2025.09.03

買ったときより高く売れるマンションはある?マンションを高く売るためのコツもご紹介

昨今、マンション価格の高騰が続いているため、資産価値のことを考えた時には、戸建て住宅よりもマンションの方が有利だと考えている方が多いです。ただ、マンションにしろ戸建て住宅にしろ、新築からの経過年数に応じて、その資産価値は低下していくのが一般的です。

そのため、マンションなどの所有物件については、購入した時の価格で売却することは難しいとされ、築年数の経過とともに物件の価値が下がり、売却時の価格は購入時よりも下がるケースがほとんどです。ただ、マンションの中には、立地や市場の影響などを受け、10年以上住んでいた物件を売却する際、購入時よりも高く売れることがあると言われています。

そこでこの記事では、そもそもマンションなどの売却を考えた時、購入した時の価格で売却することが難しくなる理由や、その逆に高く売れるマンションの特徴などについて解説します。なお、記事内では、現在のマンションを売却して住み替えを検討しているという方に向け、出来るだけ高くマンションを売却するためのコツについても解説します。

マンションが購入時の価格で売却できない理由

冒頭でご紹介しているように、一般的には、マンションは購入した時の価格よりも安い価格で売却することになります。中には、さまざまな要因が重なることで、購入時よりも高く売れるケースがあるのですが、原則としては「買った値段で売却するのは難しい」と考えておいた方が良いです。

例えば、マンションを購入した時と周辺環境の条件が大きく変わったというケースなら、購入時と同じような価格や高く売れることもあるでしょう。マンション購入後、付近に大きなショッピングモールが開業した、駅が新たにできて交通利便性が向上したなどという場合、買った値段よりも高く売れる可能性があります。

しかし、マンションの売却において、買った時の値段もしくはそれよりも高く売ることが難しいとされているのは、以下のような理由があるからです。ここでは、マンションが購入時の価格で売却できない主な理由をご紹介します。

築年数の経過によって物件の価値が下がるから

マンションが買った時の値段で売れなくなる最大の要因は、築年数の経過によって物件の価値が下落するからです。東日本不動産流通機構のデータから、首都圏中古マンションの築年数帯別の成約価格を確認してみると、築年数が経過するとともに価格が下落していることがよくわかります。

  • 「〜築5年」の成約価格の平均(首都圏):8,292万円
  • 「〜築10年」の成約価格の平均(首都圏):7,902万円
  • 「〜築15年」の成約価格の平均(首都圏):6,796万円
  • 「〜築20年」の成約価格の平均(首都圏):6,374万円
  • 「〜築25年」の成約価格の平均(首都圏):5,865万円
  • 「〜築30年」の成約価格の平均(首都圏):4,359万円
  • 「築30年以上」の成約価格の平均(首都圏):2,576万円

ちなみに、2024年度の首都圏新築マンションの平均価格は8,135万円だったとのことなので、築5年までの築浅マンションに関しては、中古マンションでも新築マンションと変わらぬ価格を維持できています。しかし、上のデータからも分かるように、築年数の経過に合わせて、成約価格が下落していき、築30年を迎えると2,000万円代にまで下落するのです。

これは、築年数の経過によって、建物や設備の老朽化が進むことが主な要因となるのですが、これ以外にも税制上で定められた法定耐用年数を過ぎることによって、会計上のマンション価値がほぼ0円になってしまうことも理由の一つです。

この他、新築マンションの場合、「新築プレミアム」と呼ばれる、新築物件ならではの価格の上乗せがあるといった商習慣があることも要因の一つと言えるかもしれません。新築マンションは、購入された瞬間に中古物件となってしまうことから、購入後にすぐ売却に動いたとしても、新築時と同じ価格で売却することも難しくなると言われています。これは「新築プレミアム」がなくなることが要因です。

データ参照:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況

周辺環境の変化

マンションの売却を考えた時、買った時の値段よりも大幅に価格が下落するというケースでは、周辺環境がマンション購入時と大きく変化してしまい、買い手が付きにくくなっているというケースが考えられます。

例えば、マンションを購入した時点では、買い物に便利な商業施設がたくさんあったものの、何らかの理由でそれらの施設が減ってしまった…というケースが考えられます。この場合、マンション周辺の生活利便性が低下してしまうため、マンションの売却価格は購入時よりも大幅に下落してしまう可能性があります。

もちろん、逆にマンション周辺の再開発が進み、人気の商業施設が開業してエリアそのものの人気が高くなったという場合は、購入時と同等もしくはより高い値段で買い手を見つけられる可能性があります。ちなみに、マンション周辺に新たな施設が建設されたとしても、忌諱施設(下水処理場、火葬場、刑務所、ごみ焼却場、墓地)だった場合は、物件の売却価格が下落する可能性が高いです。

景気の影響

不動産の価格は、景気の影響を強く受けます。好景気の場合は、不動産価格は上昇するのですが、不景気に突入するとマンションの市場価格も下落してしまう可能性があるのです。

そのため、好景気の時にマンションを購入したという場合、売却時の景気が悪くなっていれば、マンションの売却価格は下落すると考えられます。好景気の時には、不動産市場が活発になり、中古マンションなどの価格も上昇するのですが、その逆に不景気になると、新築・中古共にマンションの市場価格が下落します。

マンションの売却価格は、景気に左右される部分が大きいため、買った時よりも高く売却したいと考えるなら、景気動向を確認しながら売却時期を検討しなければいけません。

買った時よりも高く売れるマンションの特徴

前項でご紹介したように、マンションの売却価格については、基本的に「購入時の価格よりも下がる」と考えておいた方が良いです。しかし、条件によっては、購入した時の値段以上の金額で売れるケースがあるのです。

ここでは、購入した時の値段よりも高く売れる可能性があるマンションの特徴について解説します。

①築10年未満など、築浅のマンション

中古マンション市場では、築10年未満の築浅物件が人気で、条件によっては比較的高値で売却できる傾向にあります。昨今の日本では、マンションの価格が上昇傾向を続けているとされているため、地域によっては築10年未満の築浅物件の場合、新築時の市場価格よりも現在の中古のマンション市場価格の方が高くなっている可能性があるのです。実際に、築年数がある程度経過している物件でも、購入時と現在の景気の違いから、ほぼ同等レベルの金額で売却できる可能性があるとされています。

引用:国土交通省資料より

上記のグラフからも分かるように、マンションの価格は、戸建て住宅などと比較しても、上昇幅が非常に大きくなっています。

なお、マンションの売却について、購入時よりも高く売れて売却益が発生する見込みの場合は、少し注意が必要です。実は、マンションの売却益に課せられる税金は、物件の所有期間が5年を境目として税額が大きく変わるのです。マンションの売却益に課せられる税金については、以下の通り、所有期間で異なるので注意してください。

  • 5年以内での売却(短期譲渡所得):所得税30.63%+住民税9%=39.63%
  • 5年超での売却(長期譲渡所得):所得税15.315%+住民税5%=20.315%

上記の通り、マンションの売却益に課せられる税金は、所有期間5年を境に倍近く変わってしまいます。したがって、マンションの売却により売却益が発生する見込みの場合は、5年以上保有してから売ることをおすすめします。

②立地条件が良いマンション

立地条件に恵まれているマンションは、物件の価値が下がりにくく、買った値段もしくはそれよりも高く売れる可能性が高くなります。不動産の価格は、立地条件の影響を強く受けるため、マンションに限らず、戸建て住宅でも価格を大きく左右するポイントになります。例えば、以下のような条件を満たした物件は、需要が高くなると考えられます。

  • 地方よりも大都市、郊外よりも都心に近い立地ほど有利
  • 駅近など、交通アクセスが良い(特にターミナル駅など主要駅ほど需要が高くなります)
  • 周辺に商業施設や飲食店、公共施設などが充実していて生活利便性が高い
  • 病院や公園、学校などが集まっている

上記のような条件を兼ね備えている物件は、価値を維持しやすくなるため、ある程度の築年数が経過しても、それなりの値段で売却できる可能性があります。また、もともとマンション周辺の利便性が低い時に購入し、後から上記のような環境が整えられた場合は、買った時の値段よりも高く売れる可能性があります。

③角部屋や高層階など、物件そのものが好まれる条件を満たしている

同じマンション内にある物件でも、条件によって価格は異なります。例えば、高層マンションの価格を見ると、低層階と高層階では新築時の販売価格も異なります。

実は、マンションの価格は、角部屋や高層階という条件を満たしている場合、高値で売却しやすくなると言われています。角部屋の場合、接する部屋が少なくなることで騒音の心配が少ない、窓が多いため日当たりを確保しやすいなどの条件があるため、同じマンションの中部屋と比較すると、10~20%程度高く売れる傾向にあるとされています。また、バルコニーが南向きもしくは東向きの場合、より高値で売却できる可能性が高まります。

ただ、階数の多い高層マンションの場合、角部屋でも低層階にある物件は、高層階の中部屋よりも安い価格で取引される可能性があります。マンションの価格は、階数が上がるごとに高くなっていく傾向があり、一般的に1階上がるごとに0.5~2.5%ほど価格が高くなると言われています。

マンションをできるだけ高く売却するには?

ここまでの解説で、マンションの売却については、基本的に購入した時よりも安くなるということが分かっていただけたと思います。ただ、いくつかの条件を満たすマンションの場合は、購入時と同等もしくは、購入時よりも高く売れる可能性があるのです。特に、ここ数年、マンションの市場価格が上昇傾向を続けているため、築10年前後の物件であれば、購入時の値段と比較するとかなり高く売れる可能性もあるでしょう。

なお、マンションをできるだけ高く売りたいと考えた時には、いくつか注意しなければならないポイントが存在します。そこでここでは、マンションをできるだけ高く売るためのコツをご紹介します。

需要が高まる時期に売却する

不動産市場にも、物件を探す人が多くなる繁忙期があります。当然、閑散期に物件の売却活動を行うのと比較すると、繁忙期に売りに出した方が、物件を探す人が多いため、高く売れる可能性が高くなります。

一般的に、マンションが売れやすいとされる時期は、2~3月頃と言われているのですが、これは4月からの新生活に合わせて、新たな住まいを必要とする人が増えるからです。ちなみに、不動産市場において、購入者の活動が鈍くなるとされているのは、1月や8月で、この時期に売却活動を行った場合、高く売ることが難しくなるかもしれません。

なお、マンションの需要が高まる2~3月に物件の売却を完了させるには、2月から売却活動に動き始めるのでは遅いです。2月の時点で物件情報を市場に出せるようにするには、遅くても1月頃には不動産会社と契約して動き始めていなくてはならないでしょう。余裕を見るのであれば、12月頃から売却準備をスタートしておくのがおすすめです。

マンションを高値で売却したいと考えた時には、売り急ぐことなく時間に余裕をもって買い手を探すことが大切です。

内覧対策をしっかりと行う

マンションの高値売却は、内覧時の印象を良くすることが非常に重要です。現在住んでいるマンションの売却では、ほとんどの場合「住みながら売却活動を進める」ことになると思います。

ただ、内覧時に、普段の生活が見えてしまうような状況になると、購入希望者の印象が悪くなり、高値での売却が難しくなる可能性があります。例えば、荷物や家具が多く残っていると部屋を狭く感じさせる、掃除が行き届いていない場合は本来の状態よりも老朽化しているように見えるなど、内覧者に悪い印象を与えてしまう可能性があるのです。

したがって、マンションを購入した時よりも高く売りたいなど、より高値での売却を成功させるためには、売却準備として物件内部の清掃や荷物の片づけ、老朽化部分の修繕と言った内覧対策が重要になります。また、内覧に立ち会う場合、購入希望者からの質問に正確に答えられるように、物件と周辺環境に関する情報をまとめておきましょう。

不動産の一括査定サービスなども利用する

マンションの売却価格を決める際には、一括査定サービスなどを利用することも検討しましょう。マンションの売却を検討している方のほとんどは、物件の市場価格は把握できていないはずです。そのため、その状況で地元の不動産会社や付き合いのある不動産会社など、1社のみの不動産会社に査定を依頼した場合、相場よりも安い売り出し価格を設定されてしまう可能性があるわけです。

一括査定サービスを利用すれば、複数の査定価格を事前にチェックすることができるようになるため、どれぐらいの売り出し価格が適正なのかが判断できるようになります。したがって、マンションをできるだけ高値で売却したいと考えた時には、一括査定サービスを利用して適正な売り出し価格を掴んだうえ、それを持って不動産会社に相談するという流れを検討しましょう。

マンションを買った時よりも高く売りたいならホームステージングがおすすめ

ここまでの解説にあるように、マンションの中には、買った時よりも高値で売却することができる物件も少なくありません。特に、昨今では、都市部におけるマンション価格が上昇を続けているという事実があるため、適切な売却活動を実施することができれば、購入した時よりも高い価格で物件を売却できる可能性があります。

そして、昨今の中古住宅市場では、売却準備としてホームステージングを取り入れるという対策が注目されるようになっています。そこでここでは、ホームステージングをマンションの売却に活用することで得られるとされるメリットについて、実際のデータなどをもとに解説します。

ホームステージングは何をする?

ホームステージングは、売り出し中の中古住宅やマンションについて、その内装を家具やインテリア、植物や照明でコーディネートし、内覧者が魅力的な空間に感じられるように演出するという対策になります。

ホームステージングを施すことで、売り出し中の物件をより魅力的に見せることができるようになるため、売却をスムーズに、また高値での成約が目指せるわけです。具体的には、空室状態の物件に対して、以下のような空間演出を実行する対策がホームステージングです。

空室状態は、殺風景で物件の良さが伝わりにくいと感じるはずです。しかし、室内に家具やインテリアを配置すれば、部屋のサイズ感も正確につかむことができ、そこでの生活動線などもイメージしやすくなるため、内覧者の購買意欲を高めることができるようになるでしょう。

ホームステージングを実施した時の効果は?

それでは、マンションの売却を目的とし、室内にホームステージングを施した場合、どのような効果が得られるのかについても解説します。ここでは、一般社団法人日本ホームステージング協会が毎年実施している、ホームステージングの実態調査のデータから実施による効果をご紹介します。

■ホームステージング導入のメリット
引用:ホームステージング白書2024年

上記は、2024年に不動産の賃貸や売買において、ホームステージングを実施した方がメリットに感じたポイントをまとめたものとなります。これからも分かるように、ホームステージングは、内覧時の印象を良くするという効果が得られ、その結果、最終的な家賃や売却価格を高値で維持できるというメリットがあると考えられます。

■成約までの期間が短くなる
ホームステージングの実施は、成約までの期間を短くするという効果も得られます。実際に不動産の売却におけるホームステージングの効果として、以下のように対策実施前よりも売却期間を短縮できたというデータが出ています。

引用:ホームステージング白書2024年

上のグラフの通り、ホームステージング実施前と比較すると、成約までの期間が短縮できたという回答が約70%に達しています。

このように、ホームステージングは、中古マンションの売却を検討した時には、売却価格の維持や早期売却に役立つ非常に有効な対策になるので、ぜひ導入を検討しましょう。

まとめ

今回は、マンションをできるだけ高く売るためにはどうすれば良いのかについて解説しました。

記事内でご紹介した通り、マンションは、買った時の値段でそのまま売ることは難しいケースが多いです。もちろん、マンションの中でも、築浅物件や好立地の物件などに関しては、購入時と同水準、もしくは高値で売却することができるケースもあります。特に、マンションの価格が上昇している昨今では、時間に余裕を持ったうえで、購入希望者が多い時期に売りに出すことで購入時よりも高値で売却できる可能性が高くなります。

また、昨今の不動産業界では、ホームステージングと呼ばれる販促手法が注目されるようになっています。ホームステージングは、売り出し中の物件を、内覧者が最も気に入るような内装にコーディネートすることで、早期にさらに高値で売却できるようになるとされています。
マンションの売却を考えた時には、出来るだけ高値で買い手を見つけたいと考えると思うので、記事内で紹介した内容を参考にしてみてはいかがでしょう。