転勤で自宅を貸し出す際の定期借家契約について!借り手を早く見つけるにはホームステージングがおすすめ
会社員として生活をしていれば、マイホームを購入した後に一時的な転勤が決まることも珍しくありません。このような場合、住んでいる自宅を転勤の間だけ賃貸に出すということを検討する方が多いです。住宅ローンが残っている場合でも、転勤などのやむを得ない事情があれば、金融機関に事前に相談することで、一時的に賃貸に出すことを認めてもらうことが可能です。
ただ、自宅を賃貸に出す時には、転勤が終わって自宅に戻ることになった時「入居者が素直に退去してくれるのだろうか…」と言ったことを不安に感じてしまう方も多いです。日本の賃貸契約は、賃借人を保護する仕組みが設けられているという情報を耳にしたことがある人も多く、一度賃貸に出すとスムーズに自宅に戻ることが難しくなるのではないかと心配になってしまう人が多いのです。
しかし、賃貸契約にも種類があり、期間が決まっている転勤の間だけ賃貸に出すというケースなら定期借家契約を選ぶという方法があります。多くの方は過去に賃貸住宅に住んだことがあると思うのですが、定期借家契約についてはあまり馴染みがなく、その仕組みが良く分からないという方が多いです。そこでこの記事では、定期借家契約について、その基礎知識や利用するメリットについて解説します。また、一時的な転勤を理由とした自宅の賃貸の場合、出来るだけ早く借り手を見つける必要があるため、入居者募集をスムーズに進めるための工夫についてもご紹介します。
定期借家契約とは?普通借家契約との違いもご紹介
冒頭でご紹介しているように、賃貸契約には普通借家契約(普通建物賃貸借契約)と定期借家契約の2種類が存在しています。
賃貸アパートなどを借りる際に結ぶ一般的な賃貸契約が普通借家契約で、こちらは契約期間を設定するものの、入居者が希望する場合は契約の更新が可能になるため、同じ物件に長く住み続けることができる賃貸契約の形になります。ただ、物件オーナー側から見ると、正当な理由がない限り、更新を拒むことができない契約となっていて、「転勤で一時的に自宅を貸したい」といった期間限定の貸し出しでは「退去してもらうことができない」などのリスクが残ってしまうのです。
一方、定期借家契約については、その名称からイメージできるように、事前に定めた契約期間で賃貸契約が満了するという形になっています。定期借家契約の場合、最初に決めた契約期間は更新されることなく満了するため、入居者に出て行ってもらえないといったトラブルを防ぐことができるのです。定期借家契約は、契約期間がはっきりと決まっているため、転勤などを理由とした期間を限定した賃貸契約で有効活用されています。
ここでは、いくつかのポイントに分けて、普通借家契約と定期借家契約の違いをもう少し詳しくご紹介しておきます。
契約期間の設定について
定期借家契約と普通借家契約の大きな違いは、契約期間の設定にあります。それぞれの契約において、期間の設定は以下の通り行われます。
- 定期借家契約の場合
定期借家契約は、契約期間をあらかじめ定め、期間満了時に契約が終了する決まりとなっています。なお、契約期間に制限はなく、契約者同士の合意があれば、自由に設定することが可能です。 - 普通借家契約の場合
普通借家契約の契約期間は、1年以上または、上限なしとして設定します。1年未満の場合は「期間の定めのない契約」になります。
定期借家契約と普通借家契約は、上記の通り、契約期間の設定に違いがあります。ちなみに、定期借家契約であれば、契約者同士の合意という条件が付きますが、1年未満に設定することも可能です。
契約更新について
次は契約更新についてです。定期借家契約と普通借家契約は、この部分が最も大きな違いと言えるでしょう。
- 定期借家契約の場合
定期借家契約は、最初に決めた契約期間を満了した時点で契約終了となり、契約を更新することはできません。ただ、物件オーナーと入居者、双方の合意があった場合、契約終了時に再契約を結ぶことは可能です。 - 普通借家契約の場合
普通借家契約の場合、借主が契約の更新を希望する場合、原則として賃貸借契約を更新することができます。オーナー側からの契約更新の拒否に関しては、正当な事由がない限りは認められないなど、賃借人側の権利が強く保護されます。
通常の賃貸物件を借りる際には、「賃借人が安心して住み続けられるよう」ということが重視され、オーナー側から一方的に更新を拒否することができない決まりになっています。このルールは、借主にとってはメリットが大きいのですが、オーナー側からみると契約期間の予測が立たないことで物件を有効活用しにくいという問題点が生じます。そのため、平成12年に定期借家制度が施行され、転勤などの期間を限定した貸し出しに有効活用されるようになっています。
解約・中途解約について
次は、解約や中途解約についての違いです。
- 定期借家契約の場合
定期借家契約は、原則として契約期間の途中で解約することはできないとされています。ただ、特約を定めている場合や、床面積200㎡未満の住居の場合は、やむを得ない事情(転勤、療養、親族の介護など)がある場合に限り、中途解約が認められる可能性があります。 - 普通借家契約の場合
期間の定めのある契約の場合は、原則としてオーナー側から途中解約することはできません。ただし、正当な事由があった場合は解約が可能なうえ、特約がある場合は特約に従います。なお、期間の定めのない契約の場合は、正当な事由があり、かつ6カ月前に通知をすることでオーナーからの解約が可能になります。
定期借家契約の特約については、賃借人に不利なものは無効となるので注意しましょう。
契約方法について
あまり注目されるポイントではありませんが、普通借家契約と定期借家契約では、契約方法に違いがあります。
- 定期借家契約の場合
定期借家契約は、公正証書などの書面による契約が必須です。契約書とは別に、契約更新がなく、契約満了に伴って契約が終了する旨を説明する書面も交付し、事前に説明をしなければならないなど、普通借家契約よりも複雑です。 - 普通借家契約の場合
普通借家契約は、書面による契約のほか、口頭の契約でも構わないとされています。ただし、トラブル防止の側面から、ほとんどの場合で契約書が作成されます。
契約方法の違いについては、普通借家契約が口頭契約でも成立するという点に驚いた方が多いかもしれません。民法では、「契約は当事者の合意があれば口頭でも成立する」としているため、普通借家契約はこの原則に従い、書面で契約書を取り交わしていなくても、口頭での合意によって契約が成立するとしています。ただ、ほとんどの場合は、契約書が作成されます。
期間満了前の通知について
詳しくは後述しますが、定期借家契約の場合、期間満了の通知に注意が必要です。1年以上の契約期間となる定期借家契約を結んだ場合、期間満了の1年から6カ月前までに、期間満了によって契約が終了する旨の通知を送付しなければいけません。
期間満了通知を忘れた場合、期間満了前であれば、新たに通知をすることで、「その通知から6か月後」に契約を終了させることができます。しかし、期間満了後の通知となってしまうと、定期借家契約の終了を争うことができず、新たに普通借家契約が成立したとみなされるリスクが生じます。
転勤で自宅を貸し出す時に定期借家契約を活用するメリット
賃貸契約における普通借家契約と定期借家契約の違いが分かっていただけたと思うので、次は転勤などを理由に、一時的に自宅を賃貸に出したいと考えている方が定期借家契約を活用することで得られるメリットについて解説していきます。
賃貸アパートなど、一般的な賃貸物件の契約では、ほとんどの場合、普通借家契約が結ばれているのですが、定期借家契約を選ぶことで以下のようなメリットが得られます。
メリット1 退去トラブルの心配がない
転勤を理由に一時的に自宅を貸し出す場合、将来的には自分たち家族が戻って住むことを想定しているはずです。定期借家契約は、こういった場合に収益予測や運用計画を立てやすくなる点が大きなメリットになります。
例えば、普通借家契約を結んで自宅を貸し出した場合、転勤の期間が終了し、自宅に戻りたいと考えても、賃借人が「出ていきたくない!」と訴えれば、無理矢理退去してもらうことができないのです。先程紹介したように、日本の賃貸契約は、借主側の権利を強く保護する仕組みになっていることから、貸主側から退去をお願いする時には、正当な事由が必要になるのです。
これが、定期借家契約の場合、最初に決めた契約期間が満了すれば、確実に退去してもらうことができるようになります。転勤の期間が決まっているのであれば、契約期間をその期間に設定しておくことで、スムーズに自宅に戻ることができるようになります。また、定期借家契約の場合、中途解約の可能性が低くなるため、転勤中にいきなり空室になり家賃収入が途絶える、入居者募集を再度行わなくてはならなくなるといったリスクも少ないです。
つまり、定期借家契約であれば、自分たちが転勤で別の場所にいる間だけ、確実に貸し出すことができるという安心感があるのです。
メリット2 契約期間を自由に設定できるため、短期貸しで差別化できる
定期借家契約の場合、契約者同士の合意があれば、契約期間を自由に設定することができる点も大きなメリットになります。両者の合意さえあれば、1年未満での貸し出しなども柔軟に対応することができるのです。
普通借家契約の契約期間は、1年以上で設定され通常は2年に設定されることが多いです。つまり、短期間での契約を設定できる定期借家契約は、その他の競合物件と契約期間の面で差別化を図ることができるのです。「短い契約期間はメリットになるの?」と疑問に感じる方がいるかもしれませんが、1年未満など短期の契約期間で借りられる物件を探す人が意外に少なくありません。
例えば、自宅の建て替えや大規模リフォームを実施する際には、一時的な仮住まいを用意しなければいけません。しかし、このようなケースでは、一般的な賃貸住宅を仮住まいとして使用できないことが多いです。したがって、周辺エリアに定期借家物件が少ない場合、こうした短期賃貸ニーズを効果的に利用して、集客することができる可能性があるわけです。
例えば、近くに学校や企業が多く、単身赴任や学生が多いエリアなど、短期賃貸のニーズが多いなら、競合物件と差別化するための大きなメリットになると思います。
メリット3 入居者トラブルが長引かない
これは、定期借家契約のメリットというよりは、普通借家契約に存在するリスクを回避することができるという感じです。
賃貸経営を進める際には、入居者トラブルがどうしてもついて回ります。例えば、騒音やゴミ屋敷などのマナーの悪い入居者は、入居審査をすり抜けて契約してしまうことも珍しくありません。定期借家契約の場合、この入居者トラブルの問題が長期化しないという点が大きなメリットになるのです。
普通借家契約の場合、法律で賃借人の権利が強く保護されています。そのため、周囲に迷惑をかけるような入居者がいても、強制的に退去させることがかなり難しいです。もちろん、絶対に契約解除ができないというわけではないのですが、かなりの費用と時間をかけなければならなくなるため、賃貸オーナーにとっては、非常に悩ましい問題になります。
定期借家契約は、先ほどから紹介しているように、最初に決めた契約期間が満了すれば、契約が終了するため退去してもらうことができます。そのため、入居者の問題行動が原因となるトラブルも、長期化するリスクが低い点はメリットと言えます。
定期借家契約のデメリットと注意点
当然のことですが、定期借家契約にも注意すべきデメリット面が存在します。ここでは、定期借家契約のデメリットとされるポイントと、契約の際の注意点をご紹介します。
定期借家契約のデメリット
まずは定期借家契約のデメリットについてです。普通借家契約と比較すると、以下のような点がデメリットになるでしょう。
- 入居者が集まりにくい
一つ目のデメリットは、入居者が集まりにくい点です。定期借家契約は、一般的な賃貸物件を探している人にとってはメリットが少ない契約方式となるため、入居者を広く集めるのには不向きです。先程紹介したように、建て替えなどによる短期的な仮住まいのニーズには応えられるのですが、一般の賃貸物件は長期間借りたいという要望を持っている人が多いため、その人たちの候補から外れてしまうことで、対象が少なくなってしまうのです。エリア特性に合わせた運用や告知方法の工夫をしなければ、入居率を高く保つことが難しくなるので、その点は注意しましょう。 - 家賃が安くなりがち
定期借家契約は、上記の通り、普通借家契約よりも賃貸ニーズが低くなります。そのため、高い家賃を設定しにくくなり、大きな収益を期待することが難しくなる点がデメリットになります。定期借家契約は、出張や建て替えなどの短期的な仮住まいを求めている方が対象となるため、相場よりも高い家賃設定の場合は、その時点で候補から外れてしまうとされています。転勤など、一時的に賃貸に出すというケースでは、そこまで大きなデメリットにならないかもしれませんが、家賃を高く設定しにくいという点は注意が必要です。 - 長期契約が期待できないため、入居者の入れ替わりにコストがかかる
短期的な転勤で自宅を貸し出すというケースではあまり気にしなくても良いかもしれませんが、定期借家契約は、長期間の貸し出しが期待できない点はデメリットです。定期借家契約の入居対象は、学生や出張、建て替えなど、入居する期間がある程度決まっている人になります。契約は更新できませんが、両者が合意すれば再契約することも可能なのですが、ほとんどの場合、借りたい期間が決まっている人に貸しているため、再契約は期待できません。そのため、短期間で入居者が入れ替わることになり、原状回復や入居者募集にかかるコストが増大するリスクがあるのです。当然、次の入居者が決まらない期間が長期化すると、収益性も下がってしまいます。
定期借家契約は、上記のような点がデメリットになります。
定期借家契約を利用する場合の注意点
それでは、転勤などを理由に自宅を貸し出したいと考えている方が、定期借家契約を利用する時に注意したいポイントをご紹介します。
- 書面での契約が必要
定期借家契約は、契約期間満了で必ず終了する特別な契約です。したがって、オーナー側は、入居者に対して「契約の更新がないこと」を書面にて事前に説明して、納得してもらう必要があるのです。先程、普通借家契約の場合は、口頭での契約も有効(基本的に書面を交わします)とご紹介しましたが、定期借家契約の場合は、公正証書などの書面を交わすことが必須で、口頭による契約は無効となる恐れがあります。また、事前の説明がなければ、契約期間のない普通借家契約とみなされてしまうリスクもあるのです。なお、事業用定期借地権は公正証書による契約が必要ですが、居住用の定期借家権は一般的な契約書で契約可能です。 - 契約の更新はできない
これは、上で何度も触れているので、改めて解説する必要はないですね。定期借家契約は、契約更新をすることはできません。ただ、入居者との合意があれば、再度条件を決めて再契約することは可能です。 - 1年以上の契約期間は終了通知が必要
契約期間が1年以上に渡る定期借家契約の場合、期間満了の1年前から6か月前の間(この期間が通知期間と言われる)に、賃借人に対して契約の終了通知をしなければいけません。この終了通知を怠ってしまうと、賃借人に対して契約終了を主張することができなくなり、契約期間が過ぎても明け渡しを求められないことになるのです。通知期間を過ぎて終了通知を行った場合、通知の日から6ヶ月経過すれば、契約終了が主張できるようになります。通知手段は、口頭でも可能とされていますが、トラブル防止のことを考えると、配達証明付きの内容証明郵便を利用するなど、証拠を残しておくのがおすすめです。なお、契約期間が1年未満の契約の場合は、終了通知の必要はありません。
定期借家契約は、書類の交付や説明を怠ってしまうと普通借家契約とみなされてしまう恐れがあるので注意しましょう。
転勤で自宅を貸し出す際はホームステージングがおすすめ
それでは最後に、転勤期間中の賃貸経営を成功させるためのポイントをいくつかご紹介します。ここまでの解説で分かるように、転勤など、期間を限定して自宅を貸し出したいと考えた時には、契約形態に注意しなければいけません。入居対象者を増やしたい、家賃を高めに設定したいなどという考えで、一般の賃貸物件と同じように普通借家契約で貸し出してしまうと、転勤期間が終了して自宅に戻りたいと思っても、入居者に退去してもらえないリスクが残ってしまいます。したがって、転勤など、期間が決まっている自宅の貸し出しについては、後々の退去トラブルを防止するためにも定期借家契約を選ぶのがおすすめです。
また、期間が決まっている自宅の貸し出しについては「できるだけ早く入居者を見つける!」ということが非常に重要です。入居者が決まらなければ、その期間中は家賃収入が得られないことを意味します。さらに、期間が決まっている転勤による自宅の貸し出しの場合、貸出できる期間がどんどん短くなっていくことで、入居者を見つける難易度がより高くなっていきます。定期借家契約の場合、両者の合意があれば契約期間を自由に決められるものの、契約できる期間が短すぎると、入居対象者が減ってしまう可能性があります。
転勤期間中に長期間入居者が見つからなければ、空き家状態として放置することになり、家の老朽化が急速に進んでしまう可能性があります。これを防ぐには、定期的に足を運んで、家の管理を実施しなければならないため、家の状態を維持するのにかなりのコストがかかってしまうことになるのです。したがって、転勤などを理由に自宅の貸し出しを検討している場合、契約形態以外にも以下のようなポイントを押さえて、出来るだけ早く入居者が見つかるような対策を検討すると良いです。
家具・家電付き賃貸を検討する
転勤期間中、自宅で使用していた家具や家電をどうするか悩む方は多いです。利用頻度の多い家電の場合、転居先に持っていき使用することを想定する方も多いですが、エアコンなどの家電については転居先に備え付けられているケースも考えられますし、持っていく必要のない家具・家電も多いはずです。
このような場合、自宅を貸し出す際に、家具・家電付きで貸し出すことで、入居者募集の強化につながる可能性があります。もちろん、洗濯機など、他人が使用していたことが要因で敬遠されるような製品もあると思いますが、あらかじめ期間が決まっている定期借家契約の場合、入居者側から見ても、家具・家電を買い替えなくても良いという点が非常に大きな魅力になります。
したがって、入居者に喜ばれるような家具・家電については、備え付け設備として残しておき、入居者募集を行うという方法もおすすめです。この方法は、貸し出す側としても引っ越しにかかる費用を抑えられるというメリットが得られるため、両者にとってメリットの大きい対策になる可能性があります。どのような家具・家電を残しておけば良いのかは、仲介を担う不動産会社と相談して決めると良いでしょう。
遠方への転勤の場合、管理会社に管理をお願いする
転勤を理由に自宅を貸し出すなど、短期的に自宅を貸し出す場合でも、物件の管理は行わなければいけません。例えば、備え付けの家電や給湯器などの住宅設備が故障したといった場合には、オーナー側が修理の手配などをしなければならないのです。管理会社を挟まない場合、オーナー自身に入居者からのクレームなどが入るようになり、物件管理の対応に追われてしまう可能性があるでしょう。
特に、遠方への転勤の場合、物件管理を自分で行うのが物理的にも非常に困難になります。設備の修理を依頼する業者とのやり取りなどもまともに行うことができなくなるため、対応が遅れてしまうことで入居者とのトラブルに発展する可能性もあります。したがって、このような事態を防ぐためにも、物件の管理はプロである管理会社に委託するのがおすすめです。そうすれば、転勤で離れた場所で生活していても、入居者募集、契約手続き、家賃管理、トラブル対応まで、すべての面で任せることができ、安心して転勤先で過ごすことができるようになります。
なお、自宅を賃貸に出す際には、火災保険や地震保険など、保険についても注意が必要です。自宅を賃貸に出す場合は、もともと契約している居住用の保険から事業用(賃貸物件用)の物に切り替える必要があるのです。したがって、この辺りは、賃貸に出すことが決まった時点で、保険会社に連絡し、どのような手続きが必要になるのか確認しておきましょう。
入居者を早く見つけるならホームステージングがおすすめ
先程紹介したように、転勤などが理由となり、期間限定で自宅を貸し出すという場合は、出来るだけ早く入居者を見つけるということが非常に重要になります。入居者が見つからなければ、家賃収入が得られなくなるだけでなく、定期的な空き家の管理を実行しなければならないことから、コストばかりが嵩んでしまうことになるからです。
そして、賃貸物件の早期成約を目指すための対策として、不動産業界で特に注目されている方法に、ホームステージングがあります。ホームステージングは、空き家状態で内見を受け付けるのではなく、部屋の中に家具やインテリアなどを配置して、新築のモデルルームのような素敵な空間を作り出すことで、内見者の印象を高め、早期の成約を目指すという方法です。ただ、ホームステージングは、「空室に家具などを配置する」という対策だけでなく、入居希望者にそこに住んでみたいと思わせるための多岐にわたる対策全般を指しています。例えば、空室ホームステージング以外にも、以下のような対策を実施してもらうことが可能です。
- ハウスクリーニング
- プロによる写真撮影
- バーチャルホームステージング
- リフォーム(原状回復)
- 片づけ
- 草刈り・庭木カット
- 不要家財回収
- 補修・修繕
- 消臭・芳香
- 家具、小物販売やレンタル
- 簡易清掃 など
上記のように、ホームステージングは、家の印象を高めるためのさまざまな対策を依頼することができます。自宅を賃貸に出すという場合、今まで自分たちが使用していたことによる消耗や汚れなどが家の各所に残っているはずです。特に、お風呂やキッチンなどの水回りは、カビや油汚れなど、自分たちで掃除したのではなかなか綺麗にできない汚れなどが残っていて、入居者募集活動を妨げてしまう要因になる可能性があります。
ホームステージング業者を利用すれば、長年の生活で蓄積した汚れなども綺麗に掃除してもらうことができるうえ、内見者が最も良い印象を受けるような空間にコーディネートしてもらうことができるのです。そのため、ホームステージング前後の賃貸物件の動きを見てみると、ホームステージング実施後は、「成約期間が短縮できた」「家賃をアップできた」などという効果が出ています。
上のグラフの通り、ホームステージング実施前と比較した場合、成約までの期間が「短縮できた」と回答した人は約73%になっています。また、ホームステージングを実施し、物件そのものの印象を良くできたことで、賃料をアップできたという回答も約6割と、賃貸市場におけるホームステージングの効果が良く分かる結果となっています。
転勤など、期間が決まっている物件の貸し出しは、収益を出すためにも「いかに早く入居者を見つけられるか?」が非常に重要な要素となります。ホームステージングは、コストをかけて実行しても、家賃のアップが見込めますし、将来的に自分たちが住むことを想定すると、貸し出す前に綺麗にしておくということは大きなメリットになるはずです。したがって、自宅の賃貸が必要になった時には、ホームステージングの実施を検討すると良いでしょう。
まとめ
今回は、賃貸物件の契約方式について、普通借家契約と定期借家契約の違いなどについて解説しました。
記事内でご紹介した通り、定期借家契約は、転勤などを理由に、期間を限定して自宅を賃貸に出したいと考えた時に有効活用できる契約方式です。普通借家契約の場合、賃借人の権利が保護されるため、転勤が終了して自宅に戻りたいと思っても入居者に退去してもらえないというリスクが残ってしまうのです。定期借家契約の場合、最初に決めた契約期間が更新されることがなく、確実に終了することになるため、退去トラブルになる心配がありません。万一、転勤期間が伸びたとしても、入居者との合意が取れれば、新たな契約期間を設定して契約を結びなおすことができるなど、柔軟な対応が可能になるのです。
なお、転勤を理由に自宅を貸し出すなど、期間が決まった賃貸運用の場合、いかに入居者を早く見つけるのかが非常に重要になるということを忘れないようにしましょう。入居者が見つからなければ、その期間は家賃収入が得られないだけでなく、自宅が劣化しないようにするための維持管理にもコストがかかってしまうのです。入居者を早く見つけるための方法としては、ホームステージングの実施が非常に効果的とされているので、仲介を依頼する不動産会社に相談してみると良いでしょう。