賃貸の長期空室の解消!ずっと空いている物件の空室期間を短縮するにはホームステージングが有効
賃貸経営者にとって、最も大きな悩みとなるのは、空室期間が長引くことだと思います。空室期間中は、家賃収入が入ってこなくなるわけなので、賃貸経営そのものに影を落とす結果となります。
ただ、賃貸経営を行う限りは、一定期間の空室期間が生じるのは致し方ないことだと考えているはずです。一度入居してくれた人が、一生涯同じ部屋を借り続けてくれることなどありませんし、空室が生じた時、どのようにして早期に客付けをするのかが賃貸経営を成功させるうえで、非常に重要なポイントになります。
それでは、一般的な賃貸物件の空室期間とは、どの程度の期間となるものなのでしょうか?また、平均的な空室期間を超えて客付けができていない物件は、何が理由で長期空室に陥ってしまっているのでしょう?賃貸物件は、全国各地にたくさんの物件があるのですが、空室が生じてもすぐに埋まる物件と、ずっと空いている物件が存在します。そこでこの記事では、一般的な賃貸物件の平均的な空室期間や長期空室が生じる理由、またずっと空いている物件の空室期間を短縮するための対策について解説します。
賃貸物件の平均空室期間はどれぐらいなのか?
賃貸経営をしている時には、空室がなかなか埋まらないことに悩む人が少なくないと思います。うまく客付けができず、長期間の空室が発生してしまうと、家賃収入の減少や管理コストの増加が避けられないため、その後の賃貸経営に不安を感じてしまうこともあるでしょう。
ただ、賃貸経営を行う上では、一定の空室期間が生じてしまうのは致し方ないことです。どのような賃貸物件であっても、物件側に何の落ち度も見当たらなくても、入居者のライフスタイルやライフステージの変化を理由に、退去者が出てしまうことは普通にあるのです。
賃貸経営を成功させるには、このような空室が生じた時に「どれだけ早く客付けができるか?」にかかっていると言っても過言ではありません。それでは、一般的な賃貸物件について、平均的な空室期間はどれぐらいなのでしょうか?賃貸経営者からすると、「空室が生じたら1カ月以内に埋めたい!」などと考えると思いますが、賃貸経営はそれほど甘いものではないようです。
賃貸の平均空室期間は5カ月程度
賃貸住宅の都市別平均空室期間について、株式会社タスが公表している「賃貸住宅市場レポート2024年12月」によると、以下の通りとなっています。
- 東京都(全域):4.8か月
- 神奈川県:4.9か月
- 埼玉県:4.9か月
- 千葉県:4.4か月
- 大阪府:6.1か月
- 京都府:5.4か月
- 兵庫県:5.8か月
- 愛知県:7.8か月
- 静岡県:8.2か月
- 福岡県:5.9か月
上記の空室期間は、退去から次の入居者が決まるまでの賃貸物件の平均募集期間で、愛知県と静岡県を除けば、5カ月弱が平均的な空室期間となっています。
東京や大阪など、都市部は、地方と比較すると賃貸住宅を求める人口が多いこともあり、空室期間は比較的短く、4~5か月程度が平均となっています。しかし、地方では「実家で暮らすため賃貸は不要」という方も多いため、需要の関係から空室期間が長引く可能性があると推測できるでしょう。
どちらにせよ、賃貸オーナー様からすると、この空室期間をどのようにして短くしていくのかが、賃貸経営を成功させるために重要なポイントになります。
賃貸物件の空室期間が長引く理由は?
賃貸物件の平均的な空室期間が「都市部で4~5か月」と聞くと、多くのオーナー様は「意外に長い…」と感じるのではないでしょうか?
ただ、上で紹介した空室期間は、あくまでも平均的な空室期間であり、物件によって「短期間で客付けができる物件」と「平均よりも長く空室が埋まらない物件」に分かれてしまいます。それでは、平均的な空室期間で客付けできない物件は、何が理由で空室が埋まらないのでしょうか?
ここでは、空室が長期間埋まらない物件に考えられる主な理由について解説していきます。
理由① 家賃設定が相場よりも高い
空室期間が長く続いてしまう物件でありがちな失敗が、周辺の類似物件と比較して、家賃設定が高いということです。賃貸物件の家賃は、エリアごとに相場というものがあるため、それとかけ離れた設定になっている場合、入居希望者に敬遠される要因となります。
ちなみに、家賃設定に関しては、安ければ良いというものでもありません。周辺の家賃設定と比較して「安すぎる」と感じられる家賃設定になっている場合、物件の価値が低くみられ、逆に入居者が減ることもあると言われています。例えば、安すぎる家賃設定の物件を見た時には「事故物件なのでは?」と考える人は多いのではないでしょうか?
家賃設定が理由で長期空室が生じているという場合、その解決策は簡単です。地域の家賃相場を調査して、それに基づいた適切な価格を設定することで入居者を見つけることができる可能性が高くなるでしょう。なお、家賃の調整をする際には、仲介を依頼している不動産会社に相談し、適切な条件設定のアドバイスをもらうとより効果的です。
理由② 老朽化が目立つなど、物件の見栄えが悪い
賃貸物件に長期空室が生じている場合、物件の見栄えが悪いことが要因になっているケースも多いです。例えば、築年数が経過して建物の劣化が目立つ、内装の劣化が目立つという場合、入居希望者に悪い印象を与え、敬遠される理由となります。特に、賃貸物件検索サイトなどに掲載する物件画像が、見るからに老朽化が目立っているという場合、その時点で候補から外されてしまう可能性が高くなるため、内見すらしてもらえず空室が埋まりにくくなります。
建物そのものの老朽化が要因で入居希望者が集まらない場合、物件の見栄えを良くする必要があるでしょう。例えば、外壁塗装などのリフォームによって見栄えを良くする、内装もトレンドに合わせたデザインにリフォームするなどの対策が必要でしょう。この他、不動産検索サイトに掲載する画像については、物件の魅力がしっかりと伝わるようにするため、プロのカメラマンに撮影してもらったり、ホームステージングを施した部屋の画像を掲載するといった方法が効果的です。
理由③ 物件需要と供給が見合っていない
物件の需要と供給が見合っていない場合、長期空室が生じやすくなります。例えば、人口が減少傾向にある地域などは、そもそも賃貸需要も低下している傾向にあるため、どうしても空室期間が長期化しやすくなってしまいます。また、地域のニーズと物件のターゲットが合っていない場合も空室は埋まりにくくなります。例えば、単身者向け物件のニーズが多い地域で、ファミリー物件を提供している場合、市場と物件の種類が合致していないため、客付けは難しくなります。
賃貸物件を運営する際は、そもそも賃貸需要が高い地域を選ぶのが基本となります。そしてさらに、地域のニーズに合った種類の賃貸物件を建てることが理想と言えるでしょう。ただ、将来的に地域の需要が変化することも珍しくないため、市場動向を定期的に調査する必要はあります。
理由④ 設備が古い(トレンドの設備がない)
築年数が経過した物件で、長期的な空室が生じやすくなる理由として、設備の問題があります。どのような賃貸物件でも、完成当初は、入居希望者に求められるトレンドの設備が備えられています。しかし、築年数が経過していけば、どんどん設備は古くなってしまいます。また、その時点で入居希望者が求めている最新の設備などが導入されていないケースも多くなるでしょう。例えば、給湯器やエアコンなど、備え付けの設備が古くなっている、洗濯機置き場や宅配BOXなどのトレンド設備がない物件は、それだけで入居希望者に選ばれにくくなります。物件探しの際、不動産検索サイトを利用するのが当たり前になっている昨今では、物件に導入されている設備で絞り込みが行われるようになっているため、トレンド設備が備え付けられていないだけで、入居希望者の候補にすら入れなくなっているのです。
設備の問題で長期空室が生じている場合、古くなった設備の更新を検討する必要があるでしょう。また、ターゲット層が求めているトレンド設備について、導入可能なものから設置していくことが空室を埋める対策となります。
理由⑤ 入居条件の問題
長期空室が生じている物件の中には、厳しすぎる入居条件が原因となっているケースも少なくありません。例えば、保証人に関する厳格な条件が設けられている、高額な敷金が設定されているといった条件は、入居希望者からすると心理的なハードルがかなり高くなってしまいます。さらに昨今では、「敷金・礼金0円」「保証人不要」など、空室対策として入居条件の緩和を実施している物件が増えています。そのため、厳しい入居条件を設けていることで、相対的に敬遠されやすくなってしまい、空室がなかなか埋まらない…という状況に陥りやすくなっています。
厳しい入居条件が理由で空室が埋まらないと判断できる場合、その部分に柔軟性を持たせることが解決の近道になるでしょう。ただ、敷金ゼロ、保証人不要などのプランの作成は、家賃滞納のリスクが高まる、入居者の質が下がるなどの問題が生じる可能性もあるので、その辺りは注意しましょう。
理由⑥ 物件管理が行き届いていない
物件そのものの老朽化はそこまで進んでいない物件でも、清掃などの物件管理が行き届いていないことを理由に、空室が増えることがあります。物件管理の良し悪しは、空室に影響する重要な要素の1つと考えてください、例えば、共用部分の清掃がしっかりとなされておらず、汚れや悪臭などが発生している場合、内見時に「この物件はダメだ」と敬遠される理由になります。さらに、物件管理の問題は、既存入居者にも悪印象を与える可能性が高くなるため、空室が埋まらないだけでなく、増える理由にもなってしまいます。なお、共用部分だけでなく、空室状態の部屋についても、定期的な管理が必要です。例えば、長期間空室状態で、管理がなされていない場合、排水管内の水が蒸発し、下水の臭いが室内に充満する可能性があります。このような状態で内見者を受け入れた場合、入居しようとは思わないはずです。
賃貸経営を行う場合、共用部や空室について、快適な環境を維持するため、清掃や手入れなどの物件管理をしっかりと行っていきましょう。常に良い状態を維持できていれば、突然の内見にも対応できますし、既存入居者の満足度が高くなり、空室が生じにくくなります。
理由⑦ 広告が不足している、適切でない
空室が長期間続く物件は、宣伝広告の部分に問題があるケースも多いです。例えば、インターネット上の賃貸物件検索サイトに掲載している物件画像の質が悪い、利用者が多いサイトに情報を掲載できていないなど、適切な場所に魅力的な広告が出せていないことで、入居希望者の目に自分の物件情報が届いていない可能性が考えられるのです。
「ライバル物件と比較しても、物件そのものや入居条件は悪くないのに…」と感じる場合、プロモーションが的確でない可能性があるので、その部分を見直してみましょう。例えば、物件情報として掲載する画像を充実させる、導入設備など、物件情報の内容を充実させる、SNSや賃貸ポータルサイトを活用して幅広く情報を発信するなど、入居希望者に物件の魅力が伝わるようにする取り組みが必要になるでしょう。
空室期間を短縮するために何をすべき?
ここまでの解説で、賃貸経営を行う上で、長期空室が生じてしまう要因はある程度分かっていただけたと思います。それでは、ずっと空いている物件の空室期間を短くするためには、具体的にどのような対策を施せば良いのでしょうか?
賃貸物件に生じる長期空室については、「何が原因となっているのか?」を調査し、その原因を解消するために以下のような対策を施すと良いです。ここでは、賃貸物件の空室期間をできるだけ短くするために有効だとされている対策をご紹介します。
入居条件の緩和を実施する
コストをかけずに空室期間の短縮を目指す方法としては、入居条件の緩和が考えられます。先ほど紹介したように、厳しい入居条件を設けている賃貸物件では、その入居条件が原因で入居希望者に敬遠されている可能性が考えられます。そのため、以下のような、現在のトレンドに合わせた条件に入居条件を変更するのも一つの手です。
- 敷金・礼金を下げるもしくは無くす
- フリーレント(一定期間の家賃無料)を実施する
- 保証人不要とする
入居条件の緩和は、周辺のライバル物件を調査して、自分の所有物件が「厳しい条件となっている」と感じた場合に変更すると良いです。敷金や礼金の引き下げは、家賃を下げることと比較すると、コスト的な負担も少ないため、実施しやすい対策と言えるでしょう。
ただ、入居条件の緩和は、入居者の質が下がることに繋がり、物件内で発生するトラブルが増加するといった問題をはらんでいるため、その辺りの対策は必要となります。
賃料の見直し
周辺の家賃相場と比較して、自分が所有する物件の家賃設定が高いと感じる場合、この部分の見直しが空室期間の短縮につながります。周辺の類似物件について、賃料データを収集することで、合理的な賃料を検討しなおしましょう。
ただ、家賃の値下げは、継続的な収入源に繋がってしまうため、空室が埋まったとしても賃貸経営に大きな影響が生じてしまいます。周辺相場と比較して「明らかに高すぎる」というケースでもない限り、家賃の値下げは最終手段と考えておいた方が良いでしょう。家賃の値下げを実施した場合、その情報が既存入居者に伝わると、同じように値下げを要求されることになるため、家賃収入の減少に直結する可能性があります。
入居対象者の拡大
空室期間を短くするための対策としては、入居希望者の母数を増やすという考えもあります。賃貸物件の中には、特定の条件を持つ入居希望者をお断りしているケースも多いです。例えば、ペットの飼育を禁止しているという賃貸物件は多いですよね。こういった物件については、今で対象としていなかった層の人を入居対象者にすることで、空室期間の短縮を期待することができます。
例えば、以下のような対策が有効です。
- ペットの飼育を可能とする
- 外国人の入居を受け付ける
- 高齢者の入居を受け付ける
- 水商売の人の入居を受け付ける
今まで入居対象としていなかった層について、入居対象とすればターゲットの母数が増えることになるため、空室期間を短縮できる可能性があります。
ただ、入居対象者の拡大については、既存入居者とのトラブルの可能性があり、一時的に空室が増えてしまうリスクが生じる点に注意しましょう。例えば、ペット不可の時に入居している人は、動物に対するアレルギーを持っているからその物件を選んだ可能性が考えられます。この場合、ペット可にすることで、長く住んでくれていた良質な入居者の退去を招く可能性が生じてしまう訳です。
入居対象者の拡大は、空室期間の短縮だけを考えると、非常に効果的な方法と言えますが、既存入居者への影響も慎重に検討しなければいけません。
設備の更新と充実
入居希望者が賃貸物件を選ぶ際には、設備の充実度が非常に重要なポイントになります。賃貸物件検索サイトやアプリで物件探しをする現在では、時代のニーズに合った設備が導入されていない場合、それだけで候補にすら入れなくなる時代になっています。なぜなら、賃貸物件検索に利用するwebサイトやアプリでは、希望する設備を選んで物件を絞り込む仕組みになっているのが一般的であるため、入居希望者に求められる設備が設置されていない物件の場合、検索結果欄に表示すらされないのです。
したがって、空室期間の短縮を考えた時には、以下のようなトレンド設備の導入を検討しましょう。
- 無料Wi-Fi
- 宅配ボックス
- エアコン
- 屋内洗濯機置き場
- オートロック(TVモニター付きインターホン)
- 温水洗浄便座
- 独立洗面台
トレンド設備については、単身者向け物件やファミリー向け物件など、ターゲット層によって求められる設備は変わります。したがって、何を設置すれば良いのかは、仲介を依頼する不動産会社などに相談してみると良いでしょう。
なお、空室期間の短縮を考えている場合、古くなった設備の更新なども検討しなければいけません。上で紹介したような、トレンド設備を増やしたとしても、各部屋に備え付けられている給湯器などが老朽化していれば、内見時に良い印象を与えることができず、成約に至らない可能性が高くなります。
必要であればリフォームを実施する
築年数が経過している賃貸物件の場合、間取りなど、物件そのものがトレンドからズレてしまっていることで、入居希望者から敬遠されている可能性が考えられます。この場合、設備など、部分的に対策を施したとしても状況が改善しない可能性が高いでしょう。
したがって、この場合は、ターゲット層のニーズに合わせたリフォームを施すことで、物件そのものの魅力を高めるなどの対策が必要になります。他の方法と比較すると、空室を解消するためにかかるコストが高くなってしまうので、費用対効果について慎重に検討し、実施するかどうかを決めましょう。
内見時の印象をアップさせる
内見時の印象をアップさせる対策は、成約率の向上に繋がるため、空室期間の短縮に効果が期待出来ます。賃貸物件を探している方は、ネット上の賃貸物件検索サイトで理想に近い物件を見つけ、その物件を取り扱っている不動産会社に問い合わせすることになります。そして、実際に借りるかどうかを判断するため、物件の内見を行うのです。
入居希望者の行動が理解できていれば、内見時の印象アップがどれほど重要か分かっていただけるでしょう。賃貸物件における内見は、入居希望者が「最終決断」をするために行うものなので、この段階で好印象を与えなければ成約に至ることが難しくなるのです。その逆に、内見時に「ここに住んでみたい」と思わせることができれば、成約の確率が高くなるでしょう。
内見時に好印象を与えるための対策としては、ホームステージングの実施が不動産業界で注目されています。ホームステージングは、家具やインテリア、照明などを配置し、モデルルームのように室内をコーディネートすることで、内見者に「ここに住みたい」と思わせ、早期の成約を目指すという対策です。空室状態の部屋を内見しても、そこでの具体的な生活をイメージすることは難しいのですが、家具などが配置されることで、室内の動線がイメージしやすくなり、好印象を与えやすくなるのです。ホームステージングの効果は、実際の画像を見ていただいた方が分かりやすいので、以下にホームステージング前後の物件画像を紹介します。
■ホームステージング前の空室画像
■ホームステージング実施後の画像
この画像を見ていただければ分かりますが、同じ物件でも全く異なる印象を受けるはずです。空室状態の場合、部屋のサイズ感なども分かりにくく、どのような家具を配置すれば良いのかもイメージできない人がいるかもしれませんね。しかし、ホームステージング後の画像を見れば、そこでの生活を具体的にイメージすることができ、コーディネートが気に入ったのであれば、同じような部屋になるようにコーディネートをまねることも出来るでしょう。
賃貸の空室期間を短くするためには、内見に足を運んでくれた人にどれだけ良い印象を与えられるかが非常に重要です。内見まで来ているということは、家賃設定や立地、設備などについては納得していることを意味するため、内見時にどれだけ良い印象を与えられるかが勝負になるのです。
なお、賃貸物件の内見時には、部屋の中だけでなく、物件そのものの管理状態も確認されます。エントランスやポスト周辺の管理が行き届いているのか、ゴミ置き場の清掃は行き届いているのかなどを確認する人が多いので、普段から物件管理を徹底するように心がけましょう。
なお、ホームステージングを実施した場合、その状態を画像におさめ広告画像として利用することも大切です。不動産検索サイトでは、物件画像の良し悪しが非常に重要で、この画像の質が悪ければ、内見に至る前に候補から外されてしまう可能性が高くなります。実際に、近年の賃貸業界では、物件広告の充実を目的とし、バーチャルホームステージングを導入し始めた不動産会社が非常に多くなっています。バーチャルホームステージングは、VR技術を用いて、仮想空間上で空室画像にCGで作成や家具の画像などを配置し、モデルルームのようにコーディネートする方法です。物件広告の段階で、ホームステージングが施された画像が採用できるようになるため、ライバル物件よりも目立つことができ、内見依頼の増加が期待できるとされているのです。
最新版、賃貸物件に対するホームステージングの効果について
ここまでの解説で、賃貸物件で長期間の空室が生じてしまう理由や、空室期間を短縮するためにどのような対策を施せば良いのかが分かっていただけたと思います。空室期間の短縮では、さまざまな対策が考えられるのですが、成約に直結する対策としてはホームステージングの実施が注目されるようになっています。
ホームステージングは、上で紹介した画像から分かるように、不動産検索サイトや実際に内見した時の印象を大幅に良くすることができるようになるため、賃貸物件の空室対策としては非常に有効だとみなされるようになっています。実際に、つい先日公表されたホームステージング白書2024年では、賃貸物件に実施するホームステージングの目的として、以下のようなデータが紹介されています。
まず、賃貸物件に対してホームステージングを実施する理由についてですが、上のデータから分かるように「長期空室を解消する」ことを目的に実施されている場合が多いのです。この他、ホームステージングは、ターゲット層に良い印象を与えられるように部屋の中をコーディネートすることで、「高額な家賃に納得してもらいやすくなる」からというのも実施の理由になっているようです。
実際に、賃貸物件にホームステージングを実施したことによる効果として、以下のようなデータが出ています。
- 成約期間の短縮
ホームステージング実施前と比較して成約までの期間が短くなったと答えた人は「73.1%」という結果になっています。その中でも、1カ月以上と「大幅に短縮できた」という回答が17.3%にのぼります。 - 賃料への影響
ホームステージングの導入による賃料の変化についても、「5%以上値上げできた」という回答が10.6%で、「1~4%値上げできた」という回答が50%と、60%以上の物件で賃料の値上げが実現しています。
このように、ホームステージングは、空室期間の短縮や賃料の値上げなど、賃貸経営者にとっては、非常にありがたい対策となっています。
まとめ
今回は、賃貸で長期間の空室が生じる理由や空室期間を短縮するために何をすべきかについて解説しました。
賃貸経営者にとって、空室は家賃収入が得られなくなることを意味するため、最も大きな悩みと言えるでしょう。ただ、どのような賃貸物件であっても、一定期間の空室は必ず生じてしまうことは間違いないので「空室になる」ということに悩む必要はありません。賃貸経営は、空室が生じた後、可能な限り速やかに空室を埋めることができれば、大きなダメージが生じることはありません。
記事内でご紹介したように、空室が長期にわたって続く場合には、入居希望者に敬遠されてしまう何らかの理由があると考えられます。したがって、まずは周辺地域にあるライバル物件と比較しながら、何が理由で敬遠されているのかを検討してみることから始めると良いでしょう。
なお、ホームステージングは、ライバル物件との差別化や空室期間の短縮に非常に効果のある対策と認識され始めています。実際に、ホームステージング白書2024年によると、ホームステージング実施後の反応として「内覧後成約率が上がった」との回答が43.3%となっています。