2026.03.03

マンションの売却準備でリノベーションが難しい場所について!リノベなしで売却する方法も紹介

築年数が経過した古いマンションの売却では、間取りなどが現代人のライフスタイルに合わなくて売れ残ってしまうというケースが珍しくありません。人々の生活習慣は、時代と共に変化しているため、築年数が経過してくると、建物の老朽化などが原因でなく、単純に家の作りが住みにくいとみなされ、買い手から敬遠されてしまうことがあるのです。

このような場合には、物件を売りに出す前にリノベーションを施し、現代のライフスタイルに合致した物件に作り変えるという手法が採用されるケースも多いです。しかし、マンションなどの集合住宅の場合、区分所有者が単独で所有・使用できるはずの専用部分においても、自由にリノベーションが施せない箇所というのがあるのです。一戸建て住宅の場合であれば、所有者の意向にしたがって自由度の高いリノベーションを施し、物件の印象を一新することも可能なのですが、マンションなどの集合住宅では、それができない可能性があるのです。

そこでこの記事では、マンションの売却準備としてリノベーションの実施を検討している方に向け、大掛かりな工事が難しい(できない)と考えられる箇所について解説します。また、不動産売却においては、事前のリフォームやリノベーションが不要と言われるケースも多いため、リノベーションを施さずに買い手を見つける方法についても解説します。

マンション売却で間取り変更などのリノベーションが難しい箇所

それではまず、マンション所有者でも自由にリノベーションできないケースについて解説していきます。

1棟のマンションを一住戸(部屋)ごとに分割して販売する分譲マンションは、各部屋(専有部分)の所有権を区分所有者が保持しており、区分所有者が管理組合を組織して維持管理を行い、建物全体の安定した資産価値維持を行うという形態になっています。そのため、区分所有者とは言え、所有権を持つ専有部分内の工事だとは言え、自由に行うことができないケースがあるのです。

例えば、マンションの売却を考え、現代人の生活スタイルに合わせるために間取りを大幅に変更したいと考えた時でも、戸建て住宅のように所有者の意向に沿った自由な工事ができないケースが多いです。そこでここでは、マンションの売却準備として間取りを変更するリノベーションの実施を検討したとしても、実施できないケースについて簡単にご紹介します。

なお、マンションのリノベーションについては、管理規約や分譲時の設計図面を確認することで、どのような工事に対応可能なのかが判断できるようになります。管理規約や分譲時の設計図面には、制約事項なども記載されているのが一般的なので、まずは、それらの書類を確認してみましょう。

壁式構造の構造壁

リノベーションの中でも、間取り変更はかなり大掛かりな工事となります。室内の部屋数を変更することで、各部屋の広さや位置を変更する工事となるため、もともと設置されている壁などを撤去したり、移動させたりする必要があります。例えば、既存の部屋に仕切りを設置することで部屋を分割して部屋を増やしたり、その逆に仕切りを撤去して広い部屋を作るといった工事が行われます。

現代のライフスタイルに合うような間取りに作り変えることができれば、家族構成が異なるご家族もマンション売却のターゲット層に入れることができるようになるため、築年数が経過したマンションの売却においては、有力なリノベーション手法の一つになるかもしれません。

しかし、上述しているように、マンションなどの集合住宅における工事は、所有権のある専有部分だとは言え、自由に間取り変更などを行うことができないケースも多いため、事前に管理規約や分譲時の設計図面を確認しなければいけません。そして、図面などを確認した結果、建物の壁が「壁式構造」と呼ばれる設計の場合は、仕切り壁を撤去するなどの大掛かりなリノベーション工事が物理的にできない状態になるのです。
壁式構造とは、柱や梁ではなく、強固な鉄筋コンクリートの「壁・床・天井」の面で建物を支える構造のことを指していて、リノベーション対象となる壁はマンションの強度に直結しているのです。そのため、間取り変更のために、壁の数を増減させる行為や位置をずらすといった行為は、マンションそのものの品質が保てなくなるため、禁止されているわけです。

壁式構造の建物は、設計段階から強度計算が厳密に行われていて、一枚一枚の壁の位置や厚みが建物全体の安全性、強度に影響を与えます。そのため、こういった物件でのリノベーションは、事前に専門家に相談し、どのような対策なら施せるのかを確認することが大切です。

パイプスペース(パイプスシャフト)

パイプスペースとは、配管を通すための空間で、パイプシャフトなどとも呼ばれています。このパイプスペースは、「配管が集中する」という特性上、間取り変更時に水回りの移動に大きく関係してきます。

パイプスペースには、水やガスなどの配管が集中するのですが、多くの場合、雑排水と汚水を分けるために2カ所以上設置されることになります。ただ、このパイプスペースは、間取りの変更などを検討し、移動させたいと考えても、これ自体を別の場所に移動させることができないのです。なぜなら、パイプスペースは、マンション全体に関わる場所となり、通常は、最上階から1階までを縦の菅で繋ぐという構造になっているので、特定の部屋だけ別の場所に動かすということが物理的に不可能な設計になっているのです。

そのため、リノベーションによる間取りの変更を考えた場合でも、水回りの位置を既存の場所から大きく移動させるということが難しく、間取りの変更については水回り以外の部分で設計を考えていかなければならないわけです。例えば、LDKにおいて、リビングとダイニングをずらしたり、各部分を仕切りで分けるといったリフォームを実施する場合でも、水回り(キッチン)は固定しておかなければならないといった感じです。

つまり、マンションを売却するため、リノベーションを実施することで間取り変更を考えている場合でも、水回りに関しては大きく位置を変更するといったプランは採用することが難しいので、水回りの位置は変えないという前提で計画を練る必要があると考えなければならないという意味です。キッチン周りのリノベーションについては、キッチンそのものの位置は変更せず、パントリーなどの周辺設備の追加により家事動線を改善するといった対策を検討しましょう。

図面通りでない場合

マンションのリノベーションで、間取り変更が難しいケースは、主に上で紹介した2つの事例が当てはまります。しかし、これ以外でも、リノベーション工事が難しくなるケースがあるのです。

それは、図面通りに部屋が設計されていなかった…というケースです。築年数が経過した古い物件の場合、このような問題が発生する可能性があります。例えば、図面には「ラーメン構造」と記載されていたのに、専門業者に現地調査を実施してもらうと、「壁式構造」であったことが判明するといったケースもあるようです。

実は、建物の現物と図面が異なるというケースは意外に多く、間取り変更などの大掛かりなリノベーションは現地調査をしてみないと工事が可能かどうかが確定できない場合も多いです。そのため、マンションなどの集合住宅において、間取り変更などの大掛かりなリノベーションを検討した場合には、事前に建築士や施工業者など、専門家に現地調査をしてもらい、図面との差異がないか、また間取り変更などの工事が可能なのかを念入りに確認してもらい、実施するかどうかを決めるようにしましょう。

マンションは交換できない箇所もある

マンションのリベーションについては、間取り変更など、大掛かりが工事以外にも実施できないものがあります。

先程も紹介した通り、分譲マンションなどの集合住宅は、各区分所有者がそれぞれの専有部分の所有権を保持しているだけで、建物全体を自由にカスタマイズするといった自由度は与えられていないのです。マンションは、区分所有者が所有権を保持する専有部分以外にも、共同で所有しているという扱いになる共用部分というものがあり、それぞれ取り扱いに関するルールが異なるのです。

そして、一見すると「専有部分」と考えられるような場所が共用部分の扱いになっている場合があり、それらの箇所については勝手に交換するといった対応ができないのです。ここでは、家の売却のためとはいえ、勝手に交換するなどのリノベーションが認められていない主な箇所もご紹介します。

共用部分は触れない

一つ目は「共用部分」に当たる場所です。共用部分は、「共用」とあるように、マンションの区分所有者だとはいえ、単独で勝手に手を加えることはできません。ちなみに、共用部分は、以下のような場所を指します。

  • エントランス、外廊下、非常階段、基礎、屋根などの構造・外周部分
  • エレベーター、給水配管、集合ポスト、宅配ボックス、駐車場などの共用設備
  • バルコニー、ベランダ、ポーチ、窓、玄関ドアなど

マンションなどの集合住宅において、所有者がリノベーションできるのは専有部分に限られています。上記のような場所、設備は共用部分という扱いになっていて、これらに手を加えたい場合には、管理組合に提案して議決を得なければ、手を加えることができない決まりとなっているのです。

ちなみに、「廊下の電球がきれている」「集合ポストが汚れている」など、売却活動の障壁になるような問題点に関しては、自分で何とかするのではなく、管理人に交換や掃除を依頼することで改善してもらうことはできると思います。したがって、内覧時の印象を良くしたいと考える場合は、事前にマンションの維持管理についてきちんと行ってもらえるように依頼を出すと良いでしょう。

窓や玄関ドア

窓や玄関ドアについては、専有部分と考えている方も多いのではないでしょうか?しかし、窓や玄関ドアは、専用使用権のある共用部分という扱いになっているため、区分所有者であっても自由に交換することができないルールになっているのです。ちなみに、ベランダやバルコニーに関しても同じ扱いになるので、自由に手を加えることができないと考えてください。

ただ、窓に関しては、国土交通省が定める管理規約によると、防犯性や断熱性の向上を目的とし、責任と負担を伴う場合には、交換などのリノベーションが可能という判断をしています。ただ、これについても、「勝手に工事をして良い」というわけではなく、管理組合がすぐに修繕できない状況であるなど、いくつかの条件が揃わなければ、品質向上が期待できる場合でも、即座に工事が実施できるというわけではありません。ちなみに、窓の性能向上については、サッシや窓ガラスなどを直接交換するという方法でなければ実現可能です。例えば、インナーサッシを設置して二重窓にするという方法で、断熱性や防音性を向上させるといった機能改善リフォームは、区分所有者の意思で実施可能です。ただ、インナーサッシの追加という対策については、窓の機能性は高まるものの、利便性が低下するという別問題が発生します。そのため、家の売却に必ずしも有効な対策にならない可能性があるため、その点は注意しましょう。

また、玄関ドアに関しても、窓と同じく専用使用権のある共用部分という扱いになります。玄関の内側に関しては専用部分と看做せるのですが、外側の部分に関しては共用部分になってしまうため、一つのドアで異なる扱いが2つ生じてしまうことから、共用部分という扱いになっているといった感じです。そのため、玄関ドアそのものに関しては、大きな破損でもしない限りは、現状品をそのまま使い続けるのが基本で、別のモノに交換するといった対応は認められない可能性があります。

ちなみに、玄関ドアの内側に関してのみのカスタマイズであれば、区分所有者の判断で実施可能です。例えば、玄関ドアの内側を塗装する、ドアの内側に収納アイテムを取り付けるなど、ドアそのものを交換しない対策は実施可能です。

管理規約で禁止されている工事はNG

マンションなどの集合住宅におけるリノベーションについては、管理規約によって実施が禁止されているタイプの工事もあります。この場合、区分所有者がリノベーションの実施を望んだとしても、工事は実施できないと考えた方が良いです。

マンションの管理規約は、物件ごとに定められていて、リノベーションの可否以外にも、音に関する制限や耐火性、防水性など、細かなルールが設定されています。管理規約の内容が気に入らない場合、管理組合に提案することで変更を加えることも可能ですが、ルール変更が決まるまでは規約に従わなければならないため、どのような決まりが設けられているのかはしっかりと確認しておきましょう。

マンション売却に関わるリノベーションに関する制限については、以下のような工事が禁止されている可能性があるので、工事前に確認してみましょう。

  • 防音工事
    物件の付加価値向上が期待できる防音工事ですが、壁や床、天井を一度解体して、防音性の高い構造に作り変える工事が必要になるという特性上、建物そのものに影響を与えると考えられ、禁止されている物件も多いです。また、防音室の設置については、楽器の演奏やホームシアターの設置などを想定していると思うのですが、物件によっては、防音室の有無にかかわらず楽器演奏が禁止されている場合もあります。この場合、防音室を作ったとしても、楽器の演奏をしている人がターゲットにできなくなるため、工事にコストをかける意味がなくなってしまいます。
  • フローリングの交換
    フローリングについては、多くの物件で工事可能とされていると思います。しかし、中には管理規約でフローリング材の交換などを禁止している場合もあるのです。また、フローリングの交換自体は認められていても、「遮音等級が一定以上のもの」など、高性能な製品しか認められておらず、リノベーションのコストが高くなってしまうルールが設けられている可能性もあります。マンションの売却準備として、フローリングの交換を検討している場合は、管理規約でルールが設けられていないのかを事前に確認しておきましょう。
  • エアコンの新規設置
    エアコンは、室内機だけでなく、ベランダ側に室外機を設置しなければいけません。この場合、室内機と室外機を繋ぐためには、共用部分となる壁に穴を空けなければならないです。しかし、室外機用の穴あけに関しては、管理規約や管理組合の許可が必要になるケースがほとんどなので、勝手に新設することはできないと考えた方が良いです。

マンションにおけるリノベーションは、管理規約に沿って実施可能かどうかを確認しなければいけません。専有部分だとは言え、自由にリノベーションを施せる物件の方が少ないので、事前に管理規約を確認しましょう。管理規約を確認しても、不明な部分が多いという場合、管理会社や管理組合に問い合わせてみると良いです。

そもそもマンション売却にリノベーションは有効なのか?

ここまでの解説で、マンションなどの集合住宅では、売却のためとはいえ所有者が希望するリノベーションを自由に実施できるわけではないということが分かっていただけたと思います。戸建て住宅の場合、共用部分などありませんし、基本的に所有者の希望に沿ったリノベーションを実施することが可能なのですが、マンションの場合はそういう訳にはいかないという現実があるのです。

また、家の売却準備としてのリノベーション、リフォームについては「そもそも効果があるのか?」という点に疑問を感じる方も多いと思います。この点については、以前別の記事で解説しているので、詳しくはそちらで確認していただければと思いますが、実は家の売却準備としてのリノベーションについては、コストをかけるほどのメリットが得られない可能性が高いとも言われています。

ここでは、マンション売却において、大掛かりなリノベーションが不要とされている理由について簡単にご紹介します。

リフォームの必要性が低いとされている理由

マンションの売却において、事前のリフォームやリノベーションが不要と言われているのは以下のような理由からです。

  • 購入者側は、それぞれ異なるニーズを持っているから
  • 購入希望者のニーズに合った内装や間取り、設備にならない可能性があるから
  • 購入希望者の多くは、購入後、自分の好みに合わせてリノベーションしたいと考えている
  • リノベーション費用の回収が難しい
  • リノベーションにかけた費用分、売却益が減少する
  • 売却完了までの期間が長期化する

マンションの売却において、リフォームやリノベーションが不要とされている主な理由は、上記のような感じです。

中古マンションの購入を検討している方でも、それぞれ家に求める条件は異なるはずです。そのため、売主側の考えで「良かれ」と思って実行したリノベーションが、購入を躊躇される原因になってしまう可能性があるため、むやみやたらにリフォームやリノベーションをすべきではないと言われるようになっているのです。
実際に、中古物件を購入する方の多くは、購入後に自分が理想とする住まいになるよう、コストをかけてリフォームやリノベーションをしようと考えています。そのため、物件探しをしている段階では、自分の希望に完全にマッチする状態でなくても、後から改善できるのであれば購入するという判断をするのです。逆に、売主手動で事前にリノベーションを実施されてしまっていると、ニーズのズレがあったとしても、コストをかけてまでさらに改修工事をするのを躊躇してしまうことになり、「それなら他の物件を購入したほうが良い」という判断になる可能性があるのです。この場合、費用をかけて実施したリノベーションが「売れない理由」となってしまう訳です。特に、事前にリノベーションやリフォームにコストをかけてしまった場合、「購入後に自分のニーズに合わせるための費用分を値引きしてほしい」と言った交渉に応じられない可能性が高くなり、その結果として売れ残ってしまうのです。

一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が過去に行った土地・住宅に関する消費者アンケート調査では、中古物件の購入に際するリフォームの実施意向として「リフォーム済みがほしい」と回答している人の割合は1割強だったというデータがあります。つまり、多額のコストをかけてまで、事前にリノベーション、リフォームを実施するメリットはそこまで大きいとは言えないのが実情なので、「購入後のリフォーム費用分を値引きする」といった交渉の幅を確保しておく方が、スムーズな売却に繋がる可能性があり、必ずしもリノベーションの実施が正解ではないという判断ができるのです。

関連:マンション売却のためのリフォームは不要!売却を成功させたいならホームステージングがおすすめ!

マンション売却はホームステージングが有効

それでは最後に、マンションの売却を検討した時、リノベーションやリフォーム以外に、早期かつ高値売却を期待できる対策についても解説します。

昨今の不動産市場では、家の売却、賃貸共に、ホームステージングの実施が非常に高い効果を発揮すると言われるようになっています。ホームステージングは、売却や賃貸を検討している物件に対し、室内に家具やインテリア、照明などを配置することで新築のモデルルームのような魅力的な空間を作り出す手法とされています。空室状態や居住中のまま売却活動を進める際には、内覧時に良い印象を与えることができず、売れ残ってしまうというケースが多いのですが、ホームステージングを実施することで、そこでの生活を具体的にイメージさせることができるようになり、早期かつ高値での売却が期待できるとされているのです。

また、リフォームやリノベーションのように多額のコストをかける必要もありませんし、売却価格に対策にかかった費用を上乗せすることも難しくありません。ここでは、マンション売却で、ホームステージングを採用する場合に得られる代表的なメリットをご紹介します。

①物件の第一印象を向上させる

マンションの売却では、購入希望者が物件情報を見た際や内覧に足を運んだ時の第一印象が購入を大きく左右すると言われています。

ホームステージングを実施すれば、生活感のある部屋をモデルルームのような素敵な空間に演出することができ、明るく清潔で魅力的な印象を残すことができるようになります。空室で生活感がない状態や劣化が目立つ状態と比較すると、室内が魅力的に演出された部屋の方が物件全体に好印象を抱きやすくなり、購買意欲は高くなるものです。

ホームステージングは、この第一印象の部分を大幅に改善することができる点が大きなメリットになります。

②物件の可能性を視覚的に提示できる

空室状態の物件や、家具の配置が適切でない物件の場合、内覧に来た購入希望者は、その空間でどのように生活できるのか、また家具をどう配置すれば良いのか想像しにくくなります。

ホームステージングは、プロのホームステージャーが、家具やインテリア、照明などを適切に配置することで、その部屋での快適な暮らしを具体的にイメージさせることができるようになるのです。物件を内覧した時、そこでの家族の生活や家事動線が具体的にイメージできるようになれば、購入の判断がしやすくなるため、早期の成約が期待できるようになります。

③欠点や問題をカバーできる

ホームステージングは、物件に存在する欠点や問題点を目立たなくさせるという効果も期待できます。

ホームステージングを専門とする会社には、プロのホームステージャーが在籍しています。ホームステージャーは、その物件が最も売れやすくなるよう、戦略的に家具の配置や照明、インテリアを利用することにより、部屋の狭さや古さと言った潜在的な欠点から注意をそらしてくれるのです。内覧者は、部屋が持つ良い面や特徴部分に注目するようになり、物件に対する印象が良くなるでしょう。また、間取りの欠点などに関しても、家具の配置などにより、そこでの生活のしやすさを提案してくれるため、リノベーションなどをしなくても、現代のライフスタイルに合った物件と思わせることができるかもしれません。

物件の印象が良くなれば、早期の売却や高値売却に繋がる可能性が高くなるでしょう。

④競合物件との差別化ができる

ホームステージングは、競合物件との差別化ができるという点から、マンションの売却においては非常に有利に働きます。

中古不動産市場には、数多くの物件情報が出ています。特にマンションの売却の場合、同じ建物内で複数の物件が売りに出ているということも珍しくないでしょう。この場合、ホームステージングが実施された物件は、他の物件と比較すると、写真写りが良くなるうえ、内覧時の印象も鮮明に残りやすくなります。

そのため、問合せの段階から競合物件との差別化ができ、購入希望者の母数を増やすことができるため、早期売却の可能性が高くなるといえるのです。

⑤早期売却や高値売却に効果的

ホームステージングの実施は、早期の売却や高値での売却が実現できるという点が最大のメリットです。この点については、ホームステージングに関する実態調査のデータでも明らかになっています。ここでは、日本ホームステージング協会が毎年実施しているホームステージング白書のデータなどをご紹介します。

2024年度に実施されたホームステージングについて「ホームステージング実施前との比較・成約までの期間」という回答においては、以下のようなデータが出ています。

  • 大幅に短縮した(1カ月以上):18.6%
  • 少し短縮した(1週間~1カ月未満):51.3%
  • ほとんど変わらない:21.2%
  • 逆に長くなった:1.8%
  • 不明:7.1%

このように、ホームステージングの実施により「成約までの期間が短くなった」という回答が約7割に達しているのです。またこれ以外にも、ホームステージングの本場であるアメリカで実施された調査では、以下のような効果があったと指摘されています。

  • ステージングされた住宅の85%は、掲載価格より5~23%高い価格で売却されました。
  • 売主側の不動産業者の22%は、ステージングされた住宅はステージングされていない住宅に比べて売却価格が1~5%上昇したと報告しています。
  • ステージングされた住宅は、ステージングされていない住宅に比べて、市場に出ている時間が73%短くなります。
  • 住宅購入者の81%は、ステージングされた住宅によって住宅の売却が容易になったと述べています。
  • 住宅不動産業者の50%によると、市場に出ている住宅にステージングを施すと、平均して売却価格が1~10%上昇します。

このように、欧米でも、ホームステージングは早期売却や高値売却に有効だと指摘されています。

参照:ホームステージング白書2024年
参照:アメリカでの調査

まとめ

今回は、マンションを売却するためのリノベーションに関する注意点をご紹介しました。

記事内でご紹介した通り、マンションなどの集合住宅は、所有者だとは言え、自由にリノベーションを実施することができない決まりになっているのです。特に、間取りの変更など、物件内の壁の撤去や移動させるなどの大掛かりな工事に関しては、マンションそのものの強度に影響を与える可能性があることから、希望通りのリノベーションを実施することができない可能性が高いです。

したがって、マンションの売却において、できるだけ早く、また高く買ってくれる人を探したいと考えているなら、物件そのものに手を加えるわけではないホームステージングの実施がおすすめです。実際に、昨今の不動産市場では、ホームステージングによる効果が広く認識されてきており、多くの不動産会社が採用を始めています。