2026.07.12

不動産を売却する最適なタイミングとは?さまざまな視点で売るべき時期を考えてみよう

不動産の売却について考え始めた時には、「いつ売るのが自分にとって最も利益が大きくなるのか?」また「売りに出すのであればどの季節が適しているのか?」など、売却活動をスタートさせるタイミングに迷ってしまう方が多いです。

不動産の価格は、景気に大きく左右される部分があるため、より良い条件を付けてくれる買主を求めるなら「少し待った方が良いのではないか?」と考えるケースも多いです。特に昨今では、建築資材や人件費の高騰などにより、新築住宅の価格が急騰していることもあり、それに引きずられる形で中古不動産の価格も高騰しています。また、海外投資家の流入により、国内不動産の価格が高騰しているという報道などを見聞きする機会も増えていますし、今すぐ売るのではなくしばらく待ってから売った方が収益を最大化できるのではないかと考えている方が増えていると言われているのです。

こういった市場動向以外にも、実際にマイホームの売却を考えた時には、売却活動の負担を軽減する目的で「可能な限り短期間で買い手を見つけたい!」と考え、不動産を売りに出す時期として最適な季節はどこかで迷う人も多いのです。最初に言っておきますが、不動産の売却タイミングに関しては、「誰にとっても○○が正解!」と言った決まったタイミングはありません。そもそも不動産の売却を考える理由は、転勤や家族構成の変化による住み替え、ローン負担に相続など、人それぞれ異なるはずです。当然、家を売却する理由が変われば、最適なタイミングも変わるのです。

そこでこの記事では、不動産の売却タイミングについて、自分にとっていつが最適なのかを検討する際のポイントなどについて解説します。

不動産の売却を考えた時、「今すぐ」動くべきサイン

不動産の売却タイミングは、売主自身の状況や売却を検討し始めた理由によって最適と言えるタイミングが変わります。そして、以下に紹介するような状況なのであれば、「いつ売るのが良いのか?」を考える状況なのではなく、すぐに専門業者に査定を依頼するなど、物件を売りに出すための準備を始めるべき状況と言えます。

つまり、「今すぐ」が売却のタイミングと言えるような状況の人もいるのです。

有力な住み替え候補が見つかっている(決まっている)

住み替えを理由とした不動産の売却については、基本的に売りを先行させるケースが多いです。これは、先に売却を動かさなければ、住み替え先の購入資金の計画が立たないケースが多いためです。もちろん、自己資金に余裕があるのであれば、売りと買いを同時進行で進める、もしくは買いを先行させるというケースもあるでしょう。

しかし、有力な住み替え先の候補が見つかったのであれば、現住居の売りについては「今すぐ」に動き始める必要があります。不動産は所有しているだけで多額のコストがかかってしまうため、住み替え先が決まっているのにもかかわらず、売りに出す時期を迷っていると、現住居の売り時を逃してしまい、金銭的なデメリットを抱えてしまう可能性が出てきてしまうのです。

したがって、住み替えを理由とした売却に関しては、売りを先に動かし、新居の購入資金計画を速やかにたてられる状況を作る方向で動くのがおすすめです。

住宅ローンの返済負担が大きくなっている

マイホームを売却する理由として、近年増えているのが、住宅ローンの返済が大きな負担になり、家族の生活がままならなくなってきた…というものがあります。現在、住宅ローンの金利については、日銀のマイナス金利解除(2024年3月)以降、段階的な利上げを背景に上昇傾向が続いています。例えば、2024年1月頃における住宅ローンの変動金利(新規借り入れ)は、ネット銀行で年0.3%〜0.4%台、メガバンクなど大手銀行では年0.4%〜0.6%台でした。これが、2026年7月現在、1%を突破する金融機関が増加しています。また、フラット35などの固定金利も2%前後で推移するなど、長きにわたる超低金利時代から「金利のある世界」へと本格的に移行しているとされているのです。

その結果、毎月の住宅ローンの返済が困難になる人が増えていて、マイホームを手放すという判断をする人も多いのです。このように、住宅ローンの返済を「きつい」と感じている方の場合、放置するほど損失が膨らんでしまう可能性が高いため、早期に売却を目指して動くべきと言えるでしょう。少し待てば高く売れるかも、収入が増えるかもなどと考えてしまうかもしれませんが、その間にローンの返済や家の維持管理費、固定資産税などの税金と言った支出が確実にかさんでしまうことになります。ローンの返済が完全に滞ってから売却に動かざるを得ないとなってしまうと、有利な条件で買い手を見つける余裕がなくなるため、「今すぐ」売却に動く方が良いかもしれません。

転勤などを理由に住まなくなっている

転勤や老人ホームなどの施設への入所が決まり、住まなくなったマイホームがある場合、将来的にその住居に戻るのかどうかを慎重に判断し、戻る可能性が低いという場合なら「今すぐ」売却に動いた方が良いです。

というのも、マイホームの売却については、売却によって得られる所得について、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」というものが用意されているのです。これにより、譲渡所得に対する税金の支払いを免れることができるのです。

しかし、この特例については、「住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合に限る」と、売却の期限が設けられています。この期限を過ぎると、譲渡所得に対する数百万円の税金が発生するのです。不動産は、売りに出せばすぐに買い手が見つかる物ではありませんし、長期間空き家状態になった物件は売却が難しくなる可能性が高いです。そのため、転勤などを理由に空き家になり、将来的にも住む可能性が低いという場合は、早期に売却に動くのがおすすめです。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例について

実家を相続したけれど誰も住まない

親世代が住んでいた実家を相続したケースについても、売却タイミングに注意しなければいけません。核家族化が進んでいる現在では、親が住んでいた実家を相続しても、既に自分たち家族が生活するための住居を保有している、また遠方に住んでいるといった理由で、利用や活用ができないというケースが増えています。この場合、将来的にも自分たちで利用することも活用することも考えていないのなら、「今すぐ」が売却タイミングと言えます。

空き家は、所有をし続けるだけでさまざまなコストがかかります。また、家の価値は築年数が大きく影響するため、売りに出す時期が遅れれば遅れるほど、売却可能額が下がってしまうのが通常なのです。稀に、相続した実家周辺の再開発が進み、地価が上昇するといったこともありますが、マイナスな保有コストほど家の価値が高くなるようなことは非常に稀です。つまり、空き家として寝かしておくよりも、すぐに売却に動いた方が、金銭的なメリットが大きいと言えるのです。

さらに、相続した実家の売却などに関しても「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」が用意されていて、相続から3年以内に売却すれば3,000万円の特別控除が受けられるのです。この期間を逃すと、数百万円単位で税額が変わる可能性があるので、利用や活用を考えていない場合は、早期に売却を目指すのがおすすめです。

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不動産売却に適した季節は?

不動産の売却を考えた時には、「買い手を見つけやすい時期はあるの?」など、物件を売りに出すのに最適な季節がどこなのかで迷う方も多いです。家を売りに出した場合、内覧者を迎えるための準備や内覧に足を運んでくれた人の対応など、売主はそれなりの手間がかかります。また、最終的な売却価格については「買いたい!」と手をあげてくれる人の数が多い方が高くなると考えられるため、「どうせ売りに出すのであれば、季節も見極めたい」と考えるのだと思います。

この点について、不動産市場にも繁忙期と閑散期というものがあるので、物件を売りに出す時期を見極めるという行為そのものは賢い選択と言えます。一般的に、転勤や入学などを理由に住み替えを検討する人が増えるとされているため、不動産業界では1~3月頃が最も市場が活発になる繁忙期とされています。物件を探す人の数が増えるため、不動産会社に相談すると「春先が良い」とアドバイスされる可能性が高いのも事実なのです。

しかし、全ての人にとって、この時期に売りに出すのが正解かというとそうではないのです。なぜなら、不動産業界の繁忙期とされる1~3月は、物件を探す買主が増えるのと同じく、この時期を狙って売りに出すライバル物件も急増することを意味しているためです。数多くの物件がある中でも、多くの人に注目されるような良質な物件なら、買い手が見つかりやすい時期と言えるのですが、買い手側に敬遠されるような弱点を持つ物件については、売りに出ているライバル物件の多さによって物件情報が埋もれてしまう、強気の値下げ交渉を受ける結果となり、希望額に届かなくなる可能性が高くなるなどのデメリットも存在するのです。

つまり、不動産を売りに出す季節については、それぞれの季節における不動産業界の特徴と自分が売りに出す物件の特徴、両方を考えながら見極めることが大切と考えてください。ここでは、季節ごとの不動産業界の動きについて簡単にご紹介するので、自分の物件を売りに出すならどの季節が良いのか考えてみると良いでしょう。

  • 1~3月の不動産業界
    上述したように、1~3月は不動産業界の繁忙期とされています。転勤や進学など、新生活への住居を求める方が増えるため、賃貸・売買ともに不動産の需要がピークに達するとされています。売主から見ると、この時期を狙って売りに出せば、買い手を最も見つけやすいと感じるでしょう。しかし、この時期は、多くの物件が売りに出される時期でもあるため、競合するライバル物件の数も多くなり、売却活動を有利に進めるための工夫が求められます。
  • 4~5月の不動産業界
    新生活への購入需要がある程度落ち着く時期となります。賃貸・売買ともに、良質な物件が成約された後の時期になるため、物件数は少なくなります。ただ、この時期は、GWなどの長期休暇を使ってわざわざ内覧する層の方もいるなど、真剣度の高い顧客が意外に多い時期とされています。購入需要そのものは低下するのですが、ライバル物件の数が少なくなる、住み替え期限などを設けていない真剣度の高い顧客が動き始める時期ではあるため、売主にとっては比較的ねらい目な時期と言えます。
  • 6〜8月の不動産業界
    不動産業界の2大閑散期の一つがこの時期です。梅雨の長雨や夏場の暑さによって内覧に足を運ぶ人の数が減少する傾向にあります。買い手側が積極的に動かなくなりやすい時期なので、売主側から見ると売却活動に苦戦しやすい時期と言えるでしょう。ただ、閑散期であるため、売りに出される競合物件の数が少なくなるという点は、売却に有利に働きます。快適な内覧環境を設ける、内覧に足を運んでくれた人に冷たいお茶を提供するなど丁寧な対応するなど、ちょっとした工夫で好印象を残すことができるので、内覧まで足を運んでくれた場合には、成約までスムーズに進めやすくなるかもしれません。
  • 9〜11月の不動産業界
    この時期は、秋の移動のシーズンとなります。また、住み替えをこの時期に検討している方の多くは、年内入居を目指している方が多いため、交渉がスムーズに進みやすく、不動産業界では1~3月に次ぐ第二の繁忙期とされています。1~3月ほど競合物件が市場に出ることもありませんし、気候も内覧に適した状態になりやすいため、スムーズな売却活動が期待できる時期になるでしょう。
  • 12月の不動産業界
    12月は、6~8月と並んで、不動産の2大閑散期の一つとなります。この時期は、年末に向けて仕事もプライベートも何かと忙しいという方が多いため、物件探しをする人自体が少なくなります。また、時期的に年明けに多くの物件が市場に出てくることを買い手側も理解しているため、積極的に動かなくなるのです。売主にとっては、年明け需要を狙う準備期間と考えておいた方が良いでしょう。良質な物件写真の撮影や内覧対策のため、ホームステージングやハウスクリーニングを実施しておき、年明け早々から購買意欲が高い顧客の目に触れられる状況を作っておくのがおすすめです。ちなみに、この時期に不動産ポータルサイトに情報を掲載すると、年明け以降に追加される新しい物件情報に埋もれてしまう可能性があるので注意しましょう。不動産ポータルサイトは、新着物件が上に並ぶ仕組みになっているため、平均価格帯の物件の場合、顧客がソートした後も目に触れる位置に広告が出なくなる可能性があるのです。高額物件や格安物件の場合、競合物件の数が少ないため、特に気にしなくても良いのですが、競合物件が多くなりやすい価格帯の物件は注意しましょう。

上記のように、不動産市場は、季節によって異なる特徴があるのです。築年数が浅く、立地条件なども良好な物件の場合、競合物件が多くあったとしても、その中で選んでもらえる可能性が高くなるので、買い手側が最も積極的に活動する繁忙期に売りに出すのが良いかもしれません。一方、ライバル物件と比較検討された場合、値下げ交渉をされるポイントが多くあるという物件は、売りに出す時期を少しズラすなど、ちょっとした工夫が必要となります。

なお、物件を売りに出す季節によって、最終的な売却価格が数百万円単位で変わるといったことは基本的にありません。繁忙期と閑散期では、問合せ数や内覧者数に差が出るのは確かですが、旅行業界などとは異なり、季節によって価格が大きく上下するようなことはないので安心してください。物件の特性に合わせて、どの時期に出した方が買い手の興味を引けるのかを考えながら、売りに出す時期を検討すると良いです。

景気や売主のライフステージについて

不動産の売却タイミングについては、その時点での景気や売主側のライフステージの変化と言ったことも考慮しなくてはいけません。例えば、上述しているように、住宅の売買に関しては、ここ数年の間で大きな変化が起きています。分かりやすい例を挙げると、住宅ローンの金利上昇や、新築価格の高騰に伴う中古住宅需要の上昇など、僅か2,3年の間で不動産市場に大きな変化が起きているのです。

そのため、マイホームの売却を考えた時には、市場の動向や自分たち家族の状況などについてもきちんと考慮しなくてはならない状況となっているのです。ここでは、景気やライフステージに関する売却時期の判断についても簡単にご紹介します。

景気と売却タイミングの関係

住宅ローンの金利上昇と、中古住宅の価格高騰、両方が起きている現在では、いつマイホームを売りに出すのが正解なのか判断できない…という方が多いです。「不動産価格が上昇し続けているというニュースを見たし、しばらく待った方が良いの?」「金利が上がると住宅需要が下がるから、価格も下がる?」といった悩みを抱えている方は多いはずです。

不動産の売却タイミングを計る時には、市況を気にする方が多いのですが、あまり気にすると売却タイミングを逃してしまう可能性もあるのです。ここでは、景気と売却タイミングの関係性を抑えるため、金利や不動産業界の景気と売却価格の関係について簡単にご紹介します。

  • 金利との関係性
    先程紹介した通り、2024年以降、住宅ローンの金利は上昇傾向を続けています。金利が上昇すると、買い手側のローン審査が厳しくなることで、借入可能額が下がることになります。結果として、不動産価格に関しても、下押しの圧力がかかることになり、「金利が上がる前に売れば良かった…」と後悔する結果になる可能性があるのです。ただ、この金利動向については、専門家でも正確な予測することが難しく、いつ、どの程度金利が上がるのか、もしくは下がるのかをピッタリと当てることはできないでしょう。したがって、金利動向ばかりを気にして、身動きが取れなくなるぐらいなら、気にせずに売りに出すのも手です。
  • 地価について(不動産業界の景気)
    不動産の価格については、地価を気にする方が多いです。マイホームの売却を考えた時には、地価のデータなどを確認して、景気の動向を予測しようとする人が多いはずです。しかし、毎年公表されている地価については、過去のデータであるということを忘れないようにしましょう。その時点で地価が高いからと言って、半年後もその地価が維持されているのかというそうとは限らないのです。地価は、さまざまな要因で変動する物なので、あくまでも自宅の現在の立ち位置を確認するための目安程度にして、これだけで「今後価格が上昇するのか?」などを判断しない方が良いです。

不動産の売却については、売りだしてから実際に成約に至るまで、平均で3~6カ月程度かかるものです。そのため、「今が一番高く売れる時期!」と思って売りに出しても、成約できる半年後には市場環境が大きく変化している可能性があるのです。特に、さまざまな物を輸入に頼っている日本では、国内情勢だけでなく、世界情勢によって市況が大きく左右されるため、「底値で買って高値で売る」という理想通りの売却活動の実践は、ほぼ不可能と考えた方が良いのです。

世界情勢が不安定化している昨今では、刻一刻と市場環境が変化しています。この市場動向を完璧に予測することは経済の専門家でも不可能なので、マイホームの売却においては必要以上に気にしないようにしましょう。

ライフステージの変化と売却タイミング

不動産の売却タイミングを決めるための最大のポイントにすべきなのは、市場動向ではなく、売主自身のライフステージです。例えば、今すぐ売れば最も高く売れる物件であっても、特に住み替えの必要性を感じていないという人の場合、家を売りに出すようなことはしなくて良いのです。

そこでここでは、不動産の売却を検討することがあるライフステージの変化について、それぞれ注意したいポイントをご紹介します。

  • 実家を相続した時
    実家を相続し、将来的にも利活用を検討していないという場合、その不動産は売却したほうが良いです。この場合、売却を特に急ぐ必要はないと考える人がいますが、空き家状態で保管するだけでもさまざまな保有コストがかかってしまいます。不動産は、所有しているだけで固定資産税などの税金が発生しますし、良好な維持管理が求められるため、管理や修繕にそれなりのコストがかかります。また、3,000万円特別控除を利用したいのであれば、3年以内に売却しなくてはいけません。つまり、誰も住まない状態で持っているだけなら、できるだけ早く売却に動いた方が得と言えます。
  • 施設入所
    老人ホームなど、施設への入居が決まったという場合、空き家化するのを防止するためにも、早期の売却が望ましいでしょう。施設へ入所する場合、ご自身で管理のための作業を行うのは難しいため、専門業者に依頼しなくてはいけません。結果的に、家の維持コストが高くなってしまうなど、保有することのデメリットの方が大きくなるのです。施設への入所前に売却すれば、入所費用を作ることができますし、空き家にまつわるさまざまな問題を解決することが可能です。なお、高齢者が所有する不動産は、認知症が進行する前の対応が望ましいです。
  • 住み替え
    家族の人数が増えたため今の住居が狭く感じる、その逆に子供が独立したため、コンパクトな住居に住み替えしたいといった場合は、マイホームを売却するタイミングとして非常に多いです。この場合、新居の購入と現住居の売却のタイミングを可能な限り合わせられるようにするのが望ましいです。引っ越しの負担も少なくなりますし、空き家化した旧居の管理なども不要になるので、可能な限り同時並行が良いのです。また、売りを先行させれば、新居の購入資金を確保できる、ダブルローンの状態を回避できるなど、さまざまなメリットが得られます。市況などを気にして、売却が遅れると、その後、旧居が多少高く売れても、余計にかかった経費で赤字になる可能性があります。

上記の他、転勤や離婚、住宅ローンの返済負担などもマイホームを売却する契機になります。

どちらにせよ、これらの理由に関しては、市場を見て「高く売れる時期なのか?」など関係なく、自分の人生の中で家の売却が必要になったため売りに動いているわけです。自分の状況を無視してまで、市場の動向を追っていると、家の維持管理のためのコストが嵩んだり、建物の状態が劣化する可能性もあるのです。そのため、「家の売却タイミング」に関しては、売主自身の状況を最も重視して、その上で売却活動に適した季節や市場動向なども加味するといった考え方にするのがおすすめです。

不動産を「より早く」「より高く」得るならホームステージングがおすすめ

ここまでは、マイホームの売却を考えた時、より有利な条件で成約するためには、どのようなタイミングで売り出せば良いのかという疑問に答えるため、不動産売却のタイミングについて解説してきました。ただ、記事内でご紹介した通り、不動産の売却タイミングについては、誰にとっても「○○の時期が正解」と言ったものはなく、あくまでも売主さんの状況に合わせて売りに出すタイミングを計るべきと言えるのです。

例えば、一般的に不動産業界の繁忙期と言われる1~3月は、多くの売主がこのタイミングを見計らって物件を売りに出します。そのため、市場には良質な物件やライバルとなる類似物件が数多く並ぶため、売主側にとって「交渉をかけやすい状況」が作り出されてしまうのです。良さそうに思う物件が数件あれば、値下げ交渉にのってくれない物件は、すぐに見切りを付けられるわけなので、下手をすると閑散期に物件を売りに出すよりも安値で売らざるを得ない状況になることもあるのです。

したがって、不動産を売りに出す際には、どのような状況でもより高く売れるような工夫を施すことが大切です。そして昨今の不動産業界では、そのための手法としてホームステージングが注目されているのです。ここでは、ホームステージングの基本と実際に採用した物件が得られた効果について解説します。

ホームステージングについて

現代では、不動産の売却や賃貸を促進するための対策としてホームステージングと呼ばれる演出手法が注目を集めるようになっています。

ホームステージングは、下の画像のように、売却や賃貸を予定している物件に対し、室内に家具やインテリア、照明などを配置することで新築のモデルルームのような空間を作り出す演出手法とされています。


ホームステージングを実施することで、内覧時だけでなく物件広告の段階からライバル物件との差別化ができるようになり、早期かつ高値での売却が期待できるようになるのです。ホームステージングの実施効果としては、以下のようなメリットがあるとされています。

  • 魅力的な空間に演出された物件写真を広告に採用でき、ライバル物件との差別化により広告反響率が向上する
  • 内覧した際には、入居後の生活を具体的にイメージさせることができ、購買意欲を高めることで早期の成約を後押しする
  • プロが選定した家具などを配置することで、高級感のある空間となり、より高値での成約が期待できる

ホームステージングは、物件広告の段階からライバル物件よりも目立つことができるようになり、内覧者数や問合せ数の増加と言った広告反響率の向上が期待できます。さらに、内覧まで足を運んでくれた顧客に対し、より良い印象を残すことができるため、「ここに住んでみたい」などといった感じに、購買意欲を高めることで早期かつ高値での売却が期待できるようになるのです。

実際のホームステージングの実施効果

ホームステージングの実施効果について、日本ホームステージング協会による実態調査を確認することでよくわかります。例えば、2024年度におけるホームステージングでは、ホームステージング実施のメリットとして以下のような意見が出ています。

  • 内覧時の印象が向上した:37.4%
  • 成約スピードが向上した:36.8%
  • 家賃・販売価格を下げずに募集できた:28.1%
  • 競合物件との差別化ができた:28.1%
  • 家賃・販売価格を上げても成約できた:27.5%
  • 広告、写真映えが良くなった:22.2%

上記の通り、実際にホームステージングを導入した方が、成約スピードの向上や売却価格の上昇をメリットとして挙げているのです。ちなみに、ホームステージングの実施前と比較して、成約までの期間が短くなったと回答した人の割合は、約7割に達しています。

不動産の売却で、より高値での売却を目指す場合、季節や市場動向を確認しながら売りに出すのを待つのではなく、ホームステージングを実施することで早期の売却を目指すという方法がおすすめです。先程紹介した通り、不動産は空き家として所有しているだけでもさまざまなコストがかかってしまうため、築年数の経過による建物価値の低下も加味すると、なるべく早く売却するという行動に出た方が、手元に残るお金が多くなると想定できるのです。

データ参照:ホームステージング白書2024年

まとめ

今回は、マイホームの売却を検討している方に向け、できるだけ高く不動産を売却するためには、どのようなタイミングで売りに出せば良いのか判断するためのポイントについて解説しました。

ただ、記事内でご紹介した通り、不動産の売却タイミングには、誰にとっても「正解」となるようなタイミングはなく、基本的には売主さんが「家を売ろう!」と考えた時が最適なタイミングと言えるのです。もちろん、不動産価格が上昇傾向にあると報道されているわけなので、しばらく待っていれば「今よりも高く売れるのではないか?」と期待してしまうのは分かります。しかし、不動産は所有しているだけでさまざまなコストがかかりますし、劣化による価値の低下もあるのです。さらに、自然災害の発生件数が多い日本にある住宅と考えると、自然災害によって倒壊してしまうといった恐れもあるわけなので、「待つ」という行為は想像以上にリスクが大きいのです。

不動産の売却を考えた時には、ホームステージングの採用などにより、購入希望者により良い印象を与えることで、高値売却を目指すという方法が賢い選択になるのではないでしょうか。