧時の印象を良くすることができるうえ、不動産ポータルサイトなどに掲載する物件広告の質を向上させることができるので、未実施の物件と比較すると、早期の成約が期待できるようになるのです。実際に、日本ホームステージング協会が実施している実態調査のデータを見ても、ホームステージングを実施した物件は、未実施の物件に対し、以下のような効果が見られたという結果が出ています。

■ホームステージング実施前との比較・成約までの期間

  • 大幅に短縮した(1カ月以上):17.3%
  • 少し短縮した(1週間~1カ月以内):55.8%

このように、ホームステージングの実施により、成約までの期間が短縮できたという回答が7割を超えています。さらに、ホームステージングは、家賃の設定にも好影響を与えているというデータがあります。

■ホームステージングの導入による賃料の変化

  • 5%以上値上げできた:10.6%
  • 1~4%値上げできた:50.0%

なんと、ホームステージングの実施により、60%以上の物件が家賃の値上げが実現したとされているのです。定期借家契約を前提とした物件は、「家賃を割安に設定しなくてはならない」という点が大きなデメリットとされていますが、ホームステージングの採用により、この問題についても解決することができるかもしれないのです。

データ参照:ホームステージング白書2024年

まとめ

今回は、一般の方であれば、いまいち分からない定期借家契約と普通借家契約の違いについて解説しました。記事内でご紹介した通り、賃貸物件を貸し出す際に結ぶ賃貸借契約であるということは同じなのですが、中身を詳しく確認すると、大きく異なる契約内容になるのです。

賃貸経営を進める際には、できるだけ長く住んでもらえる人に貸し出すという事が、賃貸経営を安定させるために重要とされています。しかし、一般の方が、転勤などを理由に自宅を一時的に貸し出したいというケースでは、長く住んでもらうのではなく「確実に返してもらえるようにする」という契約を結ぶのが大切なのです。そうしないと、転勤が終了して地元に戻ってきたのに、家を取り戻せないために賃貸物件を借りる…といった本末転倒な状況になる可能性があります。

なお、転勤を理由に一時的にマイホームを貸し出すという場合、できるだけ早く借り手を見つけるということが重要になるので、ホームステージングの採用など、集客のための対策の実施を検討しましょう。