相続した実家を早く売却するコツ!空き家状態で放置するとさまざまなリスクがある!
少子高齢化や核家族化が進む近年の日本では、相続した実家が負の遺産となるケースが増えています。核家族とは、夫婦とその未婚の子どもだけで構成される家族のことです。昨今では「東京一極集中」なる言葉を耳にする機会が増えていると思うのですが、地方から都市部への人口移動が進み、都市部で核家族が形成されることにより、地方に残される実家の取り扱いに悩む人が増えているのです。
一般的に「家は資産になる」と言われているため、実家を相続すると聞くとメリットの方が多いのではないかと考える方が多いと思います。相続した人が住まないとしても、賃貸に出すことで収益化を狙うことができますし、将来的に「田舎で暮らしたい」と思った時には生活の拠点とすることができるようになるため、なぜ負の遺産になるのかが分からないと感じる方も多いはずです。
しかし、家は人が住んでいない状態の方が劣化が急速に進むと言われていて、都市部に家を購入している人が実家を相続した場合、資産価値を維持していくことが難しくなるのです。実際に、昨今では、相続した実家を管理しきれず、自治体から特定空き家などに指定されて、さまざまなペナルティを科されたという話を耳にすることが増えています。日本では、空き家の増加が社会問題化しているため、国が空き家の管理を厳格化する動きを見せていて、管理しきれない不動産の所有はリスクの方が大きくなっていると言われています。ただ、実家を相続した際には、多くの場合、既に築年数が経過して老朽化が進んでいるなどといった理由から、なかなか買い手を見つけることができないケースが多いです。
そこでこの記事では、空き家の売却が難しい理由や、空き家を所有する際のリスク、空き家を早く売るための工夫などについて解説します。昨今では、中古住宅市場でホームステージングへの注目度が高くなっています。そのため、空き家の売却にホームステージングが役に立つのかについても簡単にご紹介します。
空き家(相続した実家)はなぜ売却しにくいのか?
都市部に進出し、既にマイホームを購入したという方が実家を相続した時には、管理しきれないという理由で売却を望むケースが増えています。詳しくは後述しますが、空き家の管理が厳格化されている昨今では、自分たちが住まない家を所有するだけでさまざまなリスクがあるからです。
しかし、相続した実家を売りに出した時には、なかなか買い手を見つけられずに困ってしまうというケースは比較的多くあるようです。実際に、空き家に関してインターネットで検索してみると、「空き家を無料で差し上げます」「空き家を貰ってください」といった書き込みを見かけることが増えていて、売れないという理由から「タダ(無料)でもいいから早く手放したい」と考える人が増えていると予想できる様相を示しています。
それでは、相続した実家の売却にこれほどまで苦戦する理由はどこにあるのでしょうか?もちろん、家が売れない理由は物件ごとにさまざまな理由があると思うのですが、一般的な理由としては以下のような事が原因と考えられます。
物件に魅力がないと判断されているから
家を売りに出しても、なかなか買い手が付ないという場合、その物件は「魅力がない」と判断されている可能性があります。例えば、以下のような条件を満たしている場合、上手に魅力を伝えなければ、内見さえしてもらえないという状況になる可能性があります。
- 交通が不便な場所に建っている
- 家が狭すぎるor広すぎる(使いにくいと判断される場合があります)
- 築年数が経過しているため古すぎると判断されている
売りに出した時、購入希望者の反応が良いのは、やはり便利で使いやすいと判断される物件です。その逆に、通勤や普段の買い物が不便など交通アクセスが悪い、広さや間取りが不便と判断されるような物件は、敬遠されてしまいがちです。また、相続した実家の売却では、既に築年数が経過していることから「古すぎる」という印象を与え、売れにくくなってしまう場合もあります。築年数が経過した古い物件は、外観が綺麗でも、見えない場所で老朽化が進んでいるのではないかなどといったネガティブなイメージを持つ方が多いです。
近年では、築年数が経過した古民家を、リノベーションして再利用するという方法が注目されているのですが、その場合でも「便利で使いやすいか?」という部分が重視されます。リフォームやリノベーションを施し、住みやすく便利な物件になるなら、物件の価値が上がるため買い手を見つけやすくなると思います。ただ、立地など、根本的な理由で不便さを解消できない物件は、それでも売却活動に苦戦すると思います。
販売価格が割高な設定になっている
家を売却する際には、誰でも「可能な限り高く売りたい」と考えるはずです。しかし、購入者側の意見は「できるだけ安く買いたい」というものなので、この部分は最初からミスマッチが生じてしまいます。
相続した実家を売りに出した時、「物件そのものの条件は悪くないはずなのに反応がない…」という場合、買い手側から見て適正と思える販売価格になっていないケースが多いです。簡単に言うと、売り手の希望を重視するあまり、近隣の相場と比較して高すぎる価格を設定していると考えられるのです。
もちろん、物件の売り出し価格については、それぞれ物件固有の魅力があるため、近隣相場に合わせると買い手が見つかるとは必ずしも言えません、しかし、物件情報を買い手が見た時、「割高だ」と感じてしまうと、なかなか売れないという状況になってしまうでしょう。物件の売り出し価格については、買い手の意見に合わせるために下げるという方法が手っ取り早いのですが、「物件の魅力を高める」ことで割高感を無くすという方法もあるので、問題解決方法は慎重に検討しましょう。
再建築不可物件
再建築不可物件は、現在家が建っていても、解体して更地にしてしまうと新たな家を建てられない土地のことを言います。このような物件は、購入しても建て替えできないわけなので、買い手が非常につきにくいです。また、売れるとしてもかなり安い価格になってしまうでしょう。
「家が建っているのに、なぜ再建築ができなくなるのか?」については、建築基準法の改正が関係しています。簡単に言うと、建てた時点の建築基準法は満たしているものの、その後の法改正によって基準を満たせなくなっているという状況です。築年数がある程度経過していると考えられる実家の相続では、この問題にぶつかる方が多いです。建築基準法は、「生きた法律」と言われるほど何度も改正が繰り返されていて、何十年も前に建てた家の場合、さまざまな基準が満たせない状況になっていてもおかしくありません。
再建築不可物件の売却については、「再建築可の物件に変える」という段階を踏むか、近隣の方に買ってもらうなど、特殊な対策が必要になります。
相続した実家を空き家のまま放置した時のリスク
前項でご紹介したように、実家を相続した場合、売却活動に苦戦する可能性が非常に高いと言えます。実際に、昨今では、自分たちで住むことができない遠方の実家を相続し、売りに出しても買い手が見つからないことに悩む人が増えているとされるのです。そのため、冒頭でご紹介したように、相続した実家が『負の遺産』とみなされるようになっているわけです。
ただ、相続した実家が売却できないと聞いても、「それなら放置しておけば良いだけじゃない?」と簡単に考えてしまう方もいるようです。実際に、空き家の管理について、そこまで厳格なルールがなかった時代は、相続した実家をそのまま放置しているという状況をよく見かけました。皆さんも、街中を歩いていると、今にも倒壊しそうなほど老朽化が進んだ家を見かけたことがあるのではないでしょうか?
しかし、国や自治体が空き家の管理に目を光らせるようになった昨今では、相続した空き家をそのまま放置するという行為はさまざまなリスクが付きまとうようになります。そこでここでは、空き家を所有する際のデメリットやリスクについてご紹介しておきます。
固定資産税等の負担が重くなる可能性がある
自分達が住むわけではない空き家でも、土地・建物を所有していることには変わりありません。そのため、空き家を所有していれば、毎年、固定資産税などの保有税がかかってくることになります。適切に管理されている空き家の場合、住宅用地特例が適用されるため、固定資産税の負担は少なく抑えられています。しかし、空き家の増加が社会問題化している昨今では、「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、空き家の管理責務の強化や管理を怠った場合のペナルティ制度が設けられているのです。
令和5年12月13日に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)」では、「管理不全空家等」という区分が新たに設けられるなど、空き家の取り扱いの厳格化がさらに進んでいます。空き家の所有者がおさえておきたいポイントについては、自治体が公表している情報を引用してご紹介するので、以下の内容を頭に入れておきましょう。
1.空家等の所有者等(※)の管理責務の強化
所有者等は空家等の適切な管理を努めるとともに、国や地方公共団体が実施する空家施策に協力するよう努めなければなりません。
※所有者等…空家等の所有者又は管理者
2.「管理不全空家等」の定義が新設
これまでは危険な空家等を「特定空家等(※1)」に認定し、助言、指導、勧告等が可能でしたが、特定空家等になる前の予防策として、管理が不十分な空家等を「管理不全空家等(※2)」に認定し、指導、勧告を行うことが可能になりました。
※1特定空家等…そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。(空家対策法第2条第2項の定義を参照)
※2管理不全空家等…空家等が適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にある空家等をいう。(空家対策法第13条第1項の定義を参照)
3.管理不全空家等として勧告されると、住宅用地特例が解除
勧告を受けた管理不全空家等は、特定空家等の勧告時と同様に、固定資産税の住宅用地特例が解除され、土地の固定資産税が約3倍~5倍(※)になる可能性があります。
※固定資産税の増額割合…敷地の面積等で増額割合の変動に幅があります。
引用:宝塚市webサイトより
上記のように、空き家の所有者は、適切な管理を務めるようにと明言されています。これを怠り、自治体から管理不全空家等や特定空家等に認定された場合、住宅用地特例が解除され、固定資産税の税額が最大5倍にまで跳ね上がるのです。
ちなみに、自治体からの勧告などがあった後も特定空家の状態で放置を続けると、最終的には自治体からの「命令」が出されます。そしてこの命令に違反した場合は、50万円以下の過料に処される他、行政代執行により強制的に解体され、その解体費用の支払いを命じられる可能性もあります。
空き家の管理コストがかかる
上述したように、空き家を所有している方は、その空き家を良好な状態で維持するための管理が求められます。必要な管理を怠った場合、固定資産税の税額が高くなったり、罰金や行政代執行のリスクが生じるので、絶対に行わなければならないのです。
ただ、相続した実家を空き家状態にするということは、そこに住むことができない何らかの理由があるはずです。例えば、都市部に進出し、既にマイホームを建てているため、実家を相続したからと言って、そこに戻るわけにはいかないというケースが多いはずです。
この場合、空き家を管理するためには、定期的に空き家状態の実家に足を運ぶ必要があり、そのためには交通費などのさまざまなコストがかかってしまうことになるのです。もちろん、自分たちで管理を行う場合、時間や手間といった部分のコストもかかってしまうことでしょう。空き家の管理が厳格化された現在では、家を所有するだけでさまざまなコストがかかってしまいます。売却に時間がかかるようなら、どんどんこの管理コストが嵩んでいってしまうので、大きなリスクと考えられるでしょう。
ちなみに、空き家の増加が社会問題化している昨今では、遠方の実家を相続した人向けのサービスとして、空き家管理サービスも登場しています。このサービスを利用すれば、自分たちが実家に足を運ばなくても、定期的に換気や掃除、庭の手入れなどを行ってもらうことができるため、時間や手間に係わるコストを削減できます。しかし、月額1万円以上の費用がかかるため、空き家の維持にかかる費用がさらに高くなるというデメリットがあります。
老朽化による資産価値の低下
人が住まなくなった空き家は、老朽化が急速に進むと言われています。一般的には、人が住んで使用する方が傷むのでは…と考えてしまいますが、人が住んでいれば、換気や掃除などが小まめに行われるため、建物そのものは良い状態を保ちやすくなるのです。空き家は、定期的な管理が行われるとしても、どうしても換気不足に陥りやすいです。そのため、室内に湿気やホコリなどがこもりやすくなり、木材の腐食やカビ、シロアリの繁殖などを招きやすいのです。
ちなみに、住宅の資産価値について、建物部分の価値は、築20年程度でほぼゼロになる(木造の場合)とされています。しかし、老朽化が進んだ建物に関しては、その価値がマイナスになると考えられるのです。購入しても、人が住めないほど老朽化した建物の場合、解体してから新たな建物を建てるという流れになるため、建物が存在するだけで損と考えられてしまう訳です。
人が住まなくなった空き家は、急速に建物の老朽化が進んでしまうため、早期に売却できなければ、どんどん価格が下がっていくという面で、大きなリスクと考えられるでしょう。
近隣に悪影響を与える
適切な管理がなされていない空き家は、地域全体に悪影響を与えてしまうというリスクも潜んでいます。例えば、人による手入れが入らず、庭に草などがたくさん生えていれば、小動物の住処になってしまう可能性が考えられます。この場合、動物の鳴き声による騒音問題や、糞尿による悪臭問題が発生し、隣家の住人に迷惑をかけてしまう可能性が考えられます。
他にも、犯罪者の隠れ家に利用されたり、放火などの被害に遭い、隣家に延焼させてしまうなんてリスクも考えられるでしょう。また、自治体が空き家の放置を認めないのは、老朽化している建物がそこに存在するだけで、地域全体の景観を壊す要因になり、地価の下落を招く恐れがあるからです。この他、災害時に倒壊して、近隣住宅を巻き込む、道路に建材が飛び出て避難経路を塞ぐなど、地域住民の安全にも悪影響を及ぼしかねないのです。
放置空き家は、所有者だけでなく、近隣の方にとってもさまざまなリスクをもたらす存在となるため、お隣さんとの関係が悪くなるなどのリスクが生じます。
空き家の売却方法について
それでは、実家を相続して、自分たちは住まないという理由で売却を検討した場合、どのような売却方法があるのかもご紹介します。空き家の売却方法については、主に以下の3パターンが考えられます。
①そのまま売りに出す
一つ目は、相続した実家について、土地・建物をそのままの状態で売りに出すという方法です。
実家を相続する場合でも、建物の老朽化がさほど進んでいないというケースも考えられます。そのため、現況のままでも、まだ十分に使える建物だと判断できる場合、出来るだけ早く売りに出すと良いです。
立地条件などが良ければ、そのまま売りに出してもすぐに買い手を見つけられる可能性があります。空き家の売却では、そのまま売りに出すという方法が、最も簡単な処分方法なのですが、そこまで簡単に話が進まないケースも多いので、その点は注意しましょう。
②建物を解体して更地として売りに出す
築年数が経過した住宅など、老朽化が目立つためそのまま売りに出しても買い手がなかなか見つからないと判断できる場合は、建物を解体して更地にしてから売りに出すという方法が考えられます。
この場合、解体費用という出費が発生しますが、「老朽化している空き家が建っている」というマイナス要素を消すことができるため、更地にした方が買い手を見つけやすくなるのです。老朽化した建物が残った状態の場合、買い手側からすると、家を建てる前に解体しなければならないため、他の状態の良い中古住宅や、更地を探した方が手間が少ないと考えてしまいます。そのため、解体費用を支払ったとしても、更地にした方が買い手を見つけやすくなるケースも多いのです。
注意点としては、建物を解体して更地にすると、固定資産税が増額されるということで。更地にしてから売りに出す場合、買い手を見つけるのに苦戦した時には、保有税の負担が大きくなってしまいます。なお、住宅の解体費用は、一般的に100万円前後が相場です。
③リフォームやリノベーションしてから売りに出す
3つ目の方法は、空き家となっている建物を、トレンドに合わせてリフォーム・リノベーションをすることで、買い手を見つけやすくするという方法です。築年数が経過した建物は、そのままの状態では、快適に暮らすことができない物件も多いです。例えば、設置されている住宅設備が古く使い勝手が悪い、断熱性や気密性が低く居住性が悪いなどという問題が考えられます。これらの物件は、そのまま売りに出しても買い手を見つけることが難しいと判断できるのですが、解体するほど老朽化は進んでいないというケースも多いです。
したがって、悪い部分をリフォームで修繕する、新築時よりも機能性が高くなるようにリノベーションするなどといった対策を施し、物件の価値を高めることで売却しやすくするのです。ただ、リフォームやリノベーションを施すという対策は、相応の費用がかかってしまうので注意が必要です。さらに、住宅に求める条件は人それぞれなので、良かれと思って対策を施したとしても、買い手側に良い印象を与えることができず、結局買い手を見つけることができない…という最悪の事態も考えられます。
リフォームやリノベーションを施すことで売却を目指すという場合、自分たちの考えだけで計画を立てるのではなく、トレンドの市場情報などをしっかりとつかんでいる経験豊富な専門業者に相談し、どんな対策が必要かアドバイスをもらうと良いです。もちろん、その費用をかける価値があるのかも冷静に判断することが重要です。
相続した実家を、空き家として売却する場合、上記の3つの方法が考えられます。どの方法を採用するのかは、建物の状態によって考える必要があるでしょう。ただ、「空き家の増加が社会問題化している」と言われる昨今は、いずれの状態で売却活動を進めたとしても、そう簡単に買い手を見つけることは難しいと言わざるを得ません。そのため、空き家の売却を急いでいるという方は、別途「早く買い手を見つけられる方法」についても検討しなければならないと考えてください。
次項で、空き家を早く売るための対策についてもご紹介します。
空き家を早く売る方法とホームステージングが有効な理由
空き家は所有しているだけで税金や維持費がかかってくるため、売却するならできるだけ早く買い手を見つけたいと考えるはずです。ただ、上でもご紹介しているように、空き家の売却はなかなか難しく、マイホームを売却するよりも難易度が高いとされています。
十分な準備もせずに売却活動を行ったとしても、なかなか買い手を見つけることができず、余計なコストばかりが嵩んでしまう結果になることも多いです。そこでここでは、空き家の買い手をできるだけ早く見つけるためのポイントと、家の売却を早めるための方法として注目されているホームステージングの効果についてご紹介します。
空き家を早く売却するためのポイント
それでは、出来るだけ早く空き家を売却したいと考えている人が抑えておくべきポイントをいくつかご紹介します。空き家の売却方法では、「そのままの状態で売る」という方法もあるのですが、ここで言う「そのまま」とは「売却準備を行わずに売りに出す」という意味ではありません。世の中には、大量の中古住宅が売りに出されているわけなので、ライバル物件と比較検討されたとしても、それに勝てるだけの魅力を引き出してあげる必要はあるのです。
空き家を売りに出す際には、最低限、以下のようなポイントはおさえておかなければならないと考えてください。
- 物件の状態をチェックし、必要な修繕を行う
空き家を売りに出すときには、物件の状態を確認して、目に見える劣化は修繕した状態で売りに出す必要があります。空き家は「劣化が急速に進む」という情報は誰でも知っていますし、目に見える劣化が修繕されていない場合、目に見えない部分はボロボロなのではと悪印象を与える危険があります。そもそも、中古住宅市場でも、不具合が多い家は人気が出ないので、売りに出す物件はできるだけ問題のない状態にしておく必要があります。家を売りに出す際は、外壁のひび割れや雨漏りの有無、給排水の不具合などをチェックし、最低限の補修は行っておきましょう。これは、リフォーム以前の問題です。 - 不用品を処分しておく
相続した実家の売却では、親世代が使っていた家具や生活用品が残った状態のまま売りに出されるケースがあるようです。しかし、家の中に不用品が残っている状態は、内覧で良い印象を残すことができません。家の中に荷物が多ければ多いほど、きちんと掃除をしていても散らかった印象を与えてしまいます。したがって、空き家の売却では、不要な家具や物品を処分してから売りに出すのが大切です。ただ、エアコンや食洗機など、人気の設備がまだ使える状態の場合、それは残しておいても良いでしょう。設備ごと引き渡すという特典として、買い手にアピールすることができます。 - 物件広告を充実させる
不動産業界では、売買でも賃貸でも、インターネット上の物件広告を見て、気になった物件に内覧の申し込みを行うという流れが一般的なので、物件広告の影響力は非常に大きくなっています。物件写真の枚数が少ない、画質が悪い、魅力的に見える撮影ができていないなどの問題があると、いくら魅力的な物件でも買い手を見つけることが難しくなる時代になっています。したがって、空き家の売却を急ぐ時には、出来るだけ魅力が伝わるような広告写真を撮影できるようにしましょう。昨今の中古住宅市場では、ホームステージングにより物件内を魅力的な空間に演出したうえで、プロのカメラマンに撮影を依頼するという方法が一般的になっています。 - 内覧の準備をしっかりとする
不動産売却の成約は、内覧時の印象が非常に重要です。空き家を早く手放したいなら、内覧対応を充実させ、内覧の満足度を高める工夫を施しましょう。そもそも、内覧に来ているということは、物件広告を見て「興味を持っている」という意味です。立地や建物の条件については、ある程度納得していると考えられるため、最後の後押しとして内覧時の印象を高めることが大切なのです。具体的には、定期的な掃除や換気などにより、物件内部を清潔で快適な状態に保っておくことが基本となります。内覧当日は、早めに足を運び、エアコンをつけて快適性をあげる、照明を点けておくといった直前の準備も有効でしょう。また、最近の中古住宅の売却では、内覧時に「ここに住んでみたい」と思ってもらえるような空間を作るため、専門業者にホームステージングを施してもらうと言う対策が人気です。ホームステージングについては、後述します。
空き家をできるだけ早く売却したいと考えているなら、単に売りに出すだけでなく、上記のような工夫を施す必要があると考えてください。相続した実家など、中古住宅の売却では「古く見えるのは仕方ない」「ちょっとした傷があるのは当たり前」と考える人も多いのですが、ちょっとした工夫でマイナスポイントを解消することはできるのです。
空き家の売却にホームステージングが効果的な理由
それでは最後に、空き家の売却にホームステージングの実施が有効となる理由について簡単にご紹介します。ホームステージングがどのような対策なのかについては、「ホームステージングとは?その効果や具体的な実施方法をご紹介!」という記事の中で詳しく解説しているので、こちらの記事も併せて確認してください。
ホームステージングは、簡単に言うと、部屋の中を家具やインテリア、植物や照明などを使ってお洒落に演出することで、内覧に来た人に「ここに住んでみたい」と思わせるための対策です。空き家の場合、家の中に家具などが何も置かれていないため、入居後の生活を具体的にイメージすることが難しくなります。また、部屋のサイズ感なども伝わりにくくなるため、「悪くないけど契約する決め手がない…」と購入を見送られてしまう可能性が残るのです。
一方、ホームステージングが施された物件は、部屋の中にまるでそこに人が住んでいるような演出が施されているため、そこでの生活をイメージしやすくなります。部屋の演出をする際には、物件購入のターゲットをしっかりと設定したうえでコーディネートの計画が立てられているため、基本的に内覧に来た人が最も良い印象を受けるようなデザインが施されているのです。そのため、ホームステージングが施された物件は、内覧時の満足度が高くなり、成約の確率が高くなるとされるのです。
このホームステージングは、中古住宅市場が活発なアメリカで誕生し、欧米では家を売りに出すときには当たり前に採用されるようになっています。スウェーデンなどでは、売りに出される物件の80%以上にホームステージングが施されているとされ、物件の早期売却や高値売却を助けてくれる非常ありがたい存在になっています。
空き家の増加が社会問題化している日本でも、「おしゃれに演出された物件の画像が広告に使用される」ことで内覧者数の増加が期待でき、さらに内覧時の満足度を高めることで成約率を高めてくれる可能性があるなど、中古住宅市場で大注目の対策になっています。
まとめ
今回は、昨今の日本で社会問題化している空き家の増加について、空き家を所持することで生じるリスクやなぜ空き家が売れにくいのか、早く売るためにはどうすれば良いのかについて解説しました。
記事内でご紹介したように、少子高齢化や核家族化が進む日本では、空き家がどんどん増加していて、管理しきれない放置空き家が増加することで地域社会に悪影響を及ぼすようになっています。そのため、国や自治体は、空き家管理の厳格化を進めていて、現在では空き家を所持するだけでさまざまなリスクが生じるようになっているのです。家は、住まなくても所有しているだけで固定資産税などの税金がかかりますし、管理のためにライフラインを活かしておくなら、毎月の光熱費がかかってしまいます。さらに、換気や掃除のために空き家に足を運ぶ場合、交通費がかかるだけでなく、時間や手間もかかってしまうことになるのです。
こういったことから、実家を相続した時には「できるだけ早く手放したい」と考える人が多くなっています。しかし、親が住んでいた実家などは、多くの場合、築年数の経過による老朽化などで、買い手を見つけることがなかなか難しいです。そこで、空き家売却の相談を受けている不動産会社を中心に注目され始めた方法がホームステージングです。ホームステージングは、物件が本来持つ魅力を最大にまで引き出すことができるうえ、弱点となり得るポイントを目立たなくさせることができます。さらに、インターネット上の広告に、おしゃれに演出された物件画像を掲載できるようになることで、内覧者の母数を大幅に増やすことができ、成約までの期間を短くすることが期待できるとされているのです。
KAGKASでは、経験豊富なスタッフが、生活動線や生活シーンなどを想定して、物件が持っている本来のポテンシャルを最大限まで引き出せるホームステージングを施します。物件売却に非常に有効なアプローチとなるため、空き家の売却を手掛けている企業様があれば、ぜひ弊社にご相談ください。