2025.09.15

持ち家を貸すメリットとデメリット!自宅を賃貸に出す方法や入居者募集の工夫についいて

今回は、現在住んでいる自宅を賃貸に出すことで得られるメリットや、その逆のデメリット面などについて解説します。マイホームを購入する時には、基本的に一生をその家で過ごすことを想定していると思います。しかし、仕事の関係や相続の発生などを理由に、引っ越しが必要になり持ち家を賃貸に出すことを検討するというケースは珍しくありません。

例えば、マイホームの購入後、遠方への転勤が決まった、親が住んでいた実家を相続し、生活の拠点をそこに移すなどということは誰にでも考えられることです。特に、転勤を理由とした引越しの場合、将来的にマイホームのあるエリアに戻ってくる事も考えられ、この場合は持ち家を売却するよりも賃貸に出して収益を得たいと考える人も少なくないのです。

自宅を賃貸に出せば、継続的な家賃収入が得られるようになるため、非常に魅力的な選択肢のように映ります。しかし、住宅ローンが残っている家の場合、そのまま賃貸に出しても良いものなのか、また住宅ローン控除など税関連の手続きが必要になるのかなど、さまざまな疑問が頭をよぎってしまうと思います。さらに、「自宅を賃貸に出す」と口で言うのは簡単ですが、手続きが複雑なのではないか、借り手は本当につくのかなど、不安になることも多いはずです。

そこでこの記事では、持ち家を賃貸に出したいと考えている方に向け、そのメリット・デメリットや、実際の手続きの流れ、おさえておかなければならない注意点などについて解説します。

持ち家を貸し出すメリットとデメリットについて

それではまず、自宅を賃貸に出した時に得られるメリットと、その逆のデメリットをご紹介します。転勤などを理由に、現在住んでいる自宅から引っ越す必要が出た時には、売却するという選択肢がまず頭に浮かぶと思います。しかし、賃貸ニーズがあるエリアなのであれば、自宅を手放さず賃貸に出すという選択肢もあるのです。

ここでは、売却することや空き家として所有し続けることと比較した時のメリット・デメリットについて解説します。

持ち家を賃貸に出すメリット

まずはメリット面からご紹介します。「持ち家を賃貸に出す」と聞くと、戸建て住宅の場合は借り手が見つかりにくいのではないかと考えてしまう人も多いです。しかし、戸建て賃貸は、集合住宅にはないメリットがたくさんあるため、賃貸物件市場では常に一定以上の需要が保たれています。

ここではまず、何らかの理由で引っ越しが必要になった際、持ち家を賃貸することで得られるメリットについて解説します。

  • 継続的な収入を確保できる
    一つ目のメリットは、継続的な収入が確保できるという点です。自宅を賃貸に出す場合、毎月の家賃収入が得られるようになります。家を所有していれば、固定資産税などの税金が課せられるのですが、きちんと入居者を確保できていれば、家賃収入を税金の支払いに充てられるようになるため、経済的な安定が期待出来ます。売却すれば、一時的に売却益が得られるものの、売却時の景気などによっては収益物件として運用している方が金銭的にメリットが大きくなる可能性も考えられます。当然、空き家のまま所有し続ける場合は、支出ばかりが嵩むため、これらの選択肢と比較すると、大きなメリットがあると言えるでしょう。
  • 資産価値を維持できる
    これは空き家のまま所有を続ける場合と比較した時のメリットと言えます。人が住んでいる家は、使用による消耗や機能低下が考えられるため、空き家状態で維持していく方が家の資産価値を維持できるのではないかと考える人もいます。しかし、家は空き家状態の方が劣化が早く進むと言われているのです。これは、人が住んでいない住宅の場合、換気などがなされないことで、室内に湿気や埃がこもり、カビの繁殖などを招くからです。この他にも、給排水管の劣化、害虫や害獣の侵入、清掃や点検の不足などを要因として、人が住んでいる家よりもかなり早く劣化が進むとされています。賃貸に出せば、借り手が日々の生活の中で掃除や換気を行ってくれるようになるため、使用による消耗などがあっても、家そのものの自然劣化を防止してくれるわけです。また、空き家状態で置いておく場合、定期的な管理が求められるようになっているため、管理のためのコストがかかります。賃貸物件にすれば、この管理コストも不要になります。
  • 将来の選択肢を残すことができる
    賃貸物件にしておけば、マイホームのあるエリアに戻ってくることが決まれば、賃貸契約を解除して再び自宅に戻ると言う選択肢が残ります。またその逆に、自宅のあるエリアに戻ることがないと決まった時には、借り手に物件の購入を提案するなど、家を売却するという選択肢もあるのです。最終的に、入居者に購入してもらうというケースでは、家賃収入にプラスして売却益まで得られるわけで、金銭的なメリットはかなり大きくなると思います。さらに、長年住んでもらえていた方の場合、物件に対する愛着もあるため、売却の話がスムーズに進む可能性があるでしょう。自宅を賃貸に出すと言う選択は、家の維持コストの負担が少なくなるうえ、将来的な選択肢を残せるという面で、非常にメリットが大きい方法と言えます。

このように、転勤などで自宅に住めなくなった時、売却や空き家として所有することと比較すると、賃貸に出すと言う選択は非常に大きなメリットがあると言えます。

持ち家を賃貸に出すデメリット

それでは次に、自宅を賃貸に出す場合のデメリットについてもご紹介します。

  • 賃貸経営に係わる業務負担の増加
    一つ目のデメリットは、賃貸経営者としての業務負担が増加するという点です。空き家として所有する、売却すると言う選択の場合、手間のかかる手続きなどはあまり必要ないのですが、賃貸物件として運用する時には、入居者の募集や家賃の管理、入居者トラブルの対応など、物件オーナーとしての業務が必ず発生します。日々の賃貸管理については、管理会社と契約し業務を委託することも出来ますが、その場合には当然コストがかかります。また、管理会社などに委託する場合でも、賃貸オーナーとしての業務が全てなくなるわけではないので、手間や時間がかかる点は明確なデメリットと言えるでしょう。
  • 入居者を原因としたトラブルリスク
    二つ目のデメリットは、入居者リスクです。自宅を賃貸に出す場合、家賃の滞納や騒音問題を引き起こすような悪質な入居者がついてしまう可能性があり、先ほど紹介した賃貸に出すメリットが打ち消されてしまうリスクがあるのです。賃貸に出す限り、絶対に優良な入居者がつくとは限りません。物件を貸し出す前には、きちんと入居審査を行い、収入や為人を確認します。しかし、入居審査は短時間で判断されるものなので、その人の人間性を完璧に把握することは難しいのです。万一、悪質な入居者がついた場合、家賃の滞納が続き赤字になってしまうなどの問題が考えられます。さらに最悪の場合、近隣トラブルを引き起こし、ご近所さんとオーナーの関係まで壊れてしまう、家をボロボロにされて資産価値が逆に下がってしまうなどのリスクも考えられます。将来的に、戻って自分たちが住みたい、高値で売却したいと考えている時には、入居者リスクについては慎重に検討しなければいけません。
  • 賃貸経営に係わるコストの発生
    最後は、単純にコストが発生するというデメリットです。例えば、自宅を賃貸に出す際、借り手をみつけるためにはリフォームが必要になるケースも少なくありません。この場合、賃貸に出すために大金をかけなければならなくなります。また、家賃収入が得られるようになれば、不動産所得税などの税金の支払いが発生するなど、賃貸経営を進めていく上では、さまざまなコストが発生する可能性があるのです。住宅ローンが残っている住宅の場合、不動産投資ローンへの借り換えが必要になることもデメリットと言えるでしょう。

自宅を賃貸に出すと言う選択は、上記のようにメリットばかりではないという点に注意しなければいけません。

持ち家を貸し出す前に確認すべき注意点

ここまでの解説で、持ち家を賃貸に出す場合のメリットとデメリットが分かっていただけたと思います。自宅を賃貸に出し、優良な入居者がつけば大きなメリットが得られると考えられます。

ただ、持ち家の賃貸に関しては、いくつか注意しておかなければならないポイントが存在します。ここでは、持ち家を賃貸に出したいと考えた時、事前にチェックしておかなければならない注意点をいくつかご紹介します。

住宅ローンが残っている場合、そのまま賃貸に出してはいけない

持ち家の賃貸に関しては、住宅ローンが残っているかどうかが非常に重要なポイントになります。実は、住宅ローンが残っている物件については、原則として賃貸に出すことができないのです。

住宅ローンは、その他のローン商品と比較すると、金利がかなり低く設定されています。ただ、この金利優遇については、「契約者本人が住むための住居」という目的があり、契約の根幹に「居住」という条件が付いているため、住宅ローンが残っている状態で賃貸に出すことは契約に違反する行為となるのです。住宅ローンが残っている自宅を、金融機関に相談もせず隠れて賃貸に出した場合、それがバレた時には契約違反による一括返済が要求されるなど、かなり厳しいペナルティが用意されています。金融機関から一括返済が要求され、それにこたえられない場合は、物件を差し押さえられるなどの最悪の事態も考えられます。

したがって、転勤が決まって住宅ローンが残っている自宅を賃貸に出したいと考えた時には、事前に必ず金融機関に相談するようにしてください。そうすれば、以下のような対応をしてくれると思います。

  • 貸し出す期間が決まっている場合
    転勤する期間が決まっていて、将来的にローン契約者が戻って再び住むことを想定している場合、金融機関に事前に相談することで、住宅ローンの状態のまま一定期間だけ賃貸に出すことを認めてくれる場合があります。この場合、賃貸に出す物件も契約期間を定めた「定期借家契約」で入居者募集を行うことで、将来的なトラブルリスクも解消できます。
  • ローンの借り換え
    賃貸に出すことを前提とした商品としてはアパートローンや不動産投資ローンがあります。住宅ローンが残っている物件を賃貸に出す場合、金融機関に事前に相談することで、これらのローンに借り換えることができ、合法的に賃貸経営が始められるのです。なお、アパートローンや不動産投資ローンは、収益性を目的としているため、住宅ローンよりも金利が高く設定されている点は注意しましょう。

住宅ローンが残っている物件は、事前に金融機関に相談し、上記のような対策を実施しましょう。そうすることで、金融機関との信頼関係が継続でき、一括返済などを請求されるリスクを回避できます。

築年数が経過している物件の賃貸について

築年数が経過した古い家の場合、物件そのものの老朽化が目立つことで「借り手がつかないのではないか?」と不安になる方も多いです。ただ、古い家には古い家なりの魅力があるため、ちょっとした工夫で優良な借り手を見つけることも可能です。

古い家を賃貸に出す場合、ある程度の費用をかけてリフォームをしなければならないケースが多いことは覚悟しておきましょう。ただ、むやみやたらにリフォームにコストをかけてしまうと、かけた費用を回収することが難しくなるので、どこをリフォームするのかは慎重に検討しなければいけません。築年数が経過している物件は、老朽化による設備の不具合や外観の古さが与える悪印象などが要因となり、借り手が見つかりにくくなります。逆に考えると、借り手側が敬遠するポイントを的確に修繕することで、費用対効果の高いリフォームとなるのです。

例えば、築年数が経過した持ち家の賃貸を考えた時には、全面的なリフォームではなく、以下のような点を重点的に実施すると良いです。

  • 水回りのリフォームを最優先にする
    キッチンや浴室、トイレなどの水回りは、生活の満足度に直結する部分です。水回り関係の設備は、内見者が重点的に確認するポイントでもあるため、リフォームの優先度は最も高いと言えます。なお、全てを新しくするのは難しいケースもあるため、設備の更新ができない部分はハウスクリーニングで清潔感を保つなど、部分的な修繕におさめることでコストを抑えられるように工夫しましょう。
  • 表層リフォームは費用対効果が高い
    壁紙の張り替え、床材の張り替え、照明器具の交換などの表層リフォームは、内装を美しく見せることができる手段です。内装の美しさは、内見者の印象を大きく向上させることができるので、成約に直結するポイントになります。表層リフォームは、その他のリフォームと比較すると、コストを抑えられるという特徴があるため、費用対効果が非常に高いリフォームと言えます。

築年数が経過した持ち家の賃貸は、事前にリフォームを施さなければならないケースが多いです。しかし、「どこを修繕するのか?」については、不動産会社と相談しながら、最も費用対効果の高い対策になるよう注意しましょう。

なお、昨今では、入居後にDIYで自分の理想に近い部屋に作り替えたいという意向を持っている方が増えています。したがって、築年数が経過して老朽化が目立つ物件については、最低限の「インフラ」整備だけ行っておき、後は入居者がDIYで自由に改修できるようにするという方法も有効です。
DIYを許可するという対策は、古い家の賃貸ならではの魅力となるため、将来的に自分たちが戻って住むということを想定していない場合はおすすめの方法です。

近い将来、自分たちが再び住む想定なら定期借家契約を活用

持ち家を賃貸に出すというケースで、その理由が「一時的な転勤」の場合、将来的に自宅に戻ってくることも考えられます。そして、いずれは自宅に戻る予定があるという場合、賃貸契約の方法に注意しなければいけません。

一般的に、物件オーナーと賃借人が結ぶ契約は「普通賃貸契約」と呼ばれていて、以下のような特徴があります。

  • 契約期間は1年以上が一般的で、原則として更新される
  • 正当事由がない限り、オーナーからの退去依頼は困難

これからも分かるように、普通賃貸契約で自宅を貸し出している場合、転勤が終了して自分たちが住みたいと考えても、入居者が「出ていきたくない!」と言ったら退去してもらうことが困難になるのです。

転勤など、期間が決まっている物件の賃貸については、「定期借家契約」と呼ばれる契約方式を選ぶ必要があります。定期借家契約の場合、契約期間に定めがあり、契約期間満了で確実に終了するという契約となるため、入居者に出て行ってもらえないというトラブルを防止することができるのです。契約期間は自由に決めることができるため、転勤期間に合わせて賃貸契約の期間を定めておけば、転勤終了後は問題なく自分たちで住めるようになります。

注意点としては、定期借家契約の場合、普通借家よりも家賃が安くなる傾向にある、契約時には書面にて「契約の更新がないこと」を事前に説明しなければならないなどの制約がある点です。物件を借りる側からすると、入居する時点で「退去しなければならない時期」があらかじめ決まってしまうため、定期借家契約を敬遠する方は多いです。引っ越し費用を支払って入居しても、数年後にはまた同じ費用をかけて引越ししなければならないため、コスト負担が大きいなどのデメリットが目立ってしまうのです。

なお、定期借家契約を結んで退去してもらうには、契約期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、「契約が満了するため退去してほしい」という旨を書面などにより事前に通知する必要があります。これを怠ると、普通借家契約と同じように契約が更新される恐れがあります。

その他、貸し出した後の注意点

持ち家を賃貸に出した後も、いくつか注意しなければならない点があるので、以下で簡単にご紹介します。

  • 不動産所得の申告と税金の支払いが発生する
    持ち家を賃貸出し、入居者がついた場合には、毎月家賃収入が入るようになります。そのため、会社員の方などでも、不動産所得の申告や税金の支払いが発生すると考えておきましょう。なお、不動産所得は、家賃収入から、固定資産税や修繕費、管理会社への支払いなどを差し引いたものです。
  • 住宅ローン控除が受けられなくなる
    住宅ローン控除は、「自身が居住している」ことが条件となります。つまり、自宅を賃貸に出す場合、その条件を果たせなくなるため、控除が受けられなくなるのです。なお、一定期間の転勤など、いくつかの条件下では、手続きを行うことで控除の再適用が可能になる場合もあるので、税理士などに確認しておきましょう。

持ち家を貸し出す時の大まかな流れについて

持ち家を賃貸に出す時の流れについては、それぞれの状況によって手続きの流れなどが変わります。ここでは、全体像を理解していただくためにも、簡易的な流れをご紹介するので参考にしてみてください。

  • STEP1 賃貸条件を決める
    自宅を賃貸に出す場合、家賃や敷金の有無、ペットの飼育を許可するのかなど、貸し出す際の条件を決めなければいけません。詳細については、入居者募集を行ってもらう管理会社と相談する必要があるのですが、オーナー側が求める条件を最初の段階で決めておくと、この後の流れがスムーズになります。
  • STEP2 賃貸管理会社の選定と契約
    次は、入居者募集や契約手続き、賃貸管理などを担ってもらう管理会社を決定します。賃貸管理会社も、会社によって扱っている物件が異なるので、自宅に似た条件の物件に関する取り扱い実績などを確認しましょう。また、複数の管理会社の相談し、賃料査定などを行ってもらうなど、納得できる条件を提示した会社と管理委託契約を結びます。
  • STEP3 必要であればリフォームなどの実施
    自宅の状態によっては、入居者募集を開始する前にリフォームが必要になる場合があります。リフォームが必要な箇所については、STEP2で契約した管理会社と相談しながら決定しましょう。
  • STEP4 入居者募集の開始
    管理会社側がインターネット上の不動産検索サイトなどに広告を掲載し、入居者を募集します。なお、広告効果のUPや内覧時の印象UPのため、この段階でホームステージングを実施する物件が増えています。
  • STEP5 入居審査、問題なければ契約締結
    応募があれば入居審査を行います。収入など、問題ないと判断できれば賃貸借契約を結びます。
  • STEP6 賃貸開始
    入居者が引っ越して、賃貸経営がスタートします。

細かく見れば、もっと多岐にわたる手続きがあるものの、大まかに言えば上記のような流れで自宅の貸し出しは進みます。

持ち家を賃貸に出す場合、ホームステージングが有効

ホームステージングは、中古住宅市場が活発なアメリカで、物件の早期売却のために家具や小物を設置して販売したことが始まりとされています。日本は、新築住宅が求められる傾向が強いのですが、欧米では「家は百年以上持たせよう」という考えがあるため、中古住宅の売買が非常に盛んなのです。そして、数多くある中古住宅の中で、他の物件と差別化するために室内を家具などでコーディネートするというホームステージングが誕生したわけです。

このホームステージングは、2000年代に入り日本でも既存の住宅流通業界において注目されるようになり、ホームステージングサービスを取り扱う会社が増えています。戸建て住宅やマンションなどの中古住宅販売において、「売却価格向上」と「販売促進」を目的としてホームステージングが普及し始めたのですが、2020年代に入ってからは不動産賃貸業界でも、空室対策や入居促進のための手法として、不動産会社や賃貸管理会社の間で注目を集めるようになっています。

なお、ホームステージングは、部屋の中を家具やインテリア、照明などでコーディネートする方法のため、新築住宅の売買におけるモデルルームのようなものと解説されることが多いです。ただ、モデルルームは、一般的に部屋を演出するだけの意味なのですが、ホームステージングは「住環境やライフスタイルなどの住まいや暮らしに関する提案」という、さらに幅広い意味を持っていると言われています。

このホームステージングは、自宅を賃貸に出したいと考えた時、入居促進のための対策として非常に有効とされているため、ここでは、ホームステージングを実施することでどのようなメリットが得られるのかを簡単にご紹介します。

物件広告面で有利になる

賃貸物件の入居者募集では、さまざまな広告媒体において、他の物件よりも目に留まるようにすることが大切です。現在では、インターネット上の賃貸物件検索サイトで理想の賃貸物件を探す人が増えているため、web広告上で入居希望者の目に留まる必要があるのです。

この点、ホームステージングの実施は、以下の通り、インターネット上に掲載した物件広告の閲覧数が増加し、問合せが増えるという効果が認められています。

引用:ホームステージング白書2023年

内見者数の増加と成約期間の短縮

ホームステージングの実施は、物件広告が目を引きやすくなることで、内見者数を増やすことができるという効果が期待出来ます。また、2023年に実施された調査では、ホームステージング後の物件は、実施前の物件と比較して成約までの期間が短くなったという効果も得られています。

引用:ホームステージング白書2023年

上記のように、ホームステージングは、成約までの期間を大幅に短縮することができると期待できます。なお、内見時の印象についても、内見時間が長くなったという回答が68.1%と、入居希望者の内見時の印象が良くなっていると考えられるデータもあります。

入居募集に必要な作業をまとめて依頼できる

日本国内でもホームステージングの需要が高くなっている昨今では、このサービスを取り扱う企業が増えているとともに、請け負ってもらえるサービスが多様化しています。もともと、ホームステージングとは、空室状態の部屋に、家具やインテリア、照明などを配置することで、素敵な空間になるようにコーディネートしてもらえるものというイメージが強いと思います。

しかし、物件の状態によっては、入居希望者が内覧した時の印象を良くするため、ハウスクリーニングや不用品の回収、破損部分の修繕など、さまざまな作業が求められるのです。先ほど紹介したように、ホームステージングは、単に空間を演出するための対策ではなく「住環境やライフスタイルなどの住まいや暮らしに関する提案」を行うことが目的の対策です。そのため、入居希望者が「ここに住んでみたい!」と思うような空間にするためのさまざまな作業を請け負ってもらうことができるようになっているのです。

以下は、2024年に実施されたホームステージングの内容についてまとめたデータとなります。

引用:ホームステージング白書2024年

上のグラフの通り、2024年のホームステージングでは、基本となる空室ホームステージング以外にも、リフォームや片づけ、不要家財の回収など、さまざまな作業が実施されています。自宅を賃貸に出す場合、使用による消耗や劣化などが各所に見られるはずで、入居者募集を開始する前にリフォームや軽微な修繕をしなければならないことが多いです。そして、ホームステージングは、これらの作業もまとめて実行することができるため、賃貸物件として運用するまでの事前準備を短時間で完了させることができると期待できるのです。

まとめ

今回は、持ち家を賃貸に出す場合のメリットとデメリットや、事前に確認しておかなければならない注意点について解説しました。

大金をかけてマイホームを購入したとしても、仕事の都合などを要因として引っ越しが必要になるケースが考えられます。この場合、自宅を売却して引っ越し先で新たな家を購入する、空き家として所有し続ける、一時的に賃貸に出すなど、いくつかの選択肢が存在するのですが、賃貸に出すと言う選択には大切な資産を有効活用することができるというメリットが存在します。

ただその一方、住宅ローンが残っている場合は、不動産投資ローンへの借り換えが必要になり返済総額が高くなってしまう可能性がある、賃貸に出してもなかなか借り手が見つからず、空き家期間が長くなることで家が劣化してしまうなどの問題も考えられます。自宅を賃貸に出すと言う選択は、メリットばかりがあるわけではなく、いくつか注意しなければならないデメリットもあるので、ご自身の状況をしっかりと整理したうえで、どの方法を採用するのか決定すると良いでしょう。

なお、賃貸に出すことを決定した時には、入居者募集の手助けしてくれる方法としてホームステージングがおすすめです。もともと、中古住宅の売却を有利に進めるための方法として誕生しましたが、昨今では、賃貸物件の空室対策として非常に有効とみなされるようになっているため、早期に借り手を見つけるための決め手になるかもしれません。