2026.07.21

相続不動産の売却が「3年以内にしないと損」と言われる理由!特例の概要を紹介

少子高齢化が進む日本では、「大相続時代」に突入していると言われます。これは、団塊世代が80代に差しかかる2025年より、全国的に相続件数が急増し、特に不動産の相続の発生が大きな課題となることを指しています。

核家族化が進む日本では、親世代とは離れた地域に拠点を構えているという方が増えていて、親が住んでいた実家の相続が発生した際には、その取扱いに困ってしまうという方が少なくないのです。不動産として財産を相続した時には、相続税の問題が気になりますし、さらに相続不動産を保有し続けるか売却するのか決断しなくてはいけません。子供の頃、自分たちが暮らしていた思い出のある不動産の場合、すぐに売却に動く気にならないという方も少なくないのではないでしょうか?

しかし、不動産を相続した時には「3年以内に売却しないと損する」と言った話を耳にする機会も多く、この情報が本当なのか、またなぜ損をするのか疑問に感じてしまう人も多いようです。実は、相続不動産を早めに売却するという決断をしたときには、国が用意している相続不動産の売却に関わる特例を利用することができます。また、不動産は保有し続けるだけでさまざまな維持コストが発生するため、早めに手放した方が賢いと言われるようになっているのです。早期に売却すると、さまざまな特例が利用でき、さらに維持管理のためのコストを削減することができるので、早く売った方が良いと言われているのです。ただ、相続不動産の売却に関わる特例については、利用に関する要件や注意点もあるため、制度に対する理解を欠かすことができません。

そこでこの記事では、相続不動産の売却について「3年以内に動いた方が良い」と言われる理由や、その際に利用可能な特例の概要などについて解説します。

相続不動産の売却が「3年以内にしないと損」と言われる理由

それではまず、相続不動産の売却について、「3年以内に売らないと損をする」と言われている理由について解説していきます。

このポイントについては、冒頭でご紹介した通り、相続不動産の売却に関して、国が税制上の特例を作っているという点が非常に大きいです。また、不動産は、保有を続けているだけでさまざまなコストがかかってしまうという点から、「活用も利用もしないなら早く売るべき」とされています。

ここでは、「3年以内に売らないと損」と言われている主な理由について解説します。

理由① 3年以内に売却すれば特例を活用できるから

相続不動産の売却について、「3年以内に売却したほうが良い」とされている最大の理由は、以下の2つの特例のうち、どちらかを利用することができ、税金面でのメリットが大きくなると考えられているためです。

相続不動産の売却については、上記の2つの特例が用意されています。「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は、支払った相続税額の一部を「不動産の取得費として加算できる」という制度で、譲渡所得を軽減することができます。また、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」については、一定の条件を満たすことで、譲渡所得から最大3,000万円を控除してもらうことができる制度となっていて、こちらも譲渡所得を減らすことができるので、税額を大幅に軽減することができるのです。

ただ、この二つの特例については、利用のための期限が以下のように定められています。

  • 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例:財産を、相続開始の日の翌日から「相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日」までに譲渡していること
  • 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例:相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること

特例の利用は、上記の通り、期限が設けられています。厳密に「丸3年」というわけではないのですが、基準として3年と決められているため、「3年以内に売らないと損」と言われているのです。例えば、相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月以内であるため、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」の期限は実質「相続開始から3年10ヶ月以内」となります。

理由② 維持費や売却価格のことを考えると早い方が良いから

二つ目の理由は、不動産の維持管理コストやすぐに売却する場合と数年後に売却する場合の価格差を見て、「どうせ売るなら早い方が良い」という理由です。例えば、以下のような理由から「3年以内」など、早めに売り出した方が得という意見が根強いのです。

  • 不動産を売却すれば、固定資産税や維持管理のためのコスト負担がなくなる
  • 特定空き家などへの指定リスクや自然災害による破損リスクがなくなる
  • 数年後に売却するよりも高値で売却できる可能性がある

不動産は、誰も住んでいない状況だとしても、維持管理のためにさまざまなコストが発生します。例えば、固定資産税や都市計画税などの税金は、そこに住んでいる人に課せられるのではなく、「所有者」に課せられている税金なのです。そのため、売却せずに保有を続けているというケースでは、毎年それなりの金額の税金の支払いが発生します。

さらに、全国的に放置空き家の増加が社会問題化している昨今では、国や地方自治体が、所有者に対して不動産の適切な維持管理を強く求めるようになっています。管理が行き届かず、建物の老朽化が進むと、地域の景観を壊し地価の低下を招く、災害時に避難経路を潰し地域住民を危険にさらす、害獣や不審者の住処となり地域住民の生活環境を壊すなど、さまざまなリスクが発生します。そのような状況になることを防ぐため、不動産の所有者に対して、適切な維持管理を義務付けるようになっていて、不動産を保有するためのコストは年々高くなっているのです。つまり、早期に売却せずに保有を続けた場合、この保有コストが積み重なっていくわけです。

早めに売却に動けば、これらの保有コストが一切かからなくなるうえ、数年後に売却に動く時と比較すると、築年数が新しい分、高値で買い手を見つけられる可能性があるのです。これらの理由から、利用も活用も考えていないなら、「できるだけ早く売却に動いた方が得!」と言われているわけです。ちなみに、不動産を現金化すれば、相続人への分配もスムーズにできるようになるため、親族間のトラブルを防止するという点でも、有利に働くかもしれません。

関連:空き家の所有コストを紹介!売らずに10年間保有するだけで莫大なコストがかかる

相続不動産の売却に関わる特例の詳細について

それでは次に、相続不動産の売却について「3年以内に売らないと損」と言われている主な要因の特例について、それぞれの特徴をご紹介していきます。

先程紹介した通り、相続不動産の売却では、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」という2つの特例が用意されています。この特例を利用すれば税金面でのメリットが大きくなるため、利用や活用を考えていない相続不動産は早く売った方が良いとされているわけです。ここでは、この2つの特例について、それぞれの特徴を簡単にご紹介します。

なお、複雑な仕組みの特例なので、利用の際は専門家に相談しながら売却を進めるようにしましょう。ここでは、特例利用の条件などについて掻い摘んでご紹介していきます。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例について

まずは「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」についてです。この特例は、通称で「相続税の取得費加算の特例」とも呼ばれています。先程紹介した通り、相続不動産を売却した時、それによって発生する「譲渡所得税」の負担を軽減することができます。

不動産を売却すると「譲渡所得」が発生します。譲渡所得税とは、これに課せられる税金のことを指しているのですが、譲渡所得の計算は、不動産を売却して得たお金から不動産の取得費や譲渡にかかった費用を差し引くことができます。「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は、これからさらに相続税額をもとに計算した一定金額を取得費に加えることができるため、結果的に譲渡所得が少なくなり、税金の負担が軽減されて手元に残せるお金を増やすことができるという仕組みになっているのです。ちなみに、この特例を利用するためには、確定申告が必須です。

なお、本特例を活用するには、いくつかの条件を満たしている必要があるので、以下の点をおさえておきましょう。

■相続財産を譲渡した場合の取得費の特例を利用するための条件

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を利用するためには、以下の3つの条件をすべて満たしている必要があります。

  • ①相続や遺贈により財産を取得した者であること。
  • ②その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
  • ③その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

この特例は、相続税の課税が前提となります。そのため、この特例を利用するためには、なるべく早く遺産分割協議を終わらせる必要があり、さらに決められた期限内に不動産を譲渡している必要があるのです。ちなみに、期限については、先ほど紹介した通り、厳密に丸3年というわけではなく、「3年10か月以内」となります。この特例の利用を考えている方は、国税庁の以下のページをよく確認して専門家に相談してみましょう。

参照:国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例について

次は、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」の概要についてです。上で紹介した特例は、「相続税が発生している」ということが条件となりハードルが高いです。そのため、多くのケースで活用される特例が、こちらとなり、税負担の軽減策としては有効です。ただ、この特例に関しても、利用のためにはいくつかの条件を満たしている必要があり、全ての方が利用できるわけではありません。

ここでは、特例の概要と利用の条件などについて簡単にご紹介します。

■特例の概要

「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」は、名称からイメージできるように、空き家の発生を抑制するために設けられています。

相続した家が対象となる場合には、条件を満たすことで、売却による譲渡所得から最高3,000万円までを控除することができます。ちなみに、相続人が3人以上の場合は、2,000万円までとなります。

特例利用の期限については、上述の通り「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること」と定められていて、確定申告が必須とされています。

■特例利用のための条件について

「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」は、利用によって得られるメリットは非常に単純なのですが、利用のための要件は非常に複雑です。特例の利用を考えている人に対する要件だけでなく、建物や敷地、被相続人に対する要件も細かく規定されていて、利用時にはよく確認しながら話を進めていく必要があります。

例えば、譲渡等に関する要件、建物、敷地に関する要件だけを見ても、以下のように一般の方ではよくわからないと感じる部分が多いです。

●譲渡等に関する要件

  • 相続または遺贈により取得した者が売却すること
  • 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
  • 売却代金が1億円以下であること(共有者がいる場合、その合計金額で判定)
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと
  • 売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  • 同一の被相続人から相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと

上記は代表的な要件で、さらに細かく規定されている部分もあります。

●家屋、敷地に関する要件

  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
  • 区分所有建物登記がされている建物でないこと
  • 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
  • 譲渡のときにおいて、一定の耐震基準を満たしていること(解体して売却も可)
  • 相続の直前において、被相続人が居住する家屋の敷地として使われていたこと
  • 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと
  • 取壊し等の時から譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと など

家屋、敷地に関する条件についても、上記は一部となります。この他にも、被相続人が老人ホームなどに入所していた際の条件なども細かく規定されています。そのため、一般の方が「自分がこの特例の対象範囲に入っているのか?」を自ら判断するのはかなり難易度が高いです。さらに、確定申告の際に用意しなければならない書類なども多いため、適用可否の判断や利用は税理士などの専門家に相談しながら進める方が良いでしょう。

適用条件の詳細については、国税庁のwebサイトや国都交通省のwebサイトで確認してみてください。

参照:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
参照:国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置

相続不動産を3年以内に売却する時の注意点

ここまでの解説で、実家を相続した時、その不動産を「3年以内に売らないと損」と言われる理由が分かっていただけたと思います。

相続不動産は、空き家の増加の防止などを目的に、売却した際の譲渡所得に課せられる税金を大幅に軽減することができる特例が用意されているため、利用や活用を考えていないのであれば、早く売った方が良いとされているのです。不動産は、所有しているだけでさまざまなコストがかかってしまうため、意味なく持ち続けることはリスクの方が大きい時代になっているのです。

ただ、相続不動産について、絶対に売らなければならないというわけではないので、その辺りはよく考えて行動するようにしましょう。ここでは、3年以内に相続不動産の売却に動く際の注意点についてもいくつかご紹介します。

特例は併用できない

一つ目の注意点は、上述した「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」と「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」の2つは、併用することができないため、利用を考えた時には、「どちらが自分にとって得なのか?」を慎重に判断する必要があるという点です。

一般的には、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用したほうが有利になるケースが多いとされています。しかし、相続税額が高額になる方の場合、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を活用したほうが、総合的な税負担軽減効果が大きくなる可能性があるとされているのです。

この辺りは、一般の方が税額をシミュレーションして決めるということがなかなか難しいので、税理士などの専門家に相談しながら、より有利な制度を利用できるような体制を作りましょう。ちなみに、条件によってはどちらも利用できない可能性もあるので、その点も注意しましょう。

相続不動産の売却は時間がかかる

上述したように、相続不動産の売却に関わる特例を利用するためには、「いつまでに譲渡を完了させなければならない」という期限が定められています。この期限を過ぎてしまうと、その他の条件を満たしていたとしても、税負担の軽減がしてもらえなくなるのです。

そして、実家を相続して売りに出すというケースでは、通常の不動産の売却よりも時間がかかるケースが多いという点に注意しなければいけません。一般的に、不動産の売却には、3~6カ月程度かかるとされているのですが、相続した不動産の状態によっては、これ以上の時間がかかるケースも珍しくなく、売却活動に苦戦してしまうことで特例が利用できなくなることもあるのです。

相続不動産の売却は、以下のような事が原因となり、売却に苦戦する可能性が考えられます。

  • 遺産分割協議
    遺産分割協議とは、亡くなった方(被相続人)の遺産の分け方を、相続人全員で話し合って決める手続きです。相続人全員の合意が必須となるので、協議がまとまるまでに時間を要すケースも珍しくありません。
  • 買い手探し
    相続不動産は、多くの場合、築年数が経過しています。そのため、物件の古さなどが原因となって、売りに出してもなかなか買い手が見つからないという状況になることも珍しくありません。
  • 遺品整理、片付け
    家を売却するには、掃除や片付け、遺品の整理が必要です。直前まで人が住んでいた住居の場合、家具や家電、生活雑貨などがたくさん存在しており、それらの処分に時間がかかります。
  • その他、手続き関連
    契約手続きや相続登記など、各種手続きにも時間がかかります。

特例の利用を考えている場合、上で紹介したように、相続開始日から約3年の間に買い手を見つけ、譲渡を完了させなければいけません。3年と聞くと「時間的な余裕は十分にある」と感じるかもしれませんが、相続不動産の売却は、通常の不動産売却と比較すると、かなり時間を要すケースが多いのです。

そのため、遺産分割協議や遺品整理、売却活動に苦戦していると、あっという間に3年を経過し、特例の利用期限を過ぎてしまっていた…という状況になることがあるのです。相続不動産の売却は、通常よりもやることが多く、売却活動も苦戦しやすいということを認識し、早めに行動に移すようにしましょう。

なお、市場に出しても、どうしても買い手を見つけられずに「特例の利用期限が迫ってきた…」というケースでは、不動産買取サービスを利用するのも一つの手です。この場合、市場価格よりも安く手放すことになりますが、交渉はスムーズに進みやすいので、特例の申請に間に合わせることができるでしょう。

本当に売っても良いのかをよく考える

特例の利用のことを考えると、相続不動産を早く売ることに越したことはありません。所有を続ければ、固定資産税や維持管理、修繕など、さまざまな保有コストがかかりますし、不動産の価値も徐々に下落していってしまいます。売却するかどうかを迷っているうちに、特例の利用期限を過ぎてしまうこともあるでしょう。

ただ、相続した不動産は、絶対に売らなければならないわけではないため、「本当に売るべきなのか?」は慎重に検討するようにしましょう。例えば、不動産があるエリアの賃貸需要が高いのであれば、賃貸住宅として運用することで、長期的な収益を得られるようになるかもしれません。また、近い将来、相続不動産があるエリアの再開発が決まっている、大型の商業施設の出店が決まっているという場合、しばらく保有しておくことで、不動産の価値が上がる可能性もあるのです。

したがって、相続不動産の売却については、「特例の利用期限」ばかりに注目するのではなく、不動産の資産価値について長期的な視点で検討してみるということも大切です。

相続不動産の早期売却はホームステージングがおすすめ

相続した実家の売却を検討した時には、早期に買い手を見つけたいと考えても、以下のような事が理由となり売却活動に苦戦するケースが考えられます。

  • 汚れが蓄積している
    直前まで親世帯が住んでいた実家を相続した時には、売りに出す前の掃除に困る方が多いです。長年、親が住んでいた実家の場合、水回りやクロスの汚れなどが目立つため、そのままの状態で売りに出したとしても、内覧時の印象が悪くなることでなかなか成約できない…という状況に陥りやすいです。そのため、市場に出す前に、家中の掃除をしなくてはならないのですが、相続人が遠方に住んでいる場合は、その掃除が大きな負担になります。
  • 不用品の存在
    家の中には大量の不用品が存在しています。衣服や生活雑貨はもちろん、大型の家具や家電が配置されたままの状態であるため、そのまま売りに出すわけにはいきません、市場に出すためには、家の中に配置されている不用品をすべて処分して、空室状態にする必要があるのですが、この片付けに時間がかかります。
  • 建物の劣化や損傷
    築年数が経過した不動産の場合、劣化や損傷が原因で買い手が見つからないという状況に陥るケースも珍しくありません。また、古い家屋の場合、間取りなどが現代人の生活に合わなくなっているケースもあり、事前に大幅なリフォームを実施しなくては、買い手を見つけられないという状況の陥ることもあります。この他、特例利用のためには耐震補強が必要になるケースもあります。

相続不動産の売却は、上記のような事が理由で売却活動に苦戦する可能性があります。ただ、家の中の掃除や不用品の回収、修繕やリフォームの対応について、相続人が遠方に住んでいる場合は、なかなか話を進めることができないのです。その結果、時間だけがどんどん過ぎてしまい、気付いたときには特例の利用期限を過ぎているという状況になることも珍しくありません。

そこで導入を検討したい対策がホームステージングです。昨今では、中古住宅の売却や賃貸の空室対策として、ホームステージングと呼ばれる対策が注目されているのですが、実は相続不動産の売却に非常に有効な対策となるのです。

相続不動産の売却にホームステージングが有効な理由

昨今の不動産市場では、内覧時の第一印象を飛躍的に向上させる手法としてホームステージングが注目されています。ホームステージングは、不動産物件をより魅力的に見せる空間演出のことを指していて、内覧に足を運んだ購入希望者が物件を見た際に「ここに住んでみたい」と思わせることで早期かつ高値での売却を促進できるとされています。

具体的には、以下の画像のように、売却や賃貸を予定している物件に、家具やインテリア、照明などを配置して、新築のモデルルームのような空間を作り出す方法となります。購入希望者が内覧をしたときには、購入後のそこでの生活を具体的にイメージできるようになるため、購買意欲を高め、早期かつ高値での売却が実現しやすくなるのです。

■ホームステージング前

■ホームステージング後

上の画像の通り、ホームステージング前後の物件を見比べると、その印象は大きく違ってくるはずです。これにより、築年数が経過した物件特有の「古さ」や「暗さ」と言ったネガティブなイメージも払しょくすることができます。

さらに、ホームステージングが日本国内で普及するにつれ、家具などを配置する空室ホームステージング以外にも、内覧者に良い印象を与えるためのさまざまな業務を請け負ってもらえるようになっているのです。例えば、2024年に実施されたホームステージングでは、以下のグラフの通り、空室ホームステージング以外の作業もかなり実施されています。

引用:ホームステージング白書2024年

上のグラフから分かるように、2024年に実施されたホームステージングでは、基本となる空室ホームステージング以外にも、ハウスクリーニングやリフォーム、不用品の回収・処分など、相続不動産の売却に必要とされる対策が実施されているケースが多くなっています。

家中の掃除や不用品の片付けを行ってもらったうえで、内覧者により良い印象を与えるような演出を加えてくれるため、築年数が経過した相続不動産でも、早期かつ高値での売却が期待できるのです。

まとめ

今回は、相続不動産の売却について、「3年以内に売らないと損をする」と言われる理由について解説しました。

記事内でご紹介した通り、相続不動産の売却では、譲渡所得に課せられる税金を大幅に軽減することができる特例が用意されていて、その利用期限が3年前後とされているため、「どうせ売るなら3年以内に売った方が良い」とされているのです。さらに、不動産は、所有しているだけでさまざまなコストがかかる時代になっているため、利用や活用を考えていないのであれば、早めに売却に動いた方が良いです。

特に、相続不動産の売却は、通常の不動産を売るよりも時間がかかりやすいとされているため、悠長に構えていると特例の利用期限が過ぎてしまう可能性が高くなってしまいます。なお、相続不動産の売却をスムーズに進めたいのであれば、ホームステージングの利用を検討してみましょう。