ホームステージングで使用する家具をレンタルするメリットとデメリットを紹介!
昨今の不動産業界では、家の売却、賃貸を促進するための効果的な施策としてホームステージングが注目されるようになっています。ホームステージングは、中古住宅市場が活発な欧米では、家を売る際の取り組みとして「当たり前」に実施されています。しかし、日本の不動産市場においては、新築物件の販売促進として、モデルルームやモデルハウスが用意されることはあっても、中古住宅や賃貸物件の販売促進の取り組みに関しては、そこまでコストをかけるといったケースは少なかったように思えます。
ただ、昨今の日本は、少子高齢化などによる人口減少の影響などにより、空き家の増加が社会問題となっています。簡単に言うと、「家が余っている」という供給過多の状況に陥っていて、中古住宅市場や賃貸物件市場では、今まで通りに営業活動を行っていたのでは、高値売却や早期の成約が難しくなっているのです。そこで、日本の不動産業界でもホームステージングが取り入れられ始め、その高い効果が認められるようになっています。
ホームステージングとは、売却したい、借り手を見つけたい物件に家具やインテリアなどを配置して、内見した人に「ここに住んでみたい」と思わせるような魅力的な空間に見せる方法です。日本では、まだまだ認知度がそこまで高いとは言えない販促手法であるため、具体的にどのようなサービスなのかが分からないという人も多いです。特に、ホームステージングの主となる「家具やインテリア」は誰が用意するのかなど、基本的な部分に疑問を感じてしまう人も多いです。
そこでこの記事では、ホームステージングの基本と、ホームステージングに使用する家具やインテリアをレンタルで用意するメリット・デメリットについて解説します。
ホームステージングで使用する家具は誰が用意する?
それではまず、ホームステージングがどのような販促手法を指しているのかと、ホームステージングで使用する家具やインテリアは誰がどのようにして用意するのかについて簡単に解説します。
まず、ホームステージングが、具体的にどのような対策を指しているのかについてです。ホームステージングは、先ほど紹介したように、売却を考えている、借り手を探しているという物件に対して、部屋の中を家具やインテリア、植物や照明などを使ってお洒落な空間に演出することで、内見した人の印象を良くするための対策となります。分かりやすく言うと、新築住宅の販促手法として採用されている、モデルルームやモデルハウスのように、空間を演出する対策と考えてください。
もともと、日本の不動産業界では、中古住宅の売却、賃貸物件の仲介では、空室状態のままお客様に内見してもらうという方法が一般的でした。現在でも、不動産検索サイトで物件探しをしてみると、空室状態の物件画像が掲載されている情報の方が多いと思います。しかし、空室状態の部屋を見ただけでは、内見者は、部屋のサイズ感などがつかみにくいうえ、そこでの暮らしを具体的にイメージすることが難しいという問題が生じます。そのため、部屋を内見しても「悪くはないのだけど、決め手がない…」など、成約に繋がらないというケースも多くなるのです。
これが、ホームステージングにより、部屋の中が家具やインテリア、照明などで装飾されている場合、そこでの具体的な暮らしをイメージできるようになり、内見者の購買意欲を高められるという効果が期待できるとされています。実際に、日本ホームステージング協会が行った調査では、不動産の売買、賃貸ともに、ホームステージングの実施に「効果があった」との回答が9割を超えているという状況になっています。
ホームステージングは、もともと欧米をはじめとする海外で採用されていた手法なのですが、近年、日本でも中古住宅市場が活発化していることから、効果的な販促手法として注目を集めるようになっています。ホームステージングの実施は、早期の成約や高値での売却が期待できるようになるという調査データが揃ってきていることもあり、今後ますます取り入れられることが増えていくと予想されています。
それでは、ホームステージングの実施に必要不可欠な家具やインテリアは、誰が用意するのでしょうか?その辺りについても解説します。
家具やインテリアを用意する方法
ホームステージングは、部屋の中に家具やインテリア、植物や照明などを配置してお洒落な空間に演出するという方法です。もちろん、ただ単に家具を配置すれば良いというわけではなく、物件のターゲット層が内見した時に「ここに住んでみた!」と思わせるような部屋にコーディネートする必要があります。
それでは、部屋を装飾するための家具やインテリアについては、どのような方法で準備すれば良いのでしょうか?ホームステージングに使用する家具を用意する方法は、主に以下の3つの手段があります。
- もともと使っていた家具を使用する
住みながら家を売るというケースでは、もともと使用していた家具を使ってホームステージングを施すという方法が採用されることも多いです。もちろん、長年使用していて、見るからに状態が悪い家具は使えませんが、部屋の中を綺麗に掃除して、整理整頓を行うことで、部屋の印象が大きく変わる場合もあります。特に、築年数がさほど経過していない物件の売却では、部屋の中に設置している家具やインテリアも比較的新しいと考えられるため、問題なく使用できると思います。もともと所有していた家具を使ってステージングを施す場合、他の方法と比較すると、ホームステージングにかかるコストを大幅に抑えることができます。ただ、家具の状態によっては、生活感が残りすぎてしまうという理由で、ホームステージングそのものの効果が薄れてしまうリスクがあるので注意しましょう。 - 必要な家具やインテリアを購入する
賃貸物件のホームステージングでは、「もともと使っていた家具」などがないことから、対策に必要になるアイテムを購入するという方法が採用されるケースがあります。特に、1Rや1Kといった、単身用物件のホームステージングでは、必要となる家具やインテリアの数もそこまで多くないため、空室対策としては比較的安価に取り組めると考えられるようになっています。ホームステージング用の家具やインテリアを購入すれば、空室が出るたびに何度も使用することができますし、それなりの初期コストはかかるものの、中長期的な視点で考えた時には、安価な空室対策として今後人気になっていくと思います。 - 必要な家具やインテリアをレンタルする
ホームステージングに使用する家具やインテリアは、自分で購入しなくても、ホームステージングサービスを展開する会社や家具のレンタルを専門とする会社から借りることができます。レンタル家具を利用したホームステージングは、他の方法と比較すると、魅力的な空間を作りやすくなります。ホームステージングに際して、レンタル家具を使用する場合のメリット・デメリットは後述します。
ホームステージングに使用する家具・インテリアは、上記のような方法で用意することができます。
中古住宅の売却の場合、もともと使用していた家具を使ってホームステージングを施せば、対策にかかる費用をかなり抑えることができるようになります。しかし、普段使いしていた家具の場合、汚れやキズなどが目立つものも多いと考えられますし、ホームステージングが逆効果に働いてしまうリスクが生じる点は注意が必要です。
賃貸では、家具やインテリアを購入するという方法が採用されるケースも多いのですが、この場合、初期コストが高くなってしまいます。また、ホームステージングが功を奏し、入居者が見つかった場合、ホームステージングに使用した家具やインテリアを保管するためのスペースを確保しなければいけません。将来的に、空室が出るたびに購入した家具を使用したいと考えるなら、良い状態を維持しなければならないため、それなりに設備が整った保管場所を確保する必要があり、その部分にコストがかかる可能性もあります。
レンタル家具を使用したホームステージングのメリット・デメリットについては、次項で詳しく解説します。
ホームステージングで使用する家具をレンタルするメリット
不動産の売却や賃貸を促進するため、ホームステージングを施す場合には、多くの家具やインテリアを設置する必要があります。戸建て住宅の売却であれば、部屋数も多いため、用意しなければならない家具やインテリアの量もかなり多くなってしまいます。このような場合、全てのアイテムを購入するためには、多額の費用がかかることが悩みの種となってしまいます。
実は、ホームステージングサービスを取り扱っている多くの企業は、ホームステージング用の家具をレンタルしてくれるというサービスも行っています。レンタル家具を使用すれば、大量の家具をまとめて購入する必要がなくなるため、ホームステージングにかかる初期費用を抑えることができるでしょう。
ここではまず、ホームステージングにレンタル家具を使用するメリットについてまとめてみます。
メリット1 コストを抑えられる
レンタル家具を使用する一番のメリットは、ホームステージングの導入コストを抑えられる点です。
ホームステージングのため、家具やインテリア、照明器具などをまとめて購入すると、多額の費用がかかってしまいます。ホームステージングは、内見者がその部屋を見た時に「ここに住んでみたい」と思わせるだけの素敵な空間に演出する必要があるため、設置する家具などは、あまり安っぽいものを使用するのは望ましくありません。ターゲット層に最も良い印象を与えられる家具をまとめて購入するには、それなりの出費を覚悟しなければならないのです。
一方、レンタル家具を使用する場合には、ホームステージングやインテリアコーディネートのプロが選んだ高品質な家具を使用して対策を施すことができます。費用に関しては、「借りている間」だけの支払いとなるため、購入する場合と比較すると大幅にコストを抑えることができるのです。
なお、賃貸物件オーナー様の場合、「購入すれば何度も使用できるし、中長期的な視点ではコストが抑えられるのでは?」という点に疑問を感じるかもしれません。しかし、ホームステージングのために購入した家具は、空室が生じた時にしか使用しないため、保管場所を確保しなければいけません。ホームステージング用の家具を保管する場所は、良い状態を維持できるだけの設備が整ってなくてはいけませんし、定期的に家具のメンテナンスなども必要になります。つまり、家具を保管するために、毎月それなりの維持コストがかかってしまうことになるため、購入する家具の量や種類によっては総合的に考えても、レンタルの方がコストを抑えられる可能性があるのです。
家具を購入する場合、不要になった時には処分費用も掛かりますし、コストの面ではレンタルに分があると言えるでしょう。また、成約までの期間が短ければ、その分レンタル費用も安くなるため、ホームステージング全体の費用を抑えることに繋がると思います。
メリット2 メンテナンスが行き届いた美品が使用できる
レンタル家具を使用する場合、専門業者が適切なメンテナンスを行っている、状態の良い家具・インテリアを使ってホームステージングが施せるという点もメリットになります。
先程紹介したように、住みながらの家の売却では、普段の生活で使用している家具をそのまま配置した状態で、内見してもらうというパターンが一般的です。確かに、空室状態の物件を内見する時と比較すると、家具などがきちんと配置されている状態のため、部屋のサイズ感やそこで生活のイメージはしやすいと思います。
しかし、普段使いしている家具の場合、汚れが付着していたり、傷が付いているなど、家具が傷んでいる可能性があるため、部屋の見栄えを良くすることはできず、内見者に良い印象を与えることが難しいのです。それどころか、家具が傷んでいるのを見て「家そのものも傷んでいるのでは?」「家のメンテナンスが適切に行われてないかも…」といったネガティブな印象を与えてしまう恐れすら生じるのです。
レンタル家具の場合、家具を保有している専門業者が、日々適切なメンテナンスを行っているため、良い状態が維持されています。また、塗装剥がれなどの劣化が生じたとしても、きちんと修繕してから出荷するという体制が取られているので、ホームステージングで使用される家具は、良好な状態の美品ばかりとなります。物件購入や賃貸を促進するためには、内見者に「魅力的な空間」と感じてもらわなければならないため、美観が非常に重要なポイントになります。そのため、適切な維持管理が行われているレンタル家具が最も安心と言えるのです。
メリット3 物件購入者が格安で家具を購入できる
ホームステージング会社の中には、ホームステージングとして設置しているレンタル家具やインテリアなどを、物件購入者に格安で販売するというサービスを行っている場合もあります。
新居の購入を検討している内見者からすると、ホームステージングとして設置されている家具が購入できるというサービスについては、自分たちが気に入ったコーディネートであることを確認した状態なので、失敗する心配がなく安心して家具を購入することができます。新居を購入した後は、家具の購入が必要不可欠ではあるものの、インテリアコーディネートに関する知識のない一般の方の場合、購入した家具を設置してみると統一感のない空間になってしまう…という失敗がありがちです。
そのため、ホームステージングとして配置されている家具が購入できるというサービスは、物件の購入希望者からしても、非常に需要が高いサービスとなり、物件購入の後押しにもなるのです。特に、レンタル家具は、中古品という扱いになるため、新品と比較するとかなりのお値打ち価格で販売されるケースが多いです。家具は、プロが適切なメンテナンスを施しているため、良好な状態の家具一式を通常よりも安価に購入できるという点は、物件購入者にとって非常に大きなメリットになります。もちろん、物件オーナー側にとっても「物件購入の後押しをしてくれる」という点で大きなメリットになります。
メリット4 家具の搬入・配置を専門家に行ってもらえる
ホームステージング会社に依頼して、レンタル家具を使用したホームステージングを実施する場合、家具の搬入から配置までをプロの作業員に行ってもらうことができます。家具を購入する、既存家具を使用するという場合、自分たちで家具の搬入や移動、設置作業を行わなくてはいけません。ソファーなどの大型家具を移動させる場合、作業に慣れていないことを要因として、壁に家具をぶつけて物件そのものを傷つけてしまうといったリスクも生じるでしょう。
しかし、レンタル家具の場合は、指定の位置に家具を配置する作業までがセットになっているケースがほとんどなので、手間をかけることなく部屋の演出ができます。レンタル家具を扱っている企業の多くは、ホームステージング業界に進出していますが、単に家具のレンタルのみを行っている業者も存在します。その場合、部屋のコーディネートに関する提案などを受けることはできないかもしれないので、その点は注意が必要です。どちらにせよ、家具の搬入、配置まではレンタル会社側が行ってくれると思います。
ホームステージングにレンタル家具を使用するデメリット
レンタル家具を使用したホームステージングは、家具やインテリアを一式購入する場合と比較すると、初期費用を抑えられる、さらにプロにメンテナンスされた良品が使用できるなど、さまざまなメリットが存在します。ソファーやテーブル、椅子一式など、良質な家具を用意しようと思えば、数十万円から時には100万円を超えるようなコストがかかってしまう場合があります。レンタル家具であれば、コストを抑えた状態で、部屋が最も魅力的に見えるようになる家具・インテリアを集められるため、ホームステージングを施すときには当たり前の方法とみなされるようになっています。
ただ、ホームステージングにレンタル家具を使用するという方法には、デメリット面もあるため、自分にとってレンタルが最も適しているのかは慎重に検討しなければいけません。ここでは、ホームステージングにレンタル家具を採用する場合の代表的なデメリットをご紹介します。
デメリット1 気に入る家具が見つからない場合がある
レンタル家具を使用したホームステージングは、家具レンタル会社が所有している家具の中から、部屋のコーディネートに使用するアイテムを選ぶことが原則です。レンタル会社側も、案件ごとに物件に合う家具を購入して、それを貸し出すなんてことはせず、保有している家具の中からホームステージングの計画を立て、お客様に提案するという流れになっています。
そのため、取り扱いブランドや商品が少ない会社に相談すると、理想とする空間を作るための家具が用意できないというケースも考えられます。この辺りは、取り扱う家具の量が豊富なホームステージング会社に相談するという方法で解消可能なデメリットではあるのですが、逆に言うと、業者探しに時間がかかるかもしれないという点は注意が必要でしょう。
なお、メリット面として「ホームステージングで使用した家具を物件購入者に販売できる」点を紹介しました。しかし、この点に関しては、たとえプロがメンテナンスをして良好な状態を維持しているとしても、「中古品である」という一点で嫌がられる可能性もあります。
なお、ホームステージングに使用する家具については、レンタルに近いサービスとして「リース」という方法を採用する会社も出てきています。リースの場合、新品をオーダーして借りるというシステムになるため、イメージに合う家具を選択できる可能性は高まります。ただ、リースの場合、契約期間が決められるため、賃貸物件にて、何度も同じ家具を使いまわすなど、長期利用を想定している人以外にはあまりおすすめできる方法とは言えないです。
デメリット2 部屋のコーディネートを行ってくれない会社もある
家具のレンタル会社は、「家具の貸し出し」を軸にサービスを提供していて、ホームステージングの提案までは対応していないというケースも多いです。この場合、家具は借りられても、部屋のコーディネートは自分たちで行わなければならないという点がデメリットになるでしょう。
広さや間取りに合わせた適切なレイアウト計画や、ターゲット層が内見した時に良い印象を与えることができる部屋のコーディネートは、素人ではなかなか難しいです。せっかくコストをかけて家具やインテリアアイテムを用意しても、魅力的に映るコーディネートが実現できない場合、購買意欲を高めることはできません。
したがって、レンタル家具を使用したホームステージングを検討している方で、「自分でコーディネートは難しい」と感じる方は、ホームステージングサービスを取り扱う会社を選ぶようにしましょう。
まとめ
今回は、ホームステージングに使用する家具やインテリアについて、レンタル家具を使用する場合のメリットとデメリットについて解説しました。
ホームステージングは、物件の購入や賃貸を検討している方が最も魅力的に感じる部屋になるよう、家具やインテリア、照明などを使って演出するという対策になります。つまり、ホームステージングを施す場合には、部屋を装飾するための家具やインテリアを用意しなければならないという意味です。
記事内で紹介したように、ホームステージングのための家具を用意する方法にも、いくつかの手段があるのですが、コストを抑えて最も魅力的な空間づくりを実現できる方法は、やはりレンタル家具を使用する方法だと言えます。レンタル家具の場合、有名ブランドの家具を日割りで借りることができますし、プロがしっかりとメンテナンスを施しているので、良好な状態の家具を使用して魅力的な部屋に演出することができます。
現在、ホームステージングの実施を検討している方は、レンタル家具の使用も候補に入れてみてはいかがでしょう。