マンションが売れない!考えられる原因と有効な対策について
近年、中古マンション市場は拡大傾向にあると言われています。特に、首都圏や大阪市などの都市部でその傾向が顕著とされているのですが、この状況は新築マンションの価格高騰や買取り再販業者の増加などが要因で、中古マンション需要を押し上げていると言われています。
ただ、いくら中古マンション市場が拡大傾向にあるとはいえ、売りに出せばすぐに買い手が見つかるかというとそういうわけではありません。中には、所有している物件を売りに出したとしても、なかなか買い手を見つけることができず、「中古マンション市場が活発化していると言われるのに、なぜ自分のマンションは売れないのか?」と疑問に感じてしまっている人もいるようです。
そこでこの記事では、所有しているマンションが売れない…と悩んでいる方に向け、所有物件が売れない理由として考えられる要因と実施すべき対策について解説します。
そもそも買い手が見つかりやすいマンションの特徴とは?
マンション市場が拡大傾向にあると言われているものの、どのような物件でも売りに出せば買い手がすぐに見つかるというような状況ではありません。そもそも、中古マンションを売りに出した際、売却までの平均的な期間はおおむね4カ月程度とされているなど、それなりの期間は売却活動を進めなければならないのです。ちなみに、東日本不動産流通機構が発表している首都圏不動産流通市場の動向によると、中古マンションの登録から成約までに至る日数については、レインズの平均で2023年度で82.6日、2024年は84.3日となっています。これを見ると、2カ月半程度で売却が可能と見えますが、中古マンションの売却時には、さまざまな事前準備や仲介を依頼する不動産会社の選定などにそれなりの時間がかかるため、売却活動にかかる平均期間はおおむね4カ月と考えておくのが良いかと思います。
ただ、先ほど紹介した成約までの期間はあくまでも「平均」であり、実際には1カ月以内で成約に至るケースもあれば、売りに出してから半年や1年が経過しても成約に至らないケースもあります。そもそも、不動産の売却については、マンションでも戸建てでも「買い手が付きやすい物件の条件」と「付きにくい物件の条件」というものがあります。
そこでまず、売却活動にあまり苦戦することがないと予想できる売れやすいマンションの条件について、代表的なポイントをあげてみます。
データ参照:レインズデータより
エリアそのものの人気が高い
似たような間取り、設備のマンションでも、「どのエリアにあるのか?」は売れやすさに大きな影響を与えます。
例えば、一般的に買い手が見つけやすいというイメージがある「駅近マンション」でも、エリアそのものの人気が低い場合、売りに出してもなかなか売れないというケースも珍しくないとされています。例えば、「住みたい街ランキング」で上位に位置するようなエリアは、地域そのもののブランド力が高くなるため、資産価値が下がりにくいです。
そのため、人気エリアにある中古マンションは、それだけで売れやすくなります。
周辺の利便性が高い
不動産の売れやすさは、物件そのものの良し悪しだけで決まりません。売れやすいマンションの特徴としては、周辺エリアの利便性が高いというポイントが重要とされています。例えば、最寄り駅に近い、生活に必要な施設が充実しているなどが重要なポイントになります。
マンションの利便性の高さを示す要素としては、以下のような条件が考えられます。
- 最寄り駅が快速や急行が停車する主要駅
- 物件周辺にコンビニやスーパーなどの商業施設が充実している
- 学校や病院、公園などの公共施設が近くにある
上記のように、マンション周辺の利便性は、売れるかどうかを左右する大きなポイントになります。
付加価値や希少性がある物件
マンションの中には、他の物件にはない特徴を持っている物件があります。このタイプのマンションは、付加価値や希少性が高いと考えられるため、買主側の関心や注目が集まりやすく、売れやすくなります。以下のような条件を満たすマンションは付加価値や希少性が高いと判断されやすいです。
- 共用施設としてフィットネスジムやプールなどがある
- 駅や商業施設と直結している
- コンシェルジュサービスがある
他にも、マンションに住んでいる人の親族や友人を気軽に泊めることができるゲストルームがある、大規模タワーマンションなど、他の物件にはない要素が整っている場合、資産価値が落ちにくくなるため、売却しやすくなります。
売却しやすいマンションの特徴としては、他にもさまざまな条件があるのですが、次項で本題である「マンションが売れない…」となってしまう代表的な要因をご紹介していきます。
マンションが売れない代表的な理由
それではここから、マンションが売れない時のよくある理由をご紹介していきます。
首都圏における中古マンション市場は、成約件数が2年連続で増加している、成約物件価格については12年連続で上昇しているなど、拡大傾向が顕著になっています。ただ、マンションを売りに出すときには、さまざまな要因が障害となって売れない状況に陥ることもあるのです。
そこでここでは、マンションが売れない時によくある理由とその対策について解説していきます。
売り出し価格が相場よりも高い
マンションの売却を考えた時、売り出し価格については不動産会社が提示する査定価格をもとに決められるケースがほとんどなのですが、最終的に価格を決定するのは売主となります。そのため、「買い替え資金のことを考えると、最低でも〇千万円で売れないと困る」など、売り出し価格に売主の希望が反映されてしまうことも少なくありません。
一方、中古マンションの購入を検討している方は、希望に合う物件をできるだけお得な価格で買いたいと考えているものです。そのため、物件の売り出し価格が相場よりも高くなってしまうと、その時点で候補から外されてしまう可能性が高くなります。
対策:売り出し価格の見直しやホームステージングの実施
マンションが売れない理由が「相場よりも高い売り出し価格」だった場合、相場価格まで下げるだけで購入希望者が現れる可能性があります。ただ、物件の売り出し価格は、なかなか売れないからという理由で、安易に値下げすると、逆効果になってしまうこともあるので注意が必要です。例えば、いきなりの大幅な値下げにより、「訳あり物件なのでは?」などと、物件そのものに悪いイメージを持たれてしまう可能性もあるのです。
また、相場よりも高い売り出し価格を設定しているという場合、「その価格で売りたい」何らかの理由があるはずです。先ほど紹介したよう、「買い替えの資金にしたい」などという場合、安易に値下げすることは将来に影を落とすかもしれません。このよう場合には、ホームステージングにより、物件の魅力を最大限引き出すことで、購入希望者にアピールするという方法もあります。ホームステージングは、部屋の中を家具やインテリア、植物や照明などを設置することで、物件のターゲット層が良い印象を受けるようにコーディネートするという対策です。空室状態の物件を内見した時には、「購入する決め手がない…」となってしまいがちですが、ホームステージング後の物件はそこでの生活が具体的にイメージできるようになるため、早期の売却が期待できるとされているのです。さらに、物件への印象が良くなるため、空室状態で売りに出すよりも高値で売却できるケースが多いとされています。
売り出し価格が理由で買い手が見つからないというケースでは、プロのアドバイスのもと、売り出し価格の見直しをする、もしくは物件の価値を高められる対策を実施するなどの対策が有効でしょう。
築年数が古い
マンションの売却を考えた時には、築年数が大きく影響すると言われています。例えば、東日本不動産流通機構が発表した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」によると、築年帯別の中古マンションの対新規登録成約率は以下の通りとなっています。
- 築0~5年:28.6%
- 築6~10年:35.2%
- 築11~15年:30.9%
- 築16~20年:28.1%
- 築21~25年:22.2%
- 築26~30年:17.5%
- 築31年以上:13.9%
中古マンションの新規成約率に関しては、築6~20年までは30%前後を維持しています。築5年以下の物件の数字が低いのは、新築マンションと競合するからと考えられます。そして、築26年を超えたあたりから20%を下回り、築30年を超えると約10%まで下がるというデータがあるのです。
これは、物件の購入者からすると、築20年を超えるような古い物件は「物件そのものの劣化が気になる…」などが要因となっていると考えられます。
対策:インスペクション(建物状況調査)や瑕疵担保保険を活用する
築年数が要因でマンションが売れないという場合、買い手側の不安を払しょくしてあげることが最も有効な対策になるでしょう。
例えば、専門業者に依頼してインスペクションを受ければ、その物件の現在の状態が判明します。住宅の専門家による住宅診断を受けることで、物件に大きな問題がないことを第三者に証明してもらうことができるため、安心して購入することができるようになるのです。また、物件の売却後、何らかの不具合が発覚した時に補償を受けることができる瑕疵担保保険に加入しておけば、買い手側の安心感はより高くなるでしょう。
物件が劣化している
中古マンションの購入者は、ある程度は物件に劣化が生じていることは最初から考慮しています。しかし、築年数に比べて、劣化が進みすぎている…となると購入への意欲はどうしても低くなってしまいます。例えば、喫煙者が住んでいた物件では、築年数に対して壁紙が汚れすぎてしまっていることを要因に、他の部分も劣化が進行しているのではないかと疑われ、買い手が見つかりにくくなるという事が良くあります。
対策:売却活動の前に修繕を施す
内装や設備の劣化、汚れなどが売却活動の障害になると判断できる場合、簡易的なリフォームやハウスクリーニングを行ってから売りに出すという対策をおすすめします。物件内の汚れをそのまま残した状態で内見していただくと、それだけで購買意欲を下げてしまう要因になります。
なお、ホームステージング会社の中には、部屋のコーディネートの前に、ハウスクリーニングや軽微なリフォームなどのサービスをオプションとして提供している会社もあります。昨今の中古住宅市場では、売却を促進するためにホームステージングを提案してくる不動産会社が増えているのですが、同時にハウスクリーニングやリフォームも対応できる会社を選ぶことで、コストを抑えながら物件の価値を向上させることが期待出来ます。
買い手へのアピールができていない
物件を売りに出しているのに、内覧に関する問い合わせすら入って来ない…という場合、物件の魅力がターゲット層に伝わっていないことが疑われます。本来は、すぐにでも買い手が付くような魅力的な物件だったとしても、その魅力が買い手側にうまく伝わっていないのであれば、長期間売れ残ってしまう結果になります。
昨今の不動産売買では、インターネット上の広告が主戦場となるため、不動産検索サイトなどに掲載する物件画像や動画の質が非常に重要な時代になっています。例えば、掲載している画像の数が少ない、魅力的に見える画像が使われていないケースでは、ライバル物件の方が目立ってしまうことで問い合わせすら入って来ない結果になるのです。
対策:広告戦略を見直す
マンションを売りに出しているのに、内見に関する問い合わせすら入って来ないという場合、インターネット上の広告を見直す必要があるでしょう。まずは、大手不動産検索サイトに、どのような情報が掲載されているのか確認しなければいけません。そして、魅力が伝わりにくいと感じる場合は、仲介会社の担当者に相談して改善してもらうと良いです。
なお、不動産売買におけるインターネット上の広告に関しても、ホームステージングが非常に大きな効果をもたらすようになっています。中古マンションの売買では、多くのケースで空室状態の部屋画像が掲載されているのですが、画像を見ただけでは部屋のサイズ感やそこでの生活をイメージしづらく、本当の魅力が伝わりにくいのです。ホームステージングは、ターゲット層が最も良い印象を受けるようなコーディネートが部屋に施されます。そして、その場面をプロのカメラマンが撮影し、広告画像として利用できるようになるため、インターネット上の不動産検索サイト内でライバル物件よりも目立つことができるようになるのです。
中古マンションの売却は、まず購入希望者に興味を持ってもらい、内見してもらう必要があるわけなので、内見の相談が少ないという場合は、広告を見直してみましょう。
内見してもらえるのに成約に至らない
内見者はそれなりにいるものの、購入申し込みに進まないという場合、内見で失敗している可能性が高いです。内見にまでくるということは、物件の価格や広さ、間取りに関しては納得しているはずです。それなのに、成約まで至らないということは、最後の内見に何らかの問題があるはずですよね。
マンションの売却における内見は、購入希望者に入居後のポジティブな生活をイメージしてもらうために行うものという位置づけがあるため、それが実現できるような工夫が必要です。
対策:ホームステージングを施す
マンションの売却を進めるため、内見を受け付けるという段階で、部屋の中がひどく汚れていたり、散らかっているという状態は致命的です。住みながらマンションの売却を進める場合には、日常生活に追われてしまい、内見の準備がなかなか整わないケースも考えられますが、自分たちだけで準備ができないなら、不動産会社などにハウスクリーニングの手配を依頼すると良いです。
また、空室状態のマンションを売却する場合は、ホームステージングの実施を検討しましょう。部屋の中に家具などが何も置かれていない状況を内見しても、そこでの生活を具体的にイメージすることが難しく「悪くない部屋なんだけど決め手がない…」と成約に至らない可能性が残ります。ホームステージングは、部屋の中に家具やインテリアを配置することで、内見者が入居後の生活をイメージしやすくなります。内見は、売り手側から見ると、物件購入の最後の一押しをする場でもあるので、出来るだけポジティブな印象を与え、購買意欲を高められるような工夫を施しておくのがおすすめです。
「マンションが売れない」場合の理由は、上記以外にも、修繕積立費や管理費といった維持コストが予想以上に高い、競合するライバル物件が周辺に多くあるなど、さまざまな理由が考えられます。ただ、出来るだけ早く売却を進めるためには、物件そのものの魅力を最大限引き出すことが重要になるでしょう。
マンションの早期売却や高値売却を目指すならホームステージングがおすすめ
ここまでの解説で、「マンションが売れない」となってしまった時、何が原因でどのような対策が必要なのかが分かっていただけたと思います。当然、マンションが売れないという同じような状況でも、その理由はさまざまです。
ただ、上でご紹介したように、マンションが売れないと悩んだ時には、ホームステージングが多くの場合で有効な解決策となるのです。実際に、日本ホームステージング協会が公表しているデータによると、不動産売却の場面でホームステージングが非常に大きな効果をもたらせていることが分かります。
そこでここでは、マンションの売却を考えた時、ホームステージングの実施によりどのような効果が期待できるのかをご紹介します。
ホームステージングの効果
ここでは、日本ホームステージング協会が公表したホームステージング白書2023年のデータをご紹介します。なお、この調査は、全国のホームステージングを導入している不動産関連会社及び賃貸オーナー、ホームステージングを提供する各会社、ホームステージャー、インテリアコーディネーターなどを対象に行ったものとされています。
まず、ホームステージングを実施した売買物件の内訳については、以下のようになっています。
上のグラフから分かるように、2023年度に関しては、ホームステージングを実施した売買物件については、中古戸建て住宅が1位になっています。しかし、2022年までは中古マンションでのホームステージングが1位で、24.4%でした。これが2023年になると、どちらも70%近い数値となっています。これは、ホームステージングの効果が認められているということが良く分かるデータになっていると思います。さらに、2023年からは、初めて空き家や古民家にホームステージングが実施されたことが分かったなど、利用の幅が急速に拡大していることが見受けられます。
不動産売買におけるホームステージングについては、「効果があった」との回答が92.8%と、非常に満足度の高い対策になっているということがよくわかります。さらに、ホームステージングの効果について、具体的にどのような効果が得られたのかに関しては、以下のような結果となっています。
- 閲覧数が増えた:77.8%(大幅に増えた20.4%、少し増えた57.4%)
- 問い合わせ数が増えた:77.8%(大幅に増えた16.7%、少し増えた61.1%)
- 内覧者数が増えた:79.2%(大幅に増えた11.3%、少し増えた67.9%)
- 成約までの期間が短くなった:69.1%(大幅に短くなった18.2%、少し短くなった50.9%)
このように、ホームステージングは、インターネット上の広告や内見において、非常に大きな効果があったという結果が出ているのです。特に、内見者数が増えた、成約までの期間が短くなったという部分に関しては、上で紹介したマンションが売れない理由を直接的に解決できているという意味でもありますし、中古マンションの売却では、大きな効果が期待できるといえるでしょう。
ホームステージングで印象がどう変わるかを知ろう
それでは最後に、ホームステージングを施すことで物件の印象がどれだけ変わるのかを理解していただくため、実際の施工事例をご紹介します。以下に、ホームステージング前後の物件画像を掲載するので、その違いをよく確認してみてください。
■ホームステージング前の物件画像
■ホームステージング後の物件画像
いかがでしょうか?ホームステージング前後の画像を見比べてみると、物件の印象が大きく変わるのではないでしょうか?
ホームステージング後の画像は、そこでの生活や部屋のサイズ感などがイメージしやすくなるため、物件に対するワクワク感がより高まると言われています。インターネット上の広告画像として利用することで、空室状態のライバル物件よりも魅力的に見えるようになり、内見者数の増加などが期待できるうえ、実際の物件を見た時の印象を良くすることができ、成約の後押しまで出来るのです。
まとめ
今回は、マンションがなかなか売れない…となった時、何が理由で売れないのか、またどのような対策を施せば良いのかについて解説しました。
記事内でご紹介したように、マンションを売りに出してもなかなか売れないという場合、まずは「何が理由となっているのか?」を見極めたうえで適切な対策を施す必要があります。ただ、マンションが売れない理由については、何か一つの明確な理由があるわけではなく、複合的な理由が絡み合っている場合が多いので、その点は注意しましょう。
なお、近年では、不動産の売却や賃貸を促進するための方法として、ホームステージングへの注目度が高くなっています。記事内でご紹介しているように、ホームステージングは、マンションが売れないさまざまな理由を同時に解決できる対策であるため、コストをかけてでも実施するメリットがあると思います。